陰と陽の間に生きし者〜現代陰陽師奇譚〜

神無月 花

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☆第弌集

一変した生活

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土御門家に到着した俺は、当主、叔父は何処だろうかと辺りを見渡した。


  政明(それにしても.....本当に見渡す限り山と家だけだ。しかもこの山、依頼者と一族の人間しか立ち入らないからか。いつも清浄な気を感じるな。)



ふと、ある人物に目が留まった。よく見ると、その人物は女のようだ。俺はその人物に気づかれないようゆっくりと近づく。


その人物は、着物を着た若い女だった。いや、女というより少女と呼ぶ方が正しいくらい若い女の子だった。





  俺は直感した。彼女が俺の従妹だと。彼女から発せられる霊力の気は、俺の父から発せられる気と似た気だったからだ。


政明(!)


   政明がそう考えていると、禍々しい気を背後から感じた。

政明(この気は、妖気?それも中位以上の妖の気だ。)


  俺が感じた妖気は、真っ直ぐと、着実に少女に近づいている。彼女もそれに気づいたのか、妖がいる方へと素早く視線を向けた。しかし.....



  政明(何だ....?何で刀印を組まない?結界を張る素振りさえ無い。いくら力が目醒めたてでも、霊力がある者なら、反射的に結界を造るはずだが。)



まさか.....



政明(叔父達は、あの子にそんな基本的な事すら教えていないのか?!)





いくら反射的に結界を張る、九字を切る。と言っても、そのやり方を知らなければやりようも無い。精々、妖を避けるくらいしか出来ないだろう。



彼女は妖が迫ってくるより前にそれを避けた。だが。



【うがあぁあぁあ!】




妖....鵺(ぬえ)は、再び彼女に襲い掛かる。
彼女は、今度はそれを避ける事が出来なかった。



政明「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前....滅。」




俺は、″彼女を守らなけば″という気持ちとともに咄嗟に九字を切っていた。九字を切り終えると、鵺は断末魔の叫びを上げる間も無く消えた。

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