卯の姫と辰の君

神無月 花

文字の大きさ
上 下
3 / 15

一話

しおりを挟む
「美卯、お前に縁談の話がきている。聞いてくれないか」


ーー東京都内の東のある街にある大きな日本家屋の屋敷。


  そこは、日本で有数の旧家の内の1つである卯咲美家(うさみけ)の本家であった。


    その家の当主の部屋に、当主の娘である美卯(みう)と彼女を呼び出したこの家の当主であり美卯の実の父親である卯咲美   卯彦(あきひこ)が座っていた。



美卯「縁談...ですか?ですが私はまだ15歳ですし、学生ですよ。まだ結婚出来ないのに。」


  卯彦「お前と〝辰の君″が結婚するのは美卯が高等部を卒業し18になってからだそうだ。」


美卯「そうなんですね。....ところでお父様、私の夫となる方は何方様ですか?私の聞き間違いでなければ、〝辰の君″と聞こえたのですが....?」


  卯彦「そう。お前の夫とお方は“宗家“の現当主である〝辰の君″だよ。」


美卯(嘘...でしょ....?私が一族の最高権力者の奥さんだなんて....)


  卯彦「...この話はもちろん本当だ。見なさい。」


そういうと、卯彦は美卯に自身の持っていた書類を渡した。


その書類には


  美卯「宗家の印が押してある...」


金色の瞳と五つ指を持つ翡翠色の龍の飾りがついていた。


  美卯は、内容を確かめる為、書類を開けて中身を確認した。
そしてそこには、父が言った通りの内容が書かれていた。


美卯(ほんとに本当なんだ....)
(あれ?)


しかし、その内容には続きがあった。


美卯「えっ.....」


“卯の姫である卯咲美   美卯殿には、花嫁修行として高等部入学から卒業まで辰城本家で暮らしていただきます。“



と書かれていたーー。 





しおりを挟む

処理中です...