卯の姫と辰の君

神無月 花

文字の大きさ
上 下
8 / 15

一話

しおりを挟む
「おかえりなさいませ。旦那様。」


   夜。7時丁度にこの家の主人は到着した。


それをメイド服や執事服、着物を着た多数の使用人が出迎えた。


その中心に、美卯と水と理巳が居た。


当主...〝辰の君″と目が合ったのを感じた美卯は、水と理巳とともに頭を下げた。


   美卯「初めまして。この度、貴方様の婚約者となり、今日から此方で住まわせて頂く事になりました、卯咲美本家当主の娘・卯咲美  美卯と申します。」
「不束者とは思いますが、どうかよろしくお願い致します。」


「3人とも頭を上げて。」


   当主の声は、男性らしく低く、一族の長らしい威厳のある声だった。しかしその話し方はとても優しい。



「こちらこそよろしく。」


美卯(わ、すごく格好よくて綺麗な男の人...この方が″辰の君″....私、この人の奥さんになるんだ...)
(それにしても、思ってたよりもずっと若いのね。”宗家”の現当主だから、もっと年上、それこそ30歳以上の人かと思ってた。)



″辰の君″は、美卯より数歳年上...20代前半くらいの年のようだった。
しおりを挟む

処理中です...