陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

神無月 花

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第ニ集

幼なじみ▽

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話会が終わり、各自が自身の泊まる部屋に戻った頃。
癒良は、紫苑との思い出を思い返していた。


癒良と紫苑が初めて出会ったのは、十年前。紫苑が6歳で癒良が8歳の時の事だった。


*・*。**。**・*.**.




  幼き日の癒良は、後学の為、両親と共に話会に参加していた。そして散歩を終えて部屋に戻ろうと本家内の廊下の角を曲がった時....




癒良「うわっ!」



癒良は何かにぶつかった。癒良は、そのぶつかったものが、自分と同じく幼い子どもである事に直ぐに気が付いた。




癒良「いてっ!」


「きゃあっ」



何故なら、癒良がぶつかってしまった相手が、子どもらしい高い声で小さく悲鳴らしい声を出したからである。




癒良「っ~、だいじょうぶか?」


「わたしはだいじょうぶだよ。お兄ちゃんこそ、だいじょうぶ?」


癒良「オレはべつにだいじょうぶや。って!きみケガしてるやん!」



「これくらいならだいじょうぶだよぉ。すぐなおるもん。」


癒良「あかん!女の子やねんから、きずあとが残ったら困るやろ!」



   そう言うと、癒良は自身の着ていた和服の袖から符を取り出し、少女の怪我をした箇所にその符をあてながら何かを呟きはじめた。




「うわぁ!すごーい!傷がなくなっちゃった!ありがとう!お兄ちゃん!」


そう言うと、少女は愛らしい顔に愛らしい笑みを浮かべながら、癒良のほうを見た。



癒良「////~っ、!どういたしまして。」
(か、かわええ////)


癒良「せや、君の名前は?」


「わたし、あべ   しおん!」


癒良「オレは、あべ   ゆら!よろしく!」



そうして、癒良と紫苑はお互いの小さな手で握手を交わした。



ーーこれが、癒良の初恋の始まりでもあった。


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