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ホテル改革ー視察編-3
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ソファーに座るのもなんとなく躊躇われて湖を見下ろすバルコニーにでた。
やはりここも掃除が不十分だ、隅に枯葉や埃がたまっている。
「どう思う?アンバー?」
静かで真っ青な湖面を見つめながら訊ねる。
「ハンスですよ」
「もう面倒だからその設定いいわ」
「そうですね・・・」
アンバーはしばらく思いを巡らせたのち私見を述べた。
アンバーの意見と私が疑問に思っていたことはぴったり合到した。
ホテルに足を踏み入れてから、部屋までのごく短い時間でもはっきりわかった、従業員があきらに3つに分かれている…。
一つ目は以前からいるベテランスタッフで、ホテルマンとして誇りを持ち働いている者。
今日出会ったスタッフの中ではドアマンがそれに分類されるんではないかな。
二つ目はフロントまわり、ホテルの花形ポジションに配置されていた容姿の整った男女。
あの横柄な男とアンバーに見惚れてたキャッシャーの娘っ子達だ。
三つ目はポーターなど重労働に従事している者。
真面目でいい子だった、しかし残念ながらホテルマンとしては未熟だった。
類推すると二つ目のグループはここ何年かで採用された下級貴族の子息令嬢、
三つ目は庶民を採用したのだろう。
スタッフは以前から家督の継げない下級貴族の次男以下、商家の子らが中心であった。
もちろん庶民の採用もあったが、調理補助やハウスキーパーなど、裏方の仕事に限定されていたはずだ。
貴族であっても、なくても以前このホテルに勤める者は、皆、ホテルマンとして熱意に溢れ輝いた…。
答えは見えていたが、答え合わせは後回しだ。まだ視察は終わっていない。
晴れ上がった青空に淡い朱色が滲んできた。
陽が落ちる前に最後の目的地に向うことにした。
レストランに入り、予約してあった窓際の席に通される。
窓の位置が高く、座ると女性の目線ではせっかくの湖が見えない……。
(こういうところも残念ポイントだな…)
本日のお勧め料理から一品、グランドメニューから一品、白ワインをグラスで頼んだ。
料理が大皿で運ばれてきた。
うーん、ヨーロッパの真ん中あたりの国々の料理がまぜこぜになった感じかな…。
ジャガイモなどの野菜、ソーセージ、ステーキ・・・なんでもかんでもチーズがたっぷりかかっている…。
なんだこの野暮ったい料理…。
日本でも流行ったラクレットに近い。
ボリュームもあるし確かに美味しい…。
美味しい、美味しいけどねっ!
国一番のホテルのメニューが市井の食堂となんら変わりないてってどういうこと?
ホテルで食事する意味ある??
ぶちぶち不満を漏らしていると、アンバーが必死に笑いをこらえている。
アンバーなぜ笑う?
ーーーえっ?ぇぇぇぇ~、子供のころおなじ事を言った???
ーーー誰に?
ーーー王宮料理人に!?
ーーー野暮ったいって!?
ーーー喧嘩売ったの、私!?
ーーー結果、料理人魂に火をつけた??
そっか、だから王宮料理はコース形式で量や盛り付けも洗練されてるんだ…。
前世の記憶はなかったはずなのに、どうやら、やらかしてたらしい。
でも、まてよ?そんな前にやらかしたのになぜその後、王宮料理は広まらなかった??
王宮料理人が門外不出にしている!?
いやいや、そこは国の発展のために出していこうよ。
食事も終盤にさしかかり、アンバーは内ポケットから出した封筒をウェイターに渡す。
「総支配人に渡してくれるかな?」
アンバーから封筒を受け取ったウェイターは封蝋を見て目を大きくみひらいた。
封蝋の印璽に気付くということは、貴族の子息なのだろう。
ウェイターは一礼して、レストランを出て行った。
しばらくして、腹の出た脂ぎったオヤジがドタバタレストランに入ってきた。
「総支配人のトーマス・キャンベルと申します。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ここではなく、別室で話をしたいんだが…」
アンバーの提案に訝しげに眉をひそめ、のらりくらり拒絶する総支配人…。
封蝋の印璽は国の公的なものではあったが、このオヤジ、アンバーを査察にきた下級官吏だとでも思ってるのだろう。
そろそろヤバい!!
イライラが頂点に達したアンバー、躊躇なくウィッグを掴み床に投げつけた!!
「あっ、あっ、貴方様は・・・」
あまりの驚きに腰がぬけ、床にへたり込む総支配人、周りも唖然としている。
アンバー、世直し旅してる御隠居様かっ!!
やはりここも掃除が不十分だ、隅に枯葉や埃がたまっている。
「どう思う?アンバー?」
静かで真っ青な湖面を見つめながら訊ねる。
「ハンスですよ」
「もう面倒だからその設定いいわ」
「そうですね・・・」
アンバーはしばらく思いを巡らせたのち私見を述べた。
アンバーの意見と私が疑問に思っていたことはぴったり合到した。
ホテルに足を踏み入れてから、部屋までのごく短い時間でもはっきりわかった、従業員があきらに3つに分かれている…。
一つ目は以前からいるベテランスタッフで、ホテルマンとして誇りを持ち働いている者。
今日出会ったスタッフの中ではドアマンがそれに分類されるんではないかな。
二つ目はフロントまわり、ホテルの花形ポジションに配置されていた容姿の整った男女。
あの横柄な男とアンバーに見惚れてたキャッシャーの娘っ子達だ。
三つ目はポーターなど重労働に従事している者。
真面目でいい子だった、しかし残念ながらホテルマンとしては未熟だった。
類推すると二つ目のグループはここ何年かで採用された下級貴族の子息令嬢、
三つ目は庶民を採用したのだろう。
スタッフは以前から家督の継げない下級貴族の次男以下、商家の子らが中心であった。
もちろん庶民の採用もあったが、調理補助やハウスキーパーなど、裏方の仕事に限定されていたはずだ。
貴族であっても、なくても以前このホテルに勤める者は、皆、ホテルマンとして熱意に溢れ輝いた…。
答えは見えていたが、答え合わせは後回しだ。まだ視察は終わっていない。
晴れ上がった青空に淡い朱色が滲んできた。
陽が落ちる前に最後の目的地に向うことにした。
レストランに入り、予約してあった窓際の席に通される。
窓の位置が高く、座ると女性の目線ではせっかくの湖が見えない……。
(こういうところも残念ポイントだな…)
本日のお勧め料理から一品、グランドメニューから一品、白ワインをグラスで頼んだ。
料理が大皿で運ばれてきた。
うーん、ヨーロッパの真ん中あたりの国々の料理がまぜこぜになった感じかな…。
ジャガイモなどの野菜、ソーセージ、ステーキ・・・なんでもかんでもチーズがたっぷりかかっている…。
なんだこの野暮ったい料理…。
日本でも流行ったラクレットに近い。
ボリュームもあるし確かに美味しい…。
美味しい、美味しいけどねっ!
国一番のホテルのメニューが市井の食堂となんら変わりないてってどういうこと?
ホテルで食事する意味ある??
ぶちぶち不満を漏らしていると、アンバーが必死に笑いをこらえている。
アンバーなぜ笑う?
ーーーえっ?ぇぇぇぇ~、子供のころおなじ事を言った???
ーーー誰に?
ーーー王宮料理人に!?
ーーー野暮ったいって!?
ーーー喧嘩売ったの、私!?
ーーー結果、料理人魂に火をつけた??
そっか、だから王宮料理はコース形式で量や盛り付けも洗練されてるんだ…。
前世の記憶はなかったはずなのに、どうやら、やらかしてたらしい。
でも、まてよ?そんな前にやらかしたのになぜその後、王宮料理は広まらなかった??
王宮料理人が門外不出にしている!?
いやいや、そこは国の発展のために出していこうよ。
食事も終盤にさしかかり、アンバーは内ポケットから出した封筒をウェイターに渡す。
「総支配人に渡してくれるかな?」
アンバーから封筒を受け取ったウェイターは封蝋を見て目を大きくみひらいた。
封蝋の印璽に気付くということは、貴族の子息なのだろう。
ウェイターは一礼して、レストランを出て行った。
しばらくして、腹の出た脂ぎったオヤジがドタバタレストランに入ってきた。
「総支配人のトーマス・キャンベルと申します。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ここではなく、別室で話をしたいんだが…」
アンバーの提案に訝しげに眉をひそめ、のらりくらり拒絶する総支配人…。
封蝋の印璽は国の公的なものではあったが、このオヤジ、アンバーを査察にきた下級官吏だとでも思ってるのだろう。
そろそろヤバい!!
イライラが頂点に達したアンバー、躊躇なくウィッグを掴み床に投げつけた!!
「あっ、あっ、貴方様は・・・」
あまりの驚きに腰がぬけ、床にへたり込む総支配人、周りも唖然としている。
アンバー、世直し旅してる御隠居様かっ!!
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