【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

文字の大きさ
130 / 188

第127話 クリフォトの木の伝承

しおりを挟む
「なるほど、そのような事があったのか」

 サルヴァンが隊長さんとともに事の次第を領主様に報告すると、領主様は顎に手を当て思案を始めた。

 あの後隊長さんと共にもぬけの殻となったクリフォトの種の神殿を見回った。特にめぼしいものは見つからなかったが、教典なんかは全部回収して焚書ふんしょ処分となる予定だ。スラムにはまだ信者が残っているとは思うけど、その辺をどうするかは僕らが決めることじゃない。

「ええ。少なくとも教団幹部はもうこの街にはいないと思います。教団トップのアマラが国外にいますので、こちらから手出しすることも難しいでしょう」
「そうか。なら一先ずは安心だな。だが教団は何をしでかすつもりなのだ?」

 教団の目的はクリフォトの木を完成させることだ。その条件の一つが信徒を集めることでニーグリを魔王へと昇格させることらしいんだけど、どんな仕組みなのやら。もうひとつの条件はクリフォトの木の伝承がヒントになりそうだ。

「多分ですが、アマラは隣国の王になるつもりかもしれません」
「たかが教祖如きが王か。しかし公爵級の魔神がいればできそうではあるな。何か根拠があるのかね?」
「クリフォトの木の伝承の再現です」

 クリフォトの木には伝承がある。それはクリフォトの木に選ばれた男の物語だ。その男はその力を使って一国の王となり、そして覇道を突き進んだ。屍山血河を築き上げた結果、クリフォトの木が完成して世界は未曾有の危機に瀕したという。

 それを打ち破ったのがエスペラント王国出身の英雄王ディーンだ。そしてその英雄王が建国した国こそ神聖アルテア皇国であるとされている。1500年ほど前の話らしいけど、もしかしたら史実なのかもしれない。

「……あれは神話ではないのかね?」
「どうなんですかね?   皇国では建国神話として語られているそうですけど」

一応アルテア教会でもそのようなことになっている。アルテア皇国の教皇はその英雄王の血筋であるとされ、アルテア教会の総本山が神聖アルテア皇国なのだ。この大陸のほとんどの国がアルテア教を国教としている。それは世界を救った英雄王がアルテア様の使徒であるということ。それが理由なのだとされている。

「そうなると2年後は戦乱の世になる可能性があるわけか」
「あくまで可能性の話です。備えはどの道必要になると思いますけど」

 少なくともニーグリを始めとした悪魔達と戦うことになる可能性は高いよね。時間は与えたくないけど、今の僕たちじゃ勝てないのも事実だ。そのために出来ることをしないといけない。

「そうか。報告ご苦労だった。これは報酬の金貨2150枚だ。確認してくれ」
「はい、では鑑定アイデンティファイ……。はい、2150枚確かに」

 鑑定の魔法で枚数をサクッと鑑定し、収納する。いちいち数えるのも面倒だからね。

「……鑑定で枚数を数えられるのかね?」
「ええ、僕の鑑定は特別なので」
「そ、そうなのかね……」

 そういや普通は出来ないんだっけ。すっかり忘れていたよ。突っ込まれてもそういうもんだと押し通すけどね。





 その後、領主邸を後にした僕たちは例の如く宿屋でこれからの事を話し合っていた。

「まず王子殿下やライミスさんへの報告は必要だよな。後は俺たちのレベルアップも必要だ。そうなるとダンジョン制覇をするべきだろうな」

 サルヴァンが方針を語ると、皆が頷く。ダンジョンの別名は神々の修練場。そんなものがなんでアプールの街にあるのか理由は知らないけど、そこを制覇できればニーグリにも届くかもしれない。

「まぁ、それは当然として、だ。ほかの街や村にクリフォトの種の影響がどれだけ出ているか調査が必要だと思うぞ」
「それ、国に任せれば良くないか?」

 フィンの提案にルードが首を傾げる。フィンの言っていることも理解できるが、僕らは冒険者だ。依頼もないのに行く必要性があるかどうかの話になる。

「そうだな。国の治安維持は俺たちの仕事じゃない。国の仕事だろ」
「別に全てを調査しろとは言ってない。この街の近くに村があるはずだ。そこだけでいいと思うぞ?    国に調査をさせたいなら、そういった事実があることを確認してからでないと動くわけないだろ?」

 うん、確かにフィンの言う通りだ。僕らができるのは報告と陳情でしかない。国に任せるにしても実情の把握無しでは動いてくれないし、そもそも僕らに動かす権限なんてないのだ。やれるとしたら冒険者ギルドにかけ合って依頼を出すくらいだろう。

「言われてみればそうだな。そのくらいならさほど時間も取られないし、事実確認は必要か」
「おおー、フィン冴えてるじゃん」
「ま、まぁな」

 ルードがフィンの話に納得すると、ミラが驚いて小さく拍手する。照れくさいのかフィンはそっぽを向いているけど。

「よし、じゃあ次は隣の村だな。明日は休みにして行くのは明後日の朝にしよう」
「「「さんせーい」」」

 そしてサルヴァンが話は決まったと判断して話し合いはあっさり終わったのだった。
 しかし村を調査か。閉塞された場所って特殊な環境に成りうるから面倒なことになっていないといいけど。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...