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第1品「始まりはいつも勘違い」
錬金術師ソヨギ……と醤油
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「目は覚めましたか戦士よ」
「チョー眠いっすね……」
ソヨギはまったく開かない目のまま、コタツをつけて座っていた。コタツには豆腐が乗っている皿が、乗っている。眠たいがなんとなく晩酌の気分である。時刻は5:10。
半壊した天井から冷気が侵入してくる。ソヨギはダウンジャケットを羽織っていた。
「改めまして……わたしは豆腐の女神です」
「磯村っす……ソヨギっす」
「ではソヨギさま。わたしはあなたに重大な使命を与えに来ました。勇者さまの後方支援です」
「……あい」
豆腐は皿のうえでプルプルと揺れていた。まるで身ぶり手振りを交えて話しているようだ。
「現在、次元門エルシアが開放されており、わたしの世界とあなたの世界は常時接続の状態にあります。そして破滅王はこちらの時間で二十四時ごろ異次元進攻を開始したのです。あなたが飲み会とやらを終えた頃合いですね」
「……なるほど」
「そして破滅王は侵略行為を開始。こちらの世界に致命的な攻撃を仕掛けているのです。ですが我々『勇者の護神』と、勇者さまのパーティーが破滅王を食い止めるためにこちらにやって来ました。ちょうど三時間ほどまえになります」
「……なんてこった」
「我々はこちらの世界の軍と手を組み、破滅軍に抗戦。しかし破滅王の猛威はとどまらず、徐々にですが圧されているのです。それは勇者の護神のなかでも、ある種族の特徴が災いし、充分な力を発揮できないからなのです。そのためこちらの戦力は半減。それが劣勢の原因なのです」
「……基本ですよね」
「その特徴とは、こちらの世界では姿を維持できず、同時に神技を使用するための力――アニミスが不足してしまうというものです。こちらの世界にもアニミスはあります。が、その構成要素に明確な違いがあり、わたしのような種族の神ではアニミスを充分には吸収、利用ができません。そこで――」
「……ぐう」
飽きた。
ソヨギはこっそり眠りについた……
……
「――さま! ソヨギさま!」
「あ……なんすか?」
「寝てませんでしたか? わたしの話を聞いてました?」
「ご静聴しすぎてました? ちゃんと聞いてまひた」
「そうですか? なんか怪しいですけど……ま、とにかく、こちらの世界のアニミスが使えないため、こちらの人間にセンスを――アニミスを感知し、理解し、使用する能力を授けようということになったのです。そしてさらには神技の伝授をおこない、守護賢人として勇者さまを助けてもらおうと……」
「なるほど……でもなぜ豆腐?」
「はい? どういう意味ですか?」
「いや……豆腐の女神はいいとして、なんでまんま豆腐の姿で来たんすか?」
「そ……それは……!」
豆腐はいやいやをするようにプルプルと横に動いた。
「婚儀のドレスを纏い、我が身を捧げるため……です」
「擬人化して出直してください」
ソヨギは後ろに手をつくと布団を目指した。豆腐が皿に乗ったままひゅんっと眼前に移動してくる。
「なぜ床に着こうとするのです!」
「……腹減ってないんすよ……気持ち悪いんで……」
「体調不良と世界の危機を天秤にかけるのですか!」
「安心してください。体調不良に思いっきり傾いてるんで。迷いはないっす」
ソヨギは豆腐を押しのけて、ひんやりした布団で眠りにつく準備を始めた。豆腐が頭のまわりをひゅんひゅんと飛びまわる。
「迷いなさい! て言うか自己中心的すぎます。こうしているあいだにも破滅軍がひとびとを襲っているのですよ!」
「……じゃあ参加希望で」
「ようやく食べてくれるのですね?」
「いや……襲われるほうに」
「駄目です駄目です! わたしに適合する人間はあなたしかいないのです!」
「どういう理屈ですか?」
「あう……そ、それは……」
「……お疲れっす」
ソヨギはゆっくりと布団に体を沈めていった。ダウンが邪魔くさいが脱ぐのが面倒くさい。だが、豆腐の皿がこんこんとおでこを叩いてくる。地味に痛い。
「なんすか……?」
「わたしを食べればヒーローになれます」
「間にあってます……俺がいなくても力は使えてましたよね?」
「いえ、あれは蓄積されていたアニミスであり、力を使うたびに消費されてしまいます。しかし申しあげたように、わたしはこの世界では消費されたアニミスを補給できません。こうして浮いているだけでも、どんどん消費しています。だから食べ――こらぁ!」
「……うっす」
豆腐の声がキィィーンと耳に残る。ソヨギは眠りかけたのがバレて、上体を起こした。
「……寝て起きたら食べる、でどうですか?」
「まあ……仮眠も必要かもしれません。でもあまり長い時間はムリですよ?」
「じゃあ……午後三時まで……お休みっす」
ソヨギはいそいそと肘をついた。しかし布団をかけようとすると豆腐が邪魔をする。
「仮眠じゃなくてそれは睡眠ではありませんか! そのあいだに破滅軍のモンスターに永眠させられますよ!」
「……いいっすね」
「よくない! 永眠希望の戦士なんてどこにもいませんっ!」
「俺が先駆者っすね。任せてください」
「ネガティブ思考を切り開かないで! お願いだから起きてー! はっ……! この邪気は!」
その豆腐の異様な反応に、ソヨギはふたたび上体を起こした。どこからかキュイィィィィン……という甲高い音が聞こえてくる。飛行機のエンジン音を思いだしていると、ズアゴウッ! となにかが迫ってきた。巨大なレーザーが半壊した天井から見える。
「……永眠チャンス?」
「師団長クラスですね! 障壁魔法!」
豆腐が爆発したような光を発した。目が痛い。その障壁魔法が六畳の部屋に展開され、レーザーを受け止める。屋根はすべて消し飛び、だが長方形の障壁魔法は部屋を完全に守っている。ズシュアァァァッ! とレーザーを拡散させ、そのうち攻撃はやんだ。
「なるほど……護神の一柱というのは嘘ではなかったな」
「あぁ……! まさか飛空賊のデスケテス!? 正規軍ではなかった流浪の魔神がなぜ!」
ソヨギはそいつを見あげていた。人間に近い姿は顔はイケメン、細マッチョ、悪魔的な翼を持ち、黒いズボンにカーテンみたいな黒い腰巻きをしている。そして黒いブーツ。豆腐はそのデスケテスに驚きを隠せないようだった。コタツにちょんと乗り、ソヨギと同じように見あげている。豆腐の片側が気持ちうえにあがっているのだ。
デスケテスは腕を組み、悪魔的な翼をバサバサとさせて空中浮遊していた。顔には不敵な笑みを浮かべている。
「破滅王がどうしてもと言うのでな。少しは手を貸してやろうかと思い、次元門を渡ってきたのだ」
「くぅ……! まさかデスケテスとは……どおりでたいした力もない破滅軍魔空戦隊に手こずると思った……!」
異様な盛りあがりを見せるなか、ソヨギは布団からでた。瞼を半分閉じたまま起きる。喉がなんだか焼けているような違和感があった。水でも飲もう。扉が豆腐によって破壊されている冷蔵庫に向かう。
「護神などという雑魚に、俺が苦戦を強いられるとでも? クックックッ……すでに二柱ほど送呈してやったぞ」
「……なんてこと……風の神と雲の神の反応がない! ゆ……許さない!」
ソヨギはポカリのフタを開けて飲む。ちょっと喉がスッキリする。いつのまにか眠気のほうもだいぶ治まっていた。だがなんとも言えない脱力感や頭痛、めまいのような頭の違和感はそのままだった。典型的な二日酔いである。
「タバコ吸うかな……」
「ふははははっ! 破滅王も耄碌したものだな。こんな脆弱な神々に翻弄され、勇者の小僧にも手を焼くとは!」
「勇者さまは強い! 必ずや破滅王を倒し、あなたたちのような魔の者だって浄化してくださる!」
ソヨギは台所にあったフィリップモリスに火をつけた。口当たりが軽いタバコが好みである。流し台に腰を預けて傍観する。たまにポカリを飲む。
「そうだといいがなぁ……破滅王は勇者に対し、あれを起動させたぞ」
「あれ? あ……まさか! まさかノヴァカース! 遥か古代にわたしたちの世界をことごとく破壊した兵器! そんな……そんなことをしたら……次元を越えて宇宙そのものが消えてしまう……!」
「くくっ……その通りだ。破滅王は秘術を用いて逃げるつもりらしいがな」
「あなたも消えるのですよ、デスケテス……」
「構わぬ……構わぬ構わぬ! 俺はただ強い奴と戦いたいだけなのだっ! ノヴァカースと! 超破壊兵器神との一戦は誰にも譲るつもりはないっ!」
「狂ってる……狂ってる!」
「言いたいことはそれだけか? ならば死ねぇ!」
ソヨギがタバコを半分ほど消化すると、デスケテスが上空から豆腐に向かって突進した。豆腐はふたたび発光し、障壁魔法で迎え撃つ。ゾギョオッ! とデスケテスの拳が障壁魔法を殴りつけた。
「ふははっ! そらそらそらぁっ!」
「強い……! 魔法も使わずに拳だけなのに!」
デスケテスの拳の連打に、障壁魔法はどんどんヒビ割れていく。ソヨギはそれを冷静に分析していた。
「……レーザーよりも拳が強いのか。意味分からん」
「くぅっこのままでは! ソヨギさま、いまこそわたしを食べ――なに一服つけてるのですか!」
「いや……換気扇のところでタバコ吸う派なんすよ」
「違あぁぁぁぁうっ! 魔神をまえにしてよく平気ですね! ああっ! アニミスが消えてしまう! 早く食べて!」
「なんかほかに方法はないんすか? アニミスっての補給する」
パッと見で豆腐バリアーにも思える障壁魔法はガンガン削られていた。確かにやばそうだが胃が荒れているので食べる気にはなれない。
「方法はありません! わたしを強化する方法がないのですから! アニミスを含み、豆腐に力を付与できる物質がこの世界には存在しないのです! だから早く食べて!」
「……寝起きなんで勘弁してください」
「あなたは悪魔ですか!」
豆腐がぎゃあぎゃあと罵声を浴びせてくる。ソヨギは頭痛を倍増させるアニメ声に顔をしかめながら、くわえタバコで冷蔵庫に向かった。
「えーと……ああ、これでいいか」
「ソヨギさまっ! もう障壁魔法がもちません! 早く食べ――きゃあぁぁぁ! なんですこの液体は!」
「……醤油」
ソヨギは弁当のおまけについていた醤油のパックを破って豆腐にかけた。冷奴の完成である。
「……気分的に完全体っすね」
「この状況でなにしてるの! 気持ち悪い! 気持ち悪――あ……あぁぁぁぁ! 気持ち悪いはずなのにぃ……この高揚感はぁぁぁ!」
聞いているだけではどこかイヤらしいが、所詮は豆腐である。そして醤油をかけられた豆腐はカッと閃光を発し、
「なんでしょう……この力はいったい……」
「なんだこいつは……! アニミスが跳ねあがっただと!?」
「……その言いまわし……やられフラグっぽいっすよ?」
ソヨギの発言を無視し、デスケテスは上空へと退避していった。豆腐はといえばシュンシュンというオーラを纏い、アニミスの高揚が風圧を放っていた。ソヨギの髪は正面からドライヤーを浴びている感じになる。
「……いけそうっすか?」
「アニミスが充足していく……いえ、むしろ増長していく……かつてない力がわたしを……わたしを超越へと導いている! デスケテス! 風と雲の神に代わり、あなたを浄化させていただきます! 食らいなさい、わたしの破魔鏖殺滅神技を!」
「……弱そうっすね」
「ぬあぁぁぁぁ! 護神ごときにやられるものかあぁぁぁぁぁ! この技はさきほどの比ではない! 食らえ真・邪送呈烈破んんっ!!」
「……ダサいっすね」
周囲は轟音、閃光、暴風、稲妻、空振などなど……ボロアパートが悲鳴をあげるほどの凄まじいエフェクトに包まれていた。ソヨギはタバコを吸い終えると流し台に向かった。タバコは水に濡らして捨てる派である。
ジュギュイアァギュシャボフェアァァァッ!
ソヨギの背後ではふたつの力の衝突が起きていた。豆腐のイソフラボニアがデスケテスのイレースヴェノムカノンを圧倒する。どっかで見たことのある光線の撃ちあいは、豆腐のほうに分があった。さすがはただの豆腐ではないということだ。冷奴なのだから。
「デスケテス! あなたは終わる! わたしの神技によって!」
「つ……強い! なんだこの力は! 俺が圧されているうぅぅぅぅぅ!」
「……完璧なフラグ回収っすね」
その直後、豆腐のイソフラボニアがデスケテスを貫いた!
「馬鹿なぁぁぁ……!」
ボゴオォォン! という爆発音とともにデスケテスは爆死する。火の粉のような残骸がハラハラと降っている。イソフラボニアの閃光は遥か彼方へと突き抜けていった。まるで彗星である。
「……お疲れっす」
「す……すごおいっ! まさかわたしにこんな力があったなんてっ。あの液体にはとてつもないアニミスが含まれていたのですね! まさかソヨギさまは錬金術師なのですか?」
「いや……ただの厨房担当っす。バイトで」
豆腐はピョンピョンと跳び跳ねて歓喜しているようだった。
「これならノヴァカースの始動を阻止できるかもしれません! あのアニミスソーマはまだあるのですか? あるのならそれを持って……」
「いや、買い置きとかしない派なんすよ……ビールくらいしか……」
「そうですか、それは残念です……」
「いや……コンビニとかで売ってますけど」
「あれほどのアニミスを含んでいるソーマが市販で!? なんという世界……破滅王がこの世界に来たのは偶然ではないのかもしれない……」
「というわけで寝てもいいっすか? 町中探せば適当にあるんで。お疲れっす」
ソヨギは布団に戻ろうとして、すぐに足を止めた。布団はいまの戦闘で木片だらけになり、さらに焦げたりなんだりしている。
「あら? さすがに眠れないですね」
「……そっすね。まだあるかな漫喫……」
ある意味で第二拠点としている漫画喫茶を思いだし、ソヨギはおでかけセットに着替えた。裏起毛の黒いスウェット、ダウン、厚めの靴下、財布と携帯、タバコとライター。
「やっと立ちあがるのですね戦士よ。いえ、錬金術師ソヨギさまっ」
「……漫喫行くんで」
「まんきつ? 修練場かなにかですか?」
「えーと……娯楽施設っすね……さっした」
「待って待って、待ちなさい! わたしとデスケテスとのやり取りを聞いてましたよね?」
「……兵器とかなんとか」
ソヨギは玄関でバッシュを履き始めた。そのまわりを皿に乗った豆腐がひゅんひゅんと舞う。
「止めに行くのではないのですか?」
「……寝に行きます」
「ここまで来て!?」
「深刻です。特に頭が」
「いやしかし……!」
「あ……そうだ。二日酔い治せます? それならなにかできるかも……」
「すみません。あいにくと回復魔法は使えないもので……」
「じゃあ……さっす、失礼します」
「きゃあっ! 待ってソヨギさまっソヨギさまっ!」
豆腐の皿をフリスビーのように投げ飛ばし、ソヨギは玄関をでた。するとボロアパートが半分ほど消し飛んでいるのが目にはいる。まあ一階に降りる階段は無事なので問題はない。
しかし、外の景色はとんでもなかった。ボロアパートの敷地からでると、見慣れた町並みは地獄絵図のようだった。煙の立ちのぼるマンションやビル、遠くの火事は夕焼けのようであり、気づけば空には戦闘機なども飛行して、破滅軍魔空戦隊とやりあっている。そしてどこからか住民が逃げまどう声が届いていた。爆発音、悲鳴、銃声、奇声――そしてほど近い場所から子供の絶叫が聞こえる。
「ソヨギさま……眠っている場合ではないのです。あ……どこに行くのですソヨギさま!」
ソヨギは二日酔いのふらつきと闘いながら、のろのろと歩きだしたのだった。子供の絶叫の方向へと――
続く
「チョー眠いっすね……」
ソヨギはまったく開かない目のまま、コタツをつけて座っていた。コタツには豆腐が乗っている皿が、乗っている。眠たいがなんとなく晩酌の気分である。時刻は5:10。
半壊した天井から冷気が侵入してくる。ソヨギはダウンジャケットを羽織っていた。
「改めまして……わたしは豆腐の女神です」
「磯村っす……ソヨギっす」
「ではソヨギさま。わたしはあなたに重大な使命を与えに来ました。勇者さまの後方支援です」
「……あい」
豆腐は皿のうえでプルプルと揺れていた。まるで身ぶり手振りを交えて話しているようだ。
「現在、次元門エルシアが開放されており、わたしの世界とあなたの世界は常時接続の状態にあります。そして破滅王はこちらの時間で二十四時ごろ異次元進攻を開始したのです。あなたが飲み会とやらを終えた頃合いですね」
「……なるほど」
「そして破滅王は侵略行為を開始。こちらの世界に致命的な攻撃を仕掛けているのです。ですが我々『勇者の護神』と、勇者さまのパーティーが破滅王を食い止めるためにこちらにやって来ました。ちょうど三時間ほどまえになります」
「……なんてこった」
「我々はこちらの世界の軍と手を組み、破滅軍に抗戦。しかし破滅王の猛威はとどまらず、徐々にですが圧されているのです。それは勇者の護神のなかでも、ある種族の特徴が災いし、充分な力を発揮できないからなのです。そのためこちらの戦力は半減。それが劣勢の原因なのです」
「……基本ですよね」
「その特徴とは、こちらの世界では姿を維持できず、同時に神技を使用するための力――アニミスが不足してしまうというものです。こちらの世界にもアニミスはあります。が、その構成要素に明確な違いがあり、わたしのような種族の神ではアニミスを充分には吸収、利用ができません。そこで――」
「……ぐう」
飽きた。
ソヨギはこっそり眠りについた……
……
「――さま! ソヨギさま!」
「あ……なんすか?」
「寝てませんでしたか? わたしの話を聞いてました?」
「ご静聴しすぎてました? ちゃんと聞いてまひた」
「そうですか? なんか怪しいですけど……ま、とにかく、こちらの世界のアニミスが使えないため、こちらの人間にセンスを――アニミスを感知し、理解し、使用する能力を授けようということになったのです。そしてさらには神技の伝授をおこない、守護賢人として勇者さまを助けてもらおうと……」
「なるほど……でもなぜ豆腐?」
「はい? どういう意味ですか?」
「いや……豆腐の女神はいいとして、なんでまんま豆腐の姿で来たんすか?」
「そ……それは……!」
豆腐はいやいやをするようにプルプルと横に動いた。
「婚儀のドレスを纏い、我が身を捧げるため……です」
「擬人化して出直してください」
ソヨギは後ろに手をつくと布団を目指した。豆腐が皿に乗ったままひゅんっと眼前に移動してくる。
「なぜ床に着こうとするのです!」
「……腹減ってないんすよ……気持ち悪いんで……」
「体調不良と世界の危機を天秤にかけるのですか!」
「安心してください。体調不良に思いっきり傾いてるんで。迷いはないっす」
ソヨギは豆腐を押しのけて、ひんやりした布団で眠りにつく準備を始めた。豆腐が頭のまわりをひゅんひゅんと飛びまわる。
「迷いなさい! て言うか自己中心的すぎます。こうしているあいだにも破滅軍がひとびとを襲っているのですよ!」
「……じゃあ参加希望で」
「ようやく食べてくれるのですね?」
「いや……襲われるほうに」
「駄目です駄目です! わたしに適合する人間はあなたしかいないのです!」
「どういう理屈ですか?」
「あう……そ、それは……」
「……お疲れっす」
ソヨギはゆっくりと布団に体を沈めていった。ダウンが邪魔くさいが脱ぐのが面倒くさい。だが、豆腐の皿がこんこんとおでこを叩いてくる。地味に痛い。
「なんすか……?」
「わたしを食べればヒーローになれます」
「間にあってます……俺がいなくても力は使えてましたよね?」
「いえ、あれは蓄積されていたアニミスであり、力を使うたびに消費されてしまいます。しかし申しあげたように、わたしはこの世界では消費されたアニミスを補給できません。こうして浮いているだけでも、どんどん消費しています。だから食べ――こらぁ!」
「……うっす」
豆腐の声がキィィーンと耳に残る。ソヨギは眠りかけたのがバレて、上体を起こした。
「……寝て起きたら食べる、でどうですか?」
「まあ……仮眠も必要かもしれません。でもあまり長い時間はムリですよ?」
「じゃあ……午後三時まで……お休みっす」
ソヨギはいそいそと肘をついた。しかし布団をかけようとすると豆腐が邪魔をする。
「仮眠じゃなくてそれは睡眠ではありませんか! そのあいだに破滅軍のモンスターに永眠させられますよ!」
「……いいっすね」
「よくない! 永眠希望の戦士なんてどこにもいませんっ!」
「俺が先駆者っすね。任せてください」
「ネガティブ思考を切り開かないで! お願いだから起きてー! はっ……! この邪気は!」
その豆腐の異様な反応に、ソヨギはふたたび上体を起こした。どこからかキュイィィィィン……という甲高い音が聞こえてくる。飛行機のエンジン音を思いだしていると、ズアゴウッ! となにかが迫ってきた。巨大なレーザーが半壊した天井から見える。
「……永眠チャンス?」
「師団長クラスですね! 障壁魔法!」
豆腐が爆発したような光を発した。目が痛い。その障壁魔法が六畳の部屋に展開され、レーザーを受け止める。屋根はすべて消し飛び、だが長方形の障壁魔法は部屋を完全に守っている。ズシュアァァァッ! とレーザーを拡散させ、そのうち攻撃はやんだ。
「なるほど……護神の一柱というのは嘘ではなかったな」
「あぁ……! まさか飛空賊のデスケテス!? 正規軍ではなかった流浪の魔神がなぜ!」
ソヨギはそいつを見あげていた。人間に近い姿は顔はイケメン、細マッチョ、悪魔的な翼を持ち、黒いズボンにカーテンみたいな黒い腰巻きをしている。そして黒いブーツ。豆腐はそのデスケテスに驚きを隠せないようだった。コタツにちょんと乗り、ソヨギと同じように見あげている。豆腐の片側が気持ちうえにあがっているのだ。
デスケテスは腕を組み、悪魔的な翼をバサバサとさせて空中浮遊していた。顔には不敵な笑みを浮かべている。
「破滅王がどうしてもと言うのでな。少しは手を貸してやろうかと思い、次元門を渡ってきたのだ」
「くぅ……! まさかデスケテスとは……どおりでたいした力もない破滅軍魔空戦隊に手こずると思った……!」
異様な盛りあがりを見せるなか、ソヨギは布団からでた。瞼を半分閉じたまま起きる。喉がなんだか焼けているような違和感があった。水でも飲もう。扉が豆腐によって破壊されている冷蔵庫に向かう。
「護神などという雑魚に、俺が苦戦を強いられるとでも? クックックッ……すでに二柱ほど送呈してやったぞ」
「……なんてこと……風の神と雲の神の反応がない! ゆ……許さない!」
ソヨギはポカリのフタを開けて飲む。ちょっと喉がスッキリする。いつのまにか眠気のほうもだいぶ治まっていた。だがなんとも言えない脱力感や頭痛、めまいのような頭の違和感はそのままだった。典型的な二日酔いである。
「タバコ吸うかな……」
「ふははははっ! 破滅王も耄碌したものだな。こんな脆弱な神々に翻弄され、勇者の小僧にも手を焼くとは!」
「勇者さまは強い! 必ずや破滅王を倒し、あなたたちのような魔の者だって浄化してくださる!」
ソヨギは台所にあったフィリップモリスに火をつけた。口当たりが軽いタバコが好みである。流し台に腰を預けて傍観する。たまにポカリを飲む。
「そうだといいがなぁ……破滅王は勇者に対し、あれを起動させたぞ」
「あれ? あ……まさか! まさかノヴァカース! 遥か古代にわたしたちの世界をことごとく破壊した兵器! そんな……そんなことをしたら……次元を越えて宇宙そのものが消えてしまう……!」
「くくっ……その通りだ。破滅王は秘術を用いて逃げるつもりらしいがな」
「あなたも消えるのですよ、デスケテス……」
「構わぬ……構わぬ構わぬ! 俺はただ強い奴と戦いたいだけなのだっ! ノヴァカースと! 超破壊兵器神との一戦は誰にも譲るつもりはないっ!」
「狂ってる……狂ってる!」
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「ふははっ! そらそらそらぁっ!」
「強い……! 魔法も使わずに拳だけなのに!」
デスケテスの拳の連打に、障壁魔法はどんどんヒビ割れていく。ソヨギはそれを冷静に分析していた。
「……レーザーよりも拳が強いのか。意味分からん」
「くぅっこのままでは! ソヨギさま、いまこそわたしを食べ――なに一服つけてるのですか!」
「いや……換気扇のところでタバコ吸う派なんすよ」
「違あぁぁぁぁうっ! 魔神をまえにしてよく平気ですね! ああっ! アニミスが消えてしまう! 早く食べて!」
「なんかほかに方法はないんすか? アニミスっての補給する」
パッと見で豆腐バリアーにも思える障壁魔法はガンガン削られていた。確かにやばそうだが胃が荒れているので食べる気にはなれない。
「方法はありません! わたしを強化する方法がないのですから! アニミスを含み、豆腐に力を付与できる物質がこの世界には存在しないのです! だから早く食べて!」
「……寝起きなんで勘弁してください」
「あなたは悪魔ですか!」
豆腐がぎゃあぎゃあと罵声を浴びせてくる。ソヨギは頭痛を倍増させるアニメ声に顔をしかめながら、くわえタバコで冷蔵庫に向かった。
「えーと……ああ、これでいいか」
「ソヨギさまっ! もう障壁魔法がもちません! 早く食べ――きゃあぁぁぁ! なんですこの液体は!」
「……醤油」
ソヨギは弁当のおまけについていた醤油のパックを破って豆腐にかけた。冷奴の完成である。
「……気分的に完全体っすね」
「この状況でなにしてるの! 気持ち悪い! 気持ち悪――あ……あぁぁぁぁ! 気持ち悪いはずなのにぃ……この高揚感はぁぁぁ!」
聞いているだけではどこかイヤらしいが、所詮は豆腐である。そして醤油をかけられた豆腐はカッと閃光を発し、
「なんでしょう……この力はいったい……」
「なんだこいつは……! アニミスが跳ねあがっただと!?」
「……その言いまわし……やられフラグっぽいっすよ?」
ソヨギの発言を無視し、デスケテスは上空へと退避していった。豆腐はといえばシュンシュンというオーラを纏い、アニミスの高揚が風圧を放っていた。ソヨギの髪は正面からドライヤーを浴びている感じになる。
「……いけそうっすか?」
「アニミスが充足していく……いえ、むしろ増長していく……かつてない力がわたしを……わたしを超越へと導いている! デスケテス! 風と雲の神に代わり、あなたを浄化させていただきます! 食らいなさい、わたしの破魔鏖殺滅神技を!」
「……弱そうっすね」
「ぬあぁぁぁぁ! 護神ごときにやられるものかあぁぁぁぁぁ! この技はさきほどの比ではない! 食らえ真・邪送呈烈破んんっ!!」
「……ダサいっすね」
周囲は轟音、閃光、暴風、稲妻、空振などなど……ボロアパートが悲鳴をあげるほどの凄まじいエフェクトに包まれていた。ソヨギはタバコを吸い終えると流し台に向かった。タバコは水に濡らして捨てる派である。
ジュギュイアァギュシャボフェアァァァッ!
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「デスケテス! あなたは終わる! わたしの神技によって!」
「つ……強い! なんだこの力は! 俺が圧されているうぅぅぅぅぅ!」
「……完璧なフラグ回収っすね」
その直後、豆腐のイソフラボニアがデスケテスを貫いた!
「馬鹿なぁぁぁ……!」
ボゴオォォン! という爆発音とともにデスケテスは爆死する。火の粉のような残骸がハラハラと降っている。イソフラボニアの閃光は遥か彼方へと突き抜けていった。まるで彗星である。
「……お疲れっす」
「す……すごおいっ! まさかわたしにこんな力があったなんてっ。あの液体にはとてつもないアニミスが含まれていたのですね! まさかソヨギさまは錬金術師なのですか?」
「いや……ただの厨房担当っす。バイトで」
豆腐はピョンピョンと跳び跳ねて歓喜しているようだった。
「これならノヴァカースの始動を阻止できるかもしれません! あのアニミスソーマはまだあるのですか? あるのならそれを持って……」
「いや、買い置きとかしない派なんすよ……ビールくらいしか……」
「そうですか、それは残念です……」
「いや……コンビニとかで売ってますけど」
「あれほどのアニミスを含んでいるソーマが市販で!? なんという世界……破滅王がこの世界に来たのは偶然ではないのかもしれない……」
「というわけで寝てもいいっすか? 町中探せば適当にあるんで。お疲れっす」
ソヨギは布団に戻ろうとして、すぐに足を止めた。布団はいまの戦闘で木片だらけになり、さらに焦げたりなんだりしている。
「あら? さすがに眠れないですね」
「……そっすね。まだあるかな漫喫……」
ある意味で第二拠点としている漫画喫茶を思いだし、ソヨギはおでかけセットに着替えた。裏起毛の黒いスウェット、ダウン、厚めの靴下、財布と携帯、タバコとライター。
「やっと立ちあがるのですね戦士よ。いえ、錬金術師ソヨギさまっ」
「……漫喫行くんで」
「まんきつ? 修練場かなにかですか?」
「えーと……娯楽施設っすね……さっした」
「待って待って、待ちなさい! わたしとデスケテスとのやり取りを聞いてましたよね?」
「……兵器とかなんとか」
ソヨギは玄関でバッシュを履き始めた。そのまわりを皿に乗った豆腐がひゅんひゅんと舞う。
「止めに行くのではないのですか?」
「……寝に行きます」
「ここまで来て!?」
「深刻です。特に頭が」
「いやしかし……!」
「あ……そうだ。二日酔い治せます? それならなにかできるかも……」
「すみません。あいにくと回復魔法は使えないもので……」
「じゃあ……さっす、失礼します」
「きゃあっ! 待ってソヨギさまっソヨギさまっ!」
豆腐の皿をフリスビーのように投げ飛ばし、ソヨギは玄関をでた。するとボロアパートが半分ほど消し飛んでいるのが目にはいる。まあ一階に降りる階段は無事なので問題はない。
しかし、外の景色はとんでもなかった。ボロアパートの敷地からでると、見慣れた町並みは地獄絵図のようだった。煙の立ちのぼるマンションやビル、遠くの火事は夕焼けのようであり、気づけば空には戦闘機なども飛行して、破滅軍魔空戦隊とやりあっている。そしてどこからか住民が逃げまどう声が届いていた。爆発音、悲鳴、銃声、奇声――そしてほど近い場所から子供の絶叫が聞こえる。
「ソヨギさま……眠っている場合ではないのです。あ……どこに行くのですソヨギさま!」
ソヨギは二日酔いのふらつきと闘いながら、のろのろと歩きだしたのだった。子供の絶叫の方向へと――
続く
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