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第1品「始まりはいつも勘違い」
お見送り……意味不の解消頼みます
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ソヨギたちは店をでた。いろいろな手段で英気を養うと、7:14になっていた。まだ低いがすっかり太陽が見えるようになっていて、ソヨギの寝不足の目を集中砲火する時間でもある。
「ごちそうさまでした。美味しゅうございました」
「……うっす。あざっす」
店前の歩道上で豆腐を片手にしていると、育ちの良さなのか、シーフが手を組みあわせてお礼をのべた。
「これ……こっちの世界の定番弁当っす」
「ん? ライスボール的な?」
「磯の香りが苦手なひといるんで、海苔はお好みで」
シーフにラップでくるんだおにぎりを十個ほど持たせる。小分けの海苔も一緒に紙袋にいれて渡す。
「まあ……! ソヨギさまのお心遣い……素敵です」
「……遠足には普通かと」
「小僧……もといソヨギよ、ちと耳を貸せ」
ゼファーのお誘いにソヨギは、なんすか? と豆腐に浮いてもらい、たらたらと着いていく。豆腐とシーフが別れの会話イベントを進行させている。それをなんとなく耳にしながらゼファーが足をとめるのを待った。
「そなたはこの世界ではなにをしておったのだ?」
ソヨギはそんなことか、と頭を掻いた。
「大学は順調に三年目っすね。あとはバイトで厨房担当っす」
「それだけか?」
「……こっちの世界では、アニミスとかは認知されてないっすよ。だからほら、銃とか爆弾とか……爆薬とか鉄のカタマリを高速発射する道具で破滅軍てやつに対抗してます……なもんで……いま多分、ゼファーさんは自分になにかを託そうとかしてますよね……ゼファーさんの期待には応えられないっすね……」
「ほう……その心は?」
「自分はみんなが言うような特別な人間じゃないっす。メガ美……女神さんがアニミスを高効率で吸収する理屈も分からないし、それを意識的にやってみろと言われてもムリっす。一般人なんで。ただ……豆腐はこうあるべきっていう考えでやると……成功するんすよね……」
「ま……まさかそちは……!」
ソヨギはすかさずゼファーを手で制止した。もう勘弁してください。
「ま、そっちの世界にある言い伝えとか、そっちの世界にある常識とかはまったく知らずにやってることなんで……それはそうとミールディアンてなんすか?」
「ミールディアン……食材に宿るアニミスを解放することのできた古代英勇である」
「はあ……」
生返事。
「食材となった大地の女神の恩恵は、刃をいれたときに生命が断たれるのだ。その死によりアニミスは解き放たれるはず……通常ではアニミスの回帰が始まる。すなわちアニミスの消失である。それからのアニミスの解放……すなわち屍にふたたびアニミスを宿らせる概念を宿すのだ。そのようなことができたのは、その古代英勇ただひとり。かつての原初破滅王を倒した勇者のひとりであり、エルアニミスト、フォーチュナーらとともに戦ったのだ」
「あ……なんとなく分かったんでもういいっす。あざっす」
講義を聞いているときのよう眠気が襲ってきていた。ぺこりと頭をさげて豆腐たちのいる場所に戻る。なぜ意味不ワードをハッキリさせようとしたのに増えるのか……もう勝手に喋っててもらうかと、ソヨギはほとんどあきらめていた。
「ねえゼファー。リオンたちはいまどこにいる?」
「破滅王が根城とした塔であるな……いや、ふたりほどパーティーから外れておる」
「……携帯いらずっすね」
「ふたりって誰? まさかあの悪ガキ?」
「悪童とな? それが戦士をさしておるのなら応である。そして剣士もまた、別の動きを示しておるわ」
「フィアが? 正確な位置を教えて!」
「置いていきますね……」
もうさっぱりな展開だった。分かるのは破滅王の根城にいるはずのパーティーがバラバラになっているということ。そしてオフェンス傾向のふたりが離れているということだ。
ゼファーが空を見つめながら話す。内容としては、戦士は護神が集合していると予想していたあの場所――ベアフロンティアがいると予想していたあの都心部にいるようだ。剣士のほうは根城から近いところにはいるみたいだが、なぜだか反応が弱く、護神がその周囲を飛びまわっているらしい。
それを聞いてシーフの顔がさっと青ざめた。
「フィアの状況……どう考えても危険じゃないの! 助けにいかなくちゃ!」
「シーフさま、どうか落ち着いてください。あの、ソヨギさま……」
ソヨギはあるはずのない豆腐の視線を感じてぽりぽりと頭を掻いた。どうしたって巻きこまれるのだ。
「うっす……メガ美さんは雫石のほうでいいんすよね?」
「はい! ですが……持っていただかなくても自分で動けますから……」
「アニミス……もったいないから……」
「……はい」
「勇者シーフよ」
「うん! フィアを助けに行くよ! 美味しいご飯でいろいろバッチリ! ありがとうソヨギさま!」
「うっす……」
別れの挨拶もそこそこに、シーフがゼファーの袖をひっつかんで走りだした。ゼファーは振りまわされながらも、これこれ、とか言いながら余裕で振りまわされている。シーフは大声で、
「またねーソヨギさまー!!」
「……さいならー」
「ふふっ……ソヨギさまがずいぶんお気にいりのようですね、シーフさま」
「……すね。じゃあ行きましょうか(漫喫に)」
ソヨギは豆腐の皿を手に都心部のほうへと歩き始めた。
相変わらずの破壊された町並み。ここらへんは激戦区から遠い位置のせいか、無事な民家やアパートなどもあるようだった。しかし住民の気配はないし、崩れたブロック塀やひっくり返った車などを見つけ、破壊の大きさの規模を物語っていた。割れたアスファルトから水道管が飛びだし、自販機が口を開いて飲み物をぶちまけている。
と、ソヨギはそのなかにミネラルウォーターを見つけたので二本ほど拾い、財布から五百円玉をだして置いた。
「なにをしたのですか? この大きな鉄の箱は?」
「無人販売所みたいなもんすよ……」
そうか、自販機は向こうの世界にはないのか。そのわりにはあまり驚かずにいろんなことを受けいれているように思える。冷蔵庫とか。とりあえず細かいことは気にしないでおこう……ソヨギは面倒くさくてふたたび歩きだした。
「メガ美さん?」
「はい、なんですかソヨギさま」
「いろいろ分からないんで教えてもらえます? そっちの世界の言葉はできるだけ使わずに」
「え……? そ、そうですか? まずわたしの趣味なのですが……」
「いや、そうじゃなくて」
「……うぅ……なんですかぁ……?」
なんだか哀しそうな豆腐。それは無視して、
「えーと……メガ美さんたちはアニミスを使いますよね。でもモンスターさんたちは違うんすか?」
「はい。魔物たちは魔力を使うのです」
「……どー違うんすかね」
「んー……アニミスは神々の恩恵や魂、そのものをさすのです。大地の神はわたしたちを産みだした最初の神。なので大地から産まれた万物には大地の神の恩恵が宿ります。そして恩恵に魂が宿り、神々が誕生します。ですが基本的には一恵一神なので、いくらおなじ花が咲こうとも産まれる神は一種となります。
そして神々は意思を持つと巣立ち、咲き乱れた一種の花には――その存在にはその神のアニミスが宿ります。つまり魂の株分けですね」
ソヨギは目頭を押したり、目頭を強く押したり、目頭をぎゅっと押したりしていた。眠い。
「アニミスは神々の活動エネルギー、意思や意志、魂や存在そのものという意味もあります。なのでこちらの世界の方々には分かりづらいのかもしれません……ソヨギさま、聞いていますか?」
「ふわぁいっす……魔力は?」
「魔力は魔の者たちを産みだした悪神の力です。大地の神は善神なので、対局に位置する暗黒神のことです。そもそも魔物というのは悪が具現化して体を持った存在です。なので悪から産まれたものは、生物非生物を問わずに魔物と呼ばれています。なので産みだされた時点ですでに、魔物たちは悪神の魂の一部を受け継いでいて、それを礎として変換したものが魔力です。魔力とは、その抽出力をさすのです」
「……ぐう」
「ソヨギさまぁ! ぶつかります! ぶつかりますうぅぅぅ!」
こつうぅぅぅん――
「んあ? ……やだなぁ……冗談すよ……」
「お皿がかすめましたよあの石柱に! そしてヨダレがソヨギさまっ!?」
ソヨギはじゅるるとヨダレを拭う。電信柱に肩をかすめながらも前進していく。
「……話を戻してよろしいですか?」
「いや……もう充分すね。あ、でも……アニミスと魔力はほとんど同じってことっすか?」
「さすがはソヨギさま。お察しのとおりです」
「てことは……魔力も強化できるんすかね。メガ美さんのアニミスはかなり強化されてるわけっすよね?」
「さきほどのミールディアン儀式により、本来のアニミスが五十倍ほどに」
「ご……? もうメガ美さんが破滅王行きます?」
なんか倒せそうな倍率である。だが豆腐はぷるぷると片側だけを震わせた。ああ、首を横に振ったのか……
「それは無理です。アニミスだけでは破滅王は倒せません。勇者さまでなければ……」
「……理由も聞きたいところっすけど、なんかいますね」
進んでいる大通りはまっすぐに伸びている。百メートルくらいさきにコンビニがあるのだが、人間の二倍はありそうな黒いクモが何匹も通せんぼしていた。そのうえには動物に似たモンスターたちが乗っている。
「……深夜のコンビニみたいっすね。迂回しますか」
「いえ、どのみち戦力はできるだけ削りたいのです。勇者さまたちの戦いのためにも……ソヨギさまはどこかに隠れていてもらって……」
「あー……待ってたら寝ますけど」
「やっぱりさきほども寝ていたんじゃありませんか!」
「……うっす」
「ソヨギさまを危険にさらすわけにはいきませんっ。わたしを食べてくれるのなら話は別ですが?」
「……さっき雑炊食べたんで」
「あー! 空腹だったのなら、わたしに手をかけてくれればよろしいのに!」
「……お腹いっぱいなんで」
「それはいまの話ですよね!?」
とか話ながらどんどん進んでいく。ひたすらまっすぐ進んでいくと、かなりご機嫌がナナメになった豆腐が叫んだ。
「豆式小撃破あぁぁぁぁぁぁぁっ! ソヨギさまのバカぁぁぁぁ!」
「……二発目のほうがでかくないすか?」
キュバオウッ! と破壊光線がヤンキーモンスターたちを薙ぎ払う。だがすべてを倒したわけではない。
「行きます! もう、お皿を離してください!」
「……なんで怒るんすか?」
ぺっと皿を離すと豆腐が光の帯となってモンスターへと疾走した。
まあなんだかんだで戦闘みたいです。
続く
「ごちそうさまでした。美味しゅうございました」
「……うっす。あざっす」
店前の歩道上で豆腐を片手にしていると、育ちの良さなのか、シーフが手を組みあわせてお礼をのべた。
「これ……こっちの世界の定番弁当っす」
「ん? ライスボール的な?」
「磯の香りが苦手なひといるんで、海苔はお好みで」
シーフにラップでくるんだおにぎりを十個ほど持たせる。小分けの海苔も一緒に紙袋にいれて渡す。
「まあ……! ソヨギさまのお心遣い……素敵です」
「……遠足には普通かと」
「小僧……もといソヨギよ、ちと耳を貸せ」
ゼファーのお誘いにソヨギは、なんすか? と豆腐に浮いてもらい、たらたらと着いていく。豆腐とシーフが別れの会話イベントを進行させている。それをなんとなく耳にしながらゼファーが足をとめるのを待った。
「そなたはこの世界ではなにをしておったのだ?」
ソヨギはそんなことか、と頭を掻いた。
「大学は順調に三年目っすね。あとはバイトで厨房担当っす」
「それだけか?」
「……こっちの世界では、アニミスとかは認知されてないっすよ。だからほら、銃とか爆弾とか……爆薬とか鉄のカタマリを高速発射する道具で破滅軍てやつに対抗してます……なもんで……いま多分、ゼファーさんは自分になにかを託そうとかしてますよね……ゼファーさんの期待には応えられないっすね……」
「ほう……その心は?」
「自分はみんなが言うような特別な人間じゃないっす。メガ美……女神さんがアニミスを高効率で吸収する理屈も分からないし、それを意識的にやってみろと言われてもムリっす。一般人なんで。ただ……豆腐はこうあるべきっていう考えでやると……成功するんすよね……」
「ま……まさかそちは……!」
ソヨギはすかさずゼファーを手で制止した。もう勘弁してください。
「ま、そっちの世界にある言い伝えとか、そっちの世界にある常識とかはまったく知らずにやってることなんで……それはそうとミールディアンてなんすか?」
「ミールディアン……食材に宿るアニミスを解放することのできた古代英勇である」
「はあ……」
生返事。
「食材となった大地の女神の恩恵は、刃をいれたときに生命が断たれるのだ。その死によりアニミスは解き放たれるはず……通常ではアニミスの回帰が始まる。すなわちアニミスの消失である。それからのアニミスの解放……すなわち屍にふたたびアニミスを宿らせる概念を宿すのだ。そのようなことができたのは、その古代英勇ただひとり。かつての原初破滅王を倒した勇者のひとりであり、エルアニミスト、フォーチュナーらとともに戦ったのだ」
「あ……なんとなく分かったんでもういいっす。あざっす」
講義を聞いているときのよう眠気が襲ってきていた。ぺこりと頭をさげて豆腐たちのいる場所に戻る。なぜ意味不ワードをハッキリさせようとしたのに増えるのか……もう勝手に喋っててもらうかと、ソヨギはほとんどあきらめていた。
「ねえゼファー。リオンたちはいまどこにいる?」
「破滅王が根城とした塔であるな……いや、ふたりほどパーティーから外れておる」
「……携帯いらずっすね」
「ふたりって誰? まさかあの悪ガキ?」
「悪童とな? それが戦士をさしておるのなら応である。そして剣士もまた、別の動きを示しておるわ」
「フィアが? 正確な位置を教えて!」
「置いていきますね……」
もうさっぱりな展開だった。分かるのは破滅王の根城にいるはずのパーティーがバラバラになっているということ。そしてオフェンス傾向のふたりが離れているということだ。
ゼファーが空を見つめながら話す。内容としては、戦士は護神が集合していると予想していたあの場所――ベアフロンティアがいると予想していたあの都心部にいるようだ。剣士のほうは根城から近いところにはいるみたいだが、なぜだか反応が弱く、護神がその周囲を飛びまわっているらしい。
それを聞いてシーフの顔がさっと青ざめた。
「フィアの状況……どう考えても危険じゃないの! 助けにいかなくちゃ!」
「シーフさま、どうか落ち着いてください。あの、ソヨギさま……」
ソヨギはあるはずのない豆腐の視線を感じてぽりぽりと頭を掻いた。どうしたって巻きこまれるのだ。
「うっす……メガ美さんは雫石のほうでいいんすよね?」
「はい! ですが……持っていただかなくても自分で動けますから……」
「アニミス……もったいないから……」
「……はい」
「勇者シーフよ」
「うん! フィアを助けに行くよ! 美味しいご飯でいろいろバッチリ! ありがとうソヨギさま!」
「うっす……」
別れの挨拶もそこそこに、シーフがゼファーの袖をひっつかんで走りだした。ゼファーは振りまわされながらも、これこれ、とか言いながら余裕で振りまわされている。シーフは大声で、
「またねーソヨギさまー!!」
「……さいならー」
「ふふっ……ソヨギさまがずいぶんお気にいりのようですね、シーフさま」
「……すね。じゃあ行きましょうか(漫喫に)」
ソヨギは豆腐の皿を手に都心部のほうへと歩き始めた。
相変わらずの破壊された町並み。ここらへんは激戦区から遠い位置のせいか、無事な民家やアパートなどもあるようだった。しかし住民の気配はないし、崩れたブロック塀やひっくり返った車などを見つけ、破壊の大きさの規模を物語っていた。割れたアスファルトから水道管が飛びだし、自販機が口を開いて飲み物をぶちまけている。
と、ソヨギはそのなかにミネラルウォーターを見つけたので二本ほど拾い、財布から五百円玉をだして置いた。
「なにをしたのですか? この大きな鉄の箱は?」
「無人販売所みたいなもんすよ……」
そうか、自販機は向こうの世界にはないのか。そのわりにはあまり驚かずにいろんなことを受けいれているように思える。冷蔵庫とか。とりあえず細かいことは気にしないでおこう……ソヨギは面倒くさくてふたたび歩きだした。
「メガ美さん?」
「はい、なんですかソヨギさま」
「いろいろ分からないんで教えてもらえます? そっちの世界の言葉はできるだけ使わずに」
「え……? そ、そうですか? まずわたしの趣味なのですが……」
「いや、そうじゃなくて」
「……うぅ……なんですかぁ……?」
なんだか哀しそうな豆腐。それは無視して、
「えーと……メガ美さんたちはアニミスを使いますよね。でもモンスターさんたちは違うんすか?」
「はい。魔物たちは魔力を使うのです」
「……どー違うんすかね」
「んー……アニミスは神々の恩恵や魂、そのものをさすのです。大地の神はわたしたちを産みだした最初の神。なので大地から産まれた万物には大地の神の恩恵が宿ります。そして恩恵に魂が宿り、神々が誕生します。ですが基本的には一恵一神なので、いくらおなじ花が咲こうとも産まれる神は一種となります。
そして神々は意思を持つと巣立ち、咲き乱れた一種の花には――その存在にはその神のアニミスが宿ります。つまり魂の株分けですね」
ソヨギは目頭を押したり、目頭を強く押したり、目頭をぎゅっと押したりしていた。眠い。
「アニミスは神々の活動エネルギー、意思や意志、魂や存在そのものという意味もあります。なのでこちらの世界の方々には分かりづらいのかもしれません……ソヨギさま、聞いていますか?」
「ふわぁいっす……魔力は?」
「魔力は魔の者たちを産みだした悪神の力です。大地の神は善神なので、対局に位置する暗黒神のことです。そもそも魔物というのは悪が具現化して体を持った存在です。なので悪から産まれたものは、生物非生物を問わずに魔物と呼ばれています。なので産みだされた時点ですでに、魔物たちは悪神の魂の一部を受け継いでいて、それを礎として変換したものが魔力です。魔力とは、その抽出力をさすのです」
「……ぐう」
「ソヨギさまぁ! ぶつかります! ぶつかりますうぅぅぅ!」
こつうぅぅぅん――
「んあ? ……やだなぁ……冗談すよ……」
「お皿がかすめましたよあの石柱に! そしてヨダレがソヨギさまっ!?」
ソヨギはじゅるるとヨダレを拭う。電信柱に肩をかすめながらも前進していく。
「……話を戻してよろしいですか?」
「いや……もう充分すね。あ、でも……アニミスと魔力はほとんど同じってことっすか?」
「さすがはソヨギさま。お察しのとおりです」
「てことは……魔力も強化できるんすかね。メガ美さんのアニミスはかなり強化されてるわけっすよね?」
「さきほどのミールディアン儀式により、本来のアニミスが五十倍ほどに」
「ご……? もうメガ美さんが破滅王行きます?」
なんか倒せそうな倍率である。だが豆腐はぷるぷると片側だけを震わせた。ああ、首を横に振ったのか……
「それは無理です。アニミスだけでは破滅王は倒せません。勇者さまでなければ……」
「……理由も聞きたいところっすけど、なんかいますね」
進んでいる大通りはまっすぐに伸びている。百メートルくらいさきにコンビニがあるのだが、人間の二倍はありそうな黒いクモが何匹も通せんぼしていた。そのうえには動物に似たモンスターたちが乗っている。
「……深夜のコンビニみたいっすね。迂回しますか」
「いえ、どのみち戦力はできるだけ削りたいのです。勇者さまたちの戦いのためにも……ソヨギさまはどこかに隠れていてもらって……」
「あー……待ってたら寝ますけど」
「やっぱりさきほども寝ていたんじゃありませんか!」
「……うっす」
「ソヨギさまを危険にさらすわけにはいきませんっ。わたしを食べてくれるのなら話は別ですが?」
「……さっき雑炊食べたんで」
「あー! 空腹だったのなら、わたしに手をかけてくれればよろしいのに!」
「……お腹いっぱいなんで」
「それはいまの話ですよね!?」
とか話ながらどんどん進んでいく。ひたすらまっすぐ進んでいくと、かなりご機嫌がナナメになった豆腐が叫んだ。
「豆式小撃破あぁぁぁぁぁぁぁっ! ソヨギさまのバカぁぁぁぁ!」
「……二発目のほうがでかくないすか?」
キュバオウッ! と破壊光線がヤンキーモンスターたちを薙ぎ払う。だがすべてを倒したわけではない。
「行きます! もう、お皿を離してください!」
「……なんで怒るんすか?」
ぺっと皿を離すと豆腐が光の帯となってモンスターへと疾走した。
まあなんだかんだで戦闘みたいです。
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