7 / 49
7朝食
しおりを挟む
7朝食
『キミタチイガイハイラナインダ』
僕の頭の中で確かにそう言った。僕の声でもなければ、知り合いの声でもない。聞いたこともないのに確かに声が流れてきた。
どうにも嫌な感じがした、夢見が悪いような心地がする。ザワザワと胸の奥が騒ぐ。
僕は知らないんだ、知らないはずなんだ。
「虹、起きたかい」
ハッと目を開けると、そこは知らない部屋だった。いつもは固く、薄い敷布団に寝ているはずなのに、フカフカなベッドで低反発な枕に後頭部が沈んでいる。
もしかしたら、目を開けたらいつもと同じで学校に行く用意をしなければいけなくなっているのではないか。見知らぬ男なんてアパートには来ておらず、また義父母と顔を合わせず、声を聞くこともなく家を出なければいけないのではないか。と考えていたが、目の前には、ベッドに腰掛ける男、朝霧が座っていた。
僕はどちらを望んでいたのだろうか。今まで見てきた嘘のようなことがただの夢であって欲しかったのか、現実であって欲しかったのか。
朝霧は立ち上がり、部屋のドアを開けた。
「起きたなら、朝ごはんを一緒に食べよう」
ニコリと笑う朝霧に、少し寒気を感じた。やはり何処か笑っていない……まるで作り物みたいだ。仮面を貼られているようだった。
「……あの、えっと……」
人とまともに会話をすることなんてなかったからか、変にどもってしまう。言いたいことがあるのに上手く言葉を発せない。
そもそも、これは本人に言っていいのか、機嫌を悪くするのではないか……と一瞬のうちに脳裏に浮かぶ。
『その顔、やめてほしい』
この言葉を言いたかったが、やめておけと頭の中で警告が鳴るようだった。喉に出かかった言葉を飲み込む。
「? どうかしたかい」
「……朝ごはん、ありがとう……ございます……」
言いかけた言葉に上手く、思ってもいなかった言葉を繋げた。変に思われはしなかっただろうか、と不安になり、チラと朝霧の顔を見たが、あの妙な笑い方で「いえいえ」なんて言っている。
……どうにも、この人は苦手かもしれない。
朝食には焼かれた食パンとイチゴジャム、目玉焼きにサラダ、そしてコーヒーが置いてある。
もともと、義父母の家では白ご飯を出されるくらいだったため、どこか豪華に感じられる。
「……いただきます」
両手を合わせて、小さくそう言い、温かい食パンを持ち、1口齧る。
本当はこれが普通なのかな、それとも他の子供も豪華だって感じるのかな、それすら僕には分からなかった。
普通の家庭環境じゃなかった、朝霧に質問責めにあった時に尚更実感した。戸籍がない以上、本当の名前も生年月日も分からない。17歳なのかも怪しい。
小学校からは、他の子供と共に1学年ごとに上がってきているのだから、間違えなく11歳以上ではあるはずだ……。
「……何も聞かないんだね、急に知らない場所に来て驚いただろう」
朝霧がそう言うと、聞きたいことは山ほどあるが、何から聞けば良いのか分からない。
今わかるのは彼の名前だけだ。信用できる人間なのかも分からない状況で呑気に食パンを頬張っている場合ではないのは明らかだ。
それでも、僕はこの人に頼るしかないのだとどこか理解していた。
「……ここは、その現実の世界じゃない…?」
この『現実の世界』が何を表しているのか、僕もよく分からない。死んだわけではない、ただ、変な光に吸い込まれて、そこからの記憶がない。
だが、食べ物を美味しいとも感じるから生きているような感じはしている。
「んー……虹が生きていた世界ではないよ、でも私にとってはここが現実の世界だ」
朝霧は頬杖をつきながら、そう言った。どうやら彼と僕の住む世界は違うらしい。
頭は何一つ整理されていない。それでも無理やり詰め込むしかないんだ。理解するんじゃなくて、そういうモノであると思い込む。これが、今の最善策だ。
「……じゃあ、僕の生きていた世界とここの世界は何が違うんですか」
「虹が住んでいたのは、無力な人間が権力や地位でどうにかする世界。こっちは、能力、魔法…力がモノを言う世界」
頭が痛くなってくる。言い分は酷いが、もといた世界の説明にどこか納得出来た。
こちらの世界は意味がわからない。ようするに、漫画やアニメの世界ってことか……? 僕はよく分からないけど、学校で少し耳にしたことはある。
「……能力や魔法って、そんな……」
「そんなモノはないって? 虹はもう見たでしょ?私が既に見せたはずだよ」
言葉につまる。そうだった、散々見せつけられた。あっちの人間には到底できっこない不可解な力……。
「……色々、聞きたいことしかないんですけど、えっと、なんで僕のことを知って……」
「君をこっちの世界に連れてきたかったから調べた」
スパッと切り返された。連れて来たかった……? なんで僕を……? 僕はこちらの世界なんて先程まで知らなかったんだぞ……?
「……ところで、虹。 君は他の人よりも耳が良いことに気づいているかい」
こちらが質問する側だったのに、急に立場が逆転する。
意図の分からない質問だった。僕が耳が良い…? そういえば、こっちに来る前にも何かそんなこと言ってたな……「耳が良すぎる」とか……
「聴力は、人並みだと思います、けど……」
「…うん、そうじゃない。 聞こえるはずのない言葉が聞こえたり、人の考えてる言葉が聞こえたり…することはないかい」
「……ない、です。僕にはそんな、人の心の声が聞こえるとか、貴方にはその、魔法で出来るかもしれない、けど……僕はそんなこと出来ません」
もとは、能力や魔法なんて存在しない世界で生きてきた人間に、そんなことができるはずないどろう…と心では叫んでいた。もしかしたら、そんなことも出来ないのかと馬鹿にしているのか?とも考えた。
「……聞こえてるんだよ、君は。 でも、それに君自身は気づいてない。 あの、斎賀夫妻の時もそうだった」
朝霧の話し方や言葉遣いは冷静で綺麗な方だと思う。だから、育ちの良いのかと思っていたが、右手で食パンを持ち、大きな口でむしゃりと噛みちぎるように口の中に運んだ。
「……あの2人の時……?」
「……さっき、一瞬だけ2人は口にしていない言葉に、虹が反応したから2人は驚いていたんだよ」
どこだ……? 僕は聞こえた言葉にしか反応なんてしないぞ……?
ーーー『金が手に入るし、手間もかからないから家に置いておいたのに』
『あんな気味の悪い女のガキ』ーーー
「……まぁ、虹は色々重なって、2人の様子なんて気にする暇も無かっただろうけどね……」
……確かに、あの2人はそう言っていた。 聞いた、聞こえていた。2人にそう思われていたのだと実感し辛くなったのを覚えている。
「2人は一切口に出していないんだよ、君が心を読んだ」
むしゃむしゃと食べ進める朝霧を見つめる。彼の食パンは既になくなっていた。ペロリと口の横を赤く長い舌で舐めると、彼はまた、ニコリと1つ笑った。
「……君は、自分がそうしていると思わず、何度かそれをしている。 ずっと出来るわけじゃない。ごく稀に」
「……そんな、こと……」
しかし、現にあの2人の言葉は聞こえていた。もし、朝霧の言うことが本当なら僕は自分が、人の心を読んでいることに気づけていない。
否定することもできない。
「……それは、さして大きな問題じゃないんだよ。こっちの世界で生きていくなら、それが出来たとしても誰もおかしくは思わない」
両手の指を交互に絡ませ、そこに顎を乗せて朝霧はそう言った。確かに、こっちの世界では普通のことなのかもしれない。
「……なんで、君がそれを出来るのかは私にも分からない。 けどね、それより重要なことを君はしているんだ」
「……重要なこと……?」
「……君は恐らく、こっちの世界での大罪人の声を聞いている」
朝霧は真面目な顔になり、僕をジッと見つめながら目を細めてそう言った。
あぁ……もうダメだ。頭に詰め込むことも出来ない。何を言っているんだろう。"大罪人"? そんな人知らないし、そんな内容の話を聞いたことない。
「……そんな事言われても、僕はーーー……」
「虹。私との"約束"覚えているかい?」
僕は確かに朝霧と"約束"をした。
「僕を助けてもらう代わりに、ある子を助ける」
「……私が救いたいのはね、その"大罪人"になっている子なんだ」
一切笑わなくなった朝霧を見て、僕はこれは本当の事であると理解し、唾をゴクリと飲み込んだ。
『キミタチイガイハイラナインダ』
僕の頭の中で確かにそう言った。僕の声でもなければ、知り合いの声でもない。聞いたこともないのに確かに声が流れてきた。
どうにも嫌な感じがした、夢見が悪いような心地がする。ザワザワと胸の奥が騒ぐ。
僕は知らないんだ、知らないはずなんだ。
「虹、起きたかい」
ハッと目を開けると、そこは知らない部屋だった。いつもは固く、薄い敷布団に寝ているはずなのに、フカフカなベッドで低反発な枕に後頭部が沈んでいる。
もしかしたら、目を開けたらいつもと同じで学校に行く用意をしなければいけなくなっているのではないか。見知らぬ男なんてアパートには来ておらず、また義父母と顔を合わせず、声を聞くこともなく家を出なければいけないのではないか。と考えていたが、目の前には、ベッドに腰掛ける男、朝霧が座っていた。
僕はどちらを望んでいたのだろうか。今まで見てきた嘘のようなことがただの夢であって欲しかったのか、現実であって欲しかったのか。
朝霧は立ち上がり、部屋のドアを開けた。
「起きたなら、朝ごはんを一緒に食べよう」
ニコリと笑う朝霧に、少し寒気を感じた。やはり何処か笑っていない……まるで作り物みたいだ。仮面を貼られているようだった。
「……あの、えっと……」
人とまともに会話をすることなんてなかったからか、変にどもってしまう。言いたいことがあるのに上手く言葉を発せない。
そもそも、これは本人に言っていいのか、機嫌を悪くするのではないか……と一瞬のうちに脳裏に浮かぶ。
『その顔、やめてほしい』
この言葉を言いたかったが、やめておけと頭の中で警告が鳴るようだった。喉に出かかった言葉を飲み込む。
「? どうかしたかい」
「……朝ごはん、ありがとう……ございます……」
言いかけた言葉に上手く、思ってもいなかった言葉を繋げた。変に思われはしなかっただろうか、と不安になり、チラと朝霧の顔を見たが、あの妙な笑い方で「いえいえ」なんて言っている。
……どうにも、この人は苦手かもしれない。
朝食には焼かれた食パンとイチゴジャム、目玉焼きにサラダ、そしてコーヒーが置いてある。
もともと、義父母の家では白ご飯を出されるくらいだったため、どこか豪華に感じられる。
「……いただきます」
両手を合わせて、小さくそう言い、温かい食パンを持ち、1口齧る。
本当はこれが普通なのかな、それとも他の子供も豪華だって感じるのかな、それすら僕には分からなかった。
普通の家庭環境じゃなかった、朝霧に質問責めにあった時に尚更実感した。戸籍がない以上、本当の名前も生年月日も分からない。17歳なのかも怪しい。
小学校からは、他の子供と共に1学年ごとに上がってきているのだから、間違えなく11歳以上ではあるはずだ……。
「……何も聞かないんだね、急に知らない場所に来て驚いただろう」
朝霧がそう言うと、聞きたいことは山ほどあるが、何から聞けば良いのか分からない。
今わかるのは彼の名前だけだ。信用できる人間なのかも分からない状況で呑気に食パンを頬張っている場合ではないのは明らかだ。
それでも、僕はこの人に頼るしかないのだとどこか理解していた。
「……ここは、その現実の世界じゃない…?」
この『現実の世界』が何を表しているのか、僕もよく分からない。死んだわけではない、ただ、変な光に吸い込まれて、そこからの記憶がない。
だが、食べ物を美味しいとも感じるから生きているような感じはしている。
「んー……虹が生きていた世界ではないよ、でも私にとってはここが現実の世界だ」
朝霧は頬杖をつきながら、そう言った。どうやら彼と僕の住む世界は違うらしい。
頭は何一つ整理されていない。それでも無理やり詰め込むしかないんだ。理解するんじゃなくて、そういうモノであると思い込む。これが、今の最善策だ。
「……じゃあ、僕の生きていた世界とここの世界は何が違うんですか」
「虹が住んでいたのは、無力な人間が権力や地位でどうにかする世界。こっちは、能力、魔法…力がモノを言う世界」
頭が痛くなってくる。言い分は酷いが、もといた世界の説明にどこか納得出来た。
こちらの世界は意味がわからない。ようするに、漫画やアニメの世界ってことか……? 僕はよく分からないけど、学校で少し耳にしたことはある。
「……能力や魔法って、そんな……」
「そんなモノはないって? 虹はもう見たでしょ?私が既に見せたはずだよ」
言葉につまる。そうだった、散々見せつけられた。あっちの人間には到底できっこない不可解な力……。
「……色々、聞きたいことしかないんですけど、えっと、なんで僕のことを知って……」
「君をこっちの世界に連れてきたかったから調べた」
スパッと切り返された。連れて来たかった……? なんで僕を……? 僕はこちらの世界なんて先程まで知らなかったんだぞ……?
「……ところで、虹。 君は他の人よりも耳が良いことに気づいているかい」
こちらが質問する側だったのに、急に立場が逆転する。
意図の分からない質問だった。僕が耳が良い…? そういえば、こっちに来る前にも何かそんなこと言ってたな……「耳が良すぎる」とか……
「聴力は、人並みだと思います、けど……」
「…うん、そうじゃない。 聞こえるはずのない言葉が聞こえたり、人の考えてる言葉が聞こえたり…することはないかい」
「……ない、です。僕にはそんな、人の心の声が聞こえるとか、貴方にはその、魔法で出来るかもしれない、けど……僕はそんなこと出来ません」
もとは、能力や魔法なんて存在しない世界で生きてきた人間に、そんなことができるはずないどろう…と心では叫んでいた。もしかしたら、そんなことも出来ないのかと馬鹿にしているのか?とも考えた。
「……聞こえてるんだよ、君は。 でも、それに君自身は気づいてない。 あの、斎賀夫妻の時もそうだった」
朝霧の話し方や言葉遣いは冷静で綺麗な方だと思う。だから、育ちの良いのかと思っていたが、右手で食パンを持ち、大きな口でむしゃりと噛みちぎるように口の中に運んだ。
「……あの2人の時……?」
「……さっき、一瞬だけ2人は口にしていない言葉に、虹が反応したから2人は驚いていたんだよ」
どこだ……? 僕は聞こえた言葉にしか反応なんてしないぞ……?
ーーー『金が手に入るし、手間もかからないから家に置いておいたのに』
『あんな気味の悪い女のガキ』ーーー
「……まぁ、虹は色々重なって、2人の様子なんて気にする暇も無かっただろうけどね……」
……確かに、あの2人はそう言っていた。 聞いた、聞こえていた。2人にそう思われていたのだと実感し辛くなったのを覚えている。
「2人は一切口に出していないんだよ、君が心を読んだ」
むしゃむしゃと食べ進める朝霧を見つめる。彼の食パンは既になくなっていた。ペロリと口の横を赤く長い舌で舐めると、彼はまた、ニコリと1つ笑った。
「……君は、自分がそうしていると思わず、何度かそれをしている。 ずっと出来るわけじゃない。ごく稀に」
「……そんな、こと……」
しかし、現にあの2人の言葉は聞こえていた。もし、朝霧の言うことが本当なら僕は自分が、人の心を読んでいることに気づけていない。
否定することもできない。
「……それは、さして大きな問題じゃないんだよ。こっちの世界で生きていくなら、それが出来たとしても誰もおかしくは思わない」
両手の指を交互に絡ませ、そこに顎を乗せて朝霧はそう言った。確かに、こっちの世界では普通のことなのかもしれない。
「……なんで、君がそれを出来るのかは私にも分からない。 けどね、それより重要なことを君はしているんだ」
「……重要なこと……?」
「……君は恐らく、こっちの世界での大罪人の声を聞いている」
朝霧は真面目な顔になり、僕をジッと見つめながら目を細めてそう言った。
あぁ……もうダメだ。頭に詰め込むことも出来ない。何を言っているんだろう。"大罪人"? そんな人知らないし、そんな内容の話を聞いたことない。
「……そんな事言われても、僕はーーー……」
「虹。私との"約束"覚えているかい?」
僕は確かに朝霧と"約束"をした。
「僕を助けてもらう代わりに、ある子を助ける」
「……私が救いたいのはね、その"大罪人"になっている子なんだ」
一切笑わなくなった朝霧を見て、僕はこれは本当の事であると理解し、唾をゴクリと飲み込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる