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10朝霧と上層部
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10朝霧と上層部
「はい、仮名、斎賀 虹はおそらく、今回の件の関係者になると思われます」
朝霧 奏斗は、ソワソワしつつもいつもの冷静さを保っていた。
朝食後、虹は急な疲れなのか、意識を失い、倒れた。焦ったが、頭も打っていなかったため、また寝室のベッドの上に彼を寝かせた。
魘されるように、小さく「うっ、うっ」と声を上げる彼が心配だったが、急な自身の仕事用の電話から着信のアラームが鳴り響く。
かなりの音量であったが、それでも虹が起きる気配はなかった。
虹から離れたところで、電話に出ると情報部隊から、「上層部から呼び出しだよ」と伝えられた。
虹から目を離すのは躊躇われたが、上層部に逆らうこともできず、彼を残し1人で国家機関本部へと向かった。
街中心にある1番高いビルの、最上階に上層部の集まる会議室があった。
会議室前で、「朝霧です」と言えば、躊躇いなくドアは開いた。
「朝霧、私たちに何か説明することがあるはずだな」
上層部の会議室、円になって座った上層部の十数人が一気に朝霧を見る。場はピリピリとしていたが、朝霧は冷静に返事だけした。
「……少年を機関の一隊員として、申請を申し出た話のことですか」
どこから説明しなければならないのだろうか、と少し面倒になりながらも、老いぼれた上層部に話す。
朝霧は虹を表世界から連れ出したことは話さなかった。それを話せば、朝霧は処分を免れないだけでなく、話は広まり虹への人間関係にまでも影響を及ぼすことを考えた答えだった。
自分の処分については、あまり考えていなかった。機関の中でも優秀な人材であることを朝霧自身は分かっていたため、「機関から立ち去れ」などと上も強く言えない。
現在は、まだ事が進んでいないため、街への影響も最小限で抑えられているが、先を考え、被害が増え、化け物流出が抑えが効かなくなった際に、朝霧という男1人がいないことで、どれだけの人が命を失うかを上層部も分かっていた。
「……そもそも、どこの誰かも分からない子供を入隊させるわけにはいかないだろう」
「彼は街外、離れた小さな村で拾いました。 親もおらず、村人も住処もなく、1人でいたため保護したところ、どうやら生まれつき持った能力があったようなので、入隊することにしました」
朝霧は、その場で作り上げた作り話を適当にペラペラと話し出す。
戸籍がないのは、化け物に襲われた小さな村の生き残りで親、家族の姿は一切なく、村人もいなかったため、情報が手に入らなかった。
機関に入るにはそれなりの力や、頭の良さが必要だが、虹には人の心を聞くという能力らしい能力があった。
その点において、機関で育て上げ、隊員の1人とすることに何ら問題はないだろう。
「戸籍なんてなんの役にも立ちません。あろうが無かろうが、今の現状を打破するために彼は必要なんだと、私は考えています。これ以外に彼の入隊を申請する理由なんてありません」
上層部を圧倒するように冷静ながらも圧をかけて、畳み掛ける話し方をする。何も言い返せない上層部は、黙ってしまった。
「責任は私が取ります。……だから、彼に干渉することは辞めてください」
どれだけ言おうと上の人が、虹を良い目で見てくれることはない。だが、朝霧からの言葉があるのとないとでは、多少なりとも違ってくるだろう。
「……分かった……が、もし、その子が何らかの失態をすることになれば、全て君に責任がいくことを忘れるな」
朝霧はふぅと息をついた。
虹は責任を負うことを恐れていた、それは責められることの苦しさを知っていたから。何度も責められ続けた経験のある彼にとって責任を負うことは、恐怖に値する。
しかし、この上層部はどうだ。ただ、自分の価値が下がることを恐れているだけだ。隊員の失態の責任を押し付けられるのはいつものことであったし、それに抵抗もなかった。
責任を負うのが嫌だ、面倒にしかならないし誰かに押し付けよう、それがここにいる老いぼれたちの考えだ。
17歳の少年が、幾度となく経験させられた周りからの言葉の牙、煩わしい視線、誰かに助けを求めることもできず、ただただ、全部背負い込んで、1人でいるしかできなかった。
この1回りも2回りも歳をとったこの人たちは、それを経験するのが怖いんだ。
けれど、当たり前のように他人はそれをしてしまうのだから、この人たちも1度経験すれば良いのに……と、朝霧は心の中で言った。
「……話は終わりですね、虹が待っているので帰ります」
腹立たしく思いながらも、いつもの仕事用の作り笑いでそう言った。
上層部は止めたがったが、かける言葉が出てこなかった。
「ああ、そうだ」と朝霧は両手を叩いて、何かを思い出したかのように、上層部の方に振り向いた。
「私、表世界への入り浸りを1度控えようと思います、数ヶ月にわたり偵察に行きましたが、現在の件と関係のありそうなモノは"何もなかった"ので」
よく回る頭と口は、作り話をどんどんと重ねていった。
「今は、虹を育てることに専念します。
それに、今のあっちの世界には、嫌なモノばかりでしたから。気が滅入ってきました」
(そう、今のあっちの世界にいる人間(モノ)は最悪だ。 アンタらと変わらない、自分の保身と馬鹿みたいな風の噂に左右される奴らしかいない)
「……それだけ言いに来ました。 ……兎に角、あの子は私にとって大切な子なんです 」
笑顔でニコニコとしていた、朝霧の顔が一瞬のうちにスっと冷たくなる。
「また、何かしたら、アンタらを許さない」
その場にいた数人は小さく「ひっ」と悲鳴じみた声を上げ、また数人は目を見開いたままゴクリと喉の奥で唾を飲み込んだ。
円になって座っており、ドアから最も遠く、朝霧の1番遠い席にいた3人だけは、静かに朝霧の目を見ていた。
「……それでは失礼します」
パッとまた笑顔に戻り、ドアノブに手をかけ、一礼して朝霧はその場を後にした。
「……ホントに奇妙な男だ……見たか、さっきの顔…それにあの声……」
「……ああ……いっつもおかしなくらいに、ニコニコしているくせに……」
取り残された上層部の中でも、若い方の男たちがコソコソと朝霧のことを話し始める。
「俺なんか、怖くて少し、声をあげたよ……」
朝霧奏斗は、機関の中でも恐らく1番優秀な男だ。頭の回転が早く、運動神経も並外れている。生まれ持つ能力、魔法にも恵まれ、表世界と裏世界を行き来できる数少ない人間として、選ばれた人間。
20代という若さにして、上層部と掛け合えるほどの地位にいながら、機関内の攻撃部隊の勢力を上げるため、若い隊員の面倒を見ることも多々あった。
おまけに高身長で整った顔立ちなのだから機関内では、男女に好かれる男だった。
「……また気味の悪い話し方だったな」
朝霧が会議室から出て、廊下を歩いていると咲が立って、朝霧に話しかけた。
「…聞いてたんだ、上層部になんか用でもあったのかい」
咲は、チッと舌打ちをして眉間に皺を寄せて朝霧に近づき、人差し指を朝霧の眉間を押し付けた。
「……何? 痛いんだけど」
「………………前みたいに、『やめろ、クソ女』とは言わないんだな」
朝霧は、ピタリと顔を固めた。そして、イラついた顔で咲を見下げる。
「咲、"今の朝霧奏斗は、誰にでも優しく、笑顔な男"だよ」
そう言って、咲の人差し指をスっと避ける。そして、「バイバイ」と言って、廊下進んだ。
「……そうだな」
俯きながら、朝霧に聞こえない声で咲は一言言うと、上層部の会議室前に足を運んだ。
(今の隊員も上層部のほとんどもそう思っているだろうな……。
でも……ほんの数人は朝霧奏斗を偽りの笑顔で笑う、ただの『ピエロ』だって言ってるぞ)
コンコンとドアをノックし、「……研究部隊、咲です」と言うと、静かに会議室のドアは開かれた。
「はい、仮名、斎賀 虹はおそらく、今回の件の関係者になると思われます」
朝霧 奏斗は、ソワソワしつつもいつもの冷静さを保っていた。
朝食後、虹は急な疲れなのか、意識を失い、倒れた。焦ったが、頭も打っていなかったため、また寝室のベッドの上に彼を寝かせた。
魘されるように、小さく「うっ、うっ」と声を上げる彼が心配だったが、急な自身の仕事用の電話から着信のアラームが鳴り響く。
かなりの音量であったが、それでも虹が起きる気配はなかった。
虹から離れたところで、電話に出ると情報部隊から、「上層部から呼び出しだよ」と伝えられた。
虹から目を離すのは躊躇われたが、上層部に逆らうこともできず、彼を残し1人で国家機関本部へと向かった。
街中心にある1番高いビルの、最上階に上層部の集まる会議室があった。
会議室前で、「朝霧です」と言えば、躊躇いなくドアは開いた。
「朝霧、私たちに何か説明することがあるはずだな」
上層部の会議室、円になって座った上層部の十数人が一気に朝霧を見る。場はピリピリとしていたが、朝霧は冷静に返事だけした。
「……少年を機関の一隊員として、申請を申し出た話のことですか」
どこから説明しなければならないのだろうか、と少し面倒になりながらも、老いぼれた上層部に話す。
朝霧は虹を表世界から連れ出したことは話さなかった。それを話せば、朝霧は処分を免れないだけでなく、話は広まり虹への人間関係にまでも影響を及ぼすことを考えた答えだった。
自分の処分については、あまり考えていなかった。機関の中でも優秀な人材であることを朝霧自身は分かっていたため、「機関から立ち去れ」などと上も強く言えない。
現在は、まだ事が進んでいないため、街への影響も最小限で抑えられているが、先を考え、被害が増え、化け物流出が抑えが効かなくなった際に、朝霧という男1人がいないことで、どれだけの人が命を失うかを上層部も分かっていた。
「……そもそも、どこの誰かも分からない子供を入隊させるわけにはいかないだろう」
「彼は街外、離れた小さな村で拾いました。 親もおらず、村人も住処もなく、1人でいたため保護したところ、どうやら生まれつき持った能力があったようなので、入隊することにしました」
朝霧は、その場で作り上げた作り話を適当にペラペラと話し出す。
戸籍がないのは、化け物に襲われた小さな村の生き残りで親、家族の姿は一切なく、村人もいなかったため、情報が手に入らなかった。
機関に入るにはそれなりの力や、頭の良さが必要だが、虹には人の心を聞くという能力らしい能力があった。
その点において、機関で育て上げ、隊員の1人とすることに何ら問題はないだろう。
「戸籍なんてなんの役にも立ちません。あろうが無かろうが、今の現状を打破するために彼は必要なんだと、私は考えています。これ以外に彼の入隊を申請する理由なんてありません」
上層部を圧倒するように冷静ながらも圧をかけて、畳み掛ける話し方をする。何も言い返せない上層部は、黙ってしまった。
「責任は私が取ります。……だから、彼に干渉することは辞めてください」
どれだけ言おうと上の人が、虹を良い目で見てくれることはない。だが、朝霧からの言葉があるのとないとでは、多少なりとも違ってくるだろう。
「……分かった……が、もし、その子が何らかの失態をすることになれば、全て君に責任がいくことを忘れるな」
朝霧はふぅと息をついた。
虹は責任を負うことを恐れていた、それは責められることの苦しさを知っていたから。何度も責められ続けた経験のある彼にとって責任を負うことは、恐怖に値する。
しかし、この上層部はどうだ。ただ、自分の価値が下がることを恐れているだけだ。隊員の失態の責任を押し付けられるのはいつものことであったし、それに抵抗もなかった。
責任を負うのが嫌だ、面倒にしかならないし誰かに押し付けよう、それがここにいる老いぼれたちの考えだ。
17歳の少年が、幾度となく経験させられた周りからの言葉の牙、煩わしい視線、誰かに助けを求めることもできず、ただただ、全部背負い込んで、1人でいるしかできなかった。
この1回りも2回りも歳をとったこの人たちは、それを経験するのが怖いんだ。
けれど、当たり前のように他人はそれをしてしまうのだから、この人たちも1度経験すれば良いのに……と、朝霧は心の中で言った。
「……話は終わりですね、虹が待っているので帰ります」
腹立たしく思いながらも、いつもの仕事用の作り笑いでそう言った。
上層部は止めたがったが、かける言葉が出てこなかった。
「ああ、そうだ」と朝霧は両手を叩いて、何かを思い出したかのように、上層部の方に振り向いた。
「私、表世界への入り浸りを1度控えようと思います、数ヶ月にわたり偵察に行きましたが、現在の件と関係のありそうなモノは"何もなかった"ので」
よく回る頭と口は、作り話をどんどんと重ねていった。
「今は、虹を育てることに専念します。
それに、今のあっちの世界には、嫌なモノばかりでしたから。気が滅入ってきました」
(そう、今のあっちの世界にいる人間(モノ)は最悪だ。 アンタらと変わらない、自分の保身と馬鹿みたいな風の噂に左右される奴らしかいない)
「……それだけ言いに来ました。 ……兎に角、あの子は私にとって大切な子なんです 」
笑顔でニコニコとしていた、朝霧の顔が一瞬のうちにスっと冷たくなる。
「また、何かしたら、アンタらを許さない」
その場にいた数人は小さく「ひっ」と悲鳴じみた声を上げ、また数人は目を見開いたままゴクリと喉の奥で唾を飲み込んだ。
円になって座っており、ドアから最も遠く、朝霧の1番遠い席にいた3人だけは、静かに朝霧の目を見ていた。
「……それでは失礼します」
パッとまた笑顔に戻り、ドアノブに手をかけ、一礼して朝霧はその場を後にした。
「……ホントに奇妙な男だ……見たか、さっきの顔…それにあの声……」
「……ああ……いっつもおかしなくらいに、ニコニコしているくせに……」
取り残された上層部の中でも、若い方の男たちがコソコソと朝霧のことを話し始める。
「俺なんか、怖くて少し、声をあげたよ……」
朝霧奏斗は、機関の中でも恐らく1番優秀な男だ。頭の回転が早く、運動神経も並外れている。生まれ持つ能力、魔法にも恵まれ、表世界と裏世界を行き来できる数少ない人間として、選ばれた人間。
20代という若さにして、上層部と掛け合えるほどの地位にいながら、機関内の攻撃部隊の勢力を上げるため、若い隊員の面倒を見ることも多々あった。
おまけに高身長で整った顔立ちなのだから機関内では、男女に好かれる男だった。
「……また気味の悪い話し方だったな」
朝霧が会議室から出て、廊下を歩いていると咲が立って、朝霧に話しかけた。
「…聞いてたんだ、上層部になんか用でもあったのかい」
咲は、チッと舌打ちをして眉間に皺を寄せて朝霧に近づき、人差し指を朝霧の眉間を押し付けた。
「……何? 痛いんだけど」
「………………前みたいに、『やめろ、クソ女』とは言わないんだな」
朝霧は、ピタリと顔を固めた。そして、イラついた顔で咲を見下げる。
「咲、"今の朝霧奏斗は、誰にでも優しく、笑顔な男"だよ」
そう言って、咲の人差し指をスっと避ける。そして、「バイバイ」と言って、廊下進んだ。
「……そうだな」
俯きながら、朝霧に聞こえない声で咲は一言言うと、上層部の会議室前に足を運んだ。
(今の隊員も上層部のほとんどもそう思っているだろうな……。
でも……ほんの数人は朝霧奏斗を偽りの笑顔で笑う、ただの『ピエロ』だって言ってるぞ)
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