もう1つの世界で家族を見つけた話

永遠

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H大学事件編

18テロ事件

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18テロ事件

人間はどの世界で他人に対して軽薄な生き物だと感じた。こんな多くの人に害を及ぼされていても、普通に外に出るし、自分たちにはそんな被害が被るなんてここにいる誰も考えていない。


街中心は国の大きな機関によって守られているから、安全だから、街外れの人たちが死んでいっても恐怖すら感じないのだろう。



そんな、彼らに僕は吐き気がした。



誰かも分からない手紙の差し出し主。僕であれば、そんな物を見たとしてもこういった場所には来ないだろう。
怪しさが勝って、何かあるのではないかと勘ぐりを入れる。


「……あと、10分で9時になります。 奏斗さん、これは……」


「もし、虹の聞こえた声の主がこの手紙の差し出し主だとしても、何がしたいのか正直分からない」


「こんな手紙のことなんて、期間隊員の誰にも届いてないし、聞いてないと思うんだけど……」


街中で出回った謎の手紙。機関にいる人達は誰もこの手紙のことを知らない。
そんな事あるのか、わざわざ機関隊員じゃない人を選んでいるってことか…?


「……国にバレたらいけないことをしようとしている、としか思えないね」


朝霧の言う事は最もだ。しかし、前日に多くの人に送るなんて凄い行動力だ。
しかも差出人不明のものを送ることなんてできるなんて思えない。


もしかして、本人が直接、この数の人間の家に届けた……? それにしては数が多い、昨日の1日でそんなに家を回れるはずがない。


複数人による実行……? それとも……人間の仕業じゃないのか……?


「あと1分です……」


そうこう考えているうちに時間は進んでいく。50.40………、ドクン、ドクンと一音一音が大きく聞こえる。






ーーーー「เหจวเขขจาลมชา่จบอเจ」


僕はハッとなる。また、まただ。大勢のごちゃごちゃとした中で、不気味な言葉が聞こえる。
朝霧に伝えなければ、昨日居たやつは今日もここにいる、人間じゃない何かが……きっと、この謎の手紙もそいつが……と、伝えたかった。



「あさーーーっ」


僕の声は朝霧には届かず、言葉を発するとドォンッと大きな音が鳴る。
人混みの中心で煙のようなものが上がる。人が多くいるのに一瞬誰もいないように静まり返る。皆が驚き、声を出せなくなったのだ。

朝霧、哀歌、海未、僕も煙が上がるほうを見る。


「……拳銃……?」



いや、そんなものでは無い。煙の量が以上なほど多い。

静まり返った大学内から、外へと響き渡りそうな悲鳴が多く聞こえる。

皆、状況を理解したようだった。9時を回った時計、天井に大きく空いた穴。


誰もが、これは異常な事態で、危険な状況であるも理解した。
多くの人の声がぐちゃぐちゃに聞こえて、僕は頭がクラッとする。耳を塞いで、少しでもマシなようにしたかった。


煙の上がる中心に立つ5~6人の男、真ん中にいる男が煙をあげる大砲のような何か大きなものを抱えていた。


「あれ、最近出回ってるって報告に上がってなかった……?」



国にも報告がいくようなものらしい。それだけ危険なものだろう。


「……奏斗さん、これって、テロじゃ……」



海未の言葉に返事をせずに考える。朝霧はかなり深刻そうな顔をしている。


「……なんで、大勢の人を……国相手への脅し、それなら、上のやつらの身内を狙うはず、それとも……」


いつもと違ってブツブツと1人呟くように何か言っている。テロと同じくらい朝霧の顔に恐怖を覚える。
僕の知っている朝霧の顔ではなかった。


「静かにしろ、全員持っているものを全部床に出せ、そのまま床に座ってろ」


真ん中に立つ男が大声でそう言った。皆はゴクリと唾を飲み込み、静まってバッグ、ズボンのポケットに入っているスマホのような機械、全て床に置いた。
動揺しつつも、言う通りにしなければ殺されるという人間の直感なのか、素直に行動に移す。


哀歌は向こうに聞こえないように小さく舌打ちし、朝霧と海未は何かを伺うような顔をしながら、自身の持っていたスマホ機器を大人しく床においた。
僕はというと、持ち物すらないため置くものもなかった。


真ん中に立つ数人の実行犯と思われる男たちは、全員覆面をし、顔を隠している。
声を上げた男以外が床に置かれた物を回収していく。

すると、少し小太りと思われる男が僕の前でピタリと止まる。


「……お前、持ち物を出せ」


不自然だろう、17にもなって通信機器を持たない人なんてそういない。隠し持っていると思われ、僕に声をかけてくる。


「……も、もっ、何も、持ってない……」



男が怖かった、何かされるのではないかと思い、震えた声でそう言った。
男は怪しいと言わんばかりの目を覆面の穴から覗かせている。
周りの捕まっている人たちも僕を見ている。大人しく出せば良いのに、と。


「この子は、小さな古びた田舎の村から昨日こっちにきたんだ、だから何も持っていないだ」


朝霧が僕の肩を自分に寄せ、男に冷静な声でそう言った。男は「フン」と言って、僕たちの前から次の人のところへと行った。
……怖かった。


僕は怯えながらも周りをチラチラと見る。


本当にこの複数の男たちの中の誰か声が、僕の中に聞こえてきたのか?
聞こえた声は大声を上げた人でも、今僕達の前から立ち去った人の声でもなかった。


残りの誰か……? それでもリーダーとして指示しているのは、最初に声を上げた男だ。
あの声じゃない。



それに、コレが起こる数秒前に聞こえた、あの人の言葉ではない言葉……。



確かに計画と言えば計画だと思われるこのテロ行為、けれどその計画を始めた声と思われる声の人が見当たらない。
人間の声ではない声と言葉…………まるで、怪物のような…………。


もしかしたら、周りにほかの仲間がいて、ソイツが僕の聞いた声の正体……?



全ての物を回収し終えた、と複数人の男が、中心にいる男に言う。
すると、男はニヤリと笑った。
朝霧、哀歌、海未の3人は「!」と気づいたようだった。



僕は1人、キョロキョロと周りを見渡していた。


「……?」


笑った男が「ありがとう」と男たちに言うと、男たちは気味の悪いものを見たかのような顔をした。


「お前、ありがとうなんて言うような人間じゃぁ……」

少し驚きながら笑うように1人の男が声を発したときだった。中心の男を見る周りの仲間のような男たちの顔がドンドンと引き攣っていく。


「ありがとう、ありがとう、アリガトウアリガトウアリガトウ」


壊れたような男を見るなり、他の男は男から急いで離れた。

「こいつ、どうしちまったんだ……」



すると、朝霧が怖い顔をして「……人間じゃあ……無いみたいだね」と言うと、哀歌、海未もこくりと頷く。

人間じゃないって……僕はそんな3人を横目に震えた。


そして、ドッと音を鳴らし、男が人の姿を失うように破裂した。
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