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日常編
34興味
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34興味
H大学への侵入、それまでの準備は万全、何一つ問題なく進んでいた。進行をしていたのは優秀な優秀な僕の兄さんだ。失敗をすることはまずないだろう。
決行日前日に兄さんは一人の女の子を連れてきた。既に息はなく市販の刃物が胸に突き刺さり、服に流れていたであろう血液が固まって付着していた。
「……この子に成りすますわけだ」
「遠くから操れれば良いが、生憎そんな高性能じゃない能力だからな。 近場で指示をしなければいけない」
兄さんは生まれ持った人を操る能力、そして誰にもバレない変装術が使える。人を操ることは数人できる人……朝霧 奏斗もできるが、兄さんほどの力はなく、指示通りに物や人を動かせるわけではない。
変装術に関しても、あの朝霧 奏斗すら気づかないほどだ。きっと誰にもバレないと思っていた。
「……わざわざ女の子にするなんて兄さん、女装の方が好きなの?」
「……バカ言うな、女の方が朝霧 奏斗にも近づきやすいからだ」
兄さんを小馬鹿にする小言を言うと、少し不機嫌な兄さんが見れた。
「……街中に住む多くの人間にH大学に集まるように紙は届けた」
「うん、ありがとう。 ……きっと、明日は誰も生き残れない。 だって、機関の人間たちは街外れの対処に追われ、集めた人たちの通信機器は全て奪う。 外に連絡できなくして、可愛い僕らのペットの食料となってもらわないと」
数年かけてやっと作り上げた人間と融合した化け物。実験台として兄さんの連れてきた汚い男を使ったが、案外上手くいくものだ。
大きなカプセル内に閉じ込めてはおいたものの、今にも暴れだしそうだ。明日になってから兄さんに操ってもらうが、今日はずっと唸り声か悲鳴か……声にも聞こえない声で鳴いている。
「……早く、だーれもいなくなればいいのに」
カプセルに手と額をつけて、独り言のように呟く。兄さんは聞こえいるのか聞こえていないのかは分からないが、僕の顔を寂しげに見ている。
そして、当日となり兄さんの帰りが遅かった。喰うだけだし、別に後始末もないはずなのに、中々帰ってこない。兄さんの作り出す暗闇の中を家にしているから、兄さんは事が終わればすぐに戻るはずだ。
おかしいと思いながらも、待っていると兄さんが例の化け物も連れずに戻ってきた。
……何かあった、その状況だけですぐにわかった。
すぐさま兄さんに近寄った。
「……おかえり、遅かったね」
平然を装いながら話しかける。何かあるなら、兄さんのことだすぐに言ってくる。少しを息切らしている兄さん……。
「……っ、悪い。 ーーアレは殺された」
僕は驚いた。あのやっとの思いで作り上げたペットが殺された? 誰に……
「……朝霧 奏斗がいた。 あと志波 哀歌と瀬良 海未も一緒だった。 予想が外れた」
朝霧 奏斗が……他の隊員を連れて……、H大学に来ていた……? いや、前日の街外れに放ったペットたちの数は過去にないほどだ。 朝霧 奏斗がそちらに向かわないのはおかしい。
……そうでなくても、なぜ…H大学にいた……? そんな可能性0に近いはずだ。その日、その時、その場所に居合わせるなんて……。
「………もう1つ……おかしな餓鬼がいた」
志波 哀歌と瀬良 海未に関して……いや、他の機関内の奴らのことならほとんど情報がある。それなのに兄さんはそれを餓鬼と言った。機関の人間じゃないのか……。
「……おかしながき?」
「……朝霧 奏斗が異様にそいつを守っていた。 それにこの計画の失敗にはその餓鬼が関わってきた」
「……失敗はその子が原因ってこと?」
兄さんに聞かなければいけないことはたくさんある。何より、おかしな子供がその場にいた。しかも機関の人間でもないのに、朝霧 奏斗に守られていた……? まぁ、一般市民を守るのは当然かもしれないが、兄さんの言い方からしてそういう訳でもなさそうだ。
「……あの、ペットの中の人間の声を、聞いていた。それに俺の出した指示を復唱する声を聞いて動きを先読みしてきた」
「……声を聞いて……?」
あのペットたちの声は僕も兄さんも、何を言っているのか分からないし、知る意味もないと思っている。ろくな事は言っていないだろうし、叫び声のようなものにしか聞こえない。
「……興味深い、子だね……」
「……朝霧 奏斗はそいつのことを『虹』と呼んでいた」
虹、虹……珍しい名前だ……それに僕とは正反対な名前……。虹、虹かぁ………
興味があるなぁ……、失敗は予想外で残念だけどそれよりも面白そうなことが分かった……。
虹……君に会いたいなぁ……。
H大学への侵入、それまでの準備は万全、何一つ問題なく進んでいた。進行をしていたのは優秀な優秀な僕の兄さんだ。失敗をすることはまずないだろう。
決行日前日に兄さんは一人の女の子を連れてきた。既に息はなく市販の刃物が胸に突き刺さり、服に流れていたであろう血液が固まって付着していた。
「……この子に成りすますわけだ」
「遠くから操れれば良いが、生憎そんな高性能じゃない能力だからな。 近場で指示をしなければいけない」
兄さんは生まれ持った人を操る能力、そして誰にもバレない変装術が使える。人を操ることは数人できる人……朝霧 奏斗もできるが、兄さんほどの力はなく、指示通りに物や人を動かせるわけではない。
変装術に関しても、あの朝霧 奏斗すら気づかないほどだ。きっと誰にもバレないと思っていた。
「……わざわざ女の子にするなんて兄さん、女装の方が好きなの?」
「……バカ言うな、女の方が朝霧 奏斗にも近づきやすいからだ」
兄さんを小馬鹿にする小言を言うと、少し不機嫌な兄さんが見れた。
「……街中に住む多くの人間にH大学に集まるように紙は届けた」
「うん、ありがとう。 ……きっと、明日は誰も生き残れない。 だって、機関の人間たちは街外れの対処に追われ、集めた人たちの通信機器は全て奪う。 外に連絡できなくして、可愛い僕らのペットの食料となってもらわないと」
数年かけてやっと作り上げた人間と融合した化け物。実験台として兄さんの連れてきた汚い男を使ったが、案外上手くいくものだ。
大きなカプセル内に閉じ込めてはおいたものの、今にも暴れだしそうだ。明日になってから兄さんに操ってもらうが、今日はずっと唸り声か悲鳴か……声にも聞こえない声で鳴いている。
「……早く、だーれもいなくなればいいのに」
カプセルに手と額をつけて、独り言のように呟く。兄さんは聞こえいるのか聞こえていないのかは分からないが、僕の顔を寂しげに見ている。
そして、当日となり兄さんの帰りが遅かった。喰うだけだし、別に後始末もないはずなのに、中々帰ってこない。兄さんの作り出す暗闇の中を家にしているから、兄さんは事が終わればすぐに戻るはずだ。
おかしいと思いながらも、待っていると兄さんが例の化け物も連れずに戻ってきた。
……何かあった、その状況だけですぐにわかった。
すぐさま兄さんに近寄った。
「……おかえり、遅かったね」
平然を装いながら話しかける。何かあるなら、兄さんのことだすぐに言ってくる。少しを息切らしている兄さん……。
「……っ、悪い。 ーーアレは殺された」
僕は驚いた。あのやっとの思いで作り上げたペットが殺された? 誰に……
「……朝霧 奏斗がいた。 あと志波 哀歌と瀬良 海未も一緒だった。 予想が外れた」
朝霧 奏斗が……他の隊員を連れて……、H大学に来ていた……? いや、前日の街外れに放ったペットたちの数は過去にないほどだ。 朝霧 奏斗がそちらに向かわないのはおかしい。
……そうでなくても、なぜ…H大学にいた……? そんな可能性0に近いはずだ。その日、その時、その場所に居合わせるなんて……。
「………もう1つ……おかしな餓鬼がいた」
志波 哀歌と瀬良 海未に関して……いや、他の機関内の奴らのことならほとんど情報がある。それなのに兄さんはそれを餓鬼と言った。機関の人間じゃないのか……。
「……おかしながき?」
「……朝霧 奏斗が異様にそいつを守っていた。 それにこの計画の失敗にはその餓鬼が関わってきた」
「……失敗はその子が原因ってこと?」
兄さんに聞かなければいけないことはたくさんある。何より、おかしな子供がその場にいた。しかも機関の人間でもないのに、朝霧 奏斗に守られていた……? まぁ、一般市民を守るのは当然かもしれないが、兄さんの言い方からしてそういう訳でもなさそうだ。
「……あの、ペットの中の人間の声を、聞いていた。それに俺の出した指示を復唱する声を聞いて動きを先読みしてきた」
「……声を聞いて……?」
あのペットたちの声は僕も兄さんも、何を言っているのか分からないし、知る意味もないと思っている。ろくな事は言っていないだろうし、叫び声のようなものにしか聞こえない。
「……興味深い、子だね……」
「……朝霧 奏斗はそいつのことを『虹』と呼んでいた」
虹、虹……珍しい名前だ……それに僕とは正反対な名前……。虹、虹かぁ………
興味があるなぁ……、失敗は予想外で残念だけどそれよりも面白そうなことが分かった……。
虹……君に会いたいなぁ……。
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