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うつけ村編
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うつけ村、そこは数年前まではのどかで、小さな村だった。非常に中心街から外れており、街に住む人は名前、存在すら知らないような村だった。
全人口100人という少なさであり、国からも忘れられるような場所で、国家機関からの訪問も少なかった。そのため、規則というものがあまり存在せず、それなりに村人が暮らせる程度のルールを守っていることで、誰も文句は言わない。
それが、災いしたのか、この村の存在を知った裏社会の密売取引に適した場所であると、裏で広がっていた。
村の住民のほとんどは気づいていなかった。
しかし、日に日に増える見知らぬ人々の訪問に、疑問を持つ者はいた。
そして、そんなある日、村の中での1番大きな施設である公民館らしきところに、綺麗なスーツを着た人……そして、鎖で繋がれ歩かされる汚い召し物でやせ細った人々がその中に入っていくのを見ていた人がいた。
たまたまだった。男はただのしがないフリーの記者だった。街の外れにある村を転々とし、その記事を街に売ることでなんとか生きていた。
男は危険よりも、スクープを優先した。金を優先した。
状況を写真に撮り、記事を興奮した中書き進めていった。やっと完成し、街中心の出版社に持ち込んだ。
男はかなりお偉い人々のニュースに皆が食いつき、自分への利益が多いと、そんな浅はかな考えしか無かった。
しかし、出版社に持ち込み、数日経ってもその記事は出ない。
おかしいと思い、出版社にもう一度行くと、記事や写真が突き返され、「これは世には出せない」と言われた。
理由を問い詰めると、映りこんだ人間が問題だった。
国家の頂点に立つ人々がほとんどで、出版社も裏で何をされるか分からない。 そんな思いでこの記事を世には出せないという。
絶句するしかなかった。
そして、何の不運の連続か、街中心から外れ、新たなネタ探しに出た矢先、騒ぎの中に巻き込まれた。男は何かと思ったが、すぐに理解した。目の前には、国家機関の人間、そして騒ぎ立てる民衆……そして、真っ黒などでかい生物が数体いた。
国家機関の人間が、そいつらを切りつけていく。話には聞いた事がある。現在、この世界を脅かす怪物、化け物がいること、そしてその被害がどんどんと拡大していること……。
「……なっ」
何人かの民間人が、身体に穴を開けていた。噛まれたのか、刺されたのかは分からない。赤黒い液体が出ていた。しかし、その傷口に手を当て、いわゆる魔法を使って手当している人も数人いる。
男は最悪だ、と思い他の民間人とともに逃げようと思った。しかし、不運は重なるもので、気づけば男の胴体に黒い何かが巻きついている。
「……あ?」
声が出る前に一気にその巻きついたものが男の胴体を握りしめた。後ろを見ると、黒い化け物が口のような所から、舌……のようなものを男に巻き付けていた。
男は死ぬと一瞬にして悟った。力が人間並みではないため、ミシミシと身体が悲鳴をあげ、男も苦痛で叫び声をあげる。
その舌のような巻きついたものが、男を持ち上げ、化け物の本体へと近づけていく。今にも「いただきます」と言いそうな顔で、化け物は笑うように大きな口を開ける。ねっとりと唾液のようなものが見える。
男は喰われる、と思いさらに騒ぐ。
すると、巻き付く舌の力が弱まった。口の中に入れられた訳ではなかった。
舌は切断されていた。そして力なく舌の巻き付いた部分が剥がれるように男の身体から離れて落ちていく。
「っあ…ぁあ"……」
痛みで声もまともに出せなくなった男を抱えた、1人の若い男は、すぐに1人の女のもとへ男を連れていった。
「……恐らく腰、脇腹……その辺の骨は全部折れている。 咲、頼んだ」
「あぁ、これくらいならすぐに治る」
女が冷静にそう言うと、身体に手を当てる。微かに光が灯り、痛みが軽減していく。しかし、完全に痛みが消えることはなかった。
「……少し痛むと思うが、安全な場所を確保したらそちらで治す。 私もまだ全回復の魔法は使えないんでな」
なんの話をしているのか、早口で上手く聞き取れない部分もあった。 若い男は次々と黒い化け物を切り落としていく。
化け物は気持ち悪いほどに細かく刻まれて、ようやく息を引き取ったのか、動かなくなった。先程の若い男は、真っ黒な液体を身体、顔に浴びながらも1度腕で顔をこすり、女に近づいた。
「咲、今日の死人は」
「……重傷者は少なからずいるが、命に関わる人はいないだろう。 そもそも、私は研究員なんだが……たく、人がいないからと言って……」
咲と呼ばれた女は、その若い男に向かってちっと舌打ちをした。
「……そう言わないでよ、今は回復魔法が使える隊員が少ないんだ、君ほどの人間でなければ、上も承知してくれなかったんだ」
若い男は、落ち着けと言うように女に笑いながらそう言った。
男は国家機関の中にある病室に運ばれていった。そして、あの咲という女の言う通り、命に別状はなかったが、骨の折れ具合が思ったより酷く、数ヶ月は安静にするようにと言われた。家族もいない男にとっては、しばらく暮らす宿が取れたラッキーくらいに思っていた。
「……記者か、しかもフリーの」
咲という女は、研究員でありながら、怪我人やここにいる患者の話を聞いていた。ほとんど医者のような人間だった。
最低な個人情報は必要だと言われ、記者だと話した男に咲は「残念だったな」と言った。
「つい先日、君が骨の折れ具合がまだ酷かった時に中々な事件が起きたぞ」
男は興味を持ち、咲の話を前のめりで聞いていた。
「……街からかなり遠く、前までは知らない人も多かった『うつけ村』というところでの大火事だ」
男は耳を疑い、咲に「うつけ、村?」と聞くと咲は疑問な顔を浮かべながら、そうだと頷いた。
男は急に怖くなった、裏社会で起きていたオークション、大火事によって生存者がいなかったこと、これは何か裏で事が運んでいるのではないかと怖くなった。
あの記事を世に出していたら、自分は裏社会の人間に殺されていたのではないか、そう思うと怖くて男は顔を真っ青にし、咲のもとから、国家機関の建物から震えながら立ち去った。
そして、数年後1人の女……咲 夢花から連絡が来た。
うつけ村、そこは数年前まではのどかで、小さな村だった。非常に中心街から外れており、街に住む人は名前、存在すら知らないような村だった。
全人口100人という少なさであり、国からも忘れられるような場所で、国家機関からの訪問も少なかった。そのため、規則というものがあまり存在せず、それなりに村人が暮らせる程度のルールを守っていることで、誰も文句は言わない。
それが、災いしたのか、この村の存在を知った裏社会の密売取引に適した場所であると、裏で広がっていた。
村の住民のほとんどは気づいていなかった。
しかし、日に日に増える見知らぬ人々の訪問に、疑問を持つ者はいた。
そして、そんなある日、村の中での1番大きな施設である公民館らしきところに、綺麗なスーツを着た人……そして、鎖で繋がれ歩かされる汚い召し物でやせ細った人々がその中に入っていくのを見ていた人がいた。
たまたまだった。男はただのしがないフリーの記者だった。街の外れにある村を転々とし、その記事を街に売ることでなんとか生きていた。
男は危険よりも、スクープを優先した。金を優先した。
状況を写真に撮り、記事を興奮した中書き進めていった。やっと完成し、街中心の出版社に持ち込んだ。
男はかなりお偉い人々のニュースに皆が食いつき、自分への利益が多いと、そんな浅はかな考えしか無かった。
しかし、出版社に持ち込み、数日経ってもその記事は出ない。
おかしいと思い、出版社にもう一度行くと、記事や写真が突き返され、「これは世には出せない」と言われた。
理由を問い詰めると、映りこんだ人間が問題だった。
国家の頂点に立つ人々がほとんどで、出版社も裏で何をされるか分からない。 そんな思いでこの記事を世には出せないという。
絶句するしかなかった。
そして、何の不運の連続か、街中心から外れ、新たなネタ探しに出た矢先、騒ぎの中に巻き込まれた。男は何かと思ったが、すぐに理解した。目の前には、国家機関の人間、そして騒ぎ立てる民衆……そして、真っ黒などでかい生物が数体いた。
国家機関の人間が、そいつらを切りつけていく。話には聞いた事がある。現在、この世界を脅かす怪物、化け物がいること、そしてその被害がどんどんと拡大していること……。
「……なっ」
何人かの民間人が、身体に穴を開けていた。噛まれたのか、刺されたのかは分からない。赤黒い液体が出ていた。しかし、その傷口に手を当て、いわゆる魔法を使って手当している人も数人いる。
男は最悪だ、と思い他の民間人とともに逃げようと思った。しかし、不運は重なるもので、気づけば男の胴体に黒い何かが巻きついている。
「……あ?」
声が出る前に一気にその巻きついたものが男の胴体を握りしめた。後ろを見ると、黒い化け物が口のような所から、舌……のようなものを男に巻き付けていた。
男は死ぬと一瞬にして悟った。力が人間並みではないため、ミシミシと身体が悲鳴をあげ、男も苦痛で叫び声をあげる。
その舌のような巻きついたものが、男を持ち上げ、化け物の本体へと近づけていく。今にも「いただきます」と言いそうな顔で、化け物は笑うように大きな口を開ける。ねっとりと唾液のようなものが見える。
男は喰われる、と思いさらに騒ぐ。
すると、巻き付く舌の力が弱まった。口の中に入れられた訳ではなかった。
舌は切断されていた。そして力なく舌の巻き付いた部分が剥がれるように男の身体から離れて落ちていく。
「っあ…ぁあ"……」
痛みで声もまともに出せなくなった男を抱えた、1人の若い男は、すぐに1人の女のもとへ男を連れていった。
「……恐らく腰、脇腹……その辺の骨は全部折れている。 咲、頼んだ」
「あぁ、これくらいならすぐに治る」
女が冷静にそう言うと、身体に手を当てる。微かに光が灯り、痛みが軽減していく。しかし、完全に痛みが消えることはなかった。
「……少し痛むと思うが、安全な場所を確保したらそちらで治す。 私もまだ全回復の魔法は使えないんでな」
なんの話をしているのか、早口で上手く聞き取れない部分もあった。 若い男は次々と黒い化け物を切り落としていく。
化け物は気持ち悪いほどに細かく刻まれて、ようやく息を引き取ったのか、動かなくなった。先程の若い男は、真っ黒な液体を身体、顔に浴びながらも1度腕で顔をこすり、女に近づいた。
「咲、今日の死人は」
「……重傷者は少なからずいるが、命に関わる人はいないだろう。 そもそも、私は研究員なんだが……たく、人がいないからと言って……」
咲と呼ばれた女は、その若い男に向かってちっと舌打ちをした。
「……そう言わないでよ、今は回復魔法が使える隊員が少ないんだ、君ほどの人間でなければ、上も承知してくれなかったんだ」
若い男は、落ち着けと言うように女に笑いながらそう言った。
男は国家機関の中にある病室に運ばれていった。そして、あの咲という女の言う通り、命に別状はなかったが、骨の折れ具合が思ったより酷く、数ヶ月は安静にするようにと言われた。家族もいない男にとっては、しばらく暮らす宿が取れたラッキーくらいに思っていた。
「……記者か、しかもフリーの」
咲という女は、研究員でありながら、怪我人やここにいる患者の話を聞いていた。ほとんど医者のような人間だった。
最低な個人情報は必要だと言われ、記者だと話した男に咲は「残念だったな」と言った。
「つい先日、君が骨の折れ具合がまだ酷かった時に中々な事件が起きたぞ」
男は興味を持ち、咲の話を前のめりで聞いていた。
「……街からかなり遠く、前までは知らない人も多かった『うつけ村』というところでの大火事だ」
男は耳を疑い、咲に「うつけ、村?」と聞くと咲は疑問な顔を浮かべながら、そうだと頷いた。
男は急に怖くなった、裏社会で起きていたオークション、大火事によって生存者がいなかったこと、これは何か裏で事が運んでいるのではないかと怖くなった。
あの記事を世に出していたら、自分は裏社会の人間に殺されていたのではないか、そう思うと怖くて男は顔を真っ青にし、咲のもとから、国家機関の建物から震えながら立ち去った。
そして、数年後1人の女……咲 夢花から連絡が来た。
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