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うつけ村編
40 偽物の兄
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40 偽物の兄
自分で作り出す暗闇の空間、あの虹という餓鬼を連れてきた空間もこれと同じようなものだ。俺に使えるのは誰にもバレない変装術、人や物を操る能力……そして暗闇の空間を作り出すことだ。
自分の欲のためではなく、アイツの、弟のためにならなんだって使ってやる。
……だが、弟なんて言って実際俺はアイツから作られたようなものだ。
弟は頭が良かった。 今世間を騒がせるペット……世間では化け物扱いされるアレらを作ったのも弟だ。アレらは今のところ失敗がかなりあるらしく、そのせいで国家の人間相手に消滅してしまうらしい。
成功へと向けて、毎日毎日何かを試している。頑張り屋な弟だ。そんな弟に何1つ逆らわずにいる理由がある。
それが、俺の力は弟に貰った力だ。 この世界では特定の人間のみが生まれ持った能力、魔法を使うことができる。
……俺はその類ではなかったらしい。 元は貧相な男だった。街の人間を恨んだ。 なんの苦労もせずに当たり前に腹を満たし、好きな物を身につける。俺の育った村ではそんなものはなかった。 生きるのが精一杯だった。
そして、アイツは俺の本当の血の関係を持った弟ではない。 俺は兄の役なだけであった。 だからアイツは本物の家族では無いし、俺は本物の家族さえ恨んでいた。
しかし、その恨みは機会が巡り巡って好機へと転じた。
始まりは最悪だが、終わりは最高になっていた。始まりは、弟……アイツとの出会いからであった。本当のクソッタレな家族……いや、両親はついに金が底をつき、子供を売った。つまり、俺は親に売られた。 たまたま、売られた先にいたのがアイツだった。
自己肯定感の低い俺は金になんてならないと思っていたが、アイツの方から出された提示された金額は生きていくのに不自由しない額だった。親も俺も驚いたが、売られる側の俺には意味もない話だった。
親は笑顔で俺を売った。 恨むしか無かった、何をされるかも分からない、どこへ連れて行かれるのかも分からない。 子供ながら死ぬのとどちらがマシかなんて考えていたような気がする。
連れてこられたのは、小さな小さな村だった。村に入ってから人は見なかった。 そして1つの建物に連れていかれると、その中には薬、薬、薬……それから………カプセルの中に蠢くナニカ。
やはり死んだ方が良いのかもしれないと思った。
するとアイツは言った。
「こんにちは、僕は"兄さん"に力をあげたいんだ。 力があれば何だってできるよ……あの親を殺すことも」
笑顔でそんな事を言うのだから背筋が凍りそうになった。ヤバい奴だと思ったし、子供の俺が"兄さん"と呼ばれる意味も分からなかった。
「……ち、ちから……」
「うん、時間はかかるかもしれない。 研究段階だから失敗するかもしれない。 それでも君を買ったのは……恨みが強そうだったからだ」
すると男は1粒の錠剤を取り出した。 手のひらに転がし、俺の腕を取って、手の上に置いた。
「……不平等な世界、金や力がものを言う世界。 でもね、そんな平等じゃないのは不公平だろ? だからね、そんなものじゃなくて必要なのは気持ちと覚悟だ。 ねぇ、兄さんはどっちを選ぶ? ここで逃げても良いよ、飲んだら力が手に入るかもしれないし、死ぬかもしれない。 けど……逃げれば……君には死しかないよ」
言っていくにつれて顔が笑っているのに声に重みが増すように怖くなった。
しかし、俺はすぐにその薬を口に入れた。 どちらにせよ死ぬ運命なら僅かな可能性にかけた。言うことは確かだったし、俺には1つ思いがあった。
ーーー自分の親を殺したいという思いだった。
全てを子供の俺に任せて笑って逃げた悪魔のような親の顔を忘れることができなかった。
アイツは薬を口にする俺に優しく笑いかけて、頭を撫でた。
薬を飲むと身体の芯が熱くなるようで、筋肉痛のようなものとは比べ物にならないくらいの痛みが走る。恐らく死ぬ寸前であったが、それよりも親を殺したい気持ちがあったのか、悶えながらもなんとか意識を保った。それに耐えることを数ヶ月経ったある日、薬を飲んでも痛みが感じなかった。
アイツに告げると、アイツは喜んだ。「成功だ」と笑い、俺にそこにあるコップを指さし、あれに倒れろと言えば良い、と言った。
意味も分からず言う通りにすると、コップはすぐに倒れ、そのまま割れた。それを見てアイツは喜んだ。
「兄さんの身体に能力が身についた」
そう言って喜んだ。 俺は何故かそれが嬉しかった。力を持ったことよりも、アイツが喜んでくれた事がだ。 俺は強欲に他にも力が欲しいと言うと、アイツは違う薬を持ってきた。
痛みを耐えれば何かが得られると知った俺は、死ぬほど痛くともアイツが喜ぶこと、力が手に入ること、それを思えば何とも思わなかった。耐えれば良い、それだけだ。
気づけば3つを手にした。そして、俺はいつの間にか本当にアイツの兄くらいの歳を重ねていた。
そうだ、ずっとおかしかった。 俺は見た目も変わるくせにアイツは弟は………
何年経っても同じ顔、身体のままだった。
自分で作り出す暗闇の空間、あの虹という餓鬼を連れてきた空間もこれと同じようなものだ。俺に使えるのは誰にもバレない変装術、人や物を操る能力……そして暗闇の空間を作り出すことだ。
自分の欲のためではなく、アイツの、弟のためにならなんだって使ってやる。
……だが、弟なんて言って実際俺はアイツから作られたようなものだ。
弟は頭が良かった。 今世間を騒がせるペット……世間では化け物扱いされるアレらを作ったのも弟だ。アレらは今のところ失敗がかなりあるらしく、そのせいで国家の人間相手に消滅してしまうらしい。
成功へと向けて、毎日毎日何かを試している。頑張り屋な弟だ。そんな弟に何1つ逆らわずにいる理由がある。
それが、俺の力は弟に貰った力だ。 この世界では特定の人間のみが生まれ持った能力、魔法を使うことができる。
……俺はその類ではなかったらしい。 元は貧相な男だった。街の人間を恨んだ。 なんの苦労もせずに当たり前に腹を満たし、好きな物を身につける。俺の育った村ではそんなものはなかった。 生きるのが精一杯だった。
そして、アイツは俺の本当の血の関係を持った弟ではない。 俺は兄の役なだけであった。 だからアイツは本物の家族では無いし、俺は本物の家族さえ恨んでいた。
しかし、その恨みは機会が巡り巡って好機へと転じた。
始まりは最悪だが、終わりは最高になっていた。始まりは、弟……アイツとの出会いからであった。本当のクソッタレな家族……いや、両親はついに金が底をつき、子供を売った。つまり、俺は親に売られた。 たまたま、売られた先にいたのがアイツだった。
自己肯定感の低い俺は金になんてならないと思っていたが、アイツの方から出された提示された金額は生きていくのに不自由しない額だった。親も俺も驚いたが、売られる側の俺には意味もない話だった。
親は笑顔で俺を売った。 恨むしか無かった、何をされるかも分からない、どこへ連れて行かれるのかも分からない。 子供ながら死ぬのとどちらがマシかなんて考えていたような気がする。
連れてこられたのは、小さな小さな村だった。村に入ってから人は見なかった。 そして1つの建物に連れていかれると、その中には薬、薬、薬……それから………カプセルの中に蠢くナニカ。
やはり死んだ方が良いのかもしれないと思った。
するとアイツは言った。
「こんにちは、僕は"兄さん"に力をあげたいんだ。 力があれば何だってできるよ……あの親を殺すことも」
笑顔でそんな事を言うのだから背筋が凍りそうになった。ヤバい奴だと思ったし、子供の俺が"兄さん"と呼ばれる意味も分からなかった。
「……ち、ちから……」
「うん、時間はかかるかもしれない。 研究段階だから失敗するかもしれない。 それでも君を買ったのは……恨みが強そうだったからだ」
すると男は1粒の錠剤を取り出した。 手のひらに転がし、俺の腕を取って、手の上に置いた。
「……不平等な世界、金や力がものを言う世界。 でもね、そんな平等じゃないのは不公平だろ? だからね、そんなものじゃなくて必要なのは気持ちと覚悟だ。 ねぇ、兄さんはどっちを選ぶ? ここで逃げても良いよ、飲んだら力が手に入るかもしれないし、死ぬかもしれない。 けど……逃げれば……君には死しかないよ」
言っていくにつれて顔が笑っているのに声に重みが増すように怖くなった。
しかし、俺はすぐにその薬を口に入れた。 どちらにせよ死ぬ運命なら僅かな可能性にかけた。言うことは確かだったし、俺には1つ思いがあった。
ーーー自分の親を殺したいという思いだった。
全てを子供の俺に任せて笑って逃げた悪魔のような親の顔を忘れることができなかった。
アイツは薬を口にする俺に優しく笑いかけて、頭を撫でた。
薬を飲むと身体の芯が熱くなるようで、筋肉痛のようなものとは比べ物にならないくらいの痛みが走る。恐らく死ぬ寸前であったが、それよりも親を殺したい気持ちがあったのか、悶えながらもなんとか意識を保った。それに耐えることを数ヶ月経ったある日、薬を飲んでも痛みが感じなかった。
アイツに告げると、アイツは喜んだ。「成功だ」と笑い、俺にそこにあるコップを指さし、あれに倒れろと言えば良い、と言った。
意味も分からず言う通りにすると、コップはすぐに倒れ、そのまま割れた。それを見てアイツは喜んだ。
「兄さんの身体に能力が身についた」
そう言って喜んだ。 俺は何故かそれが嬉しかった。力を持ったことよりも、アイツが喜んでくれた事がだ。 俺は強欲に他にも力が欲しいと言うと、アイツは違う薬を持ってきた。
痛みを耐えれば何かが得られると知った俺は、死ぬほど痛くともアイツが喜ぶこと、力が手に入ること、それを思えば何とも思わなかった。耐えれば良い、それだけだ。
気づけば3つを手にした。そして、俺はいつの間にか本当にアイツの兄くらいの歳を重ねていた。
そうだ、ずっとおかしかった。 俺は見た目も変わるくせにアイツは弟は………
何年経っても同じ顔、身体のままだった。
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