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うつけ村編
43 ごめんな
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43 ごめんな
あと4日……というのに分からないことが山積みである。4日後、悪人たちを懲らしめる……、あの大火事の犯人が今追っている化け物を作り出した張本人、この世界で最も危険視される人物だとしたら、その子が言う「悪人たち」って誰だ。火事の犯人ではない……「あの日の悪人たち」
まずあの日は、本当に大火事の日を表しているのか?
……うつけ村に関係する悪人……たち……。
一つ一つゆっくりと考えれば答えは見えてくる。だが、それだったとしてその子はなんで、懲らしめる……何か罰を与える気なんだ? もともと奴隷の1人だった? でもそれじゃあ火事を起こしたとは考えにくい。
きっと、これは可能性の話だが悪人たちは、あの日のオークション会場で買う側の人間たちのことだ。
あの日に何故殺さず逃がしたのか、何故わざわざ今になって何か罰を与えるのかは分からない。しかし、悪人たちとして考えられるのはそいつらくらいしかいない。
「……あ、朝ぎ、りさん?」
まずはあの日オークション会場にいた人間を調べること……、あと火事の犯人について調べることが必要だ。
頭の中で計画を立てていく。
「……虹、もしかしたらその悪人っていうのは、あの村で行われていた人身売買、奴隷オークションに関連する人間かもしれない」
そう言うと虹はビクッと顔を強ばらせる。そりゃそうか、人身売買なんて聞いて驚かないわけが無い。
「咲に聞いた話だ。 あの村は昔から国からかけ離れたような村だ。それだけ悪事をするのにはもってこいの場所だった。 だから、昔……火事が起こる前、奴隷オークションの会場として使われていたんだ。 聞こえる声が奴隷だったのかもしれないし、その奴隷の身近な人で、その事を恨んで今、復讐しに来たのかもしれない。 ……多分、虹が『皆死んだでしょ』の声が楽しそうだったのは、犯人がその子だから……かもしれない。 今は全部憶測でしか物を話せない、分かってくれ」
虹は何が何だか分からないという顔をしている。表世界に、虹のいた世界で奴隷オークションなんて聞くことはないだろう。 実際、虹のいた日本ではなかっただろう。
虹の中にいる、たった一人だけ、近くにいなくても声を聞くことが出来る対象の人間は、とんでもない罪を重ねている。 そもそも、国、世界の人間を皆殺しにすることを計画し、どうやったのか謎の生物を作り出している。
虹がいなければ、H大学の事件の計画犯も、うつけ村での大火事の犯人も分からず終いだった。
情けなく思う。国の機関でありながらこの子に助けられてようやく情報が掴める。あの頃は知ろうともしなかった犯人を今になって分かる。
あの時に犯人が、その子が捕まっていれば今の脅かされる世界はなかったのかもしれない。
「……うつけ、村……いく、んです…か……」
小さく一瞬何を言っているのか分からなかったが、虹の声にハッとした。虹は自分の手を重ね合わせ、膝の上で意味もなく動かしている。
……うつけ村で何か起こることも、虹が向こうの興味……ターゲットになってしまったことも分かっている。 人に狙われることも無かった子供が急に最も危険とされる人間に狙われることになった。
虹はそれを知りながらうつけ村に行きたいと思うはずがない。 それは誰だってそう思っただろう。虹の立場になってしまえば、もうここから一歩も出たくないだろう。
「……怖いかい、行きたくないよな」
俯いて、徐々に申し訳なさそうに首を縦に振る虹の頭を撫でる。少しビクッと身体を揺らし、もしかしたら叩かれるとでも思ったのだろうか。
「うん、君はこのことに責任なんてないから、行かなくて良い。 無理はするべきではない」
そう声をかけると虹は1度目を見開いてから泣きそうな顔で笑う。
「……きっと、朝霧さんなら、そう言うと思った……」
膝の上でギュッと自分の手を握る虹は、「ははっ」と笑う。
「……でも、きっと僕が行かなかったら……ダメなんだよ、きっとこの声が僕にしか聞こえてこないのは、何か意味があるから、僕は逃げちゃ、ダメ、なんだ……」
こちらに来て早々に化け物に遭遇、それに狙われ、重症を負い、すぐに今まで私たちがたどり着けなかった犯人の中心核の近くにいるだろう人物と接触を果たした虹は、きっとその子にたどり着く。良い結果か悪い結果かは分からないけれど。
「……行くよ、これは……話したくなかった過去を話してくれたお礼だよ」
虹は初めて子供らしく笑った。息子が親に何かプレゼントする時みたいに笑った。
そのプレゼントは、虹の命だ。
この子は自分の命を私たちに預けた。 とても重たいプレゼントだ、無くす訳にも壊す訳にもいかない。
「…………虹、ごめんな」
久々に人に『ごめんね』ではなく、『ごめんな』を使った。
虹に自分の過去について話したからだろうか、それとも今までのように上っ面だけでなく心の底からこの子に悪いと思っているかなのだろうか
あと4日……というのに分からないことが山積みである。4日後、悪人たちを懲らしめる……、あの大火事の犯人が今追っている化け物を作り出した張本人、この世界で最も危険視される人物だとしたら、その子が言う「悪人たち」って誰だ。火事の犯人ではない……「あの日の悪人たち」
まずあの日は、本当に大火事の日を表しているのか?
……うつけ村に関係する悪人……たち……。
一つ一つゆっくりと考えれば答えは見えてくる。だが、それだったとしてその子はなんで、懲らしめる……何か罰を与える気なんだ? もともと奴隷の1人だった? でもそれじゃあ火事を起こしたとは考えにくい。
きっと、これは可能性の話だが悪人たちは、あの日のオークション会場で買う側の人間たちのことだ。
あの日に何故殺さず逃がしたのか、何故わざわざ今になって何か罰を与えるのかは分からない。しかし、悪人たちとして考えられるのはそいつらくらいしかいない。
「……あ、朝ぎ、りさん?」
まずはあの日オークション会場にいた人間を調べること……、あと火事の犯人について調べることが必要だ。
頭の中で計画を立てていく。
「……虹、もしかしたらその悪人っていうのは、あの村で行われていた人身売買、奴隷オークションに関連する人間かもしれない」
そう言うと虹はビクッと顔を強ばらせる。そりゃそうか、人身売買なんて聞いて驚かないわけが無い。
「咲に聞いた話だ。 あの村は昔から国からかけ離れたような村だ。それだけ悪事をするのにはもってこいの場所だった。 だから、昔……火事が起こる前、奴隷オークションの会場として使われていたんだ。 聞こえる声が奴隷だったのかもしれないし、その奴隷の身近な人で、その事を恨んで今、復讐しに来たのかもしれない。 ……多分、虹が『皆死んだでしょ』の声が楽しそうだったのは、犯人がその子だから……かもしれない。 今は全部憶測でしか物を話せない、分かってくれ」
虹は何が何だか分からないという顔をしている。表世界に、虹のいた世界で奴隷オークションなんて聞くことはないだろう。 実際、虹のいた日本ではなかっただろう。
虹の中にいる、たった一人だけ、近くにいなくても声を聞くことが出来る対象の人間は、とんでもない罪を重ねている。 そもそも、国、世界の人間を皆殺しにすることを計画し、どうやったのか謎の生物を作り出している。
虹がいなければ、H大学の事件の計画犯も、うつけ村での大火事の犯人も分からず終いだった。
情けなく思う。国の機関でありながらこの子に助けられてようやく情報が掴める。あの頃は知ろうともしなかった犯人を今になって分かる。
あの時に犯人が、その子が捕まっていれば今の脅かされる世界はなかったのかもしれない。
「……うつけ、村……いく、んです…か……」
小さく一瞬何を言っているのか分からなかったが、虹の声にハッとした。虹は自分の手を重ね合わせ、膝の上で意味もなく動かしている。
……うつけ村で何か起こることも、虹が向こうの興味……ターゲットになってしまったことも分かっている。 人に狙われることも無かった子供が急に最も危険とされる人間に狙われることになった。
虹はそれを知りながらうつけ村に行きたいと思うはずがない。 それは誰だってそう思っただろう。虹の立場になってしまえば、もうここから一歩も出たくないだろう。
「……怖いかい、行きたくないよな」
俯いて、徐々に申し訳なさそうに首を縦に振る虹の頭を撫でる。少しビクッと身体を揺らし、もしかしたら叩かれるとでも思ったのだろうか。
「うん、君はこのことに責任なんてないから、行かなくて良い。 無理はするべきではない」
そう声をかけると虹は1度目を見開いてから泣きそうな顔で笑う。
「……きっと、朝霧さんなら、そう言うと思った……」
膝の上でギュッと自分の手を握る虹は、「ははっ」と笑う。
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こちらに来て早々に化け物に遭遇、それに狙われ、重症を負い、すぐに今まで私たちがたどり着けなかった犯人の中心核の近くにいるだろう人物と接触を果たした虹は、きっとその子にたどり着く。良い結果か悪い結果かは分からないけれど。
「……行くよ、これは……話したくなかった過去を話してくれたお礼だよ」
虹は初めて子供らしく笑った。息子が親に何かプレゼントする時みたいに笑った。
そのプレゼントは、虹の命だ。
この子は自分の命を私たちに預けた。 とても重たいプレゼントだ、無くす訳にも壊す訳にもいかない。
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