転生貴族のスローライフ

マツユキ

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翌朝、テントから出ると朝日が暖かく出迎えてくれた

バハトの言った通り、日が昇ったからかあの生物は姿を消し、美しい平原に戻っていた

「昨日の事が嘘みたいだな…」

地獄の様な景色が嘘だったみたいだ。草原には、魔物達も戻っており穏やかな時間がながれている

「おや、もう起きておられたのですね。あぁ…あの生物はいなくなったんですね。バハトさんの言う通り、あの生物は夜にのみ現れる、と言うのは間違っていなかったと言う事だったのでしょう」

バルトが呟くように言った。昨夜はみんなあの生物を見て、顔が引きつっていたからな。強者である皆にとっても、あの生物とはかかわりたくは無いみたいだ

「中心部までどの位かかるのか分からない。早めに出発しよう」

「そうですね。都合よくこの洞窟があるとは限りません。早めに出発する事にこした事はないでしょう。皆を呼んでまいります」

そう言ってバルトはテントに戻っていった

バルトの言う通りだ。この洞窟が僕達の進んだ場所にあるとは限らない。だからこそ、少しでも早く中心部に行く必要がある


暫くして、準備を終えた皆が出て来た。昨日の事で精神的に参っていたのか、あまり眠れていない人もいたみたいで、疲れが見える

「じゃ、出発しよう」

「そうじゃな。中心部までは儂も行った事は無いが、幸いにも白虎殿が知っているからな。道に迷う事はないだろう」

『うむ。中心部はここからそう遠くはない。今日中にはつくだろう。アレは平原にしか出現しないから、安心されよ』

道を知っている白虎を先頭に、僕達は出発した




――――――出発してから数時間後


目の前には果ての無い砂丘が広がっていた

「…これが、最果ての地の中心部か…」

見渡す限り枯れた土、いや砂と言うべきだろう。終わりの無い、そんな表現がしっくりと来るほど、砂丘が広がっていた

水も無く枯れた大地は、所々地面に亀裂が入り、そんな大地に当然のごとく緑は何処にも見当たらない

「想像はしていたが…凄いな」

ダノバスがボソリと言った

当然だろう。こんな大地で生きて行けるのか。そう考えた時にたどり着く答えは、否だ

「…大丈夫です。1人だったら、大丈夫じゃないかもしれませんけど、私達は1人ではありませんから!」

ニッコリと元気よく言ったのはミーニャだった。一瞬、苦し紛れにそう言ったのかと思ったけど、どうやら違ったらしい

ミーニャの顔に、後悔は見えなかったから

「…そうだね。ミーニャの言う通りだ!僕だけだったら、やっていけない…ううん、それ所かここまで来れてなかったと思う。だけど、僕には皆が居てくれる。だから、大丈夫だ。みんなもそうでしょ?僕達には、頼れる仲間がいるんだからさ!」

「…マリス様」

「まぁ…!」

バルスとカリナの夫婦が、感極まった様に目を潤ませて僕を見ていた。止めてくれ、恥ずかしいから

「ほ、ほら!早速、僕達の拠点を決めないと!」

ずっと、見て来る視線に恥ずかしくって、先を促してみたは良いけれど、これ進んでも進んでも砂漠?だよね

だったら、何処にいっても一緒かもしれないな

「マリス様の言う通りだね。さっさと拠点を決めて、生活の基盤を整えないと。それに、ここは最果ての地。つまり、未開の大地だから何があるか分からない。調査もしないとね!」

何処か嬉しそうに…いや、興奮したようにウキウキとして見えるのは気のせいかな?

「あいつ…暴走しなければ良いがな…」

「暴走?」

不吉な言葉をボソリと言ったダノバス

「あぁ、マリス様は知らないのか。あいつはな、良く言えば探究心があるが、行き過ぎる事が多々あってな。特に未知の物とか、未開のとか。誰も知らない事を探究する事が好きみたいでな。それは良いんだ…良いんだがな…」

ダノバスの顔を見る限り、コリンの暴走は何度もあったのだろうと察した

「ま、いいじゃないか。探究心があるのと無いのとじゃ、雲泥の差が出る事だってあるんじゃ。求める心が今は大事じゃよ」

朗らかに笑いながら、バハトが言った。確かにその通りだなとも思う。僕がそうだったから

興味のある事を、知れる喜びは僕の心を温かくしれくれた。屋敷にいた時は、僅かな時間しか取れなかったけど、屋敷を出た今、それが毎日続くと思うととても嬉しいものだ

「俺は、あんたも心配なんだよ!暴走なんかするなよ!?あんたが暴走したら、可愛げ何てあったもんじゃないんだからな!」

念を押す様にバハトに詰め寄っている。これは、過去バハトもコリンと同様に暴走してきたんだろうな…

「何を言う!儂は暴走などせんわ!」

バハトはダノバスの頭を叩くと、さっさと何処かに行ってしまった

ダノバスの背中が不憫に思えてしまって、肩を軽く叩いた

「…き、きっと大丈夫だよ」

こんな言葉しかかける事が出来ない僕を、許してくれ

「…くっ…!」

僕が慰めているって気づいたのか、ダノバスの目に薄らと涙が幕を張っていた



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