裏切りの先にあるもの

マツユキ

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ーーーーツェザーリ家



「お母様!また晩餐会が催されるって本当ですの?」

「本当よ。今日は早速あなたの衣装を選びに行こうと思っていたのよ」

「本当!?早く行きましょう!」

「あらあら、そんなにせかさないで頂戴」

「時間が惜しいですわ!今回の晩餐会はいつもよりも華美なドレスがいいの!」

「分かっています、準備は出来ているの?」

「出来ていますわ!」

「ふふふ、では出かけましょうか」

モリスとキャロルは笑いあいながら馬車に乗り街へ出かけて行った



「奥さまとキャロル様は出かけたか…」

執事長のセルバは重い溜息をこぼす

「……この屋敷にはセシルお嬢様もいらっしゃると言うのに…」

「…そうですよ!セシルお嬢様にドレスを買ってこられた事なんて一度もないわ!」

セルバがメイドたちを諌める事は無かった

「お給金の事だって…今屋敷に居る者は皆、旦那様が無理をして用立ててくださっているは知っているのよ!」

「今使用人が辞めないのは単に旦那様とセシルお嬢様が居るから。それだけよ!」

モリスとキャロルの豪遊やセシルやロイドの現状にただ仕える事しか出来ない自分にも歯がゆさを感じているのだ

「……私たちは仕える事しかできない。だから、少しでも不便の無いよう務めさせていただこう」

「…私たちに出来る唯一のことですから」

「えぇ、出来る事はやらねば…」

セルバは恥をしのんで自分たちの為に走りまわる主人の姿を思っていた

「…旦那様とお嬢様が幸せになれる日は来るのだろうか」

「セルバ様…」

「……来てほしい。心からそう思わずにはいれません…」






ーーーーセシル




「…今日は屋敷が静かだわ」

何時もなら姉のキャロルが騒々しくしているのだが、今日は朝から声が聞こえない

「……?何かあったのかしら」




コン コン


「どうぞ」

入って来たのは執事長のセルバだった

「お嬢様、朝食の準備が整いました。」

「分かりました」

朝食に向かうため部屋を出るセシル

食卓には一人分の食事のみが準備されていた

「…わたくしの分だけですか?お父様たちはいないの?」

「……旦那様は陛下に召され現在は王宮におられます。奥様とお嬢様は…近々催される晩餐会の…」

「……衣装を見に街へ行かれたのね。」

「……はい」

「分かりました。」

そう言うとセシルは朝食をとり始めた。

朝食を取り終え自室に戻ったセシルは本棚から一冊本を取りいつもの定位置である窓際に置かれた椅子に腰かけ本を開いた

幾分かたった時



コン コン



「……どうぞ」

入って来たのは使用人のメリーだった

「メリー…どうしたの?」

「お嬢様にお荷物が届いております」

とても嬉しそうに笑うメリーにセシルは不思議に思った

(わたくしに荷物なんて初めてだわ……いったいどなたからかしら)

荷物をメリーから受け取り箱の蓋をあけるとそこには華美ではあるが上品さもあるとても素敵なドレスが入っていた

「!!まぁ…とても素敵なドレスね…」

「本当に……あっお嬢様まだお荷物があるんですよ!」

その言葉と同時に使用人のカリアが少し小ぶりの荷物を数個抱え入ってきた

「お嬢様!こちらで全部です」

「ずいぶん沢山あるのね…いったいどなたからなの?」

「お嬢様、先に残りの荷物もあけられてください!」

カリアが少し興奮気味に言う

「……?えぇ、分かったわ」

言われた通り残りの箱を開けて行く

一番大きな箱にはドレスに合うように豪華な宝石が散りばめられているが上品な靴が入っていた

「素敵ねぇ……」

メリーがため息をつきながら言う

次に大きな箱にはドレスとあったシンプルではあるが上品でとても美しい首飾りが入っていた

最後の箱には首飾りと対の耳飾りが

「本当に素敵なものばかり……メリーこれはいったいどなたからなの?」

「カーティス公爵様からです」

「え!アランから!?」

「さようです。」

「……アラン」

アランが贈った衣装たちを見ながらセシルは喜びで一杯だった

クリフと婚約していた時は贈り物などもらった事がないのだから

初めての事でとても嬉しかったのだ

「良かったですね!お嬢様とてもお似合いになりますよ!」

「もちろんお似合いになるに決まってるじゃない!」

メリーとカリアが自分の事のように喜んでくれている。セシルは自分がこんなに幸せでいいのだろうかと思った

成長するにつれロイドの置かれた状況は何となく理解していた。だからこそ困らせまいと幼いながらに姉たちからの仕打ちに耐えわがまますら言わなかったのだ

「……でも、これがお姉様にしれたら」

「大丈夫です!今屋敷には使用人とセルバ様しかいません」

「そうですよ!それにちゃんと私達が守ってみせます!」

正義感あふれる言葉に笑みをこぼす

「ふふ、ありがとう」

晩餐会まであとわずか。不安は残るセシルだが暖かい贈り物と言葉に胸が熱くなるのを感じていた
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