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「使用人ごときが!男爵令嬢である私に対しての礼がなっていないわ!」
ジルダの説明も理解できていないのか、先程から同じことを何度も叫んでいる。カナリアは自分は男爵令嬢であるのだから、敬えと。しかし、それを言うならばセシルは公爵である
「先ほどから、侍女長が申しておりますが。この屋敷には男爵家の者が多く務めています。また上の爵位を持つものもおります。それゆえ侍女と言えど、お言葉にはお気をつけを」
「な!無礼な…!」
「無礼なのはどちらかしらね」
カナリアの後ろから凛とした声が聞こえた。そこに立っていたのは、アランの母親であるメリル・カーティスその人であった
「お義母様…」
「セシル、久しいわね。元気にしていたかしら」
優しく微笑みながらセシルの元に歩み寄る
「つつがなく過ごしています。お義母様もお元気そうで何よりです」
アランの母、メリルに対し綺麗な礼をとるセシル。そんなセシルをメリルは慈しむように微笑んでいた
「此方に用事があったから立ち寄ったの。連絡もせずにごめんなさいね」
「そんな!お会いできて嬉しいですわ」
笑顔で包容し再会を喜ぶ二人を、使用人たちは穏やかに見つめていた。そんな和やかな、穏やかな雰囲気を無視した声が響いた
「まぁ!アラン様のお母様!?」
空気を読まないカナリアの大きな声が、先程までの穏やかな表情を一気に歪めさせる。メリルはカナリアに向き直り、セシルに問うた
「…所でセシル、このご令嬢は?」
「…ゴールディン男爵令嬢のカナリア様です」
「ゴールディン…あぁ、では彼女がアランの言っていたご令嬢ね」
メリルの『アランが言っていた』の部分に過剰に反応したカナリアは嬉々としてメリルに駆け寄った。下位の爵位の者が、上位の者に対してとる行動ではなく、それでなくてもメリルのカナリアを見る目はとても冷たいものだった
「アラン様が!お母様にお伝えするほどにっ!」
カナリアの目は『恋する者』のそれではなく、すでにその恋情に囚われ、縛られているようにも見えてしまう。それほどに、アランを慕うカナリアの思いは狂気に近しいものがあった
「…あなたが思っている内容とは正反対のものであるけれど、所でどうしてこの屋敷にいるのかしら?屋敷の外で従者が困っていたわよ?」
「今日からこの屋敷に住むのです!正室は今は無理ですが、仕方がありませんもの!側室で我慢いたしますわ!今彼女と調度その話を…」
「たわけたことを…」
セシルを嘲笑うかの様な目を向け言っていたカナリアをメリルの冷たい声が遮る
「セシルはアランが求め、私たちも認めた正式なカーティス家の者。元より、アランはセシル以外の女性を娶る気はありません。たかだか男爵家の者が、公爵家の者に対しての礼儀すらなっていないとは。余程甘やかされて育ったのね。それとも、本当にお馬鹿さんなのかしら?今すぐに帰るのであれば、罰は免じますが…去らないと言うのであれば罰しますよ?」
メリルの言葉とその温度に顔を真っ青にしたカナリア。セシルをキッと睨み悔しそうに屋敷を後にした
「…はぁ、まったく。嵐の様なご令嬢ね。まったく人の話を聞かないんだもの」
「私が不甲斐ないばかりに…ご迷惑をおかけしました」
「いいえ、この件に関してはアランが悪いわ。毅然とした対応をしていなかったから、この様な結果になっただけよ。それに謝るのはこちらの方よ?婚儀を上げて早々に女性の問題だなんて。嫌な思いをさせたわ。ごめんなさいね」
「そんな…」
メリルの言うように、セシルはカナリアの存在が出てからと言うもの、心身ともに困憊していたのも正直なところだった。そしてメリルの『ごめんなさい』の中に含まれる意味も理解していた
これで終わった訳ではない。きっとこれからが踏ん張りどころなのだと
ジルダの説明も理解できていないのか、先程から同じことを何度も叫んでいる。カナリアは自分は男爵令嬢であるのだから、敬えと。しかし、それを言うならばセシルは公爵である
「先ほどから、侍女長が申しておりますが。この屋敷には男爵家の者が多く務めています。また上の爵位を持つものもおります。それゆえ侍女と言えど、お言葉にはお気をつけを」
「な!無礼な…!」
「無礼なのはどちらかしらね」
カナリアの後ろから凛とした声が聞こえた。そこに立っていたのは、アランの母親であるメリル・カーティスその人であった
「お義母様…」
「セシル、久しいわね。元気にしていたかしら」
優しく微笑みながらセシルの元に歩み寄る
「つつがなく過ごしています。お義母様もお元気そうで何よりです」
アランの母、メリルに対し綺麗な礼をとるセシル。そんなセシルをメリルは慈しむように微笑んでいた
「此方に用事があったから立ち寄ったの。連絡もせずにごめんなさいね」
「そんな!お会いできて嬉しいですわ」
笑顔で包容し再会を喜ぶ二人を、使用人たちは穏やかに見つめていた。そんな和やかな、穏やかな雰囲気を無視した声が響いた
「まぁ!アラン様のお母様!?」
空気を読まないカナリアの大きな声が、先程までの穏やかな表情を一気に歪めさせる。メリルはカナリアに向き直り、セシルに問うた
「…所でセシル、このご令嬢は?」
「…ゴールディン男爵令嬢のカナリア様です」
「ゴールディン…あぁ、では彼女がアランの言っていたご令嬢ね」
メリルの『アランが言っていた』の部分に過剰に反応したカナリアは嬉々としてメリルに駆け寄った。下位の爵位の者が、上位の者に対してとる行動ではなく、それでなくてもメリルのカナリアを見る目はとても冷たいものだった
「アラン様が!お母様にお伝えするほどにっ!」
カナリアの目は『恋する者』のそれではなく、すでにその恋情に囚われ、縛られているようにも見えてしまう。それほどに、アランを慕うカナリアの思いは狂気に近しいものがあった
「…あなたが思っている内容とは正反対のものであるけれど、所でどうしてこの屋敷にいるのかしら?屋敷の外で従者が困っていたわよ?」
「今日からこの屋敷に住むのです!正室は今は無理ですが、仕方がありませんもの!側室で我慢いたしますわ!今彼女と調度その話を…」
「たわけたことを…」
セシルを嘲笑うかの様な目を向け言っていたカナリアをメリルの冷たい声が遮る
「セシルはアランが求め、私たちも認めた正式なカーティス家の者。元より、アランはセシル以外の女性を娶る気はありません。たかだか男爵家の者が、公爵家の者に対しての礼儀すらなっていないとは。余程甘やかされて育ったのね。それとも、本当にお馬鹿さんなのかしら?今すぐに帰るのであれば、罰は免じますが…去らないと言うのであれば罰しますよ?」
メリルの言葉とその温度に顔を真っ青にしたカナリア。セシルをキッと睨み悔しそうに屋敷を後にした
「…はぁ、まったく。嵐の様なご令嬢ね。まったく人の話を聞かないんだもの」
「私が不甲斐ないばかりに…ご迷惑をおかけしました」
「いいえ、この件に関してはアランが悪いわ。毅然とした対応をしていなかったから、この様な結果になっただけよ。それに謝るのはこちらの方よ?婚儀を上げて早々に女性の問題だなんて。嫌な思いをさせたわ。ごめんなさいね」
「そんな…」
メリルの言うように、セシルはカナリアの存在が出てからと言うもの、心身ともに困憊していたのも正直なところだった。そしてメリルの『ごめんなさい』の中に含まれる意味も理解していた
これで終わった訳ではない。きっとこれからが踏ん張りどころなのだと
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