召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ

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「やはり…!」

「まさか、実在していたとは…」

『―――我の事など、今は良い』

「いいえ!これは一大事です、各国に通達を…」

「やめよ」

興奮したように言うラスディノを、サウストは静かに制止した

「陛下?」

「このような場に来られたのは、理由があっての事なのでしょう?」

『察しがいいな。左様だ、我が主は、異世界より召喚された。そして、牢に入れられていたと、主より聞いてな』

「…なっ!」

「…それが、ティルファイア王国だと申されるのですか?」

「この国の王子によって、牢に入れられた事が解っている。ステフ・キルグ・ティルファイアは、他にはおるまい?」

「…何と言う事だ」

サウストは愕然とする。グラハムから報告を受けて、調査はしていた。だが、一向に進まない調査に、そう言った事実は、無かったのではないのか。グラハムの勘違いなのでは、と思い始めていたのだ

しかし、目の前にいる黒き大狼、クロが言った。事実であると。そして、その言葉に、嘘など無い事も分かってしまった。召喚の義は、神聖な儀式として、各国間で厳しい取り決めがされている。この事が、知れれば戦争になってしまう可能性は、高い

「ラスディノ、すぐに再調査だ。お前が直接調べよ」

「―――承知致しました」

ラスディノには特殊な力があった。攻撃魔法や治癒魔法が出来ないラスディノは、探知魔法に優れていたのだ

その力の1つに、その場所で何が起こったのかを、見ることが出来る魔法があった。これは時が遡れば遡る程、負担が大きくなるため、ラスディノ自身も殆ど使わない

この力があれば、数時間もあれば真実は明るみに出る

ラスディノは神妙な面持ちで、執務室から出ていった

「申し訳無いことをした。だが、知らなかったでは済まされません。謝罪を、」

『無用だ。主には我らがおるゆえな。だが、主を探す事は許さぬ』

「…私が不甲斐ないばかりに、」

サウストは自分を叱責していた。自分なら、自分にしか防げなかった事であるのにと

『ふむ、本当はもっと怒り狂ってやろうと思っていたのだが、そなたの周りには、精霊が沢山いる。好かれているのだな…精霊が好む人間に、悪いものはおらぬ。人の王よ、そう嘆くな。主は幸運な方だった』

「しかし…」

『言ったであろう?、と。どうやら頻繁に行われていたようだな』

「…ッ!」

『主のことはよい。他の者を探すことだな』

そう言ってクロは霞となって消えた

「頻繁に、だと?おのれ…召喚の義を私物としたのか!?」

サウストの怒りは募っていく

数分後、無言で拳を固く握りしめたサウストの元に、ラスディノが戻って来た

その顔は怒りで染まっている

「…陛下、もたらされた情報は全て真実でした。更に、」

「召喚の義は、頻繁に行われていた、か?」

「…なぜそれを!…左様です。三年前、ステフ王子が担当するようになってから、8回行われていた事が分かりました。見目の優れた者は、ステフ王子が囲われ、そうで無い者は携わった者達が、囲っているようです」

「おのれ…!」

「更に、男性に至っては牢に。囲われなかった女性もしかり。牢は十年前から使用されなくなった場所で、食事は勿論、衛兵すら付けずに、放置されていました。幸いな事に、牢に入れられた方は、全員ご自身で出ていかれています」

「何が幸いな事か!おのれ!召喚の義に携わった者を集めよ!召喚された者達もだ!」

「承知いたしました」

現在の時刻は夜の11時過ぎである

本来なら、明朝執り行わなければならない事であったが、そんな事はサウストには関係のないことだ


―――数時間後

玉座に座るサウストの前には、100人程の人が集められていた

「…なぜ、この場に呼ばれたか…理解しているか?…ステフ」

「…い、いえ。検討もつきません…」

そう言ったステフの顔は、真っ青だった。召喚された者達、関わった者達の、家族以外もステフ同様、真っ青である

「…召喚の義について聞きたい事がある」
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