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第二章 新たな出会い
第十話
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~ラシード~
「シェリ…愛している…」
自然と、当たり前のように口から出た言葉だった
(あぁ、初めてあったあの時からシェリの事を愛してしまったんだな…)
「早く目覚めてくれ…」
晴れやかな気分だった。どうしようもなく焦がれる事など今まで一度も無かったがゆえに、この気持ちが何なのか分からなかったから
優しく微笑みシェリの頭を撫でる。早く目覚める様にと願いを込めて
数分がたっただろうか、シェリの瞳がゆっくりと開いた
「っ!シェリ!」
「ラ、シード…さん?」
「痛いところはないか?」
「少し頭が…でも、大丈夫です…」
「よかった…」
シェリが起き上がろうとしたため背中に手を添えゆっくりと起こす
「あまり無理をするな…」
「大丈夫です…ここは…?」
辺りを見渡すと高価な調度品に囲まれた豪華な部屋だった
「私の自室だ、安心してくれ」
「…ラシードさんの自室?僕は森にいたんじゃ……っあ、あの子はどうなりましたかっ?」
「あの子…あぁ、『竜の子』の事か。大丈夫、生きているよ」
「よかった…」
ホッと安堵した時
キュィィー!
開いていた扉から黒い物体が勢いよくシェリをめがけて飛んできた。黒い物体を何とか受け止めたシェリは腕の中を見た
「お前…!元気になってよかった…」
「キュィッ!キュッキュッ」
黒い物体は漆黒のドラコンだった。まだ小さなその体をシェリは優しく撫でる
「シェリ、目覚めましたね」
扉の方から落ち着いた声が聞こえた
「セオドール殿!今までどちらに?…いや、それよりもお聞きしたいことが…」
「ジェラルド…分かっています。その話は後程いたしましょう」
「…分かりました」
穏やかだが有無を言わさぬ目でジェラルドをみつめていた
(セオドール殿は昔から怖い!逆らったりなんてできねぇ…)
「セオドール、今まで何処にいたのだ?」
「帰郷しておりました。その子が飛び出して行ってしまいましたので戻った次第です」
「そうか…」
色々と戸惑うことばかりだがシェリの事が気になるラシードはベッドへ視線を移す
ベッドにはスヤスヤと穏やかな寝息をたてるシェリがいた。その傍らにはまるでシェリを守っているかのように『竜の子』がいる
「先ほど目を覚ましたばかりだが……余程つかれていたのだろう…」
「ラシード様、シェリはその子がいれば大丈夫です。別室へ」
「あぁ、そうしよう」
(離れがたい。いや、離れたくない…だな)
自身の感情に苦笑いしながらラシードは部屋を後にする
ーーーーー
バタンッ
扉がしまる
『愛し子。我の命を救ってくれた…今度は我がそなたを守る番だ』
人から必要とされず、捨てられてから始まったシェリの命
次第に増えていく守ろうとする者達
定められた使命
幸せへの階段を一歩ずつゆっくりと
愛しい者が心から笑顔でいられるよう
「シェリ…愛している…」
自然と、当たり前のように口から出た言葉だった
(あぁ、初めてあったあの時からシェリの事を愛してしまったんだな…)
「早く目覚めてくれ…」
晴れやかな気分だった。どうしようもなく焦がれる事など今まで一度も無かったがゆえに、この気持ちが何なのか分からなかったから
優しく微笑みシェリの頭を撫でる。早く目覚める様にと願いを込めて
数分がたっただろうか、シェリの瞳がゆっくりと開いた
「っ!シェリ!」
「ラ、シード…さん?」
「痛いところはないか?」
「少し頭が…でも、大丈夫です…」
「よかった…」
シェリが起き上がろうとしたため背中に手を添えゆっくりと起こす
「あまり無理をするな…」
「大丈夫です…ここは…?」
辺りを見渡すと高価な調度品に囲まれた豪華な部屋だった
「私の自室だ、安心してくれ」
「…ラシードさんの自室?僕は森にいたんじゃ……っあ、あの子はどうなりましたかっ?」
「あの子…あぁ、『竜の子』の事か。大丈夫、生きているよ」
「よかった…」
ホッと安堵した時
キュィィー!
開いていた扉から黒い物体が勢いよくシェリをめがけて飛んできた。黒い物体を何とか受け止めたシェリは腕の中を見た
「お前…!元気になってよかった…」
「キュィッ!キュッキュッ」
黒い物体は漆黒のドラコンだった。まだ小さなその体をシェリは優しく撫でる
「シェリ、目覚めましたね」
扉の方から落ち着いた声が聞こえた
「セオドール殿!今までどちらに?…いや、それよりもお聞きしたいことが…」
「ジェラルド…分かっています。その話は後程いたしましょう」
「…分かりました」
穏やかだが有無を言わさぬ目でジェラルドをみつめていた
(セオドール殿は昔から怖い!逆らったりなんてできねぇ…)
「セオドール、今まで何処にいたのだ?」
「帰郷しておりました。その子が飛び出して行ってしまいましたので戻った次第です」
「そうか…」
色々と戸惑うことばかりだがシェリの事が気になるラシードはベッドへ視線を移す
ベッドにはスヤスヤと穏やかな寝息をたてるシェリがいた。その傍らにはまるでシェリを守っているかのように『竜の子』がいる
「先ほど目を覚ましたばかりだが……余程つかれていたのだろう…」
「ラシード様、シェリはその子がいれば大丈夫です。別室へ」
「あぁ、そうしよう」
(離れがたい。いや、離れたくない…だな)
自身の感情に苦笑いしながらラシードは部屋を後にする
ーーーーー
バタンッ
扉がしまる
『愛し子。我の命を救ってくれた…今度は我がそなたを守る番だ』
人から必要とされず、捨てられてから始まったシェリの命
次第に増えていく守ろうとする者達
定められた使命
幸せへの階段を一歩ずつゆっくりと
愛しい者が心から笑顔でいられるよう
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