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第五章 精霊
第三十三話
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『ん…』
眠っていた精霊の瞼が動く。ゆっくりと開かれる瞼からエメラルドのように美しく輝く瞳が覗く
『…ここ、は?…に、人間!?』
いつの間にか精霊を抱きしめていたシェリの存在に気付き、精霊は異常な程に怯える
そんな精霊から伝わる振動に気付いたシェリはゆっくりと閉じていた目を開ける
「大丈夫、大丈夫だよ」
シェリは精霊の頭を、優しくゆっくりと撫でた。暖かくも愛情を感じる手に、精霊は恐る恐るシェリを見る
「あっ…あっ…」
「大丈夫だよ」
精霊の瞳は次第に涙の膜に覆われ、目から止めどなく溢れだしていく
「あっ…き、来て…くれた…」
抱きしめていたシェリにすがり付く様に、何度も何度もシェリを引き寄せようとする
「うん。遅くなってごめんね。気づいてあげられなくて、ごめんね」
「うう、ん。気づいて、くれたっ…来て、くれたっ…あり、がとうっ」
「うんっ…」
精霊が落ち着くまで、シェリは頭を撫でたり背中を擦ったりしていた
しばらくたって、ようやく精霊が落ちつきを取り戻し、アティアスとヴァルは事の経緯を精霊に訪ねる
そうして分かったことは、やはり禁忌である魔具で捕らわれ、また別の魔具で封印されていた事
そしてそれらは召喚された時に行われた事
目的はハッキリと分からないが、上位精霊が必要だと言う事だけは確かだった
「何かの儀式をするつもりだったのでしょう。それが何か迄は分かりませんが」
アティアスは考え込む様に目を瞑る
『一つ確かなことは、ただの儀式ではないと言う事か』
「えぇ。上位精霊を無理矢理捕らえてまで遂行しようとする儀式。確実に禁忌とされるものでしょう」
精霊、しかも上位精霊の協力が必要な儀式は多くは無いが、数個程存在している。そしてその殆どが禁忌とされている。その一つに、世界に恵みをもたらすもので、遥か昔世界が枯れ生命が消えつつあった時に、大賢者と呼ばれた魔導師が、世界を救う為に行った儀式であった
それは確かに世界を潤し、生命は再び息をふきかえした。だが、何時の時代も傲慢な人間はいるものだ。恵みを知った人間は、更に恵みを求め、謙虚さを忘れ醜く争い、そして命を落としていった
嘆き、己に責任を感じた大賢者は儀式を封印し葬った。誰の手にも渡らぬように
その他にも禁忌とされる儀式はあるが、中でも最大の禁忌とされる儀式が存在する。それは精霊を贄とし行う儀式である
(可能性は濃厚、か…)
アティアスがそう思った時だった
「どんな事か何てどうでも良いよ。精霊を利用して害したと言う事実だけで充分だ。絶対に許さない…」
静かなこえで、そう言ったシェリの瞳は怒りに染まっていた
眠っていた精霊の瞼が動く。ゆっくりと開かれる瞼からエメラルドのように美しく輝く瞳が覗く
『…ここ、は?…に、人間!?』
いつの間にか精霊を抱きしめていたシェリの存在に気付き、精霊は異常な程に怯える
そんな精霊から伝わる振動に気付いたシェリはゆっくりと閉じていた目を開ける
「大丈夫、大丈夫だよ」
シェリは精霊の頭を、優しくゆっくりと撫でた。暖かくも愛情を感じる手に、精霊は恐る恐るシェリを見る
「あっ…あっ…」
「大丈夫だよ」
精霊の瞳は次第に涙の膜に覆われ、目から止めどなく溢れだしていく
「あっ…き、来て…くれた…」
抱きしめていたシェリにすがり付く様に、何度も何度もシェリを引き寄せようとする
「うん。遅くなってごめんね。気づいてあげられなくて、ごめんね」
「うう、ん。気づいて、くれたっ…来て、くれたっ…あり、がとうっ」
「うんっ…」
精霊が落ち着くまで、シェリは頭を撫でたり背中を擦ったりしていた
しばらくたって、ようやく精霊が落ちつきを取り戻し、アティアスとヴァルは事の経緯を精霊に訪ねる
そうして分かったことは、やはり禁忌である魔具で捕らわれ、また別の魔具で封印されていた事
そしてそれらは召喚された時に行われた事
目的はハッキリと分からないが、上位精霊が必要だと言う事だけは確かだった
「何かの儀式をするつもりだったのでしょう。それが何か迄は分かりませんが」
アティアスは考え込む様に目を瞑る
『一つ確かなことは、ただの儀式ではないと言う事か』
「えぇ。上位精霊を無理矢理捕らえてまで遂行しようとする儀式。確実に禁忌とされるものでしょう」
精霊、しかも上位精霊の協力が必要な儀式は多くは無いが、数個程存在している。そしてその殆どが禁忌とされている。その一つに、世界に恵みをもたらすもので、遥か昔世界が枯れ生命が消えつつあった時に、大賢者と呼ばれた魔導師が、世界を救う為に行った儀式であった
それは確かに世界を潤し、生命は再び息をふきかえした。だが、何時の時代も傲慢な人間はいるものだ。恵みを知った人間は、更に恵みを求め、謙虚さを忘れ醜く争い、そして命を落としていった
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その他にも禁忌とされる儀式はあるが、中でも最大の禁忌とされる儀式が存在する。それは精霊を贄とし行う儀式である
(可能性は濃厚、か…)
アティアスがそう思った時だった
「どんな事か何てどうでも良いよ。精霊を利用して害したと言う事実だけで充分だ。絶対に許さない…」
静かなこえで、そう言ったシェリの瞳は怒りに染まっていた
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