35 / 36
第六章 精霊の愛し子
第三十四話
しおりを挟む
「許さない…」
シェリが再び口にすると、心と呼応するかのように空間が歪む
「うっ…ゆ、許さない…!」
シェリは頭を抱えるようにして、呻きながら繰り返す
『こ、これは!』
ヴァルが言った
「う、うあああぁぁぁ!」
シェリが叫んだ瞬間、時が止まった
『いけないよ、愛しい子』
止まった時の中、鈴を転がす様な声が聞こえた。すると、突如何もない空間が口を開ける
姿を現した声の主は、高い身長に膝迄伸びた長い髪、男性とも女性ともとれる中性的な容貌をしていた
『お前達、何時まで止まっているんだい』
そう言って、ヴァルとアティアスに手をかざす
『お主!』
ヴァルが驚愕に目を見開く
『ま、まさかお前が出てくるとは…』
アティアスは唖然とする
『お前が不甲斐ないからさ、アティアス』
『くっ…』
『はぁ…まぁ、いくらお前だとしてもこれは防げまいて』
『相変わらすだな、ディノス。時の精霊王よ』
ヴァルが何処か呆れたように言った
『そう誉めてくれるな』
(断じて誉めてなどいないぞ!)
口をヒクヒクさせながら、ヴァルは激しく否定する。もちろん声に出さずに
『ディノス、すまない。助かったよ』
『いいんだ。愛しい子の為だものね』
そう言うとディノスは優しくシェリの頭を撫でた
優しい、穏やかな時が流れる。しかし、アティアスは考えていた
今しがたのシェリは間違いなく暴走していた。怒りが引き金となり、シェリの中で溜まっていた負の感情が溢れたのだろう
力ない者ならば、さして問題はないがシェリは愛し子だ
だが、アティアスはそれが異常だと感じた。今までの愛し子も怒りや悲しみ、妬みや嫉妬の感情を持ってしまう者もいた
溜まった負の感情は暴走したが、シェリは明らかに異常だったのだ
『そう、滅ぶ所だったからね』
ディノスがアティアスの考えが分かっているかの様に言った
シェリが再び口にすると、心と呼応するかのように空間が歪む
「うっ…ゆ、許さない…!」
シェリは頭を抱えるようにして、呻きながら繰り返す
『こ、これは!』
ヴァルが言った
「う、うあああぁぁぁ!」
シェリが叫んだ瞬間、時が止まった
『いけないよ、愛しい子』
止まった時の中、鈴を転がす様な声が聞こえた。すると、突如何もない空間が口を開ける
姿を現した声の主は、高い身長に膝迄伸びた長い髪、男性とも女性ともとれる中性的な容貌をしていた
『お前達、何時まで止まっているんだい』
そう言って、ヴァルとアティアスに手をかざす
『お主!』
ヴァルが驚愕に目を見開く
『ま、まさかお前が出てくるとは…』
アティアスは唖然とする
『お前が不甲斐ないからさ、アティアス』
『くっ…』
『はぁ…まぁ、いくらお前だとしてもこれは防げまいて』
『相変わらすだな、ディノス。時の精霊王よ』
ヴァルが何処か呆れたように言った
『そう誉めてくれるな』
(断じて誉めてなどいないぞ!)
口をヒクヒクさせながら、ヴァルは激しく否定する。もちろん声に出さずに
『ディノス、すまない。助かったよ』
『いいんだ。愛しい子の為だものね』
そう言うとディノスは優しくシェリの頭を撫でた
優しい、穏やかな時が流れる。しかし、アティアスは考えていた
今しがたのシェリは間違いなく暴走していた。怒りが引き金となり、シェリの中で溜まっていた負の感情が溢れたのだろう
力ない者ならば、さして問題はないがシェリは愛し子だ
だが、アティアスはそれが異常だと感じた。今までの愛し子も怒りや悲しみ、妬みや嫉妬の感情を持ってしまう者もいた
溜まった負の感情は暴走したが、シェリは明らかに異常だったのだ
『そう、滅ぶ所だったからね』
ディノスがアティアスの考えが分かっているかの様に言った
21
あなたにおすすめの小説
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
特技は有効利用しよう。
庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。
…………。
どうしてくれよう……。
婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。
この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる