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第二章 黒神子・妖精喰いのヨーミコワ編
2-14.ルナの失意
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2ー14.ルナの失意
ザドは急いで走ってきたのか荒い息を頻りに吐いていたが直ぐに息を整えると、蛾の妖精のルナを見ながら邪悪な笑みを溢す。
「ありもしない希望を抱くのはやめるんだな。俺が今からお前に残酷な現実を突きつけてやるぜ。なぜお前を呼び出すために伝言役の蛾の妖精を知らせに行かせたと思う。お前らが住む隠れ里の正確な位置を調べる為だ。それが駄目なら一人ずつ蛾の妖精達を殺してその恐怖から隠れ里の位置を喋らせるという手も考えたんだが、命欲しさに仲間を売るくらいなら自ら死を選ぶと言い出す者もいたから、だからその作戦はやめることにしたんだよ。でもその伝言役が見事にその役目を果たしてくれたから助かったぜ」
「果たしてくれたって、狼魔族の斥候の足がいくら早いからって、道を特定されないように技と遠回りに飛んできたはずの伝言役の蛾の妖精がそう容易く尾行をされるとは思えないんだけど」
「尾行はしてはいないさ、その必要はなかったからな」
「それはどう言う事?」
ルナの抱く不安を見透かしたかのように狼魔族のボス・ザドは、手に持つ大検を地面に突き刺しながらその答えを言う。
「黒神子ヨーミコワ様はその両翼の翼で竜巻を起こしたり、羽をまるで鋼の弾丸のように物凄いスピードで無数に発射ができる能力があるが、それだけではないのだよ。その羽を相手の体に見えないように貼り付けてその者の居場所の特定に使うことも可能だ。まあ蛾の妖精は人形のように小さいから、羽も羽毛くらいまで小さくしなけねばいけなかったようだがな。羽の羽毛を宙に舞わせて気付かれないようにその背中に貼り付ける事ができたのだよ。だからもう既にお前が隠れ里を飛び出してここに来た時点で、隠れ里の位置は知っていたと言う事だ。
「その能力って……私を地面に叩き落とした黒神子レスフィナの呪いの血の能力と同じだ。黒神子レスフィナは自らの体内の血を自由に操るけど……黒神子ヨーミコワは自分の羽を自由に操るのか。でも、でも、例えそうだったとしても、もう既に逃げた私の弟や仲間達は隠れ里の結界の中に入れたはずよ。なら黒神子ヨーミコワが例え私達よりも早く隠れ里に到着する事ができたとしても、あの分厚い結界を破るにはそれなりに時間が掛かるでしょうから絶対に大丈夫よ。そしてその間に蛾の妖精達は秘密の通路から無事に次の隠れ家へと逃げているはず、絶対にそうよ!」
「フフフフ、それはその結界が数分間持てばの話だろ」
「持つわよ、絶対に!」
「黒神子ヨーミコワ様の力を封じ込めている古代の遺物・賢者の魔石は黒神子ヨーミコワ様の力の3分の2をまだその魔石の中に封じていて、外では30パーセントの力しか出せないらしい。しかも誰かの命を常に狩って食べ続けていないとその魔石の中に体が再び封じられるらしいんだ。しかもその魔石から条件付きで出られるようになったのはつい最近の話だ。だがそのハンデを差し引いたとしてもお前達、蛾の妖精が助かる確率は無いに等しいがな!」
そのザドの解説のような説明に落ち着きのある女性の声が飛ぶ。
「そうですか、だからこの一年間黒神子ヨーミコワは蛾の妖精達の前にその姿を現さなかったのですね。納得がいきましたわ」
一つの謎が解けた事に素直に理解を示す黒神子レスフィナに狼魔族のボス・ザドは目を細めながら警戒心をあらわにする。
「黒神子レスフィナがここに近づいて来ていると黒神子ヨーミコワ様が頻りに言っていたがお前がそうか。だが見た感じでは邪悪な力も・強い魔力も・壮大な迫力も・神々しい程の熱狂的な威厳も全く感じないな。十二人いる黒神子達の中でも最も邪悪で、凶悪凶暴という触れ込みはガセだったのかな。それともこいつが黒神子レスフィナを名乗るただの偽物という線も考えられるな」
「なら試して見ますか」
「いいだろう、ならここは一つ試して見るか!」
本物かどうかを確認する為に黒神子レスフィナに向けて手に持つ大剣を豪快に振り上げる狼魔族のボスのザドだったが、そんなザドに向けて蛾の妖精のルナは何かにすがるような目をしながら必死に話しかける。
「待って、隠れ里の結界を直ぐに破れるというその根拠の話はまだ終わってはいないわ。なぜ破れるだなんて自信を持って言えるのよ。下手なでまかせはやめて頂戴!」
「ククククク、これは失礼、つい話が横にそれてしまったが別にでまかせではないさ。もう答えは話しているんだけどな、気づかないか。つまりだ、賢者の魔石はその持ち手の勇者の承認の力であらゆる物をその魔石の中に閉じ込める事ができるというアイテムらしいのだが、その魔石自体を直に結界に接触させたらどんなに強い結界であろうとも妖精の張った結界なら瞬時にその結界を破壊できる特性があるみたいなのだよ。つまり賢者の魔石を使えば隠れ里に張られた結界はその位置さえ分かれば簡単に破壊が出来ると言うことだ。それにあの低級冒険者達の一団の命を粗方平らげた黒神子ヨーミコワ様は、その現界できる時間も一時間くらいは余裕で延びているはずだ。だから蛾の妖精達を食べ尽くす時間も充分にあると言う事だ。フフフ、理解ができたかな。蛾の妖精のお嬢ちゃんよ。と言うわけでお前の仲間達は文字通り全滅だ。黒神子ヨーミコワ様の話では蛾の妖精達を全て殺してお前に完全なる絶望を与えてからその後でゆっくりと食べるとか言っていたが、案外お前という存在を疎ましく思うくらいに気にしているのかもな。お前だけは絶対に逃がさないという強い意志を感じるからな。全くお前が邪妖精の王女の末裔だと分かった途端にこの陰湿な徹底ぶり……案外黒神子ヨーミコワ様の言うようにお前は本当に邪妖精の王女の子孫なのかも知れないな」
(ルナが邪妖精の王女の子孫だって……なんでそんな大それた話になっているんだよ。意味が、意味が、分からないよ)
邪妖精の王女の子孫という言葉に狼狽するラエルロットを尻目に狼魔族のボスのザドは、トドメの言葉を蛾の妖精のルナに告げる。
「ハハハハハハ、結局お前が何者であれお前という存在自体が妖精族達をこれからも不幸にし続けて行くのだ。そんな罪深い薄汚い羽虫は直ぐに死ぬべきだとは思わないかね。だってそうだろうお前がただ生きていると言うだけでこれからも罪のない妖精達が沢山食べられて不幸にも死ぬ事になるんだからな。蛾の妖精と邪妖精の混血なぞ、本来この世にいてはいけないのだ。他の残りの蛾の妖精の害虫達共々死んで滅びるがいい、薄汚い羽虫ども!」
「い、生きているだけで、害悪って……私達蛾の妖精は静かに生きていく事も許されないの……ただ見た目が地味な木の葉のような羽を持っている……ただそれだけの理由でなんでそこまで迫害されないといけないのよ。なんで……なんでよ」
そう蛾の妖精のルナが重い悲しみの中で呟いたその時、物凄い風を切る音を響かせながら木の上の上空を物凄いスピードで隠れ里の方角に飛んでいく黒神子ヨーミコワの姿が一瞬目に入る。
「コケェェーー、コケッコッコウ! コケッコッコウゥゥゥ!」
まるで朝日に鳴くニワトリのようなけたたましい大きな鳴き声を上げると黒神子ヨーミコワはその両翼の大きく美しい翼を羽ばたかせながら優雅に素早く森の上を飛び去っていく。
「そんな……そんな……黒神子ヨーミコワが真っ直ぐに隠れ里のある山の方角に飛んでいく。どうにか……早くどうにかしなきゃ……村が、みんなが……死んじゃう」
その鬼気迫る絶望的な状況に僅かな希望を見いだしていたルナの最後の希望がついに砕け散る。
絶対にあらがうことの出来ない絶望的な現実に完全に打ちひしがれた蛾の妖精のルナは直ぐに地面に舞い降りると、目の前にいる狼魔族達のボス・ザドに土下座をする。
「お、お願いです。私の命はどうなってもいいですから……隠れ里にいるみんなは……蛾の妖精達はどうか助けてあげて下さい。お願いします!」
「フフフフ、それは無理な願いだな。黒神子ヨーミコワ様は蛾の妖精達を根絶やしにするともう既に決めたのだ。その意思はもう誰にも停められんよ。大人しく蛾の妖精の仲間達が絶滅する所を見てから、後悔して死んでいくんだな!」
その心無い狼魔族のザドの言葉を聞いたルナは今度は冒険者Aに向けてお願いする。
「冒険者さん、直ぐにノシロノ王国に戻って冒険者の団体や妖精達が所属をしている妖精組合に連絡して下さい。もしかしたら黒神子ヨーミコワを討伐する為に兵を出してくれるかも」
「兵なんか出してくれる訳がないだろ。それにわざわざ蛾の妖精達の為に動いてくれる冒険者なんてまずいないだろうし、その相手があの黒神子ヨーミコワなら尚更だ。勿論それが理由で他の妖精族達も蛾の妖精は見捨てる腹だろうぜ。まあ、なんの役にも立たないただの薄汚い羽虫が滅びても誰も困らないから別にいいと俺は思うけどな。だってそうだろ。そもそも蛾の妖精ってみんなの嫌われ者だし、まるで蝿のように辺りを飛び回って本当に目障りだからな!」
「そんな……そんな……私達は何も悪いことをしてはいないのに……酷い……酷いよ……どうして誰も助けてはくれないの……どうしてよ!」
その縋るような眼差しを今度は黒神子レスフィナ・ゴンタ・そしてラエルロットの三人に向ける。
ラエルロットはその眼差しに応えようと何か言葉を掛けるために一歩前に出ようとするがその行為を黒神子レスフィナと狼魔族のゴンタが止める。
「ラエルロット、お前は駄目だろ。黒神子レスフィナが言っているように遥か闇なる世界の呪いが本物なら、お前は余計に蛾の妖精達を助けては駄目だろ!」
「そうですよ、ラエルロットさんは蛾の妖精を……ルナさんを助けてはいけません。さもなくば遙か闇なる世界の第二の呪いの試練の制約を違える事になります。そうなったら私は助けることはできませんし、確実に死にますよ」
「だが、しかしだな……」
三人がそんな問答をしていると痺れを切らした蛾の妖精のルナが大粒の涙をこぼしながら震えた声で言う。
「もういい……わかった……わかったから……もう充分だから、無理しなくていいよ。相手はあの驚異の黒神子・妖精喰いのヨーミコワなんだし、世間の嫌われ者の蛾の妖精なんかの為に危険を犯してまでそうおいそれと命は捨てられないよね。狼魔族のゴンタの力じゃあの黒神子ヨーミコワは止められないだろうし」
「まあ、確かにそうだが……」
「それに黒神子レスフィナは同族同志ではまず殺し合いはしないでしょうし……」
「いえ、そんな事もないのですがね」
「そして、黒神子レスフィナの眷属でもあるラエルロットは……その呪いの試練で……蛾の妖精達を助けてはいけないという呪縛を掛けられているんだよね。そういうご神託が……この世界の神様から出ていること事態が不条理だし納得もいかないけど、それが現実なんだよね。それにしても蛾の妖精族は何があっても絶対に助けるなだなんてそんな恐ろしい事をなぜ言われなきゃいけないのかは知らないけど、ついに私達……蛾の妖精は、この世界に御座す神様にすら見捨てられてしまったと言う事なのかな!」
「ルナ……それは……」
「来ないでラエルロット、私達を助けたらあなたは試練を……神との約束を守れなかったという理由で本当に死んでしまうわ。ならそんな絶望的なリスクを追ってまで私達の為に命を張る事はないわ。誰だって人は赤の他人の命よりも自分の命の方が最優先なんだから、その事であなたを責める資格は私にはないわ。ラエルロット、人のいいあなたの事だから、その呪いの試練の呪縛がなかったら本当に私達を助けに来てくれていたかも知れないけど……正直これで良かったのかも知れないわね。ラエルロット、たった一日の短い時間だったけど生まれて初めて人間族や・狼魔族や・犬人族や・黒神子といった多種多様な様々な人達と楽しく食事をする事が出来て本当にうれしかったし楽しかったわ。他の蛾の妖精達もみんな物凄く喜んでいたと思うわ。だって他の種族達とこんなに楽しく……和気藹々と笑い合ったのは久しく無かった事だからね。だから本当は泣きたいくらいに嬉しかったの。だから最後にあんな楽しい思い出を作ってくれてあなた達には本当に感謝をしているわ。蛾の妖精と一緒に笑いながら食事をしてくれて、優しくしてくれて、本当にありがとう。それとこんな後ろ向きな考えしか持たない私を説得する為に……夢と希望を見せてくれる為に……冒険の旅の仲間に誘ってくれて本当にありがとう。例えその場しのぎの嘘であったとしてもそう言ってくれて本当に嬉しかった。だって普段から迫害されている私達にとって人間の方から仲間になってくれと誘ってきてくれたのは、ラエルロット、あなたが初めてだったから!」
「ルナ……お前……まさか……」
「ラエルロット……この世界には弱い者達を……声を出せない者達を救ってくれる正義を貫く志と優しい心を持つ勇者は必ずいるんだよね」
「ああ、ああ、いるさ。だから、俺は……俺は……」
「ならいつの日かラエルロットもその優しい勇者の一人になってよ。弱い人達をその揺るぎない正義の心と優しさで包んで助けてくれる、そんな存在の勇者に。私が……心の中で思い描く、まるでお伽話に出て来るような、夢や勇気を抱かせる、希望溢れるそんな本当の勇者になって見せてよ。まだ見ぬ赤の他人の勇者ではなく……ラエルロット……あなたがその誰もが認める勇者になるの」
「ルナ……俺の話を聞くんだ」
「ただ残念な事に私がいたこのエリアには運悪く、そんな志を持つ勇者が近くにはいなかった……ただそれだけの事だよ。でも可笑しいよね、この辺りにも勇者と呼ばれている人達は結構いるはずなのに……なんでみんな私達の事を助けに来てはくれないのかな。この木の葉ような地味な色をした羽根を持って生まれた事自体がいけないのかな。この羽根を持つことがそんなに罪な事なのかな?」
蛾の妖精のルナはまるで何かを悟ったかのように力なく体を震わせると天を仰ぎ見る。
「そうだよね……本当は昔から分かっていたの、これが厳しい現実であり、この緑ある世界その物にいらないと認定された者の定めだからだよね。愚かで汚らしい羽虫とみんなに呼ばれているくらいだから……だから仕方が無いんだよね。そんな簡単な事も分からなかっただなんて……私はなんて馬鹿だったんだろう。本当につくづく嫌になるよ」
「違う……違うぞ、ルナ……待ってくれ、俺の話を聞くんだ!」
「じゃぁね、ラエルロット。いつの日かラエルロットに掛けられている呪いが解けて……数年後に世間のみんなが認めるくらいに強い本当の勇者になる事ができたら、その時は迫害に苦しむ弱い立場の者達を優先的に助けてあげて。私、ラエルロットが本当の勇者になれると、心の底から信じているわ!」
最後に物悲しくも健気な笑顔をニッと向けると蛾の妖精のルナは物凄い勢いで空へと舞い上がる。
「ルナ、待つんだ!」
ラエルロットの声も虚しく勢い良く空へと上昇した蛾の妖精のルナは地上にいる者たちに向けて静かに頭を下げると、そのまま蛾の妖精達がいる隠れ里のある方へと急ぎ飛んでいくのだった。
失意に暮れる蛾の妖精のルナの図です。
ザドは急いで走ってきたのか荒い息を頻りに吐いていたが直ぐに息を整えると、蛾の妖精のルナを見ながら邪悪な笑みを溢す。
「ありもしない希望を抱くのはやめるんだな。俺が今からお前に残酷な現実を突きつけてやるぜ。なぜお前を呼び出すために伝言役の蛾の妖精を知らせに行かせたと思う。お前らが住む隠れ里の正確な位置を調べる為だ。それが駄目なら一人ずつ蛾の妖精達を殺してその恐怖から隠れ里の位置を喋らせるという手も考えたんだが、命欲しさに仲間を売るくらいなら自ら死を選ぶと言い出す者もいたから、だからその作戦はやめることにしたんだよ。でもその伝言役が見事にその役目を果たしてくれたから助かったぜ」
「果たしてくれたって、狼魔族の斥候の足がいくら早いからって、道を特定されないように技と遠回りに飛んできたはずの伝言役の蛾の妖精がそう容易く尾行をされるとは思えないんだけど」
「尾行はしてはいないさ、その必要はなかったからな」
「それはどう言う事?」
ルナの抱く不安を見透かしたかのように狼魔族のボス・ザドは、手に持つ大検を地面に突き刺しながらその答えを言う。
「黒神子ヨーミコワ様はその両翼の翼で竜巻を起こしたり、羽をまるで鋼の弾丸のように物凄いスピードで無数に発射ができる能力があるが、それだけではないのだよ。その羽を相手の体に見えないように貼り付けてその者の居場所の特定に使うことも可能だ。まあ蛾の妖精は人形のように小さいから、羽も羽毛くらいまで小さくしなけねばいけなかったようだがな。羽の羽毛を宙に舞わせて気付かれないようにその背中に貼り付ける事ができたのだよ。だからもう既にお前が隠れ里を飛び出してここに来た時点で、隠れ里の位置は知っていたと言う事だ。
「その能力って……私を地面に叩き落とした黒神子レスフィナの呪いの血の能力と同じだ。黒神子レスフィナは自らの体内の血を自由に操るけど……黒神子ヨーミコワは自分の羽を自由に操るのか。でも、でも、例えそうだったとしても、もう既に逃げた私の弟や仲間達は隠れ里の結界の中に入れたはずよ。なら黒神子ヨーミコワが例え私達よりも早く隠れ里に到着する事ができたとしても、あの分厚い結界を破るにはそれなりに時間が掛かるでしょうから絶対に大丈夫よ。そしてその間に蛾の妖精達は秘密の通路から無事に次の隠れ家へと逃げているはず、絶対にそうよ!」
「フフフフ、それはその結界が数分間持てばの話だろ」
「持つわよ、絶対に!」
「黒神子ヨーミコワ様の力を封じ込めている古代の遺物・賢者の魔石は黒神子ヨーミコワ様の力の3分の2をまだその魔石の中に封じていて、外では30パーセントの力しか出せないらしい。しかも誰かの命を常に狩って食べ続けていないとその魔石の中に体が再び封じられるらしいんだ。しかもその魔石から条件付きで出られるようになったのはつい最近の話だ。だがそのハンデを差し引いたとしてもお前達、蛾の妖精が助かる確率は無いに等しいがな!」
そのザドの解説のような説明に落ち着きのある女性の声が飛ぶ。
「そうですか、だからこの一年間黒神子ヨーミコワは蛾の妖精達の前にその姿を現さなかったのですね。納得がいきましたわ」
一つの謎が解けた事に素直に理解を示す黒神子レスフィナに狼魔族のボス・ザドは目を細めながら警戒心をあらわにする。
「黒神子レスフィナがここに近づいて来ていると黒神子ヨーミコワ様が頻りに言っていたがお前がそうか。だが見た感じでは邪悪な力も・強い魔力も・壮大な迫力も・神々しい程の熱狂的な威厳も全く感じないな。十二人いる黒神子達の中でも最も邪悪で、凶悪凶暴という触れ込みはガセだったのかな。それともこいつが黒神子レスフィナを名乗るただの偽物という線も考えられるな」
「なら試して見ますか」
「いいだろう、ならここは一つ試して見るか!」
本物かどうかを確認する為に黒神子レスフィナに向けて手に持つ大剣を豪快に振り上げる狼魔族のボスのザドだったが、そんなザドに向けて蛾の妖精のルナは何かにすがるような目をしながら必死に話しかける。
「待って、隠れ里の結界を直ぐに破れるというその根拠の話はまだ終わってはいないわ。なぜ破れるだなんて自信を持って言えるのよ。下手なでまかせはやめて頂戴!」
「ククククク、これは失礼、つい話が横にそれてしまったが別にでまかせではないさ。もう答えは話しているんだけどな、気づかないか。つまりだ、賢者の魔石はその持ち手の勇者の承認の力であらゆる物をその魔石の中に閉じ込める事ができるというアイテムらしいのだが、その魔石自体を直に結界に接触させたらどんなに強い結界であろうとも妖精の張った結界なら瞬時にその結界を破壊できる特性があるみたいなのだよ。つまり賢者の魔石を使えば隠れ里に張られた結界はその位置さえ分かれば簡単に破壊が出来ると言うことだ。それにあの低級冒険者達の一団の命を粗方平らげた黒神子ヨーミコワ様は、その現界できる時間も一時間くらいは余裕で延びているはずだ。だから蛾の妖精達を食べ尽くす時間も充分にあると言う事だ。フフフ、理解ができたかな。蛾の妖精のお嬢ちゃんよ。と言うわけでお前の仲間達は文字通り全滅だ。黒神子ヨーミコワ様の話では蛾の妖精達を全て殺してお前に完全なる絶望を与えてからその後でゆっくりと食べるとか言っていたが、案外お前という存在を疎ましく思うくらいに気にしているのかもな。お前だけは絶対に逃がさないという強い意志を感じるからな。全くお前が邪妖精の王女の末裔だと分かった途端にこの陰湿な徹底ぶり……案外黒神子ヨーミコワ様の言うようにお前は本当に邪妖精の王女の子孫なのかも知れないな」
(ルナが邪妖精の王女の子孫だって……なんでそんな大それた話になっているんだよ。意味が、意味が、分からないよ)
邪妖精の王女の子孫という言葉に狼狽するラエルロットを尻目に狼魔族のボスのザドは、トドメの言葉を蛾の妖精のルナに告げる。
「ハハハハハハ、結局お前が何者であれお前という存在自体が妖精族達をこれからも不幸にし続けて行くのだ。そんな罪深い薄汚い羽虫は直ぐに死ぬべきだとは思わないかね。だってそうだろうお前がただ生きていると言うだけでこれからも罪のない妖精達が沢山食べられて不幸にも死ぬ事になるんだからな。蛾の妖精と邪妖精の混血なぞ、本来この世にいてはいけないのだ。他の残りの蛾の妖精の害虫達共々死んで滅びるがいい、薄汚い羽虫ども!」
「い、生きているだけで、害悪って……私達蛾の妖精は静かに生きていく事も許されないの……ただ見た目が地味な木の葉のような羽を持っている……ただそれだけの理由でなんでそこまで迫害されないといけないのよ。なんで……なんでよ」
そう蛾の妖精のルナが重い悲しみの中で呟いたその時、物凄い風を切る音を響かせながら木の上の上空を物凄いスピードで隠れ里の方角に飛んでいく黒神子ヨーミコワの姿が一瞬目に入る。
「コケェェーー、コケッコッコウ! コケッコッコウゥゥゥ!」
まるで朝日に鳴くニワトリのようなけたたましい大きな鳴き声を上げると黒神子ヨーミコワはその両翼の大きく美しい翼を羽ばたかせながら優雅に素早く森の上を飛び去っていく。
「そんな……そんな……黒神子ヨーミコワが真っ直ぐに隠れ里のある山の方角に飛んでいく。どうにか……早くどうにかしなきゃ……村が、みんなが……死んじゃう」
その鬼気迫る絶望的な状況に僅かな希望を見いだしていたルナの最後の希望がついに砕け散る。
絶対にあらがうことの出来ない絶望的な現実に完全に打ちひしがれた蛾の妖精のルナは直ぐに地面に舞い降りると、目の前にいる狼魔族達のボス・ザドに土下座をする。
「お、お願いです。私の命はどうなってもいいですから……隠れ里にいるみんなは……蛾の妖精達はどうか助けてあげて下さい。お願いします!」
「フフフフ、それは無理な願いだな。黒神子ヨーミコワ様は蛾の妖精達を根絶やしにするともう既に決めたのだ。その意思はもう誰にも停められんよ。大人しく蛾の妖精の仲間達が絶滅する所を見てから、後悔して死んでいくんだな!」
その心無い狼魔族のザドの言葉を聞いたルナは今度は冒険者Aに向けてお願いする。
「冒険者さん、直ぐにノシロノ王国に戻って冒険者の団体や妖精達が所属をしている妖精組合に連絡して下さい。もしかしたら黒神子ヨーミコワを討伐する為に兵を出してくれるかも」
「兵なんか出してくれる訳がないだろ。それにわざわざ蛾の妖精達の為に動いてくれる冒険者なんてまずいないだろうし、その相手があの黒神子ヨーミコワなら尚更だ。勿論それが理由で他の妖精族達も蛾の妖精は見捨てる腹だろうぜ。まあ、なんの役にも立たないただの薄汚い羽虫が滅びても誰も困らないから別にいいと俺は思うけどな。だってそうだろ。そもそも蛾の妖精ってみんなの嫌われ者だし、まるで蝿のように辺りを飛び回って本当に目障りだからな!」
「そんな……そんな……私達は何も悪いことをしてはいないのに……酷い……酷いよ……どうして誰も助けてはくれないの……どうしてよ!」
その縋るような眼差しを今度は黒神子レスフィナ・ゴンタ・そしてラエルロットの三人に向ける。
ラエルロットはその眼差しに応えようと何か言葉を掛けるために一歩前に出ようとするがその行為を黒神子レスフィナと狼魔族のゴンタが止める。
「ラエルロット、お前は駄目だろ。黒神子レスフィナが言っているように遥か闇なる世界の呪いが本物なら、お前は余計に蛾の妖精達を助けては駄目だろ!」
「そうですよ、ラエルロットさんは蛾の妖精を……ルナさんを助けてはいけません。さもなくば遙か闇なる世界の第二の呪いの試練の制約を違える事になります。そうなったら私は助けることはできませんし、確実に死にますよ」
「だが、しかしだな……」
三人がそんな問答をしていると痺れを切らした蛾の妖精のルナが大粒の涙をこぼしながら震えた声で言う。
「もういい……わかった……わかったから……もう充分だから、無理しなくていいよ。相手はあの驚異の黒神子・妖精喰いのヨーミコワなんだし、世間の嫌われ者の蛾の妖精なんかの為に危険を犯してまでそうおいそれと命は捨てられないよね。狼魔族のゴンタの力じゃあの黒神子ヨーミコワは止められないだろうし」
「まあ、確かにそうだが……」
「それに黒神子レスフィナは同族同志ではまず殺し合いはしないでしょうし……」
「いえ、そんな事もないのですがね」
「そして、黒神子レスフィナの眷属でもあるラエルロットは……その呪いの試練で……蛾の妖精達を助けてはいけないという呪縛を掛けられているんだよね。そういうご神託が……この世界の神様から出ていること事態が不条理だし納得もいかないけど、それが現実なんだよね。それにしても蛾の妖精族は何があっても絶対に助けるなだなんてそんな恐ろしい事をなぜ言われなきゃいけないのかは知らないけど、ついに私達……蛾の妖精は、この世界に御座す神様にすら見捨てられてしまったと言う事なのかな!」
「ルナ……それは……」
「来ないでラエルロット、私達を助けたらあなたは試練を……神との約束を守れなかったという理由で本当に死んでしまうわ。ならそんな絶望的なリスクを追ってまで私達の為に命を張る事はないわ。誰だって人は赤の他人の命よりも自分の命の方が最優先なんだから、その事であなたを責める資格は私にはないわ。ラエルロット、人のいいあなたの事だから、その呪いの試練の呪縛がなかったら本当に私達を助けに来てくれていたかも知れないけど……正直これで良かったのかも知れないわね。ラエルロット、たった一日の短い時間だったけど生まれて初めて人間族や・狼魔族や・犬人族や・黒神子といった多種多様な様々な人達と楽しく食事をする事が出来て本当にうれしかったし楽しかったわ。他の蛾の妖精達もみんな物凄く喜んでいたと思うわ。だって他の種族達とこんなに楽しく……和気藹々と笑い合ったのは久しく無かった事だからね。だから本当は泣きたいくらいに嬉しかったの。だから最後にあんな楽しい思い出を作ってくれてあなた達には本当に感謝をしているわ。蛾の妖精と一緒に笑いながら食事をしてくれて、優しくしてくれて、本当にありがとう。それとこんな後ろ向きな考えしか持たない私を説得する為に……夢と希望を見せてくれる為に……冒険の旅の仲間に誘ってくれて本当にありがとう。例えその場しのぎの嘘であったとしてもそう言ってくれて本当に嬉しかった。だって普段から迫害されている私達にとって人間の方から仲間になってくれと誘ってきてくれたのは、ラエルロット、あなたが初めてだったから!」
「ルナ……お前……まさか……」
「ラエルロット……この世界には弱い者達を……声を出せない者達を救ってくれる正義を貫く志と優しい心を持つ勇者は必ずいるんだよね」
「ああ、ああ、いるさ。だから、俺は……俺は……」
「ならいつの日かラエルロットもその優しい勇者の一人になってよ。弱い人達をその揺るぎない正義の心と優しさで包んで助けてくれる、そんな存在の勇者に。私が……心の中で思い描く、まるでお伽話に出て来るような、夢や勇気を抱かせる、希望溢れるそんな本当の勇者になって見せてよ。まだ見ぬ赤の他人の勇者ではなく……ラエルロット……あなたがその誰もが認める勇者になるの」
「ルナ……俺の話を聞くんだ」
「ただ残念な事に私がいたこのエリアには運悪く、そんな志を持つ勇者が近くにはいなかった……ただそれだけの事だよ。でも可笑しいよね、この辺りにも勇者と呼ばれている人達は結構いるはずなのに……なんでみんな私達の事を助けに来てはくれないのかな。この木の葉ような地味な色をした羽根を持って生まれた事自体がいけないのかな。この羽根を持つことがそんなに罪な事なのかな?」
蛾の妖精のルナはまるで何かを悟ったかのように力なく体を震わせると天を仰ぎ見る。
「そうだよね……本当は昔から分かっていたの、これが厳しい現実であり、この緑ある世界その物にいらないと認定された者の定めだからだよね。愚かで汚らしい羽虫とみんなに呼ばれているくらいだから……だから仕方が無いんだよね。そんな簡単な事も分からなかっただなんて……私はなんて馬鹿だったんだろう。本当につくづく嫌になるよ」
「違う……違うぞ、ルナ……待ってくれ、俺の話を聞くんだ!」
「じゃぁね、ラエルロット。いつの日かラエルロットに掛けられている呪いが解けて……数年後に世間のみんなが認めるくらいに強い本当の勇者になる事ができたら、その時は迫害に苦しむ弱い立場の者達を優先的に助けてあげて。私、ラエルロットが本当の勇者になれると、心の底から信じているわ!」
最後に物悲しくも健気な笑顔をニッと向けると蛾の妖精のルナは物凄い勢いで空へと舞い上がる。
「ルナ、待つんだ!」
ラエルロットの声も虚しく勢い良く空へと上昇した蛾の妖精のルナは地上にいる者たちに向けて静かに頭を下げると、そのまま蛾の妖精達がいる隠れ里のある方へと急ぎ飛んでいくのだった。
失意に暮れる蛾の妖精のルナの図です。
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といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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