遥か闇なる世界 ~世界の絶望に立ち向かう黒神子の少女と、真の勇者になる事を夢見る心優しい青年の物語

藤田作磨

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第二章 黒神子・妖精喰いのヨーミコワ編

2-18.勇者参上

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               2ー18.勇者参上


「だから無駄だと言ったであろう、攻撃力はもちろんのこと不死であるこの私を倒せない事は最初から分かっていたであろうに。でもこれでようやく何をしても無駄だと言う事が分かったかな。これからあの防空壕のような岩穴を破壊して残りの蛾の妖精達を皆殺しにしてやるから、お前はそこで私に目を付けられた事を後悔しながら何も出来なかった自分を嘆いているといい。その後で絶望しているお前を美味しく食べてやるよ!」

 頼みの綱の最後の切り札も失い途方にくれる蛾の妖精のルナに黒神子ヨーミコワは残酷な最後の決定事項を告げる。

 どうあがいてもどうすることもできない絶望的な状況に、蛾の妖精のルナは地を這いずりながらも懸命に黒神子ヨーミコワの行動を止めようと声を上げる。

「ま、待って、黒神子ヨーミコワ……どうしてそうまでして蛾の妖精を食べようとするのあなたを三百年間封じた邪妖精に恨みがあるんならその遺伝子を引き継ぐ私だけを殺して食べればいいじゃない。ここにいる蛾の妖精達は一切関係ないわ!」

「フフフフ、確かに邪妖精には恨みもあるし、その末裔でもあるお前に当たり散らしているのはただの私の憂さ晴らしだ。それは認めるよ」

「ただの、憂さ晴らしですって……」

「だってそうだろう、私がやっとの事で封印から目覚めたらもう既に純粋な邪妖精達はいつの間にか絶滅していて復讐する事が出来なかったのだからな。だから今回古代の遺物の正体があの邪妖精の衣だと分かった時は正直嬉しかったよ。一年前に食べたつがいの子供がまだこの辺りに逃げずにいて、その復讐すべき対象がこの世にまだ存在している事が分かったのだからな」

「そんな……そんな……」

「そんな訳で、蛾の妖精も……邪妖精の女王の遺伝子を引き継ぐお前も……この場所で死んでもらうぞ!」

 蛾の妖精のルナの僅かな望みを賭けた最後の懇願も黒神子ヨーミコワは全く聞く耳を持ってくれなかったようだ。そんな絶望と嘆きに打ちひしがれるルナに黒神子ヨーミコワは長い首を間近まで近づけると更に追い込むような言葉を投げかける。

「クククク、これでわかっただろ、薄汚い汚れた羽虫はこの世から消えなくてはいけない事に。もうお前を助けに来てくれる人達は誰もいない。お前がいくら叫んでも助けを乞うても、世間の嫌われ者のお前達を助けてくれる者は一人もいないのだ!」

「た、助けて……誰か……誰か助けて……下さい……誰かぁぁ……う、ううぅぅ」

「きゃあははははは、いくら泣きわめいて助けを乞うても無駄だ。お前達種族は……いいや、ルナお前は……永遠に一人なのだ!」

「私は一人……助けは……来ない……う、うぅぅぅぅぅぅ」

「ルナ、そんなに泣かないでよ。むしろ泣きたいのは私の方なんだから。ルナあなたは本当に駄目な子ね!」

「な、な、その声は……まさか……まさか……お母さん?」

 絶望を突きつけるかのような傷つく言葉に手で口を押さえながら小さな声で泣く蛾の妖精のルナに、黒神子ヨーミコワは行き成りルナの母親の声質で話し掛ける。その声質はルナの母親その物で、一瞬ルナ自身も、もしかしたら母親が生きていたのではないかと錯覚してしまう程だ。そんな母親の声を真似た黒神子ヨーミコワがルナを地獄に突き落とすかのような極めて悪質な言葉を送る。

「ルナ、あなたはまだ無様にも生きているの……私はあなたが見ている前で無残にも食い殺されたと言うのに」

「お母さん……お母さん……私は……私は……」

「あの時なぜ私を助けてくれなかったの……お母さん……物凄く息が苦しくて体中が痛かったのに……ルナ……あなたがお父さんとお母さんを見殺しにしたのよ。そう全てあなたの責任よ。他の蛾の妖精達が死んだのも……これからこの村で起きる兄弟達が死ぬのも全てあなたが生きているのが原因よ。そうあの時あなたが私達の代わりに死ぬべきだったのよ!」

「全部私のせい……そんな……そんな事お母さんが言う訳がないわ、だって私の大好きなお母さんは……」

「あなたなんか産まれて来なければ良かった。あなたさえいなければ、私達家族も、他の妖精達もみんな幸せに暮らせたのに、この疫病神が。蛾の妖精達の中でも更に望まれない形で生まれた羽虫はこの世から消えるべきなのよ。だからあなたは今ここで死んで……お願いだから。ルナ……もうあなたは入らないわ!」

「わ、私は……望まれてお母さんから産まれた訳じゃなかったのね……私が死ねば……みんな幸せになるのかな……」

「ええ、あなたが死ねば……みんな幸せになれるけど……罪深い羽虫は楽には死ねないわよ。蛾の妖精達の……仲間達の恨み言や・嘆きや・断末魔を聞いてから……独りぼっちになってから……黒神子ヨーミコワ様に食べられて頂戴、それがあなたの唯一の贖罪よ。フフフフ……ホホホホ……アハアハハハハハハハハ!」

「う、うぅぅぅぅぅぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁーーん、えぇぇぇぇーーん!」

 ついに精神の限界が来たのか仲間達を必死に守ろうとしていた硬い意志も……死を覚悟で挑んだ戦いでの勝機も……迫害や差別や政治と言った様々な事情で誰も助けてはくれない厳しい現実も……全ては無意味と化し、ルナが孤独であることを嫌でも思い知らされる。そして更には死んだはずの母親からの声を真似て投げかけられた黒神子ヨーミコワの心無い罵倒の言葉にルナの心は激しく傷つき、その事で生きる気力を失いかけていた。
 そう黒神子ヨーミコワの必要以上に相手を追い込む極めて悪質な精神攻撃が効いているのだ!

 絶望し生きる気力を失いかけているそんな蛾の妖精のルナに、叱責にも似た極めて温かな優しさ溢れる大きな声が飛ぶ。

「蛾の妖精のルナ……一体何を泣いているんだ。しっかりしろよ、そんな言葉をお前のお母さんが言う訳がないじゃないか。黒神子ヨーミコワの偽物の妄言なんかに惑わされてんじゃねえよ。お前が今もこうして生きているのは一年前にお前達を逃がす為に必死に頑張ったご両親の頑張りがあったからじゃねえのか。そしてルナ……お前はその一部始終を見ていたはずだ。そうだ、お前のご両親はお前をかばって……お前達の無事を確認し安堵してから、祈るような思いで死んでいったはずだ。お前達の無事を信じてな。そうだろ、ルナ!」

「そ、そうだ、お父さんと……お母さんは……自分が食べられそうになっている時も私達の事を心配してくれた。最後まで自分のことはいいから逃げろと言ってくれた。私はそんなお母さんが大好きだった……でも怖くて……恐ろしくて助けられなかった。お母さん……お母さん……ごめんなさい……ごめんなさい。うわあぁぁぁぁぁぁぁぁーーぁぁ!」

「その事をずっーーと一人で今まで抱え込んでいたんだな。辛かったろうに、痛かったろうに、よく今まで一人で耐えたな。頑張ったな。だがもう大丈夫だ、俺達が来たからにはな。そしてルナ、これだけはハッキリと認識するんだ。お前は決して一人ではない。お前はこの数日で俺達と出会い絆を気付いてしまったのだからな。だから今俺達はここに立っているんだ。蛾の妖精のルナ、お前を……その仲間達を助ける為にな!」

 その聞き覚えのある声に蛾の妖精のルナはまさかというような顔をしながら溢れ出る涙を手でぬぐい。そのルナの隣では仁王立ちで立つ黒神子ヨーミコワが極めて不機嫌な顔をしながらその声を発した者の正体を冷静に探る。

「一体誰だ、私の楽しいお食事の時間の邪魔をするのわ。せっかく今がいい時なのに」

「知れた事だ。蛾の妖精達を助け、黒神子ヨーミコワ、お前を再び封印しに来た者だ」

「再び封印だと……私の邪魔をしに来たあなたは一体何者ですか。まさかとは思いますが、自分の欲望のままに自分勝手に行動する異世界召喚者の勇者や、第一級冒険者達が職業とする利己主義にまみれた企業勇者じゃないでしょうね?」

「いいや、そのどちらとも違うな。この先お前の天敵となる弱気者の見方だ!」

「弱気者の味方だとう、ならお前は一体何だというのだ?」

「決まっているだろう、正義の味方だよ。正しい者の尊厳を傷つけ、優しい者達の命を脅かし、弱い者達を虐げる悪しき者を正す為に来た、本物の勇気ある者だ!」

「正義の味方だと、勇気ある者だと。つまりお前は……」

「そうだ、誇りある覚悟の色とも言うべき黒を示す者、黒神子レスフィナと共に理不尽な世界を正す為に旅をしている黒の勇者、ラエルロットだ!」

 高らかに決意を込めた意志でそう叫んだのは、青い旅人の衣服に身を包んだ二十代くらいの男性である。自分自身をラエルロットと名のるその自称勇者は、腰に下げている真っ黒な色をした不格好な木刀を豪快に引っこ抜くと胸を張りながら大きな声で叫ぶ。

「地獄の亡者達よ、その強き無念の思いを俺に託し共に絶望に立ち向かおうとする者どもよ、今こそ俺に力を貸してくれ。こい、復讐の鎧よ!」

 ゴッオオォォォォォーーン、ゴッオォォォォォーーン、ラエルロットォォォ、ラエルロットォォオォォォォォ!

 そのラエルロットの強い言葉と共に時空の果てから現れた復讐の鎧は瞬時にラエルロットの体全体に纏わり付くと、全身黒一色の鎧とマントに身を包んだ勇ましくも勇敢な勇者の姿となる。
 そうラエルロットは禁断の力でもある復讐の鎧を着込んだ事で全てのステータスが爆発的に上昇したのだ。

 そのきらびやかな黒いマントをはためかせるとラエルロットは正々堂々と一歩前に出る。

「蛾の妖精達はもう一人も殺させはしないぞ!」

「ラエルロット……来てくれたんだ。この世界の何処かに必ずいるという本当の勇者の享受を、優しさを、正しさを、正義の心を、私に示す為に、ラエルロット自らが代わりに黒神子ヨーミコワと戦う気なんだ。私との約束を守る為に。でも、気持ちは嬉しいけどそんな事をしたらあなたは……」

「大丈夫だ、俺は正しい事をしている。それに勇者を名のる者が助けを呼ぶ者の声を無視する訳にはいかないからな!」

「ラエルロット……」

「コケェエコッコウゥゥ! あの禍々しい黒の鎧は……まさか復讐の鎧か。あの地獄の亡者達を宿す呪われた鎧をその身に装備しているのか。ただの人間があの鎧の力を使ったらあっと言う間にその強大な力と引き換えにその命を地獄の亡者共に吸い取られて絶命してしまうぞ。それが分かっててあの鎧を着ているのだとしたらあの人間はただの馬鹿だな。まあ私と戦った瞬間にそのボロがでなけねばいいがな」

「そんな危険な鎧を着てまで私達、蛾の妖精を助けようとしてくれているの。ラエルロット、その気持ちだけでもう充分だから、もう私達に関わらないで。もうこれ以上罪のない人が私達の為に死ぬのは見たくないの!」

「大丈夫だ、俺は絶対に死なない。ルナ、俺を信じろ。お前に不幸の連鎖をもたらしている妖精喰いのヨーミコワとの因縁は今ここで俺が確実に断ち切ってやる!」

「似非勇者、お前は本当にぶっ飛んでるよ。死ぬのが怖くはないのか。だがそれだけの覚悟と勇気がなけねば蛾の妖精達を助け、ついでに黒神子ヨーミコワに挑もうなんて言う発想にはたどり着けないか。まあそのお前について来ている俺も俺だがなぁ!」

 ラエルロットのその勢いのある啖呵の次に生意気そうな男の声が辺りに響く。その茂みの奥から現れたのはオオカミの顔と長い尾っぽを持ち、体には獣と同じような体毛を生やした狼魔族の若者の姿だった。
 人間と同じ知性を持っているのかその毛深い体毛の体に革製の鎧を着込んだその若き狼魔族の青年は両方の腰に下げている二双の短剣を引き抜くと大きな声で叫ぶ。

「狼魔族の若き山賊、名前はゴンタだ。蛾の妖精のルナ、お前は事もあろうに俺に向けてこう言ったな。俺じゃ黒神子ヨーミコワには絶対に叶わないと、勝てないと言っていたよな。俺はその間違った認識を正す為に今ここにいる。ルナ、お前に本当の勇気ある誇り高い狼魔族の勇姿を見せてやる。その格好いい姿を見て俺に言った失礼な妄言を撤回させてやるぜ!」

「ゴンタ……まさかあなたが来てくれるだなんて思っても見なかったわ」

 ルナが感極まりながらもそんな事を呟いていると「助けに来ているのはラエルロットさんとゴンタさんだけじゃありませんよ。当然私もここにいますよ!」という声が辺りに響く。

 真ん丸眼鏡を掛け、お下げ髪を揺らしながらそこに現れたのは、可愛らしい犬の耳と尻尾を生やした犬を擬人化させたような種族、犬人族のシャクティである。

 シャクティは神官が持つ長い棒状の杖を構えると黒神子ヨーミコワを厳しい顔で見つめる。

「その圧倒的な暴力と悪食行為だけではなく、まさか精神的に蛾の妖精のルナさんを必要以上に追い込むだなんて……あなたがこれまでしている悪行の数々は絶対に許されない行為だわ。なぜそこまでして蛾の妖精達を、ルナさんを追い込む必要があるのかは正直分からないけど……いずれにせよです、遥か闇なる世界に連なる黒神子、妖精喰いのヨーミコワ……あなただけはなんとしてでも再び封印し直さないとこの地に本当の平和は絶対に訪れない事だけは分かりました。だからあなたは必ずここで絶対に封印して見せます。本当の真の平和を望む妖精達の為にも!」

「ホホホホ、ヘボそうな人間に、生意気そうな狼魔族に、うすのろそうな犬人族の、多種族の三人か。如何にも弱そうな有象無象が集まった所で一体なんだというのだ。この黒神子ヨーミコワに無謀にも挑むとは私もかなり舐められた者だな。だがまあいい、面白い。直ぐに返り討ちにして絶対なる絶望を与えてくれるわ!」

 余裕を見せているのか馬鹿にした笑いで嘲る黒神子ヨーミコワの前に更なる影がゆっくりと近づく。

「黒神子ヨーミコワさん……私の前でもそのご大層な台詞を吐きますか。しばらく見ないウチに随分と傲慢で陰険な性格になった物ですわね。でも、もうこれ以上の暴挙は私が許しません!」

 そこに現れたのは黒いローブに身を包み、頭には牛のような角に、お尻には立派な尻尾を生やした小柄な一人の少女である。
 その少女の胸の部分には黒神子を名のる者なら誰もが持つとされる赤く大きなクリスタルコアがまるで強大な力を封じ込めた宝石のように強く光輝く。

 唖然とする黒神子ヨーミコワを睨みつけながら一歩ずつ静かに歩み寄る小柄な少女は直ぐさまラエルロット・ゴンタ・シャクティの三人と合流するが、そんな意味ありげな少女の姿を見ていた黒神子ヨーミコワは何だか不思議な顔をしながらその少女に向けて疑問と言う名の質問をする。

「あの忌々しい黒神子レスフィナの気配が近づいて来るのをヒシヒシと感じていたのだが、お前は一体誰だ。お前は私の事を知っているような口ぶりだが、私はお前の事などは全然知らんぞ。もしかしてどこかで会った事があるのかな?」

「もう、ヨーミコワさんったら、しばらく会わない間にもうボケちゃったんですか。私ですよ、私……黒神子レスフィナです。知らない振りをしないで下さいよ。皆さんの前で知り合いのように言った私がバカみたいじゃないですか」

 少しむくれながら抗議をする黒神子レスフィナの言葉に黒神子ヨーミコワは驚きと怪訝な顔を露わにする。

「お前があの……遙か闇なる世界の黒神子・英雄殺しのレスフィナだと言うのか。あり得ない、それは流石にあり得ないだろ。この私を馬鹿にしているのか。牛のような角と尾っぽを持つ獸人の娘よ。あの最悪悪にして全人類の敵とまで言われた黒神子レスフィナがそんな可愛らしい娘の姿をしている訳がないだろ。しかも他の種族に混じって共に仲良く行動なんてあの黒神子レスフィナが絶対にする訳がないんだ!」

「いえ、私は本当の黒神子・レスフィナなんですけど、どうしてだれも信じてくれないのですか?」

「その極めて人間に近い姿はどう見ても黒神子レスフィナでは絶対にないだろ。お前はどう見ても黒神子レスフィナを名のるただのいかれた偽物だよ。おのれぇぇこの私を馬鹿にし、騙し、たばかろうとした罪は物凄く重いぞ。黒神子を名乗ったその愚行はお前の命で償って貰うからな!」

「仕方がありませんね、言葉で分かって貰えないのならその存在を力で証明するしかないようですわね。まあ分かってはいた事ですが、やはり話し合いでは解決はしませんか。いいでしょう相手になりますよ。ラエルロットさんがその命を賭けて蛾の妖精達を助けると決めた時に私の覚悟も決まりましたから!」

「コケェエコッコウゥゥ! いいだろう、黒神子レスフィナを名のる偽物よ。先ずはお前を血祭りに上げてから残りの弱そうな三人も直ぐにあの世に送ってくれるわぁ!」

「そんな事よりもいい加減あなたの足の下に倒れている蛾の妖精のルナさんから離れてもらえないでしょうか。それともまさかとは思いますが、あの絶対的な強さと気高い誇りを持つ黒神子ヨーミコワさんともあろう者が無様にも人質を取るだなんて……そんな情けない醜態は晒さないですよね。日頃から人間や他の種族達をあれだけ弱いと……下等な奴らと馬鹿にしているのですから、ここで蛾の妖精のルナさんを人質に取ったらただのハッタリを噛ます臆病者だと馬鹿にされますよ。それともやはり実力では勝てそうにないと判断してルナさんを人質に取りますか」

「ふ、ふざけたことを抜かしやがって、まあいいだろう、お前の口車に敢えて乗ってやるわ。人質を取られていたから仕方なく負けてしまったと死の瀬戸際で勝手に納得しながら死なれても叶わんからな。それは私のプライドが許さないし、お前達などいつでも殺せることを今ここで証明してくれるわ!」

 安い挑発に敢えて乗る形となった黒神子ヨーミコワはそのプライドの高さと傲慢な油断から後ろへと下がり、蛾の妖精のルナから距離を置くが、その光景を見た黒神子レスフィナは内心ではニヤリと笑う。

 その無謀な駆け引きでどうにか地面に倒れている蛾の妖精のルナの所まで来る事ができた黒神子レスフィナは、改めてルナの無事を確認すると、間合いの外にいる黒神子ヨーミコワの方をマジマジと見る。

「コッケエェェーーココ、コッケエェェーーココ、ではそろそろ楽しい時間を死合おうか!」

「ええ、そうですわね。蛾の妖精達の命運だけではなく、この世界にいる幾多の妖精達の運命と存亡を賭けた戦いの始まりですわ。ラエルロットさんは……いいえこの戦いに関わる全ての人達は、この戦いの果てに一体何を感じ、そして見るのでしょうか!」

 そう心配そうに呟いた黒神子レスフィナは、それぞれの複雑な思いを胸に戦おうとするラエルロット・ゴンタ・そしてシャクティの三人の覚悟を静かに汲み取るのだった。

 ラエルロット達VS黒神子ヨーミコワとの対決の図です。
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