白い羊と黒鉄の探偵 ~狂人達が暗躍し掲げる不可能犯罪に白い羊と黒鉄の探偵が挑む~

藤田作磨

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第八章 『白面の鬼女』 大雪が降る北海道の山頂で繰り広げられる生き残りを賭けたシリアルキラーとの推理戦に白黒探偵が挑む!

8-18.勘太郎が思う、疑わしき容疑者達

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 佐面真子と田口友子が戻り、次に勘太郎の部屋に入って来たのは大学二年生の一ノ瀬九郎と大学一年生の二井枝玄の二人だった。

 何やら真剣な顔を向けながら睨む二人を前に勘太郎は思わず息を呑む。何故ならそれだけ真剣で緊迫した眼差しを向けていたからだ。

 本当なら一人ずつ登山サークルの部員達を呼ぶつもりだったが、佐面真子・田口友子に続き(まだ呼んでもいないのに)今度は一ノ瀬九郎と二井枝玄の二人が一緒に訪れてしまったので(できたら一人ずつお願いします)と言うのが面倒臭くなった勘太郎は、手っ取り早く済ませる為に仕方なく二人一遍に事情聴取を開始する。

「わざわざここまで来て貰って申し訳ありません。早速ですが先ずは大学二年生の一ノ瀬九郎さん……あなたから質問します。昨日の十九時十分にこの山荘ホテル内に白面の鬼女が現れた時ですが、同時刻にあなたは自分の部屋で持って来ていた品々の荷物の整理をしていたそうですがその事を証明してくれる人はいますか」

「いや、当然いませんよ。部屋には俺一人でいましたから」

「なるほど……では十九時四十分くらいにあなたは一階のトイレに行って用を済ませた後で、少しだけ引き戸が開いている事に違和感を感じ、何気にその表玄関を見に行ったそうですが、そこで外に倒れている如月栄子さんを見つけたんですよね。それで間違いありませんか」

「はい、それで間違いないです。その後、頭に怪我をしている如月栄子さんを安全な所に移動させるために三階の食堂に向かおうとしていた時に、一階の階段付近で佐野と田口と合流してそのまま二人の力も借りて、四人で三階に来た次第です」

「その時の時間は確か十九時四十五分でしたよね。俺も覚えていますよ。あの白面の鬼女が三階にある食堂の厨房内から消えて少しした後にあなた達が下から階段を登って現れたんですよね。そしてその同じ空間には二井枝玄さんも一緒にその場にいましたから、その時の彼のアリバイは成立していると言う事になります」

 その勘太郎の言葉に話を聞いていた二井枝玄は心なしか安堵の表情を向ける。

「続いては昨日俺が助けを呼ぶために麓の下に降りた二十時から~再び上へと戻ってきた二十二時の間、あなた方二人は何処で何をしていましたか。二井枝玄さんから話して下さい」

「あなた方が下に降り去った後は勿論鍵を掛けて自室の部屋で大人しくしていましたよ。あの赤いワンピースの女性がまた現れたら溜まった物ではないですからね」

「では、一ノ瀬九郎さんはどうですか」

「勿論俺も同じだよ。この山荘ホテル内に現れたという赤いワンピースの女性の姿は俺は直接見てはいないが、あんな殺人鬼に襲われたら溜まったものではないからな。急いで部屋にこもったよ。まだこの山荘ホテルの何処かに隠れていると思ったからな」

「ではその二時間の間のアリバイは無いと言うことですか」

「いいや、そんな訳がないだろ。あんたの連れの羊のマスクを付けたあの女の探偵助手さんが何度か部屋のドアの横に備え付けてあるプッシュホン昨日の呼び鈴を使って俺に声を掛けて来ていたから、俺が部屋にいたという証拠になるはずだぜ。そしてそれは二井枝玄の奴も変わりは無いはずだ。そうだろう、二井枝!」

「はい、確かにあの羊の女探偵さんは何度か部屋のドアの前まで来て、僕の安否の確認をする為なのか……声を掛けて来ました。なので僕にも当然アリバイがあると言う事になります」

「では、俺がロープウェイで二十二時に麓の下から山荘ホテルに戻ってきてからはどうでしょうか。あなた方二人を入れた登山サークル部の男性部員達は皆二十三時から二十四時までの一時間、大石学部長の部屋に集まってこの山荘ホテル内の見回りをする順番を決めていたそうですが、それで間違いありませんね」

「はい、俺達二人は、大石学部長の部屋に行って二十三時から二十四時まで山荘ホテル内を見回る順番を決めていました。なのでその時間のアリバイはあります」

「その後は、そのまま一階の表玄関の前にあるフロントに集結して順番に朝の七時まで見回りをしていたみたいですからその誰もが外へ出てロープウェイ乗り場まで行って返ってくる時間を作ることは出来なかった。そうですよね。なのであなた方二人には完璧なアリバイがあると言う事になります……そうですよね」

「まあ実際そうだからな、俺達を疑うこと事態可笑しいだろう」

「ですが、唯一アリバイがない時間もありますよね。そうです、雪道に残した足跡を気にすること無くロープウェイ乗り場にある機体を破壊する事が出来る時間が……そうです、俺達が下から帰ってきた二十二時から二十三時までの一時間の間です。その間のアリバイは当然あなた達にはないですよね」

 メモを取りながら疑いの眼差しで言う勘太郎の言葉に今度は一ノ瀬九郎がむっとした顔を見せながらその言葉に喰って掛かる。

「確かにないが、それは佐面真子や田口友子も同じだろ。みんな各々が白面の鬼女の襲撃に怯えながら自室に閉じこもっていたんだからな。だけど俺達は帰ってきた先輩達にはちゃんと挨拶をしには行ったぜ。その過程で既に下で殺されてしまっていた陣内朋樹先輩の不運には未だに物凄い衝撃を覚えたが、そんな人の死を悲しむ余裕がないくらいに俺達は皆追い込まれているんだから、その唯一の脱出手段とも言えるロープウェイを自ら進んで破壊する訳がないだろ。仮に俺が犯人なら、唯一の脱出経路を破壊する事は自らの首を絞める危険性を大いにはらんでいるんだから、事をなしてから逃げ去る為にも残して置くのが普通だぜ。それにだ、根本的にロープウェイを破壊してまで先輩達をこの山頂に閉じ込めて殺そうとする明確な動機が俺達にはないだろう。そうだよな、二井枝!」

「はい、そうです。俺達には先輩達を殺す動機がそもそもないです」

「でもあなた方四人のいずれかなら二十二時から二十三時までの間にロープウェイ乗り場まで行って返ってくる事が出来た。そうですよね」

「ちょっと待って下さいよ。二十二時から二十四時の間にロープウェイ乗り場に行ける人達なら他にいるでしょ。二十二時からこの山荘ホテルに来た例のあの三人の来客達です」

「あの人達か……確かに皆謎の多い人達だけど」

 そういいながら勘太郎は考え深げに両手で腕組みをする。そんな勘太郎に訴えるかのように二井枝玄は自分の考えを爆発させる。

「絶対に怪しいですよ。大体俺達の中に何らかの理由で先輩達に恨みを抱く犯人がいるのならこんな雪山にわざわざ誘わなくても別の何処かで一人づつ、人知れず殺害した方がいいに決まっているじゃないですか。なのにあの殺人鬼はここにいるみんなを巻き込みながら犯行を続けている。大体なんの関係のない人も無慈悲に殺されているんだから、もう訳がわからないですよ。先輩達に何らかの恨みがあるのなら、最悪その先輩達だけを襲えばいいのに……なんで俺達もついでに襲われなきゃいけないんだよ。もうあの赤いワンピースの女が一体何をしたいのかが全然分からないぜ!」

(まあ、登山サークル部の部員達は皆、円卓の星座の狂人の事は当然わからないだろうから、そういう反応になっても別に可笑しくはないか。一体白面の鬼女は雇い主からどのような命令を受けて行動をしているのか、それが分からないぜ。本当に白面の鬼女はここにいるみんなを皆殺しにするつもりなのだろうか。この無差別な殺人事態が、白面の鬼女を雇った闇の依頼人の本当の意志なのだろうか)

 そんな事を思いながらも勘太郎は冷静に言葉を返す。

「なるほど、大体のアリバイがあなた達にはあることが分かりました。まだ幾分かは拭いきれない事もありますが、一応はあなた方を信じる事にします。それとあの三人の来客達の事は後でちゃんと取り調べをしますので任せて下さい」

「そうですか、なら探偵さんに任せます」

「それと後一つ気になる事があるのですが、よろしいでしょうか」

「な、なんですか?」

「二井枝玄さん、あなたは昨夜……三階の食堂で、先輩達について行こうとする大学一年生の佐面真子さんに向けて、あの先輩達について行ってはいけないと警告めいた助言をしていましたよね。その意味ありげな台詞からして俺達がまだ知らない何かを知っているのではありませんか。もし隠している事があるのならここで話して行って下さい」

「い、一体なんの事かな」

「とぼけないで下さい、昨夜に登山サークルの先輩達がロープウェイを使って下に助けを呼びに行こうとしていた時の事ですよ。時刻も近づきロープウェイ乗り場に行こうとしていた大石学部長達に一年の佐面真子さんが縋るようについて行こうとしていた時、あなたは怯えながらついて行こうとする佐面真子さんを必死に止めてたじゃないですか。確か自分を信じてとか言っていましたよね。あれは一体どういう意味ですか。そこの所を詳しく教えて下さい」

 しばしの沈黙の後、二井枝玄が静かに語り出す。

「大石学部長は僕の事なんて知らないとは思いますが、僕は大石学部長と同じ高校出身なんですよ。なので大石学部長が過去にまだ高校生だった時に起こしたという事件の噂を思い出しましてね。その悪い噂を思い出した物ですからついて行こうとする佐面さんについ警告をしてしまったんですよ」

「その噂話は誰に聞いたんですか」

「僕が高校生時代に上の先輩達に聞きました。五~六年前にこんなやばい奴がいて、ある女子生徒の死にその男子生徒が関わっているかも知れないという話でした。その男子学生の名が、大石学なんですよ。なので登山サークル部に入って部長の名前を聞いた時に直ぐに分かりました。この人がウチの高校のOBの大石学先輩だと」

「なるほど、二井枝玄さんと大石学部長は同じ高校出身でしたか。それでその大石学さんに纏わる悪い噂とは一体どのような物なのですか?」

「高校時代、大石学部長はある一人の女子高校生に悪質なストーカー行為をしていたという噂です。今でこそあんな落ち着いた感じの人物ですが、昔はかなりの悪だったとの噂です」

「う~ん、大石学部長も昔はかなりの不良だったのかな。しかも悪質なストーカー気質もあるのか。でも今は不良も卒業して真面目にやっているんじゃないかな。過去に札付きの不良だったからと言って今もそうだとは限らないだろ。更生して今は真面目にやっているじゃないか。まあ俺を見捨てて一早く逃げるというへたれっぷりもあるみたいだがな」

 見捨てられ置き去りにされた事を心なしかまだ根に持っている勘太郎は態とらしく皮肉を口にしながら大きく溜息をつく。そんな勘太郎に二井枝玄は更に険しい顔を向けながら大石学を警戒する本当の訳を話す。

「話はここからです。その大石学部長を知っているある人の話では、大石学部長のストーカー行為は止まらず度々エスカレートして、いろんな迷惑行為や付きまといを行っていたようです。その嫌がらせは常軌を逸していたらしく、彼氏気取りの脅迫の電話や、無言の電話に嫌がらせのような迷惑な贈り物が山のように来たそうですが、その行為に耐えられなくなったその女子生徒はノイローゼ気味になるまで追い込まれて、ついには高校にも来なくなってしまったとか。その後は不慮の事故か自殺かは分かりませんが、その女子高生は何かに怯える用にしながら近くの裏山の崖から落ちて亡くなったとの話です。でも流石に不審な死だったので、当然当時の警察は大石学部長を重要参考人として取り調べたそうですが証拠不十分として釈放され、事件はその女子高校生の不注意による転落事故死という形で捜査は打ち切りになったそうです」

「その噂は本当の事なのですか」

「僕は高校時代は新聞部だったので自分が在籍している高校に纏わるその事件を徹底的に調べ上げましたよ。それに五~六年前にそんな事件が本当にあったのかが物凄く気になったんで高校時代に大石学部長と同じ教室だった同級生の人に聞いたり、過去の新聞やらを調べたりして真実を調べた結果、どうやら本当に起きた事件であることが分かりました」

「なるほど、過去にそんな事があったのですね。なら高校時代にストーカー行為を行っていたという事も事実と言う訳ですか」

「はい、そう言う事になります。それにその五~六年前に起きた事件を知っている人の話によれば、大石学がその女子学生を崖から突き落として殺したんじゃないかと皆が疑っていたと聞いています。ですが新聞部としてもこんな荷の重い事件は流石に新聞には出来ず、部活としても闇に葬られた出来事だったので、この大学に来るまではすっかり忘れていたんですが……まさかこの大学に……いいやこの登山サークル部の部長にあの事件の当事者でもある大石学さんがなっていただなんて、当初僕はその出会いに運命的な物を感じた程です!」

「そう言う経緯があるのなら、あなたが大石学部長に対して過剰に警戒をするのも頷けます」

「だからこそ、その如月妖子さんの死にも、もしかしたら大石学部長達が関わっているんじゃないかと思いましてね。人知れず彼らに警戒をしていたんですよ。一ノ瀬九郎先輩の話では、大石学部長は人の見ていない所で嫌がる如月妖子さんにしつこく付きまとい、ストーカー行為を働いていたらしいですからね。如月妖子先輩はむしろ被害者なのにその事でその後、嫉妬深い飯島有先輩にかなり睨まれていたという話も聞きましたからね。なら不審なこの行方不明にも何か裏があるのでは無いかと思ったんですよ」

「なるほど、二井枝玄さんの話はよ~く分かりました。では次は一ノ瀬九郎さんのお話を聞かせて下さい。一ノ瀬さん、あなたも大石学部長達にはかなり不信と警戒をしていたようですが、やはりその最たる原因は一年前に登山サークルの先輩達に雪山に置いてきぼりにされた事ですか。だからあの先輩達は信用ならないと思っている訳ですね。何故ならあなたの中ではあの置いてきぼりはアクシデントではなく、悪ふざけでワザと置いて行かれたと思っているからですよね。そうではありませんか」

「確かにそれもあるが……」

「ええ、確かにそれだけではありませんよね。今の二井枝玄さんの話によれば、あなたはもう既に一年半前にこの山頂の夏山で突如行方不明になった如月妖子さんの失踪に大石学部長達が関わっているんじゃないかと大いに不信と疑問を感じていたそうですよね。如月妖子さんも一ノ瀬九郎さんも一年前は大学一年生で同じ部員でしたから、彼女の行方不明はあり得ないと思っていたことでしょう」

「確かにな。俺も去年この登山サークルの部活に入った頃は同じく入部をしていた如月妖子さんとはよく山岳の話で盛り上がっていたからな。その話の中で彼女がこの山荘ホテルのある山に昔から何度か登っていて慣れているという話を聞いていたからな。その行き慣れている山で行方不明になる事に物凄い違和感を感じていたんだよ。それに俺は一年半前に当時入部したての如月妖子さんにしつこくいいよって付きまとっている大石学部長と、物凄く嫌がっている如月妖子さんの姿を何回か目撃しているからな。だから大石学部長を怪しいと思ったんだよ。それにその行為は他の男性の先輩達はみんな当然知っているはずなんだが、誰もその事には一切口をつぐんだままだったから、尚更怪しいと俺は疑っていたと言う訳さ!」

「そこの所をもっと詳しく語ってはもらえないでしょうか」

「いいぜ、そこまで言うのなら話してやるよ。一年半前に感じた俺の心の憤りをな!」

 そこまで言うと一ノ瀬九郎は眉間にシワを寄せながら、太い声で話し出す。

「あの大石学部長らを始めとした五人は皆胡散臭い奴らだ。一年半前、大石学部長は如月妖子さんに付き合ってくれと頻りにいいよっていたのを俺は知っていたからだ。如月妖子さんにその気は全く無かったようで当然の用に断られたらしいんだが、大石学部長が余りにしつこかったらしく、どうしたらいいのかと俺に何度か相談に来ていた程だ。俺も何回かは大石学部長を直接呼び出して、迷惑らしいからもういい加減に諦めろと言ってやったんだが、お前には関係ない話だと逆に逆ギレされてな、それ以来大石学部長とは確執が出来てしまった。だから俺を雪山に置き去りにするという悪ふざけも仲間内でされていたようだ。全くクソみたいな先輩達だぜ!」

(いいや、その先輩達の嫌がらせに今まで独りで耐えていた事事態がすごいよ。まだ二年生なのに物凄い男気があって勇敢じゃないか)と思いながらも、勘太郎は更に一ノ瀬九郎の話を聞く。

「それに大石学先輩と飯島有先輩は大学内では密かに付き合っていたらしいが、飯島有先輩にしてみたら大石学部長を後輩の泥棒猫に寝取られたと勝手に思い込んで過剰にヒステリーを起こしていたみたいだからな。本当に嘆かわしい事だぜ。まあ如月妖子さんにしてみたらいい迷惑だったんじゃ無いかな。何せ、いつの間にか如月妖子さんの方が大石学部長を誘惑して自分から積極的に迫った事になっていたからな。恐らくは飯島有の嫉妬に恐れ驚いた大石学部長が、如月妖子が自分に付きまとっていた事にすり替えたんだろうぜ。全く卑怯な奴だぜぇ!」

「一年半前にそんな事があったんですか。それで、それからどうなりましたか」

「俺は、飯島有先輩に……付きまとっていたのは如月妖子さんではなく大石学部長の方だと何度も説明したんだが、どうしても信じてくれなくてな。仕方なくほおっておく事にしたんだがまさか夏山であんな事になってしまうだなんて夢にも思わなかったよ。飯島有先輩は嫉妬深く思い込みの激しい人だし、その取り巻きの斉藤健吾・陣内朋樹・田代まさやの三人も何やら一癖も二癖もありそうな悪い噂しか聞こえてこない人達だから、如月妖子さんの事も心配で気にはかけていたんだが、あの時俺は風邪を引いてしまって体調不良のせいでこの山荘ホテルの部屋で寝ていたからな。もしかしたらその間に如月妖子さんの身に何かあったんじゃないかと思って、今日まで自分を責めていたんだよ。もしもあの時、俺が傍にいたら彼女は行方不明にはならなかったんじゃないかと思ってな!」

 悲痛な顔をしながら話す一ノ瀬九郎に、話を聞いていた勘太郎が静かに言う。

「一ノ瀬九郎さんは、如月妖子さんのことが好きだったのですか」

 その言葉を聞いた瞬間、一ノ瀬九郎の顔が真っ赤に茹で上がる。

「ば、馬鹿な事を言うな、そんな訳が無いだろう。俺なんかじゃ彼女とは釣り合いが取れないよ。彼女が天使なら俺は地を這い回るウジ虫以下だ。そして彼女が太陽なら俺は地底を這いずるミミズも一緒だぜ。俺は彼女を見守るだけで良かったんだ、それを大石学部長が台無しにしたんだ。絶対にあいつが如月さんの行方不明に関わっているに決まっているんだ。そしてもし彼女に何かをしていたのなら、俺は絶対にあいつらを許さないぜ!」

 そんなに自分を悲観的&否定的にさげすまなくてもいいのでは無いかとも思ったが、その分如月妖子に対する彼の想いがどのくらいの物だったのかが分かり、勘太郎は一ノ瀬九郎の思わぬ一面を見れてほっとする。

 この男の恋心もかなり狂信的な物があるみたいだが、彼女を気遣う心はどうやら本物のようだと勘太郎は思う。だがその反面、大石学部長らを殺害に至る充分な動機にもなるかも知れない。

 願わくば、彼が白面の鬼女を雇った闇の依頼人ではないことを心の中で願う。

 そんな二井枝玄と一ノ瀬九郎のアリバイと密かに隠されていた心の中の思いを聞きながら、勘太郎は二人の事情聴取を終えるのだった。


             *


「フフフフ、黒鉄さん、どうやら無事に事情聴取が進んでいるようですわね。お次は山岳カメラマンの江田俊一さんでしたか」

 そういいながら勘太郎の部屋の中にいたのはロープウェイ乗り場から帰ってきた羊野瞑子である。

 勘太郎の部屋から出て行った一ノ瀬九郎と二井枝玄と入れ代わる形で部屋へと入ってきた羊野は被ってある精巧に作られた白い羊のマスクを脱ぎながら一息溜息をつく。
 その羊野からロープウェイ乗り場を調べに行って何か分かった事があるのかを直ぐにでも聞き出したかったが、タイミングが悪く次なる訪問者が来てしまい、勘太郎は仕方なく部屋のドアを開ける。
 そのドアの前にいたのは、朝の七時の朝食を食べた直ぐ後に一階にある自室に戻り閉じこもった山岳カメラマンの江田俊一だった。

 丸坊主のスキンヘットに目には黒いサングラスを掛けた江田俊一はその風貌から柄の悪そうなシャープなワイルド系のヤクザにも見えるが、意外にも礼儀正しく明るい人物のようだ。その江田俊一が笑顔を振りまきながら勘太郎の呼び出しに応じ部屋の前に立つ。

「来たぜ探偵さん、部屋に入ってもいいかな」

「は、はい、今日はわざわざ部屋を訪れて貰ってすいません。早速ですが昨夜の江田俊一さんのアリバイを証明する為にも、是非とも事情聴取を行わせて下さい。お願いします」

「ああ、いいとも、その為に俺はここに来たんだからな!」

 そう言うと江田俊一は堂々とした足取りで部屋の中に入ると机の横に既に用意してある小さな椅子へと座る。

「下にいた時のアリバイはもう既に聞いているので聞きませんが、上に来た昨夜の二十二時から二十四時の間、あなたは部屋にいたようですが、その事を証明してくれる人はいますか」

「勿論いないぜ。俺は部屋に一人だったからな。あ、だけど二十二時三十分くらいに部屋から出て階段を上る……隣の部屋にいる如月さんとかいう人の足音を聞いたから二十二時三十分に俺は自室にいたという証明になるんじゃないかな。後で如月さんとやらに聞いて調べてみろよ。もしも如月さんがそうだと答えたら、俺は昨夜の二十二時三十分には部屋にいた事が証明されるんだからな」

「でもその後に部屋を出てロープウェイ乗り場に行ったとも考えられますよね」

「そうなんだよな。俺には二十二時三十分から二十四時まで自室にいた事を証明してくれる人がいないからな。でもそれは仕方が無い事じゃないのか。何分俺は一人でこの山頂に泊まりに来ているんだからな。だがよ、お前達は肝心な事を忘れているぜ」

「肝心な事ですか」

「そうだ、もしも俺がその殺人鬼だったとして、俺にこの山荘ホテル内にいる人を殺す動機がないだろう。何故ならここにいる人達はみんな昨日の晩に会ったばかりの初対面の人達なんだからよ。恨みもへったくれもないぜ!」

「た、確かにそうですね……」

(そうだ、初対面の江田俊一さんにはそもそも登山サークル部の部員達を殺す動機がない。なら江田俊一さんはやはり臨時の管理人の小林秀雄さんや登山サークル部大学三年の陣内朋樹さんを殺した白面の鬼女ではないと言う事なのかな)

 そんな結論を心の中で出した勘太郎に代わり、隣にいた羊野が突然話し出す。

「こんにちは江田俊一さん、昨夜から登山関係の雑誌に掲載する仕事の記事を書いていたようですが、お仕事は順調ですか」

「まあ、一応はな」

「朝の七時に三階の食堂に朝ご飯を食べに来られて、七時三十分には自室にまた閉じこもったようですが、それだけ仕事に集中しているという事ですか」

「ああ、まだ仕事は終わってはいないからな……って、一体あんたはなにが言いたいんだよ」

「いいえ、別に何も……ただ単にそんな最もらしい理由をつけた方がいろいろと動きやすいかもと思いましてね」

「なんだよ、それはどう言う意味だよ!」

「声を荒げながら凄む江田俊一に羊野は臆すること無く話を続ける。

「あなたの言い分では動機がないから犯人にはなり得ないと言っていましたが、そもそも今この山に潜伏しているあの白面の鬼女に本当は動機なんて物は最初から必要ないのかも知れません。そう考えるのなら江田俊一さん、あなたが言っている動機などは最初からどうでもいい事だとは思いませんか」

「あんたは一体何を言っているんだ。人を恨む動機がなかったらそもそも人を殺す意味が無いだろう」

「ええ、ですからこの事件に関わっている闇の依頼人は白面の鬼女という殺し屋に依頼をして殺しを実行しているのではないでしょうか。そう考えるのならその殺人鬼に人を殺す動機がないのは至極当然な事であり納得もいくのですが、どうでしょうか」

「じょ、冗談じゃないぜ。俺がその白面の鬼女とかいう殺し屋だと言うんじゃないだろうな。行き成り何を言うかと思えば全く馬鹿馬鹿しい話だ。この山荘ホテル内に殺し屋がいるだとう。なぜそんな結論に至ったのかは知らないが流石に現実離れをした発想だぜ!」

「そうでしょうか、結構いい所を突いていると思うのですが」

「殺し屋とか、闇の依頼人とか……マンガやドラマじゃあるまいし、理解に苦しむってんの!」

「フフフフ、まあ確かにかなり強引なこじつけをしてしまいましたが、今のはただの冗談ですので気にしないで下さい。でもあなたには昨夜の二十二時三十分から二十四時までのアリバイがないので、容疑者候補になっていることだけは分かって下さい」

「どうやらそのようだな。でもよ仮に俺が犯人なら犯人だと疑われないようにアリバイ作りは計画的にすると思うけどな。この事件が行き当たりばったりの犯行じゃないと言うのなら尚更自分が有利になるアリバイを作るだろ。自分が疑われるかも知れないリスクを下げる為にな!」

「フフフフ、でももしかしたらその逆も考えているのかも知れませんよ。下手にアリバイを作るよりは最初からアリバイがないようにして敢えて最初は疑われるようにしたとも考えられます。アリバイを下手に作ると場合によってはそこからボロが出る恐れもありますからね。それに一度疑われておけば、容疑が晴れた時にはもうその人を犯人だと疑うことはまずないでしょうからね。どうでしょうか」

「ひ、羊の女探偵さん……あんたはどうあっても俺を犯人だと決めつけたいのかよ!」

 怒りの為か江田俊一の眉間がピクピクと痙攣する。

「いえいえ、そういう訳では……ただあなたにも犯人になり得る可能性があると言っているだけですわ」

「くそ、なんだか荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい話だ。それになんだか気分が悪いぜ。もう話が済んだのなら俺は部屋に戻るからな。俺にはまだやらなけねばならない仕事が沢山残っているんだからよ!」

「あ、待って下さい。では最後にこのリンゴを片手で握り潰して見て下さい」

 そう言って羊野が着ているウエアの左のポケットから取り出したのは、赤い色をした瑞々しそうな一つのリンゴだった。

「な、リンゴを片手だけで握り潰して見せろだとうぉぉぉ。そんな事が出来るわけがないだろう!」

「そうでしょうか。でも江田俊一さんは山岳カメラマンですし、いろんな山々に毎回登る為に常にジムで体は鍛えているんじゃないんですか。だからこそ余分な脂肪のない細マッチョな体を作り上げたのでしょうからね。ならリンゴを握り潰すくらいは訳ないですよね。はい、どうぞ」

 そういいながら羊野が笑顔でリンゴを手渡すが、その手渡されたリンゴを見つめていた江田俊一が行き成りリンゴを床に叩き付ける。

「このリンゴを片手の握力だけで握り潰してみせろだと……そんなのできるかあぁ!」

 怒りに任せて思いっきり床に叩きつけたリンゴは二つに割れ、部屋中に音が響き渡るが。その迫力に明らかに油断をしていた勘太郎は座っていた椅子から思わずコケそうになる。

 ドッシャン!

(うわぁぁ、び、びっくりしたな……もう。食べ物を粗末にすると、後で勿体ないお化けが出るぞ!)

 かなりビビりながらも勘太郎がそんな事を思っていると、羊野が目を細めながら意味深に言葉を発する。

「あらあら、ただ単にリンゴを握り潰して見て下さいとお願いしただけなのに中々の取り乱しぶりですね。何かリンゴに恨みでもあるのでしょうか。それとも何かチャレンジできない訳でもあるとか……」

「ただ単にあんたの態度にむかついただけだよ!」

 あからさまに怒りの表情をみせる江田俊一を前に、勘太郎は直ぐさま仲裁に入る。

「まあまあ江田俊一さん、落ち着いて下さい。ウチの羊野が空想と仮説だけで犯人扱いをしてしまい、大変失礼な事をしました。本当にすいませんでした。後でちゃんと言って聞かせますから今回はどうか大目に見てやって下さい。彼女は仕事熱心なだけですから」

「証拠も動機もないのに人を犯人扱いするだなんて、この姉ちゃんはどうかしてるぜ。頭が可笑しいんじゃないのか。ちゃんと教育をしてくれないと困るぜ。これじゃ冤罪だって生まれ兼ねないからな!」

「はい、ちゃんと後で説教をして起きます」

 床掃除をしながら謝るそんな勘太郎の謝罪を聞きながら、江田俊一は豪快に部屋を出て行くのだった。

 ……。

「ふう、やっと終わったか。相変わらず人をドキドキさせるんじゃねえよ。江田俊一さんを怒らして、一時はどうなることかと思ったぜ。でもまあ、殺し屋説を行き成り言われたら誰だってそんな馬鹿なと面食らうだろうな。まあ俺はその可能性をすんなりと受け入れたがな」

「ほほほほ、それはこの事件にはあの円卓の星座の狂人が最初から絡んでいると知っていたからですか」

「まあ、そう言うことだな。円卓の星座の狂人には人を殺す動機は二つしかないからな。一つは、闇の依頼人からの任務の為に。もう一つは、殺しの趣味を持っていたり、その仕事の邪魔や正体がばれそうになった時だ。だから狂人には人を殺す際に最初から動機は必要ないと言う事だな。お前はそう言いたかったのだろう。そうだろう、羊野!」

「フフフフ、でも江田俊一さんが本当に無関係な場合は円卓の星座の狂人の事を話しても無駄ですから、殺し屋の情報を出して江田俊一さんの反応を見たまでの事ですわ。なんか行き成り感情を乱してあらわにした見たいですから、一応疑いは持っていた方がいいと言うくらいでしょうか。いずれにしてもまだまだアリバイを崩せるだけの証拠も、闇の依頼人が隠している動機も全く見えてはいませんわね」

「そうか、なら次は医療機材販売員の宮鍋功と、エアロビクスのインストラクターの島田リリコの二名だな。部屋へと帰る江田俊一さんに次の人を呼ぶようにと頼むのを忘れたからな。なので俺が直接二人を呼びに行くぜ!」

  次なる事情聴取にやる気を見せる勘太郎に羊野は優しい声で言う。

「では呼んできて下さいな。宮鍋功さんと島田リリコさんの二名を」


            *


 時刻は十時丁度。勘太郎と共に、宮鍋功と島田リリコの二名が部屋の中へと現れる。

 落ち着きようのない不安と怪訝な顔を見せながら部屋へと入ってきた二人の男女のカップルは勘太郎に勧められるがままに、羊野がいるテーブルの向かい側に座る。

 その見るからにペアルックのような同じ柄のスキーウエアは二人の親密さを想像させ。二人がただならぬ男女の関係である事を一目見て直ぐに分かってしまう程だ。それだけ二人はまるで新婚カップルのように熱々なのだ。そんな刺激が強い熱々っぷりを嫌でも見せつけられた勘太郎は、凄く羨ましいと内心思いながらも、平然を装いながら羊野の隣の席につく。

「ここに来て貰ったのは他でもありません。この山荘ホテルに来た、昨夜の二十二時から二十四時までのお二人のアリバイを聞く為です。その時間お二人はどこにいましたか」

「どこって……俺とリリコは、俺の部屋でiPadを使って映画を見ていましたよ。あ、それと一階の売店で買ったカップラーメンを食べて、ビールを飲みました。そして後は、その白面の鬼女とかいう謎の殺人鬼と鉢合わせしたら嫌だという理由で同じ部屋で朝まで雑魚寝をしましたよ。そうだよな、リリコ」

「はい、宮鍋さんの言った通りです。私達は昨夜は一度も部屋からは出てはいないです」

「その事を証明してくれる人はいますか」

「私と宮鍋さん以外に宮鍋さんの部屋を訪れる人はいないんですからいる訳がないじゃないですか!」

「た、確かに……そうですよね。大変失礼しました」

「苦笑いをしながら普通に謝る勘太郎を尻目に、羊野瞑子が代わりに話し出す。

「まあ、部屋に一晩閉じこもっていたのならアリバイを証明できなくても仕方がありませんよね。時に話は変わりますが、宮鍋功さんは趣味で空手を習っていて、島田リリコさんのお仕事はエアロビクスのインストラクターだそうですが、それは本当ですか」

「ええ、本当ですよ」

「ならかなり体を鍛えているでしょうし、身体能力も平均の人より高いと言う事ですよね」

「その平均というレベルがどれ程の物かは分かりませんが、かなり高いと思いますよ。俺、素人と戦っても負ける気が全然しないですし」

 余程自分の力に自信があるのか宮鍋功は腰に手を当てながら鼻高々に言う。

「なるほど、確かにその細マッチョな筋肉をみたらかなり体を鍛えている事は想像しやすいですからね。相当お強いのでしょうね」

 そんな心にも無い事を言いながら羊野は宮鍋功の向上心を盛り上げる。

「ではあなたのその自慢の腕力でこのリンゴを片手だけで握り潰して見て下さい。きっとあなたになら出来ますわ」

 そう言うと羊野は今度はウエアの右ポケットから赤い色をした瑞々しいリンゴをもう一つ取り出すとそのリンゴを宮鍋功に渡す。すると宮鍋功はその羊野の期待に応えるかのように渾身の力を込めて右手だけで力強くリンゴを握り絞める。

「なんだかよく分からんが、そこまで言うのなら少し試してみるか」

「ウッグググググーゥゥゥゥゥゥゥ! うりゃあぁぁぁーっ! どっりゃあぁぁーっ!」

 宮鍋功の気合いを入れた声が部屋中へとこだまする。

 額に青筋を立てながら宮鍋功がいくら力を込めても、右手に持つリンゴは割れる気配が全くないようだ。
 ついに疲れ果て、力を使い果たした宮鍋功は「ハア・ハア・ハア~」と息を切らしながら悔しそうに隣にいる島田リリコにその赤いリンゴを渡す。

「駄目だ、全然割れない。くそ、なんだか悔しいな。そんな訳でリリコ……今度はお前がやってみろ」

「ええぇぇ、わたしが……できるかな?」

 そんな無茶ぶりを言い出した宮鍋功だったが、やる気になったのか島田リリコが右手で力強くリンゴを握り絞める。

「うっむむむむむぅぅぅぅーっ!」

 ググググググーっ!

「ふう~っ、やっぱり無理みたいね。このリンゴを握り潰すにはそうとうな握力がないと握り潰す事はできないわ。指を使う競技に特化した人ならいけるんじゃないかしら」

「指を使った競技ですか。まあ田舎で果樹園を経営しているおじさんなら両手を使ってリンゴを交互に捻るだけでリンゴを半分に割るコツを知っているみたいですが、片手だけでリンゴを握り潰すとなると相当の握力を必要とします。人が握力だけでリンゴを握り潰すには最低でも70キロから~80キロくらいの握力がないとリンゴは握り潰せないのだそうです。世間一般的に鍛えていない普通の人間の握力は、二十五歳から二十九歳の男性では、46.81キロ。女性では、29.5キロ。くらいの握力しかないそうなので、普通の人がリンゴを握り潰すのはまず不可能です。ですがリンゴを握り潰すにはちょっとしたコツがあるみたいで、日にちが経ち熟しているリンゴや、手の大きさに合ったサイズのリンゴなら65キロくらいの握力でも意外と簡単に割れるのだそうです」

「なるほど、それだけ白面の鬼女の握力は強力だと言う事か。しかもおまけにリンゴを握り潰せるコツも知っていると言う事か」

「そう言う事です。でもそのお陰で白面の鬼女が使うトリックの謎が確信へと変わったんですから気づけて良かったと言った所でしょうか。やはり私の読みに間違いはなかった」

「お前の読みだってぇ。羊野、お前は雪に覆われたロープウェイ乗り場で一体何を見たんだ。いいから話してみろよ?」

「そうですわね。黒鉄さんが不思議がっている、標高1300メートル級の頂上とその真下の麓の行き来を可能とする白面の鬼女の瞬間移動の謎を近いうちにお見せ出来ると思いますよ」

「しゅ、瞬間移動の謎だと。羊野、そのトリックの謎が分かったのか!」

「フフフフ、焦らないで下さい。取りあえず私はもう少しだけ宮鍋功さんと島田リリコさんの二人とお話ししていますから、黒鉄さんは少し食堂で休んでいて下さいな。九時から十時まで神経を張り詰めてお話をしていたと思われるのでかなり疲れているはずです。それに朝からいろいろとあって朝食も食べてはいないでしょうから、三階の食堂でちゃんと朝食を食べて来て下さい。こちらの事情聴取の方は私が進めて起きますので」

「そ、そうか、済まないな。ならお言葉に甘えて後は頼むとするかな。ちょっと行って朝食を食べて来るからよ。そして帰ってきたらその瞬間移動の謎を絶対に教えて貰うからな。勿論今現在知っている事の全てをだ。いいな、わかったな!」

「はいはい、分かりましたから早く休憩に行ってきて下さいな。いつまでも傍にいられると鬱陶しくて溜まりませんから」

「鬱陶しいってなんだよ。でも分かったよ。朝食を食べたら直ぐに帰ってきてやるぜ!」

 そう意気込むと勘太郎は、羊野瞑子・宮鍋功・島田リリコの三人を部屋へと残し、三階にある食堂へと足を向けるのだった。
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