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第八章 『白面の鬼女』 大雪が降る北海道の山頂で繰り広げられる生き残りを賭けたシリアルキラーとの推理戦に白黒探偵が挑む!
8-25.救助ヘリ来たる、そして解決
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25
「飯島さん、開けろ。もっと強く上の石を押すんだ。早くしないと探偵達がここに来てしまう!」
「じゅ、充分に押してるわよ。あの時は男達が四人もいたから難なく開ける事ができたけど、流石に二人だけじゃ無理よ!」
「無理とかじゃないんだよ。如月妖子が密かに隠し持っていたというICレコーダーを他の誰よりも早く回収しないと、このままでは本当に俺達が犯人になってしまうんだからな。早く俺達の会話を録音していたというそのICレコーダーを見つけないと俺達が如月妖子を死なせて、その死体をこの慰霊碑の品を入れる中のスペースに閉じ込めた事がバレてしまうよ。いやだ、犯行がバレて刑務所に入るのは嫌だ。お前もそうだろう。飯島さん!」
「ええ、刑務所の中だなんて……絶対に嫌よ。せっかく白面の鬼女の恐怖から解放されたというのに、こんなくだらないことで人生を一生棒に振るだなんて、絶対に嫌よ!」
三~四個ほどの記念碑や慰霊碑があるその中から一つの慰霊碑に手を掛ける大石学部長と飯島有の二人は、重い長方形の石を横にしたような蓋に手を掛けながらあらん限りの力を振り絞る。その快があってか石畳はわずかずつだが徐々に開き、ついには死体が見える所まで石畳の蓋が開いてしまう。
大石学部長は辺りにはばかること無くうわごとのように独り言を呟きながら、屍と化した如月妖子の死体の衣服を一心不乱に調べ始める。
「一年半も経っているから綺麗な骨になっているけど、お目当てのICレコーダーは一体どこにあるんだ?」
死体の上に掛けてある赤いワンピースを大急ぎでどけた大石学部長は、如月妖子が着ている衣服を隈無く探して見たが、田口友子が言っていたICレコーダーやトランシーバーらしき物はいくら探しても一向に出て来ない。
「どこだ……ICレコーダーは一体どこだ。早く、早く探偵達がここに来る前に処分しないと、俺達の犯行がバレてしまう。だが今ならまだ間に合うかも知れない。早く何とかしないと!」
まるで狂わんばかりに叫びながら死体の衣服をあさる大石学部長と飯島有の前に、黒鉄勘太郎・羊野瞑子・田代まさや・佐面真子の四人が姿を現す。
因みに一ノ瀬九郎・二井枝玄・宮鍋功の三人はまだ怪我の手当をしているので三階の食堂からは出ては来ず、その治療や面倒を島田リリコと田口友子の二人が買って出ている。そんな五人を山荘ホテル内に残しながら、勘太郎・羊野・田代まさや・佐面真子の四人は、今なお如月妖子の体の死体あさりをしている大石学部長の行動を見ながら流石に呆れかえる。
「大石学さん、いい加減にやめてください。流石に往生際が悪いですよ。もうあなたが如月妖子さんの失踪に大きく関わっていることは分かっているんですから、その罪からいくら逃れようとしたって無駄ですよ!」
もう観念するようにと言う勘太郎に向けて、大石学が目を血走らせながら疑問の声を上げる。
「ない、ないぞ。いくら探しても小型のトランシーバーはおろかICレコーダーも見つからないじゃないか。やはり田口友子の言っていた事はただのハッタリだったのか。ちくしょう、俺達を騙しやがって、あの女、絶対に許さんぞ!」
「うそ、嘘だったのね。私達の犯行を録音したと言うICレコーダーなんてどこにもないじゃない。本当にもう……ビビらせやがって。田口は……田口の奴は一体どこにいるのよ。今すぐにここに呼んで来てちょうだい。ここでぶちのめして焼きを入れてやるわ!」
物凄い剣幕で怒る大石学部長と飯島有に、状況がよく分からないでいる勘太郎ではなく、その答えを知っている羊野瞑子が代わりに話し出す。
「ええ、田口友子さんと如月妖子さんが二年半前からの知り合いなのは本当の事ですが、如月妖子さんがICレコーダーに大石学部長達の犯行のその後の声を録音したという話は全部嘘ですわ。私が田代まさやさんと田口友子さんの力を借りて、この慰霊碑の棺に隠してある如月妖子さんの死体を調べた結果、如月妖子さんは椅子に後頭部を打ち付けての脳内出血と頭蓋骨陥没による即死である事が分かりました。なのでこの慰霊碑の中で意識を取り戻す事は絶対にありません」
「ありませんって……お前、ならなんで田口友子さんはそんな嘘をついたんだよ」
「それは勿論、大石学部長達の悪事を暴きたいのなら、私の言うとおりにしなさいと、私が事前に彼女に助言をしたからですわ」
「つまり、如月妖子がICレコーダーや小型のトランシーバーを隠し持っていたという話は全部嘘だったんだな」
「ええ、そういうことです。如月妖子さんは、田口友子さんから、過去の大石学のストーカー疑惑やその悪行を聞かされていたのでその事で本人を問い詰めたようですが、特に防犯グッズのような物は一切持ってはいなかったようです。全ては私が事前に考えたシナリオですわ」
その羊野の思いもよらない言葉に大石学部長と飯島有は唖然とし、勘太郎は額に手を当てながら思っている疑問を聞く。
「それじゃぁ、やはりお前が事前に考えたシナリオと言う事は、その場で即席で作った計画では当然ないと言う事だよな。いつからだ、いつから如月妖子さんの行方を知る犯人探しのあぶり出しは実行されていたんだ」
「この北海道にある、山荘ホテルに行くと決まった三日前ですわ。依頼をしに来た如月栄子さんが帰った直ぐ後に、北海道の大雪山周辺に出没しているという白面の鬼女について私なりに調べて見たのですよ。そこでその山荘ホテルのある頂上付近で一年半前に行方不明になっている如月妖子さんと登山サークル部の部員達の存在を知ったのですわ。後はこの登山サークル部に所属をしている部員達、一人一人の経歴や過去に何らかの事件を起こしていないかを北海道警察に調べて貰っていたら、大石学という大学四年生の学生が、高校生時代にある女性に必要以上なストーカー行為をしていたと言う理由で、その被害者側の家族が被害届を出していたと言う事が分かったのですよ。そしてそのストーカー行為の被害の果てに、当時高校二年生だったその一人の女子高校生が裏山の崖から落ちて亡くなっています。その死因はストーカー行為によるノイローゼで自殺をしてしまったのか……はたまた不慮の事故でたまたま崖から落ちてしまったのか……或いは、そのストーカー行為をしていたという大石学に突き落とされて殺されたのかは資料が足りないのでこの段階では未だに謎ですが。そのストーカー行為の果てに亡くなった被害者の妹さんがなぜかその大学の登山サークル部の部員として紛れていた事が分かりましたから、これは絶対に何か訳がある物と思い、その彼女に直接電話をして接触を図ったと言う訳なのですよ」
「その人物こそが田口友子と言う訳だな。そして俺には一切秘密にして、田口友子と二人で如月妖子さんを殺したかも知れない犯人を誘き出す為のシナリオを作ったんだな。田口友子さんからは電話でその大石学の悪行を聞いていただろうから、最初から大石学とその仲間達が怪しいという可能性を考慮して、まずは彼らにターゲットを絞っていろいろと罠に掛けようとしていたんだな。あの廃別荘のある森の中で出くわした白面の鬼女の正体は、田口友子さんだな」
「フフフフ、その通りですわ。白面の鬼女の姿は、白面の鬼女を直に見たと言う数少ない生き残りの方から聞いて参考にしましたわ。衣装も白面の鬼女本人に激似に似せる事が出来て本当によかったです。もし大石学部長達が少しでも私達が作り上げた白面の鬼女の事を疑ってしまったら、本家本元の白面の鬼女さんの犯行を逆に利用しての便乗が出来ませんからね」
「つまり本家本元の白面の鬼女が起こしている犯行とは別に、お前が更に白面の鬼女の犯行を利用して更なる事件を追加していた訳だな。それはあの如月栄子さんも戸惑うわけだ。なにせ自分とは違う別の誰かがもう一人の白面の鬼女を演じていたんだからな。そして大石学部長達に送りつけた白面の鬼女からの手紙も当然お前が出した手紙と言う訳か。全ては白面の鬼女がピンポイントで大石学部長達を狙っていると思わせて、追い詰めて、冷静な判断が出来ないようにする為に」
「ええ、その下準備があってこその、田口友子さんの告白ですからね。田口友子さんが、過去に大石学さんがストーカー行為をしていた被害者の妹さんだという衝撃的な事実を知れば、その後に追加した如月妖子さんが持っていた全く同じ型のスマートフォンや、実は隠して密かに持っていたというICレコーダーや小型のトランシーバーと言った嘘も、それらしいハッタリを重ねていたら真実味を帯びて来るのではありませんか。田口友子さんがこの登山サークル部の部員として紛れ込んでいたという事実が目の前にあるのなら尚更です」
「まあ、そこに大石学を密かに追っていたという如月妖子の事を知る田口友子という存在が目の前にいたというのなら、その知り合いでもある如月妖子がもしかしたらICレコーダーを持っていたかも知れないという疑惑が生まれるのも必然なのかもな。もしかしたらその田口友子が白面の鬼女かも知れない。だからこそ田口友子の嘘を大石学部長と飯島有は信じるしかなかったんだな。田口友子との繋がりで如月妖子がICレコーダーをもしかしたら隠し持っていて、自分達はその証拠の品を見逃しているかも知れない。その疑心暗鬼がある犯人なら必ず、その死体がある現場に戻ると、お前は考えた訳だな」
「まあ、そのハッタリの嘘で、大石学部長と飯島有さんは慰霊碑の中に如月妖子さんの死体がある事をうっかり話してしまいましたから、それだけでも十分に証拠にはなりますがね」
「でもそれじゃ物的証拠がないだろ。そのICレコーダーの話はお前と田口友子さんがついた真っ赤な嘘の話だったんだからな!」
その勘太郎の言葉に飯島有が大声で喚き出す。
「そうよ、物的証拠がないんだから、当然私が言っていたという証拠もないのよね。慰霊碑の在りかや如月妖子さんを突き飛ばしてうっかり殺してしまった事は、あなた達の心理的な誘導尋問でつい心にもない事を話してしまっただけだから、言い逃れはいくらでもできるわ。そうよね、大石学部長!」
「ああ、そうだな。俺達はお前らの卑劣な誘導尋問の罠にはまってつい心にもない言葉を言ってしまっただけだ。如月妖子を慰霊碑の前に運んだのは斉藤健吾・陣内朋樹・それと田代まさやの三人で、俺と飯島さんはなにもしてはいないぜ。そうさ、その三人には関わってもいないさ!」
「まだそんな事を言っているのか。いい加減に自分の罪を認めろよ。三階の食堂で飯島有先輩に突き飛ばされて、打ち所が悪かったのか椅子に後頭部をぶつけて動かなくなっただろ。その如月の姿を見て飯島有先輩、あんたが死んだと騒いで俺達を必要以上に煽るから、その死体は仕方なく俺達五人の手で直に運んだだろ。知らないとは言わせないぜ!」
「いいや、俺達は知らないな」
「ええ、知らないわね」
あくまでも自分の犯行を認めずしらばっくれる大石学部長と飯島有に、羊野がトドメとばかりにある決定的な言葉を涼しい顔で言う。
「あ、物的証拠ならありますよ。あなた達がこの慰霊碑に来て、いろいろとぼやきながら死体を探ってくれたお陰でまた新たな証拠が出来ましたからね」
「新たな証拠だと?」
「ほらここにICレコーダーを隠して録音していましたからね。今度は嘘偽りのない、本物のICレコーダーですわ。あなた達はこれを探していたのでしょ。一年半前に録音したという嘘のICレコーダーには当然、如月妖子さんが死亡した後のあなた方の音声は入ってはいませんが……大石学部長と飯島有さん……あなた達がこの死体を暴いている最中にしていた会話は、ちゃんとこのICレコーダーに録音されているはずですよ。おそらくはあなたの声で『あの探偵達よりも早く、俺達の犯行後の声の一部始終が録音されている、あのICレコーダーを見つけるんだ!』と飯島有さんに声を掛けているはずです。どうでしょうか」
そう言いながら羊野は慰霊碑の隣にある記念碑の上の雪が降り積もった雪の中から録音起動中のICレコーダーを取り出す。
「羊野の奴は、俺達と白面の鬼女が争っている最中にその隙を見計らって必ず、そのICレコーダーを回収するために大石学部長と飯島有が動くと踏んでいたのか。だからこそ予め録音中のICレコーダーを死体が隠されてある慰霊碑の隣にある記念碑の上に隠していたんだな。でもまさかそのICレコーダーを降り積もった雪の中に密かに隠すとは流石に思わなかったけどな」
「途中で録音機能が止まらなくて本当に良かったです」
「そして案の定、慰霊碑の前に急いで駆けつけた大石学部長は必ず隣にいる飯島有に言葉を掛けながら証拠隠滅を図るはずだとお前は想像をした訳だな。そうだからこそのICレコーダーによる新たな証拠を作り出す為の更なる罠だったんだな。全く、相変わらず恐ろしい事を考える奴だぜ!」
その勘太郎の説明を聞いた飯島有は青い顔をしながら絶望に打ちひしがれ、大石学部長はまるで錯乱したかのように大きな声で喚き出す。
「うわあぁぁぁぁ、人を騙す為に嘘を重ね合わせてその心理を操り、今度はそのハッタリでまた新たな証拠を作り上げるだなんて、なんて悪どい羊の化け物なんだ。あの白面の鬼女は物理的に恐ろしい殺人鬼だったが……悪意をその内に胎んだ羊人間は心理的に恐ろしい化け物だぜ。本当に得体が知れないぜ。種類や性質は違うが、お前はあの白面の鬼女と全くの同類だぜ!」
「ほほほほ、何よりのお褒めの言葉ですわ。白面の鬼女が死亡し敗北した事を恐らくは(何らかの方法で)円卓の星座側の狂人達は知っているでしょうから、後数分くらいで、救助ヘリがこの山頂に来ると思いますよ。と言うわけでその如月妖子さんの死体はそのままにしておいてください、お願いします。これ以上動かしたら後で地元の北海道警察がうるさいですからね」
「あ、そうだ。下の麓には赤城文子刑事もなぜかいるんだった。円卓の星座の狂人が絡んでいるんだから、なら当然この事件にも関わっているよな。全く、後で説明が面倒くさいぜ。それにしても、羊野……お前のやり方はいつも自分勝手で、自由奔放的過ぎるぞ。一応はお前の上司なんだから、俺にくらいはその計画を教えろよな。お前を見ていると俺までハラハラするわ。て言うかいつもなんで俺には一切教えないんだよ!」
「だって黒鉄さんに全てを教えたら私に全てを頼って、鬼気迫るスリリングな謎解きやその恐怖にビビり上がる情けない黒鉄さんの面白さが半減してしまうじゃないですか。それに黒鉄さんにも一応は活躍の場を残して置かないとつまらないですからね」
「い、一応は俺にも気を遣っていると言う事でいいのかな……本当に俺のことを気遣っているんだよな」
「はい……一応は」
「まったく、お前という奴は……本当に何を考えているのか、分からない奴だぜ」
勘太郎と羊野がそんな事を話していると、隙を見ていた大石学が大声を上げながら、行き成り逃げるように走り出す。
「いやだ、いやだ、逮捕されるのは、いやだぁぁぁぁぁぁ!」
錯乱したかのように喚きながら山荘ホテルの方に走り出す大石学だったが、行き成り山荘ホテルから現れた白髪頭の赤いワンピースを来た女性にその行く手を阻まれる。その姿は大石学部長達を何度も襲った白面の鬼女の姿に間違いはなかった。
その目も・鼻も・口もない・能面のような白い顔を見るなり大石学は余りの恐怖に腰を抜かし、地面に尻餅をつく。
「し、し、白面の鬼女。あの探偵達は白面の鬼女を取り押さえてはいなかったのか。来るな、来るんじゃない、俺の近くには来ないでくれ。わかった、分かった、認める……認めるよ。俺達が如月妖子の死体をあの慰霊碑の中に隠したんだ。全部認めて話すから、命だけは助けてくれ! お願いだ……お願いします! 全ての罪を認めるから。洗い浚い真実を話すから、だから助けてくれ。お願いだ、お願いだからさあ。うっわあああぁぁぁぁぁぁーーぁぁぁ!」
余りの恐怖に我慢していた他我が外れたのか、もう観念したかのように泣き叫び、大石学は自分の罪を認める。その光景を首を傾げながら見ていた赤いワンピースの女性は、羊野の方を見ながら軽く頭を下げる。
「ほほほほ、やはり最後は彼女が大石学さんにトドメを刺しますか。これで大石学さんもあえなく刑務所の厄介になる事でしょうし、彼女の復讐はこれで終わりを迎えると言う事になるのでしょうか」
「あの白面の鬼女の正体は……田口友子か」
「ふふふ……さあ、どうでしょうかね。もしかしたらこの山に巣くう本当の白面の鬼女かも知れませんよ」
妖艶に微笑む羊野の言葉に事件の終わりを感じたのか、雪交じりの突風を巻き上げながら救助ヘリが上空から下へと迫って来る。
その救助ヘリを見てみんなが安堵の声を上げた時、勘太郎は白面の鬼女との戦いがこれでようやく終わった事を実感するのだった。
*
時刻は十五時三十分。
行きと同じように帰りも土産コーナーの売店で地元のお土産の品を見物しながら時間を潰していた勘太郎と羊野は函館空港内で発着便が来るのを静かに待つ。
相変わらず白い羊のマスクを被っている為か羊野の回りには通りすがりの観光客が珍しい色物を見るような形で皆が目をとめていたが、当の羊野は全く気にする様子もないとばかりに、喫茶店を運営しながら留守番をする黄木田店長に向けて買っていくお土産の品物を丹念に探す。
いろいろとお土産の品を見て回るそんな羊野を見つめながら、勘太郎は昨日の午後に起きた様々な出来事をまるで走馬灯のように思い出す。
昨日は他の生存者達が皆等しく一晩続いた極限の恐怖から解放された事でようやく助かった事を実感し安堵うする。そんな解放された状況を一番理解していた勘太郎は皆を先に救助ヘリへと乗せると、皆を下へと送り届けてから、最後は山頂に居残っていた勘太郎と羊野が一番最後に救助ヘリへと乗り込む。
勘太郎は救助ヘリが揺れる座席に腰を下ろしながらおとなしく座ると羊野と共に、北海道警察と赤城文子刑事が待つ対策本部がある麓へとゆっくりと降りて行く。
ゴッオオオオオオオオオーーーー。グルグルグルグルグルグルグルグル!
救助ヘリで麓へと降りた勘太郎と羊野はそこで他の生存者達からこれでもかと言わんばかりの感謝の言葉を貰う。その命ある奇跡に喜び勇む他の生存者達の喜びと感謝の思いを見届けていた勘太郎と羊野は、その後に他の生存者達がその場から一人ずついなくなるのをただじ~と最後まで見つめていた。
おそらくこの後の彼らの処遇は、登山サークル部の部員の一ノ瀬九郎・二井枝玄・佐面真子・田口友子の四人と、途中から山荘ホテルに来た宮鍋功と島田リリコの二人は、白面の鬼女との争いで怪我をした体の治療をした後で、山頂の山荘ホテルで起きた殺人事件の事を詳しく聞くために事情聴取を受ける予定のようだ。
そして大石学部長・飯島有・田代まさやの三人は、取り調べを受けた後で死体遺棄容疑と殺人罪などの罪で確実に逮捕をされる事だろう。
勿論、勘太郎と羊野もまた例外では無く、山頂で起きた狂人ゲームの詳細については詳しく赤城文子刑事に説明をしなくてはならない。その報告が全て済む頃には時刻はもう既に深夜の丑三つ時になってしまったが後の事は地元の北海道警察と赤城文子刑事に任せ、白面の鬼女との約束を守る為に直ぐにICU集中治療室がある病院に入院している本物の如月栄子に会いに行く。
因みに余談だが、赤城文子刑事が事前に病院に事の事情と連絡をしていてくれたお陰で例え深夜でもどうにか病院内に入ることが許されたようだ。勘太郎と羊野はそんな警察からの大義名分と言う名のお墨付きを貰いながら、病院内で一夜を過ごす事になる。
……。
その大病院内のロビーで一晩を過ごした勘太郎と羊野は、自分達の用を済ませた後で、そのまま真っ直ぐに脇目も振らずに電車を乗り継ぎながら北海道の玄関口でもある函館空港に無事に帰って来る事ができた訳だが、函館空港に着いた時には何故かもう既に時刻は午後の十四時を軽く回っていた。
……。
そんな昨日の経緯を勘太郎が頭の中で考えていると、なんとなく勘太郎が何を考えているのかを察した羊野が、昨日赤城文子刑事から詳しく聞いた話を勘太郎にそれとなく改めて聞く。
「昨日、赤城文子刑事がそれとなく言っていた事なのですが黒鉄さんはどう思いますか。あの円卓の星座の狂人・闇喰い狐の痕跡だけではなく、その闇喰い狐に殺されたはずの、その被害者の死体も未だに見つかってはいないそうです。2日前に麓で闇喰い狐と遭遇した時に、その闇喰い狐は現場を目撃したという部外者を追ってその姿を一時期消したそうですが、闇喰い狐は本当にその目撃者とやらを始末したのでしょうか。黒鉄さんが遭遇したというその闇喰い狐は本当に目撃者を始末したと言っていたのですか」
「ああ、確かにそう言っていたぜ。間違いないぜ。でも変だな、なんでその殺したはずの目撃者の死体が未だに見つからないんだ。闇喰い狐が証拠隠滅の為にその死体を何処かに隠したのかな?」
「もしそうなら目撃者を殺した事をわざわざ黒鉄さんに告げるのは可笑しな事だと思うのですが。それともその目撃者は実は生きていて自力で封鎖された雪崩が起きた雪道を下ったとも考えられますが、もしそうなら封鎖された外で待機をしていた地元の北海道警察にその身柄は見つかるはずです。でもその報告すらも無いと言う事は、そんな目撃者は最初からいなかったと言う事になります」
「いや、そんなはずはないぜ。俺は確かにその謎の目撃者に助けられたんだ。その姿は見てはいないが、その目撃者は小石を白面の鬼女に向けて投げてから全速力で森の中に逃げて行く影を俺は見ているからな」
「でも警察の話ではそんな人物らしき人はいなかったという話ですよね。なんとも不思議な話です」
少し黙りこくってから、勘太郎が腑に落ちないといった感じで重い口を開く。
「まさか警察上層部は何かを隠しているのか。でもあの感じだと赤城先輩は特に俺達に嘘を言っているようには見えなかった。あ、でも一つだけ可笑しな事を言っていたな」
「可笑しな事とは……一体なんですか?」
「闇喰い狐が目撃者を殺したとされるその麓の一帯には今は使われてはいない廃墟がいくつかあるらしいんだが、その一角だけが一時間だけ誰も入れないように規制が掛かっていたみたいなんだよ。あの警視庁捜査一課特殊班の赤城文子刑事すらも入れなかったみたいだから何事かとその場を仕切っている上の人に説明を求めたらしいんだが、訳も話さずに体よく断られたみたいなんだ。その後直ぐに東京の警視庁の上の上層部から連絡が来て、そこの廃墟には一切近づくなと、捜査もするなと酷く怒られたらしくって、あの赤城先輩がかなり憤慨していたよ。今回の事件にはあの円卓の星座が絡んでいるんだから、その闇の組織を専門に追う特殊班の刑事が同じ警察に捜査を断られるだなんて事が果たして本当にあるのかと思ってな、不思議に思っていたんだよ。警察の上層部は一体、特殊班の刑事や俺達に……いいや、この世間の人達を欺きながら一体何を隠しているのか。それが気になっているんだよ。まあ、もしかしたら俺や赤城先輩のただの考え過ぎかも知れないけど……その一帯に赤城先輩が一時期とはいえ入れなかった事も事実だし、上の連中は何かを隠しているんじゃないかと思ってな」
「その現場を仕切っていたのはどこの所属の警察ですか」
「確か、公安警察だよ」
「公安ですか……」
「その場所から別の救助ヘリが一台降り立ったという話もあるから、誰かを秘密裏に運んだかも知れないと……赤城先輩は話していたけどな。まあ俺を助けてくれたその謎の目撃者をもしもその救助ヘリで運んだのだとしたらわざわざその事を隠す理由もないだろうし、その場所にいたという公安警察の行為が不思議でならないぜ。公安は救助ヘリを使って秘密裏に一体何を運んでいたのか……それが今考えている一番の謎だが、お前はどう思っているんだ。羊野、お前の考えを聞かせてくれよ」
「そうですわね。2日前に麓に降りた際に現れた、その闇喰い狐に黒鉄さんは不覚にも助けられた見たいですが、その闇喰い狐になにか変わった事はありませんでしたか。大体なんでその闇喰い狐が黒鉄さんを助けたのでしょうか。いくら黒鉄さんを狂人ゲームのルール上また山頂に復帰させる為だったとはいえ、そこまでしてくれるような優しい人物だったのでしょうか」
「一体何が言いたいんだよ。あの闇喰い狐は本当は偽物だったとでも言いたいのかよ。仮にそうだったとして、その偽物がわざわざ俺をそこまでして助けに来るわけがないだろ。あのシリアルキラーでもある白面の鬼女の元にまた戻って来たんだぞ。そうまでして俺をわざわざ助けに来るのは流石にリスクがあり過ぎるぜ。それをたまたまその場にいたただの通りすがりの目撃者が闇喰い狐を返り討ちにして、更には見ず知らずの俺を助ける為に舞い戻り闇喰い狐を演じて助けてくれたとは流石に考えづらいぜ!」
「まあ、普通に考えたらそうですよね。二人の狂人に襲われている黒鉄さんを目撃した人がたまたまその場にいたとしても、追いかけてきた闇喰い狐を出し抜いて、また再び黒鉄さんを助ける為に殺人鬼がいる現場に舞い戻るとは流石に考えづらいですよね。携帯電話で警察に連絡をした記録もないみたいですし、黒鉄さんを助けたその目撃者とは一体誰だったのでしょうか。かなり気になりますわね」
「あれ、そうだったかな。確か闇喰い狐は赤城文子先輩に電話を入れていたと記憶しているんだが、その時の着信履歴は一体どうなっているんだ。そこから奴の正体を探り当てられないのか?」
「どうやら闇喰い狐は黒鉄さんの携帯電話を借りて赤城刑事に電話をしていた見たいですから、そこから探り当てるのは無理ですよ」
「ですよね~ぇ」
羊野の真っ当な答えに、勘太郎は顔を真っ赤にしながら納得をする。
「それに、もしかしたら本当にあの闇喰い狐自身が、俺を気分的に助けてくれただけだったのかも知れないしな。俺を助けた経緯やそれらしい事も言っていたし、闇喰い狐のただの気まぐれだったのかも……な」
「まあ、いいですわ。今ここでいくら考えてもらちが明きませんので、この事はまたいつの日か闇喰い狐と遭遇し、対峙する時が来る日まで、心の奥に留めておく事にしましょう。彼とはまたいつの日か……近いうちに何処かで出会うような気がしますので」
「まあ、あいつには気まぐれとはいえ、曲がりなりにも助けられているからな。今はあいつのことは追わないでおいてやるか。それにもういい加減に疲れたしな。今はただ家に帰りたい気分だぜ。北海道を満喫出来なかったのは悔しい限りだが、手痛い打撲のせいで体の方もまだ本調子ではないしな」
「せっかく如月栄子さんへの報告のついでに病院で診察と治療もしましたのに、まだ痛むのですか。相変わらず黒鉄さんは軟弱ですわね」
「ああ、誰かさんが俺を無理矢理に働かせたからじゃないかな。だから体の打ち身の治りも遅いんだよ」
「ほほほほ、またそんな情けない泣き言を……相変わらず黒鉄さんはへたれですわね」
「ははは、そのヘタレな上司をこき使う、秘密主義のいかれた推理論者には負けるがな」
お互いに嫌みを言いながら勘太郎と羊野の二人は態とらしく笑い合う。
「それにしても黒鉄さん、話は変わりますが、病院にわざわざ行って本物の如月栄子さんに会ってきましたが、あれで良かったのですか。あの後も目覚める事無く、如月栄子さんは意識が戻らない状態のままでしたが……あの感じじゃ意識を取り戻す事なくあの世に行くかも知れませんね。せっかく黒鉄さんが意識の戻っていない如月栄子さんの耳元で一連の事件の結果報告をしたのに、あれじゃこちら側の一方的なただの自己満足ですよ」
「いいんだよ、あれで、集中治療室にいる如月栄子さんが聞いていようが聞いていなかろうが、俺達は白面の鬼女こと……あの山荘ホテルの……いいやあの山一帯の大地主でもある日高忠雄の言っていたお願い事を無事に果たしたんだからな」
「白面の鬼女の正体の本当の人物の名前は、日高忠雄さんというお名前でしたか」
「あの山荘ホテルができた記念碑にこの山荘ホテルの初代オーナーの日高日出夫の名前からその息子の存在にもっと早くに気付くべきだったぜ。あの山荘ホテルのオーナーの存在には気付いていたはずなのに、なんとも不甲斐ないぜ」
「まあ、その山荘ホテルのオーナーがその場にはいないという認識があったからこそ、気付かなかったのでしょうね。まさかその場にはいない山荘ホテルのオーナー自体が犯人だったとは流石に考えづらいですからね」
「その日高忠雄からお願いされた結果報告をあの病院にいる如月栄子さんが一体どんな気持ちで話を聞くのか……正直不安でならなかったが、意識が戻らないのならそれで良かったのかもな。妹の死とその如月妖子さんを殺した犯人が一体誰だったのかが分かり、その後は多大な恨みを抱いたまま残りの余生を過ごすのは流石にキツいし、その恨みや心労が原因で直ぐに体に異常をきたして死んでしまうかも知れない。しかも報告をした俺達にも嫌な後味が残ってしまうし、これで良かったのかと後で後悔が残るかも知れない。だから出来る事なら残りの余生は妹がもしかしたらまだどこかで生きているかも知れないという希望と望みを抱かせながら死なせてやりたいぜ!」
「嘘と話の捏造はいけませんよ。どんなに残酷でも真実はちゃんと話さないと、それが日高忠雄さんとの約束じゃないですか。その優しさは余計なお世話だと思いますよ。あの集中治療室で寝ている如月栄子さんはあの円卓の星座の狂人でもある白面の鬼女だと知りつつも闇の殺し屋と契約を結んだのですから、闇に身を委ねた依頼人に余計な優しさは無用だと私は思いますよ。本来ならあの如月栄子さんは白面の鬼女に登山サークル部の部員達を殺害する事を依頼した罪で刑務所に行く立場の人間なのですからね」
「そうか……妹さんを殺した犯人を見つけ出す為とはいえ、その為に白面の鬼女が考えた殺人プランを全て彼に任せているからな。そう考えるのなら、闇の依頼人でもある如月栄子は本来ならその罪を償わなけねばならない立場にあると言う事か。確かにそれも一理あるな」
「でもその如月栄子さんも末期の癌を患っている為に意識が戻らないのなら仕方がありません。一応は義務は果たしたのですから、今回はこれで良しと言う事にしておきましょう」
「まあ正直な所、一体何が正しいのかは分からないと言う事か」
「そういう事ですわ」
そんな大雑把な結論を出した勘太郎と羊野に遠くから何処かで聞いたことのある明るい声が飛ぶ。そこに現れたのはいそいそとキャリーバッグを引きずりながら汗を掻く緑川章子の姿があった。
緑川はトレードマークとも言うべき三つ編みのお下げ髪と黒縁のまん丸眼鏡を揺らしながら勘太郎と羊野の前に現れる。
「黒鉄先輩、羊野さん、こんな所にいたんですか、探しましたよ。メールで黒鉄先輩が今日の午後の飛行機で関東に帰ると言っていましたから、私も急いで函館空港に舞い戻って来たんですよ。もう帰る時は一緒に同じ飛行機の便で帰ろうと言っていたじゃないですか」
「いや、せっかく友達の元に遊びに来ているお前をこちらの都合で連れ戻すのは流石に不味いと思ったからな。それなりに気を遣ったんだよ。それで、地元の友達とは一緒に北海道旅行は満喫できたのか」
「ええ、もう充分に楽しませて貰いましたよ。いろいろと面白い物も見させて貰いましたし、それなりに今回は成果もありましたからね」
その緑川章子の言葉に、勘太郎の頭の上に想像したハテナマークが浮かぶ。
「成果って……お前は一体北海道で何をしていたんだよ?」
「なにって……古い友達の家で、個人で美味しく作れるチーズの作り方と牧場の牛についての雑学的な勉強をしていましたけど、それがなにか」
「成果って……チーズの作り方の事か。お前はなんだか呑気でいいな」
「だけどそのお友達も途中から風邪を引いてしまったのか気分が悪くなりましてね。その彼女も自分の風邪が私に移るのを気にしてその場で別れる事になったんですよ。その後予定が早まってしまいこれから一体どうしようかと思っていた時に黒鉄先輩から今日の午後に北海道から離れると聞いて、急いで函館空港に舞い戻って来たんですよ」
「そうだったのか。でも何もお前まで無理に帰らなくてもいいのに。もっと北海道を満喫してから帰ればいいだろ」
「いえいえ、黒鉄先輩達が帰ると言うのに、私だけが羽根を伸ばす訳にはいきませんよ」
「行きませんよって、もう既に充分に羽根を伸ばしているんだから、二~三日遅れて来た所で別に問題はないだろ。そんな事であの黄木田店長が怒るとは思えないし」
「て、私の事は別にどうでもいいじゃないですか。そちらの黒鉄先輩の方では北海道の旭川市にある大雪山周辺に行ったそうですが、その山の頂上で一体何をしていたのですか。依頼者から依頼を受けて、その依頼者さんの妹さんの死体を探しに山の山頂まで出かけていたんですよね」
「た、確かにそうなんだが……」
「ならその話を聞かせて下さいよ。私も一応は黒鉄探偵事務所の臨時のお抱えの運転手でもあり、正式な関係者でもある事ですし」
「仕方が無いな。でも俺は話を順序立ててするのはあまり得意ではないし、その話をすると結構長くなるからな」
勘太郎の言い訳めいた余り乗り気でない言葉を聞いた緑川章子は、直ぐさま隣にいる羊野瞑子に向けて笑顔で話し出す。
「では羊野さんに代わりにお話して貰いましょうよ。いいですよね、羊野さん」
「ええ、別に構いませんが、まだ幾分か飛行機に乗る時刻には時間がありますから、近くの店で最後に地元のラーメンを食べながらお話すると言うのはどうでしょうか。流石に北海道まで来て地元のラーメンも食べずに函館空港を離れるのはかなり勿体ないですからね」
「お、北海道でラーメンか。いいね、ぜひ食べて行こうぜ!」
「分かりました。ではラーメンを食べながら、今回受けた依頼とその事件の全貌を聞かせて貰いますね」
そう緑川章子が結論を出すと勘太郎と羊野を入れた三人は、近くにあるおいしそうなラーメン屋を目と匂いで探しながら、函館空港内の人混みの中へと消えて行くのだった。
「飯島さん、開けろ。もっと強く上の石を押すんだ。早くしないと探偵達がここに来てしまう!」
「じゅ、充分に押してるわよ。あの時は男達が四人もいたから難なく開ける事ができたけど、流石に二人だけじゃ無理よ!」
「無理とかじゃないんだよ。如月妖子が密かに隠し持っていたというICレコーダーを他の誰よりも早く回収しないと、このままでは本当に俺達が犯人になってしまうんだからな。早く俺達の会話を録音していたというそのICレコーダーを見つけないと俺達が如月妖子を死なせて、その死体をこの慰霊碑の品を入れる中のスペースに閉じ込めた事がバレてしまうよ。いやだ、犯行がバレて刑務所に入るのは嫌だ。お前もそうだろう。飯島さん!」
「ええ、刑務所の中だなんて……絶対に嫌よ。せっかく白面の鬼女の恐怖から解放されたというのに、こんなくだらないことで人生を一生棒に振るだなんて、絶対に嫌よ!」
三~四個ほどの記念碑や慰霊碑があるその中から一つの慰霊碑に手を掛ける大石学部長と飯島有の二人は、重い長方形の石を横にしたような蓋に手を掛けながらあらん限りの力を振り絞る。その快があってか石畳はわずかずつだが徐々に開き、ついには死体が見える所まで石畳の蓋が開いてしまう。
大石学部長は辺りにはばかること無くうわごとのように独り言を呟きながら、屍と化した如月妖子の死体の衣服を一心不乱に調べ始める。
「一年半も経っているから綺麗な骨になっているけど、お目当てのICレコーダーは一体どこにあるんだ?」
死体の上に掛けてある赤いワンピースを大急ぎでどけた大石学部長は、如月妖子が着ている衣服を隈無く探して見たが、田口友子が言っていたICレコーダーやトランシーバーらしき物はいくら探しても一向に出て来ない。
「どこだ……ICレコーダーは一体どこだ。早く、早く探偵達がここに来る前に処分しないと、俺達の犯行がバレてしまう。だが今ならまだ間に合うかも知れない。早く何とかしないと!」
まるで狂わんばかりに叫びながら死体の衣服をあさる大石学部長と飯島有の前に、黒鉄勘太郎・羊野瞑子・田代まさや・佐面真子の四人が姿を現す。
因みに一ノ瀬九郎・二井枝玄・宮鍋功の三人はまだ怪我の手当をしているので三階の食堂からは出ては来ず、その治療や面倒を島田リリコと田口友子の二人が買って出ている。そんな五人を山荘ホテル内に残しながら、勘太郎・羊野・田代まさや・佐面真子の四人は、今なお如月妖子の体の死体あさりをしている大石学部長の行動を見ながら流石に呆れかえる。
「大石学さん、いい加減にやめてください。流石に往生際が悪いですよ。もうあなたが如月妖子さんの失踪に大きく関わっていることは分かっているんですから、その罪からいくら逃れようとしたって無駄ですよ!」
もう観念するようにと言う勘太郎に向けて、大石学が目を血走らせながら疑問の声を上げる。
「ない、ないぞ。いくら探しても小型のトランシーバーはおろかICレコーダーも見つからないじゃないか。やはり田口友子の言っていた事はただのハッタリだったのか。ちくしょう、俺達を騙しやがって、あの女、絶対に許さんぞ!」
「うそ、嘘だったのね。私達の犯行を録音したと言うICレコーダーなんてどこにもないじゃない。本当にもう……ビビらせやがって。田口は……田口の奴は一体どこにいるのよ。今すぐにここに呼んで来てちょうだい。ここでぶちのめして焼きを入れてやるわ!」
物凄い剣幕で怒る大石学部長と飯島有に、状況がよく分からないでいる勘太郎ではなく、その答えを知っている羊野瞑子が代わりに話し出す。
「ええ、田口友子さんと如月妖子さんが二年半前からの知り合いなのは本当の事ですが、如月妖子さんがICレコーダーに大石学部長達の犯行のその後の声を録音したという話は全部嘘ですわ。私が田代まさやさんと田口友子さんの力を借りて、この慰霊碑の棺に隠してある如月妖子さんの死体を調べた結果、如月妖子さんは椅子に後頭部を打ち付けての脳内出血と頭蓋骨陥没による即死である事が分かりました。なのでこの慰霊碑の中で意識を取り戻す事は絶対にありません」
「ありませんって……お前、ならなんで田口友子さんはそんな嘘をついたんだよ」
「それは勿論、大石学部長達の悪事を暴きたいのなら、私の言うとおりにしなさいと、私が事前に彼女に助言をしたからですわ」
「つまり、如月妖子がICレコーダーや小型のトランシーバーを隠し持っていたという話は全部嘘だったんだな」
「ええ、そういうことです。如月妖子さんは、田口友子さんから、過去の大石学のストーカー疑惑やその悪行を聞かされていたのでその事で本人を問い詰めたようですが、特に防犯グッズのような物は一切持ってはいなかったようです。全ては私が事前に考えたシナリオですわ」
その羊野の思いもよらない言葉に大石学部長と飯島有は唖然とし、勘太郎は額に手を当てながら思っている疑問を聞く。
「それじゃぁ、やはりお前が事前に考えたシナリオと言う事は、その場で即席で作った計画では当然ないと言う事だよな。いつからだ、いつから如月妖子さんの行方を知る犯人探しのあぶり出しは実行されていたんだ」
「この北海道にある、山荘ホテルに行くと決まった三日前ですわ。依頼をしに来た如月栄子さんが帰った直ぐ後に、北海道の大雪山周辺に出没しているという白面の鬼女について私なりに調べて見たのですよ。そこでその山荘ホテルのある頂上付近で一年半前に行方不明になっている如月妖子さんと登山サークル部の部員達の存在を知ったのですわ。後はこの登山サークル部に所属をしている部員達、一人一人の経歴や過去に何らかの事件を起こしていないかを北海道警察に調べて貰っていたら、大石学という大学四年生の学生が、高校生時代にある女性に必要以上なストーカー行為をしていたと言う理由で、その被害者側の家族が被害届を出していたと言う事が分かったのですよ。そしてそのストーカー行為の被害の果てに、当時高校二年生だったその一人の女子高校生が裏山の崖から落ちて亡くなっています。その死因はストーカー行為によるノイローゼで自殺をしてしまったのか……はたまた不慮の事故でたまたま崖から落ちてしまったのか……或いは、そのストーカー行為をしていたという大石学に突き落とされて殺されたのかは資料が足りないのでこの段階では未だに謎ですが。そのストーカー行為の果てに亡くなった被害者の妹さんがなぜかその大学の登山サークル部の部員として紛れていた事が分かりましたから、これは絶対に何か訳がある物と思い、その彼女に直接電話をして接触を図ったと言う訳なのですよ」
「その人物こそが田口友子と言う訳だな。そして俺には一切秘密にして、田口友子と二人で如月妖子さんを殺したかも知れない犯人を誘き出す為のシナリオを作ったんだな。田口友子さんからは電話でその大石学の悪行を聞いていただろうから、最初から大石学とその仲間達が怪しいという可能性を考慮して、まずは彼らにターゲットを絞っていろいろと罠に掛けようとしていたんだな。あの廃別荘のある森の中で出くわした白面の鬼女の正体は、田口友子さんだな」
「フフフフ、その通りですわ。白面の鬼女の姿は、白面の鬼女を直に見たと言う数少ない生き残りの方から聞いて参考にしましたわ。衣装も白面の鬼女本人に激似に似せる事が出来て本当によかったです。もし大石学部長達が少しでも私達が作り上げた白面の鬼女の事を疑ってしまったら、本家本元の白面の鬼女さんの犯行を逆に利用しての便乗が出来ませんからね」
「つまり本家本元の白面の鬼女が起こしている犯行とは別に、お前が更に白面の鬼女の犯行を利用して更なる事件を追加していた訳だな。それはあの如月栄子さんも戸惑うわけだ。なにせ自分とは違う別の誰かがもう一人の白面の鬼女を演じていたんだからな。そして大石学部長達に送りつけた白面の鬼女からの手紙も当然お前が出した手紙と言う訳か。全ては白面の鬼女がピンポイントで大石学部長達を狙っていると思わせて、追い詰めて、冷静な判断が出来ないようにする為に」
「ええ、その下準備があってこその、田口友子さんの告白ですからね。田口友子さんが、過去に大石学さんがストーカー行為をしていた被害者の妹さんだという衝撃的な事実を知れば、その後に追加した如月妖子さんが持っていた全く同じ型のスマートフォンや、実は隠して密かに持っていたというICレコーダーや小型のトランシーバーと言った嘘も、それらしいハッタリを重ねていたら真実味を帯びて来るのではありませんか。田口友子さんがこの登山サークル部の部員として紛れ込んでいたという事実が目の前にあるのなら尚更です」
「まあ、そこに大石学を密かに追っていたという如月妖子の事を知る田口友子という存在が目の前にいたというのなら、その知り合いでもある如月妖子がもしかしたらICレコーダーを持っていたかも知れないという疑惑が生まれるのも必然なのかもな。もしかしたらその田口友子が白面の鬼女かも知れない。だからこそ田口友子の嘘を大石学部長と飯島有は信じるしかなかったんだな。田口友子との繋がりで如月妖子がICレコーダーをもしかしたら隠し持っていて、自分達はその証拠の品を見逃しているかも知れない。その疑心暗鬼がある犯人なら必ず、その死体がある現場に戻ると、お前は考えた訳だな」
「まあ、そのハッタリの嘘で、大石学部長と飯島有さんは慰霊碑の中に如月妖子さんの死体がある事をうっかり話してしまいましたから、それだけでも十分に証拠にはなりますがね」
「でもそれじゃ物的証拠がないだろ。そのICレコーダーの話はお前と田口友子さんがついた真っ赤な嘘の話だったんだからな!」
その勘太郎の言葉に飯島有が大声で喚き出す。
「そうよ、物的証拠がないんだから、当然私が言っていたという証拠もないのよね。慰霊碑の在りかや如月妖子さんを突き飛ばしてうっかり殺してしまった事は、あなた達の心理的な誘導尋問でつい心にもない事を話してしまっただけだから、言い逃れはいくらでもできるわ。そうよね、大石学部長!」
「ああ、そうだな。俺達はお前らの卑劣な誘導尋問の罠にはまってつい心にもない言葉を言ってしまっただけだ。如月妖子を慰霊碑の前に運んだのは斉藤健吾・陣内朋樹・それと田代まさやの三人で、俺と飯島さんはなにもしてはいないぜ。そうさ、その三人には関わってもいないさ!」
「まだそんな事を言っているのか。いい加減に自分の罪を認めろよ。三階の食堂で飯島有先輩に突き飛ばされて、打ち所が悪かったのか椅子に後頭部をぶつけて動かなくなっただろ。その如月の姿を見て飯島有先輩、あんたが死んだと騒いで俺達を必要以上に煽るから、その死体は仕方なく俺達五人の手で直に運んだだろ。知らないとは言わせないぜ!」
「いいや、俺達は知らないな」
「ええ、知らないわね」
あくまでも自分の犯行を認めずしらばっくれる大石学部長と飯島有に、羊野がトドメとばかりにある決定的な言葉を涼しい顔で言う。
「あ、物的証拠ならありますよ。あなた達がこの慰霊碑に来て、いろいろとぼやきながら死体を探ってくれたお陰でまた新たな証拠が出来ましたからね」
「新たな証拠だと?」
「ほらここにICレコーダーを隠して録音していましたからね。今度は嘘偽りのない、本物のICレコーダーですわ。あなた達はこれを探していたのでしょ。一年半前に録音したという嘘のICレコーダーには当然、如月妖子さんが死亡した後のあなた方の音声は入ってはいませんが……大石学部長と飯島有さん……あなた達がこの死体を暴いている最中にしていた会話は、ちゃんとこのICレコーダーに録音されているはずですよ。おそらくはあなたの声で『あの探偵達よりも早く、俺達の犯行後の声の一部始終が録音されている、あのICレコーダーを見つけるんだ!』と飯島有さんに声を掛けているはずです。どうでしょうか」
そう言いながら羊野は慰霊碑の隣にある記念碑の上の雪が降り積もった雪の中から録音起動中のICレコーダーを取り出す。
「羊野の奴は、俺達と白面の鬼女が争っている最中にその隙を見計らって必ず、そのICレコーダーを回収するために大石学部長と飯島有が動くと踏んでいたのか。だからこそ予め録音中のICレコーダーを死体が隠されてある慰霊碑の隣にある記念碑の上に隠していたんだな。でもまさかそのICレコーダーを降り積もった雪の中に密かに隠すとは流石に思わなかったけどな」
「途中で録音機能が止まらなくて本当に良かったです」
「そして案の定、慰霊碑の前に急いで駆けつけた大石学部長は必ず隣にいる飯島有に言葉を掛けながら証拠隠滅を図るはずだとお前は想像をした訳だな。そうだからこそのICレコーダーによる新たな証拠を作り出す為の更なる罠だったんだな。全く、相変わらず恐ろしい事を考える奴だぜ!」
その勘太郎の説明を聞いた飯島有は青い顔をしながら絶望に打ちひしがれ、大石学部長はまるで錯乱したかのように大きな声で喚き出す。
「うわあぁぁぁぁ、人を騙す為に嘘を重ね合わせてその心理を操り、今度はそのハッタリでまた新たな証拠を作り上げるだなんて、なんて悪どい羊の化け物なんだ。あの白面の鬼女は物理的に恐ろしい殺人鬼だったが……悪意をその内に胎んだ羊人間は心理的に恐ろしい化け物だぜ。本当に得体が知れないぜ。種類や性質は違うが、お前はあの白面の鬼女と全くの同類だぜ!」
「ほほほほ、何よりのお褒めの言葉ですわ。白面の鬼女が死亡し敗北した事を恐らくは(何らかの方法で)円卓の星座側の狂人達は知っているでしょうから、後数分くらいで、救助ヘリがこの山頂に来ると思いますよ。と言うわけでその如月妖子さんの死体はそのままにしておいてください、お願いします。これ以上動かしたら後で地元の北海道警察がうるさいですからね」
「あ、そうだ。下の麓には赤城文子刑事もなぜかいるんだった。円卓の星座の狂人が絡んでいるんだから、なら当然この事件にも関わっているよな。全く、後で説明が面倒くさいぜ。それにしても、羊野……お前のやり方はいつも自分勝手で、自由奔放的過ぎるぞ。一応はお前の上司なんだから、俺にくらいはその計画を教えろよな。お前を見ていると俺までハラハラするわ。て言うかいつもなんで俺には一切教えないんだよ!」
「だって黒鉄さんに全てを教えたら私に全てを頼って、鬼気迫るスリリングな謎解きやその恐怖にビビり上がる情けない黒鉄さんの面白さが半減してしまうじゃないですか。それに黒鉄さんにも一応は活躍の場を残して置かないとつまらないですからね」
「い、一応は俺にも気を遣っていると言う事でいいのかな……本当に俺のことを気遣っているんだよな」
「はい……一応は」
「まったく、お前という奴は……本当に何を考えているのか、分からない奴だぜ」
勘太郎と羊野がそんな事を話していると、隙を見ていた大石学が大声を上げながら、行き成り逃げるように走り出す。
「いやだ、いやだ、逮捕されるのは、いやだぁぁぁぁぁぁ!」
錯乱したかのように喚きながら山荘ホテルの方に走り出す大石学だったが、行き成り山荘ホテルから現れた白髪頭の赤いワンピースを来た女性にその行く手を阻まれる。その姿は大石学部長達を何度も襲った白面の鬼女の姿に間違いはなかった。
その目も・鼻も・口もない・能面のような白い顔を見るなり大石学は余りの恐怖に腰を抜かし、地面に尻餅をつく。
「し、し、白面の鬼女。あの探偵達は白面の鬼女を取り押さえてはいなかったのか。来るな、来るんじゃない、俺の近くには来ないでくれ。わかった、分かった、認める……認めるよ。俺達が如月妖子の死体をあの慰霊碑の中に隠したんだ。全部認めて話すから、命だけは助けてくれ! お願いだ……お願いします! 全ての罪を認めるから。洗い浚い真実を話すから、だから助けてくれ。お願いだ、お願いだからさあ。うっわあああぁぁぁぁぁぁーーぁぁぁ!」
余りの恐怖に我慢していた他我が外れたのか、もう観念したかのように泣き叫び、大石学は自分の罪を認める。その光景を首を傾げながら見ていた赤いワンピースの女性は、羊野の方を見ながら軽く頭を下げる。
「ほほほほ、やはり最後は彼女が大石学さんにトドメを刺しますか。これで大石学さんもあえなく刑務所の厄介になる事でしょうし、彼女の復讐はこれで終わりを迎えると言う事になるのでしょうか」
「あの白面の鬼女の正体は……田口友子か」
「ふふふ……さあ、どうでしょうかね。もしかしたらこの山に巣くう本当の白面の鬼女かも知れませんよ」
妖艶に微笑む羊野の言葉に事件の終わりを感じたのか、雪交じりの突風を巻き上げながら救助ヘリが上空から下へと迫って来る。
その救助ヘリを見てみんなが安堵の声を上げた時、勘太郎は白面の鬼女との戦いがこれでようやく終わった事を実感するのだった。
*
時刻は十五時三十分。
行きと同じように帰りも土産コーナーの売店で地元のお土産の品を見物しながら時間を潰していた勘太郎と羊野は函館空港内で発着便が来るのを静かに待つ。
相変わらず白い羊のマスクを被っている為か羊野の回りには通りすがりの観光客が珍しい色物を見るような形で皆が目をとめていたが、当の羊野は全く気にする様子もないとばかりに、喫茶店を運営しながら留守番をする黄木田店長に向けて買っていくお土産の品物を丹念に探す。
いろいろとお土産の品を見て回るそんな羊野を見つめながら、勘太郎は昨日の午後に起きた様々な出来事をまるで走馬灯のように思い出す。
昨日は他の生存者達が皆等しく一晩続いた極限の恐怖から解放された事でようやく助かった事を実感し安堵うする。そんな解放された状況を一番理解していた勘太郎は皆を先に救助ヘリへと乗せると、皆を下へと送り届けてから、最後は山頂に居残っていた勘太郎と羊野が一番最後に救助ヘリへと乗り込む。
勘太郎は救助ヘリが揺れる座席に腰を下ろしながらおとなしく座ると羊野と共に、北海道警察と赤城文子刑事が待つ対策本部がある麓へとゆっくりと降りて行く。
ゴッオオオオオオオオオーーーー。グルグルグルグルグルグルグルグル!
救助ヘリで麓へと降りた勘太郎と羊野はそこで他の生存者達からこれでもかと言わんばかりの感謝の言葉を貰う。その命ある奇跡に喜び勇む他の生存者達の喜びと感謝の思いを見届けていた勘太郎と羊野は、その後に他の生存者達がその場から一人ずついなくなるのをただじ~と最後まで見つめていた。
おそらくこの後の彼らの処遇は、登山サークル部の部員の一ノ瀬九郎・二井枝玄・佐面真子・田口友子の四人と、途中から山荘ホテルに来た宮鍋功と島田リリコの二人は、白面の鬼女との争いで怪我をした体の治療をした後で、山頂の山荘ホテルで起きた殺人事件の事を詳しく聞くために事情聴取を受ける予定のようだ。
そして大石学部長・飯島有・田代まさやの三人は、取り調べを受けた後で死体遺棄容疑と殺人罪などの罪で確実に逮捕をされる事だろう。
勿論、勘太郎と羊野もまた例外では無く、山頂で起きた狂人ゲームの詳細については詳しく赤城文子刑事に説明をしなくてはならない。その報告が全て済む頃には時刻はもう既に深夜の丑三つ時になってしまったが後の事は地元の北海道警察と赤城文子刑事に任せ、白面の鬼女との約束を守る為に直ぐにICU集中治療室がある病院に入院している本物の如月栄子に会いに行く。
因みに余談だが、赤城文子刑事が事前に病院に事の事情と連絡をしていてくれたお陰で例え深夜でもどうにか病院内に入ることが許されたようだ。勘太郎と羊野はそんな警察からの大義名分と言う名のお墨付きを貰いながら、病院内で一夜を過ごす事になる。
……。
その大病院内のロビーで一晩を過ごした勘太郎と羊野は、自分達の用を済ませた後で、そのまま真っ直ぐに脇目も振らずに電車を乗り継ぎながら北海道の玄関口でもある函館空港に無事に帰って来る事ができた訳だが、函館空港に着いた時には何故かもう既に時刻は午後の十四時を軽く回っていた。
……。
そんな昨日の経緯を勘太郎が頭の中で考えていると、なんとなく勘太郎が何を考えているのかを察した羊野が、昨日赤城文子刑事から詳しく聞いた話を勘太郎にそれとなく改めて聞く。
「昨日、赤城文子刑事がそれとなく言っていた事なのですが黒鉄さんはどう思いますか。あの円卓の星座の狂人・闇喰い狐の痕跡だけではなく、その闇喰い狐に殺されたはずの、その被害者の死体も未だに見つかってはいないそうです。2日前に麓で闇喰い狐と遭遇した時に、その闇喰い狐は現場を目撃したという部外者を追ってその姿を一時期消したそうですが、闇喰い狐は本当にその目撃者とやらを始末したのでしょうか。黒鉄さんが遭遇したというその闇喰い狐は本当に目撃者を始末したと言っていたのですか」
「ああ、確かにそう言っていたぜ。間違いないぜ。でも変だな、なんでその殺したはずの目撃者の死体が未だに見つからないんだ。闇喰い狐が証拠隠滅の為にその死体を何処かに隠したのかな?」
「もしそうなら目撃者を殺した事をわざわざ黒鉄さんに告げるのは可笑しな事だと思うのですが。それともその目撃者は実は生きていて自力で封鎖された雪崩が起きた雪道を下ったとも考えられますが、もしそうなら封鎖された外で待機をしていた地元の北海道警察にその身柄は見つかるはずです。でもその報告すらも無いと言う事は、そんな目撃者は最初からいなかったと言う事になります」
「いや、そんなはずはないぜ。俺は確かにその謎の目撃者に助けられたんだ。その姿は見てはいないが、その目撃者は小石を白面の鬼女に向けて投げてから全速力で森の中に逃げて行く影を俺は見ているからな」
「でも警察の話ではそんな人物らしき人はいなかったという話ですよね。なんとも不思議な話です」
少し黙りこくってから、勘太郎が腑に落ちないといった感じで重い口を開く。
「まさか警察上層部は何かを隠しているのか。でもあの感じだと赤城先輩は特に俺達に嘘を言っているようには見えなかった。あ、でも一つだけ可笑しな事を言っていたな」
「可笑しな事とは……一体なんですか?」
「闇喰い狐が目撃者を殺したとされるその麓の一帯には今は使われてはいない廃墟がいくつかあるらしいんだが、その一角だけが一時間だけ誰も入れないように規制が掛かっていたみたいなんだよ。あの警視庁捜査一課特殊班の赤城文子刑事すらも入れなかったみたいだから何事かとその場を仕切っている上の人に説明を求めたらしいんだが、訳も話さずに体よく断られたみたいなんだ。その後直ぐに東京の警視庁の上の上層部から連絡が来て、そこの廃墟には一切近づくなと、捜査もするなと酷く怒られたらしくって、あの赤城先輩がかなり憤慨していたよ。今回の事件にはあの円卓の星座が絡んでいるんだから、その闇の組織を専門に追う特殊班の刑事が同じ警察に捜査を断られるだなんて事が果たして本当にあるのかと思ってな、不思議に思っていたんだよ。警察の上層部は一体、特殊班の刑事や俺達に……いいや、この世間の人達を欺きながら一体何を隠しているのか。それが気になっているんだよ。まあ、もしかしたら俺や赤城先輩のただの考え過ぎかも知れないけど……その一帯に赤城先輩が一時期とはいえ入れなかった事も事実だし、上の連中は何かを隠しているんじゃないかと思ってな」
「その現場を仕切っていたのはどこの所属の警察ですか」
「確か、公安警察だよ」
「公安ですか……」
「その場所から別の救助ヘリが一台降り立ったという話もあるから、誰かを秘密裏に運んだかも知れないと……赤城先輩は話していたけどな。まあ俺を助けてくれたその謎の目撃者をもしもその救助ヘリで運んだのだとしたらわざわざその事を隠す理由もないだろうし、その場所にいたという公安警察の行為が不思議でならないぜ。公安は救助ヘリを使って秘密裏に一体何を運んでいたのか……それが今考えている一番の謎だが、お前はどう思っているんだ。羊野、お前の考えを聞かせてくれよ」
「そうですわね。2日前に麓に降りた際に現れた、その闇喰い狐に黒鉄さんは不覚にも助けられた見たいですが、その闇喰い狐になにか変わった事はありませんでしたか。大体なんでその闇喰い狐が黒鉄さんを助けたのでしょうか。いくら黒鉄さんを狂人ゲームのルール上また山頂に復帰させる為だったとはいえ、そこまでしてくれるような優しい人物だったのでしょうか」
「一体何が言いたいんだよ。あの闇喰い狐は本当は偽物だったとでも言いたいのかよ。仮にそうだったとして、その偽物がわざわざ俺をそこまでして助けに来るわけがないだろ。あのシリアルキラーでもある白面の鬼女の元にまた戻って来たんだぞ。そうまでして俺をわざわざ助けに来るのは流石にリスクがあり過ぎるぜ。それをたまたまその場にいたただの通りすがりの目撃者が闇喰い狐を返り討ちにして、更には見ず知らずの俺を助ける為に舞い戻り闇喰い狐を演じて助けてくれたとは流石に考えづらいぜ!」
「まあ、普通に考えたらそうですよね。二人の狂人に襲われている黒鉄さんを目撃した人がたまたまその場にいたとしても、追いかけてきた闇喰い狐を出し抜いて、また再び黒鉄さんを助ける為に殺人鬼がいる現場に舞い戻るとは流石に考えづらいですよね。携帯電話で警察に連絡をした記録もないみたいですし、黒鉄さんを助けたその目撃者とは一体誰だったのでしょうか。かなり気になりますわね」
「あれ、そうだったかな。確か闇喰い狐は赤城文子先輩に電話を入れていたと記憶しているんだが、その時の着信履歴は一体どうなっているんだ。そこから奴の正体を探り当てられないのか?」
「どうやら闇喰い狐は黒鉄さんの携帯電話を借りて赤城刑事に電話をしていた見たいですから、そこから探り当てるのは無理ですよ」
「ですよね~ぇ」
羊野の真っ当な答えに、勘太郎は顔を真っ赤にしながら納得をする。
「それに、もしかしたら本当にあの闇喰い狐自身が、俺を気分的に助けてくれただけだったのかも知れないしな。俺を助けた経緯やそれらしい事も言っていたし、闇喰い狐のただの気まぐれだったのかも……な」
「まあ、いいですわ。今ここでいくら考えてもらちが明きませんので、この事はまたいつの日か闇喰い狐と遭遇し、対峙する時が来る日まで、心の奥に留めておく事にしましょう。彼とはまたいつの日か……近いうちに何処かで出会うような気がしますので」
「まあ、あいつには気まぐれとはいえ、曲がりなりにも助けられているからな。今はあいつのことは追わないでおいてやるか。それにもういい加減に疲れたしな。今はただ家に帰りたい気分だぜ。北海道を満喫出来なかったのは悔しい限りだが、手痛い打撲のせいで体の方もまだ本調子ではないしな」
「せっかく如月栄子さんへの報告のついでに病院で診察と治療もしましたのに、まだ痛むのですか。相変わらず黒鉄さんは軟弱ですわね」
「ああ、誰かさんが俺を無理矢理に働かせたからじゃないかな。だから体の打ち身の治りも遅いんだよ」
「ほほほほ、またそんな情けない泣き言を……相変わらず黒鉄さんはへたれですわね」
「ははは、そのヘタレな上司をこき使う、秘密主義のいかれた推理論者には負けるがな」
お互いに嫌みを言いながら勘太郎と羊野の二人は態とらしく笑い合う。
「それにしても黒鉄さん、話は変わりますが、病院にわざわざ行って本物の如月栄子さんに会ってきましたが、あれで良かったのですか。あの後も目覚める事無く、如月栄子さんは意識が戻らない状態のままでしたが……あの感じじゃ意識を取り戻す事なくあの世に行くかも知れませんね。せっかく黒鉄さんが意識の戻っていない如月栄子さんの耳元で一連の事件の結果報告をしたのに、あれじゃこちら側の一方的なただの自己満足ですよ」
「いいんだよ、あれで、集中治療室にいる如月栄子さんが聞いていようが聞いていなかろうが、俺達は白面の鬼女こと……あの山荘ホテルの……いいやあの山一帯の大地主でもある日高忠雄の言っていたお願い事を無事に果たしたんだからな」
「白面の鬼女の正体の本当の人物の名前は、日高忠雄さんというお名前でしたか」
「あの山荘ホテルができた記念碑にこの山荘ホテルの初代オーナーの日高日出夫の名前からその息子の存在にもっと早くに気付くべきだったぜ。あの山荘ホテルのオーナーの存在には気付いていたはずなのに、なんとも不甲斐ないぜ」
「まあ、その山荘ホテルのオーナーがその場にはいないという認識があったからこそ、気付かなかったのでしょうね。まさかその場にはいない山荘ホテルのオーナー自体が犯人だったとは流石に考えづらいですからね」
「その日高忠雄からお願いされた結果報告をあの病院にいる如月栄子さんが一体どんな気持ちで話を聞くのか……正直不安でならなかったが、意識が戻らないのならそれで良かったのかもな。妹の死とその如月妖子さんを殺した犯人が一体誰だったのかが分かり、その後は多大な恨みを抱いたまま残りの余生を過ごすのは流石にキツいし、その恨みや心労が原因で直ぐに体に異常をきたして死んでしまうかも知れない。しかも報告をした俺達にも嫌な後味が残ってしまうし、これで良かったのかと後で後悔が残るかも知れない。だから出来る事なら残りの余生は妹がもしかしたらまだどこかで生きているかも知れないという希望と望みを抱かせながら死なせてやりたいぜ!」
「嘘と話の捏造はいけませんよ。どんなに残酷でも真実はちゃんと話さないと、それが日高忠雄さんとの約束じゃないですか。その優しさは余計なお世話だと思いますよ。あの集中治療室で寝ている如月栄子さんはあの円卓の星座の狂人でもある白面の鬼女だと知りつつも闇の殺し屋と契約を結んだのですから、闇に身を委ねた依頼人に余計な優しさは無用だと私は思いますよ。本来ならあの如月栄子さんは白面の鬼女に登山サークル部の部員達を殺害する事を依頼した罪で刑務所に行く立場の人間なのですからね」
「そうか……妹さんを殺した犯人を見つけ出す為とはいえ、その為に白面の鬼女が考えた殺人プランを全て彼に任せているからな。そう考えるのなら、闇の依頼人でもある如月栄子は本来ならその罪を償わなけねばならない立場にあると言う事か。確かにそれも一理あるな」
「でもその如月栄子さんも末期の癌を患っている為に意識が戻らないのなら仕方がありません。一応は義務は果たしたのですから、今回はこれで良しと言う事にしておきましょう」
「まあ正直な所、一体何が正しいのかは分からないと言う事か」
「そういう事ですわ」
そんな大雑把な結論を出した勘太郎と羊野に遠くから何処かで聞いたことのある明るい声が飛ぶ。そこに現れたのはいそいそとキャリーバッグを引きずりながら汗を掻く緑川章子の姿があった。
緑川はトレードマークとも言うべき三つ編みのお下げ髪と黒縁のまん丸眼鏡を揺らしながら勘太郎と羊野の前に現れる。
「黒鉄先輩、羊野さん、こんな所にいたんですか、探しましたよ。メールで黒鉄先輩が今日の午後の飛行機で関東に帰ると言っていましたから、私も急いで函館空港に舞い戻って来たんですよ。もう帰る時は一緒に同じ飛行機の便で帰ろうと言っていたじゃないですか」
「いや、せっかく友達の元に遊びに来ているお前をこちらの都合で連れ戻すのは流石に不味いと思ったからな。それなりに気を遣ったんだよ。それで、地元の友達とは一緒に北海道旅行は満喫できたのか」
「ええ、もう充分に楽しませて貰いましたよ。いろいろと面白い物も見させて貰いましたし、それなりに今回は成果もありましたからね」
その緑川章子の言葉に、勘太郎の頭の上に想像したハテナマークが浮かぶ。
「成果って……お前は一体北海道で何をしていたんだよ?」
「なにって……古い友達の家で、個人で美味しく作れるチーズの作り方と牧場の牛についての雑学的な勉強をしていましたけど、それがなにか」
「成果って……チーズの作り方の事か。お前はなんだか呑気でいいな」
「だけどそのお友達も途中から風邪を引いてしまったのか気分が悪くなりましてね。その彼女も自分の風邪が私に移るのを気にしてその場で別れる事になったんですよ。その後予定が早まってしまいこれから一体どうしようかと思っていた時に黒鉄先輩から今日の午後に北海道から離れると聞いて、急いで函館空港に舞い戻って来たんですよ」
「そうだったのか。でも何もお前まで無理に帰らなくてもいいのに。もっと北海道を満喫してから帰ればいいだろ」
「いえいえ、黒鉄先輩達が帰ると言うのに、私だけが羽根を伸ばす訳にはいきませんよ」
「行きませんよって、もう既に充分に羽根を伸ばしているんだから、二~三日遅れて来た所で別に問題はないだろ。そんな事であの黄木田店長が怒るとは思えないし」
「て、私の事は別にどうでもいいじゃないですか。そちらの黒鉄先輩の方では北海道の旭川市にある大雪山周辺に行ったそうですが、その山の頂上で一体何をしていたのですか。依頼者から依頼を受けて、その依頼者さんの妹さんの死体を探しに山の山頂まで出かけていたんですよね」
「た、確かにそうなんだが……」
「ならその話を聞かせて下さいよ。私も一応は黒鉄探偵事務所の臨時のお抱えの運転手でもあり、正式な関係者でもある事ですし」
「仕方が無いな。でも俺は話を順序立ててするのはあまり得意ではないし、その話をすると結構長くなるからな」
勘太郎の言い訳めいた余り乗り気でない言葉を聞いた緑川章子は、直ぐさま隣にいる羊野瞑子に向けて笑顔で話し出す。
「では羊野さんに代わりにお話して貰いましょうよ。いいですよね、羊野さん」
「ええ、別に構いませんが、まだ幾分か飛行機に乗る時刻には時間がありますから、近くの店で最後に地元のラーメンを食べながらお話すると言うのはどうでしょうか。流石に北海道まで来て地元のラーメンも食べずに函館空港を離れるのはかなり勿体ないですからね」
「お、北海道でラーメンか。いいね、ぜひ食べて行こうぜ!」
「分かりました。ではラーメンを食べながら、今回受けた依頼とその事件の全貌を聞かせて貰いますね」
そう緑川章子が結論を出すと勘太郎と羊野を入れた三人は、近くにあるおいしそうなラーメン屋を目と匂いで探しながら、函館空港内の人混みの中へと消えて行くのだった。
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