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『第2の街シドネス』
23.ダイオウイカ
しおりを挟むさて…と、シドネスに帰ってきた訳だが、相変わらずプレイヤーの数はあんま増えてないなぁ…
「これから何しようか…」
ただいまの時刻は現実世界では午後4時である。
暇だ。やることが全くと言っていいほどないので、俺は浜辺で釣りをすることにした。
浜辺に着くと、何人かプレイヤーがいた…って向こうの方に見えるの前に会った鞭使いの奴らじゃないか?あいつら無事に突破できたんだな。まあ、少し話しただけだったし、今はあまり気にしなくていいか。
俺はモンスターが来られない岩場の上に乗り、そこから海へと釣り針を投げ入れる。こういう暇な時間は良いよな。
ずっと海辺を見つめながら、魚が引っ掛かるのを見る。時折、持ち物から【林檎】やら【串焼き】を取り出して、食べる。満腹ゲージはいっぱいだが気分の関係上なんか食べていたい。美味いしな。
「うみゃーい、な」
適当に変なことを呟きながら、海を見つめる。俺は【自由変換飲料】を【コーヒー】に変換し、のんびりと飲む。ちなみに俺はミルクたっぷりで砂糖は少し派だ。
まだ説明していなかったが【自由変換飲料】とは、自分が思い浮かべた飲み物にその飲料を変換できるものだ。見た目は水が入ったペットボトルだが、変換すると見た目を変える。
先程の様にコーヒーだったら、カップになったりメロンソーダとかだったら長いコップだ。たまにメロンソーダにはアイスとかも乗っている。そこ等辺の飲み物じゃない奴はランダムで一緒に出現っぽい。
カップなどは飲み終わったら光の粒子のエフェクトを出現させ、消滅する。
「おっ、来た来た」
コーヒーを飲み終わった瞬間、竿がいきなりしなり出した。どうやら魚が引っ掛かったようだ。
俺は両腕で竿を持ち、魚に気付かれない様に手繰り寄せる。結果から言うと無事釣れた。この調子で食料の備蓄を作っておこう。俺はそう思いながら、餌を釣り針につけて投げ込む。
この餌は雑貨屋で買った。一番上位のヤツだ。高かった……
おっと、またしなってる。
俺は竿を両腕で再度しっかりと握り、引こうとした瞬間―――――――、
「――――うぇッ⁉」
――――とんでもない力引っ張られ、海へと引きずり込まれた。
そして、そこには――――ダイオウイカがいた。
「ぼご、ぶごごー。ぶごごごばごごばごばごごごごごー」
(はい、死んだー。こんなのいるなんて聞いてませんー)
これはさすがに無理だ。運営は何を考えているんだ。こんなところにこんなボス級のモンスターを配置するとか気が狂ってますー。苦情殺到ですよー。
謎のテンションに陥ってしまって、もうどうしようもない。
【鯨呼びの笛】も間に合わない。【変幻自在の飴玉】もこんなに巨大な相手じゃ無意味。殴ってもあんま効きそうにないし、ムリゲーだな。こりゃ。
俺が全てを諦め、死ぬのを待っているとダイオウイカは何思ったのかその何本もの足で俺の腹に巻き付いてきた。これもしかして握りつぶされる系?とか思った、が
ダイオウイカは俺を殺すことなく、そのまま超高速で泳ぎだした。しかもなぜかオレの息が続くようにたまに顔を水面にあげてくれる。
何コイツ…
いつの間にか浜辺ははるか遠くの豆粒くらいにしか見えなくなっていた。えー…ココからどうなるの…
そんなことを思っているとダイオウイカは俺を水面上に出し、自分も水面に浮いてきた。俺はそのままダイオウイカの脚に掴まれたまま、持ち上げられダイオウイカの身体に乗せられた。
そして―――――――――、
「いやー、すいませんねぇ」
「ん?」
「蛙の骨は一番苦手でして、見た瞬間触手でぶった切ってしまいました」
「ちょっと待て」
「はい?」
「何お前?」
「ああ、申し遅れましたね。私はクラーク。ダイオウイカです。クラーケンではありませんよ?」
ダイオウイカのクラークはどこにあるのか全く分からない口で俺にそう言ってきた。
* * * * * * * * * * * * *
クラークと話すと物凄く良い奴だった。
「どうして俺を海に落とした瞬間、巻き付いてここまで連れてきたんだ」、と聞くとクラークは申し訳なさそうに、
「いや、あそこで私の存在バレたら多分マズいでしょう?私討伐されちゃいます」
笑いながら、そう言った。でもその後俺に謝ってきた。なんで謝るのかを聞くと「承諾を得ていなかったから」と申し訳なさそうに答えていた。
「そういえば、貴方ルーと会った事あるんですか?」
クラークは突然そんなことを俺に聞いてきた。確かに、俺はルーと接点があるがなんでクラークがそんなことを知っているんだ?俺は疑問に思ったことをそのままぶつけた。
「貴方からルーとの繋がりを感じるんですよ」
クラークはそう言った。俺はたぶんこのアイテムの事だろうと思い、【鯨呼びの笛】をクラークに見せた。その笛を見せた瞬間、「なるほど!なるほど!」とクラークは納得していた。
話を聞いていくと、クラークはルーに会った事があるらしい。といってもかなり小さい頃らしいが…
「ルーが信頼したなら、私も貴方を完全に信頼しましょう」
クラークはそう言って、俺の目の前にアイテムを出現させた。
アイテム名は【クラークの信頼証】。
効果はクラークを一回だけ呼ぶことが出来る。APを消費し、水鉄砲が放てるの二つだそうだ。水鉄砲って…
そんなことを考えていると、クラークは――――、
「ルーと会ったのなら、ポセイドンと会いましたか?」
俺にそう聞いてくる。俺は【クラークの信頼証】をまじまじと見ながら答える。
「ああ、会ったぞ」
クラークはまるで、苦虫を噛み潰したような雰囲気を醸し出す。表情と言いたいところだが、表情が分からない。目が少し落ち込んだ風になるくらいだ。
「なら気を付けてください。彼は貴方が思っている様な者ではない」
クラークはそう言う。どういう事だ?おっさんはおっさんだろう。あの性格に裏表があるとはあまり思えないんだが…
「ポセイドン関係で何かあったらすぐに私を呼びなさい。きっと力になれる」
「あ、ああ、分かった」
そう言うと、クラークは安堵した様な雰囲気を纏った。
その後「ルーを呼んで欲しい」と言う趣旨の事を言われたので、俺は笛を吹き、ルーを呼んだ。ルーは俺とクラークを見た時、不思議な顔をしていた。
ルーはクラークから何かを話されている。よく分からん言語でだ。
しばらく経つと、ルーとクラークは話し終わった様で、ルーは俺に擦り寄ったら帰っていった。
「ルーに『孤島』の場所を教えました。ルーに言えばそこに連れて行ってくれますよ」
「お、ありがとう」
『孤島』とはどこだろうか?新しい狩場の事か。確か今発見されている狩場は、『浜辺』と『海中』ぐらいだった気がしたけど………
まあ、ありがたいからいいや。
「それじゃ、貴方をもとの場所に戻しましょうかね」
「お、良いのか?」
「はい。こっちから連れてきてしまいましたしね」
クラークはそう言って、俺の腹を脚でつかんだ。そして、何本の脚で俺を包み、密閉空間を作った。凄いな…こんなことも出来るのか…!
「それじゃ、一気に行きますよ」
そう言われた瞬間、グンと体が後ろに引っ張られた。どうやらクラークはとんでもない速度で泳いでいるようだ。
しばらくして海中で脚が離された。辺りを見回すと、どうやら浜辺近くの海中らしい。クラークに「そんなデカいのに気付かれないのか」と聞くと、「認識阻害を掛けていますから」と言っていた。俺の兎の仮面と同じ奴か。
そしてクラークと別れた。意外と良い奴でした。というか、人外が大体良い奴だなぁ……。
* * * * * * * * * * * * *
その後は、一度シドネスに帰って訓練場でアーツの練習をしていた。
改めて使用可能アーツを確認するとかなり増えていた。
《短剣》アーツは〈クリティカルヒット〉〈バックスタブ〉〈フロストストーカー〉。
《体術》アーツは〈掌底打ち〉〈乱発ストレート〉。
《闇魔法》アーツは〈ナイトアイ〉〈ミッシングロスト〉。
《盗賊》アーツは〈危険信号〉〈解錠〉等が新たに使用可能だ。
《短剣》アーツの〈クリティカルヒット〉や〈バックスタブ〉は性能が単純なため、非常に使いやすいが〈フロストストーカー〉は攻撃性能が低く、追跡に向いたアーツだったため、訓練はできなかった。
《体術》アーツはどちらも使い心地は良かった。〈掌底打ち〉はやり方さえ間違えなければ強力な武器となるし、〈乱発ストレート〉は〈乱発蹴歩〉の拳版だった。
《短剣》アーツと同様に《闇魔法》アーツの〈ナイトアイ〉と戦闘系アーツではなかったし、〈ミッシングロスト〉は相手がいなくちゃ訓練できないアーツだった。
《盗賊》アーツの〈解錠〉は無理だが、〈危険信号〉はギリギリできそうだったので近くにいたプレイヤーに頼んで、訓練させてもらった。
目隠しをして、四方八方から殴りかかってもらうと言う特訓だ。
最初の方はモロに受けたが、しばらくすると自分の頭の中で「ビーッ!ビーッ!」と言う音が鳴りだすようになった。そして、その音が鳴った瞬間に回避行動をとると上手く避けられる事が多くなった。
まあ、といっても避けた方向から拳が来ていて、モロに当たったんだけどね…〈気配察知〉やらを併用したら、欠点も無くなるだろうか…?
その後もしばらくはアーツの訓練をしていた。
プレイヤー:ノア
【スキル一覧】
《短剣》Lv60《体術》Lv70《闇魔法》Lv42《盗賊》Lv62《隠蔽》Lv56
《視覚強化》Lv71《立体機動》Lv58《鍛冶》Lv24《釣り》Lv39(↑2UP)
《遊泳》Lv42
控えスキル
《調薬》Lv20《採掘》Lv10
スキルポイント:119
【二つ名】
終焉スキラー
【称号】
失敗の経験者・因縁を果たす者・真実を知る者・大罪確定者・歩く厄介箱
* * * * * * * * * * * * *
《斧》
斧が扱えるようになる。片手持ちにすべきか両手持ちにすべきか悩むスキル。結局、進化スキルで片手と両手に派生するが、それまではどちらでも良いという曖昧さ故に、選ぶものは少ない。両手斧ならば、威力アップ。片手斧なら、攻撃速度アップである。
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