おひとよしシーフ(Lv99)による過去改変記

Imaha486

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第九章 東の国の白竜スノウ

127-空中戦!

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『フリーズアロー!』

『グッ!!!』

「ホーリーライトッ!」

『ウォォォッ!!』

 カナタの無事を確信したエレナは、まさに水を得た魚のごとく暗黒竜ノワイルを圧倒!
 さらにセシリィも、猛スピードで地上を目指すスノウの背中に必死で掴まりながらホーリーライトを何度も放ち、牽制に一役買っていた。
 一方、剣士であるシディアは空の上では何も手伝えることがないので、しょんぼりと寂しげではあるのだが。

『ヴェアアアアーーッ!!!』

『エレメンタルシールド!』

 スノウを狙った近接攻撃も全て防壁に弾き返され、その間にも地上へと着実に近づいてゆく。

『うっし、もうちょいで着くよっ!』

『はいっ!』

 地上へ降り立てばもっと強力な魔法を放てるし、地上で待っているカナタと共闘できれば絶対にノワイルを倒せる!
 だが――エレナがそう思った矢先、ノワイルの目線が一瞬だけ明後日の方向・・・・・・へと向いた。

『……!!』

 一瞬ぞくりと嫌な予感がした直後、エレナ達の真横を禍々しい魔力を帯びた炎弾がすり抜けていった。
 ノワイルの両腕から放たれたそれは、ぐんぐんと加速しながら地上へ向かってゆく……。

「いけないっ!!」

 シディアが焦りの表情で振り返ると、炎弾の軌道線上には地上の光――ヤズマトの都があった。
 ここからかなりの距離があるとはいえ、あれが人々の暮らしているエリアで爆発すれば多大な被害が出るだろう。

『こっのぉ……アイシクル――くっ!?』

 炎弾を撃墜すべくエレナが急いで詠唱するものの、ノワイルはその隙を狙って再び距離を詰めながら近接攻撃を繰り返し放つ!
 暗黒竜ノワイルの戦闘スタイルは奇襲と弱点への集中攻撃に徹底しており、先の一撃も『人里を狙えば油断するだろう』程度のモノだったのだが、想定以上に動揺するエレナ達を見て、笑いがこみ上げてくる。

『ゲゴハハハッ!!』

「うぅ……」

 下品に笑うノワイルに対し、もう間に合わないと絶望に力なくうなだれるシディア。
 そして、激しく燃えさかる炎弾は願いむなしく都へ襲来し、家々を焼き尽くす!!
 ……と、皆が思っていたが。

ボウンッ!!

 突如炎弾が音を上げて爆発四散した。
 だが、実際に爆発したのは都よりもずっと手前の上空だったうえ、爆発というよりも強風に煽られたロウソクの炎のように、かき消されたようにも見えた。

『グ、グゥ……?』

 この状況はさすがのノワイルも想定外だったのか、呆気にとられた様子で呆然と宙を眺めるばかり。
 無論エレナ達も同様に戸惑っているのだが、一体なにが起こったのかと思考を巡らせようとしたその時――


『詰めが甘いぞ水の小娘ッ!!!』


 空に凜々しい女性の声が響き、エレナが驚きに目を見開いた。
 しかし驚くのは無理もない。
 純白の羽衣はごろもをまとった銀髪の女が翼も使わず空を飛んできたうえ、いきなり文句を言ってきたのだから……。
 ノワイル共々固まっていた一同だったが、やっとのことでエレナが口を開いた。

『あの、どちら様でしょう……?』

 助けてくれたということは、彼女は味方なのだろうか?
 恐る恐る問いかけるエレナを見て、銀髪の女――風の精霊ウィンディーは鼻でフンと笑った。

『我が名は風の精霊ウィンディー。お前がレナだな!』

『いえ、レナですけど』

『…………』

『…………』

 疾風のごとく颯爽と現れたウィンディーだったが、まさかの開口一番でやらかしてしまい、無言のまま固まってしまった。
 それと同時にエレナの中で『どうやらドジっ子らしい』という印象も固まってしまったのだが、ウィンディーは誤魔化すようにコホンと咳払い。

『エレナですけど』

『二度も言うなっ! というか、そんなことはどうでも良い! ……我はカナタとか言う小僧とカネミツの願いを聞き入れ、お前達を迎えに来たのだ。さっさと貴様のあるじのもとへ戻るぞ』

『っっっ!!!』

 ウィンディーの言葉にエレナは絶句し、目元に大粒の涙を溜めてわんわんと泣き出してしまった。

『どっ、どうして泣くかっ!!?』

『だってえ、だってえええっ!!』

 これまでカナタが生きていると信じて必死に戦っていたエレナではあるが、あくまでステータス取得スキルによって落下地点にカナタの名前を捉えた直後、巨大な爆炎が上がったのを見ただけ。
 内心はずっと不安な気持ちで押し潰されそうになっていたところに、ウィンディーが吉報を伝えたのだから、一気に押し寄せた感情の波に耐えきれず泣き出してしまったわけである。

『まったく、精霊のくせになんと軟弱な……』

 ウィンディーはそう言いつつも少しだけ満足げに笑うと、両手に風の刃を構えてノワイルへと向いた。

『まあ良い。カネミツは貴様を連れて来るように言っていたが、先に準備運動でもさせてもらおうじゃないか』
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