127 / 209
第九章 東の国の白竜スノウ
127-空中戦!
しおりを挟む
『フリーズアロー!』
『グッ!!!』
「ホーリーライトッ!」
『ウォォォッ!!』
カナタの無事を確信したエレナは、まさに水を得た魚のごとく暗黒竜ノワイルを圧倒!
さらにセシリィも、猛スピードで地上を目指すスノウの背中に必死で掴まりながらホーリーライトを何度も放ち、牽制に一役買っていた。
一方、剣士であるシディアは空の上では何も手伝えることがないので、しょんぼりと寂しげではあるのだが。
『ヴェアアアアーーッ!!!』
『エレメンタルシールド!』
スノウを狙った近接攻撃も全て防壁に弾き返され、その間にも地上へと着実に近づいてゆく。
『うっし、もうちょいで着くよっ!』
『はいっ!』
地上へ降り立てばもっと強力な魔法を放てるし、地上で待っているカナタと共闘できれば絶対にノワイルを倒せる!
だが――エレナがそう思った矢先、ノワイルの目線が一瞬だけ明後日の方向へと向いた。
『……!!』
一瞬ぞくりと嫌な予感がした直後、エレナ達の真横を禍々しい魔力を帯びた炎弾がすり抜けていった。
ノワイルの両腕から放たれたそれは、ぐんぐんと加速しながら地上へ向かってゆく……。
「いけないっ!!」
シディアが焦りの表情で振り返ると、炎弾の軌道線上には地上の光――ヤズマトの都があった。
ここからかなりの距離があるとはいえ、あれが人々の暮らしているエリアで爆発すれば多大な被害が出るだろう。
『こっのぉ……アイシクル――くっ!?』
炎弾を撃墜すべくエレナが急いで詠唱するものの、ノワイルはその隙を狙って再び距離を詰めながら近接攻撃を繰り返し放つ!
暗黒竜ノワイルの戦闘スタイルは奇襲と弱点への集中攻撃に徹底しており、先の一撃も『人里を狙えば油断するだろう』程度のモノだったのだが、想定以上に動揺するエレナ達を見て、笑いがこみ上げてくる。
『ゲゴハハハッ!!』
「うぅ……」
下品に笑うノワイルに対し、もう間に合わないと絶望に力なくうなだれるシディア。
そして、激しく燃えさかる炎弾は願いむなしく都へ襲来し、家々を焼き尽くす!!
……と、皆が思っていたが。
ボウンッ!!
突如炎弾が音を上げて爆発四散した。
だが、実際に爆発したのは都よりもずっと手前の上空だったうえ、爆発というよりも強風に煽られたロウソクの炎のように、かき消されたようにも見えた。
『グ、グゥ……?』
この状況はさすがのノワイルも想定外だったのか、呆気にとられた様子で呆然と宙を眺めるばかり。
無論エレナ達も同様に戸惑っているのだが、一体なにが起こったのかと思考を巡らせようとしたその時――
『詰めが甘いぞ水の小娘ッ!!!』
空に凜々しい女性の声が響き、エレナが驚きに目を見開いた。
しかし驚くのは無理もない。
純白の羽衣をまとった銀髪の女が翼も使わず空を飛んできたうえ、いきなり文句を言ってきたのだから……。
ノワイル共々固まっていた一同だったが、やっとのことでエレナが口を開いた。
『あの、どちら様でしょう……?』
助けてくれたということは、彼女は味方なのだろうか?
恐る恐る問いかけるエレナを見て、銀髪の女――風の精霊ウィンディーは鼻でフンと笑った。
『我が名は風の精霊ウィンディー。お前がセレナだな!』
『いえ、エレナですけど』
『…………』
『…………』
疾風のごとく颯爽と現れたウィンディーだったが、まさかの開口一番でやらかしてしまい、無言のまま固まってしまった。
それと同時にエレナの中で『どうやらドジっ子らしい』という印象も固まってしまったのだが、ウィンディーは誤魔化すようにコホンと咳払い。
『エレナですけど』
『二度も言うなっ! というか、そんなことはどうでも良い! ……我はカナタとか言う小僧とカネミツの願いを聞き入れ、お前達を迎えに来たのだ。さっさと貴様の主のもとへ戻るぞ』
『っっっ!!!』
ウィンディーの言葉にエレナは絶句し、目元に大粒の涙を溜めてわんわんと泣き出してしまった。
『どっ、どうして泣くかっ!!?』
『だってえ、だってえええっ!!』
これまでカナタが生きていると信じて必死に戦っていたエレナではあるが、あくまでステータス取得スキルによって落下地点にカナタの名前を捉えた直後、巨大な爆炎が上がったのを見ただけ。
内心はずっと不安な気持ちで押し潰されそうになっていたところに、ウィンディーが吉報を伝えたのだから、一気に押し寄せた感情の波に耐えきれず泣き出してしまったわけである。
『まったく、精霊のくせになんと軟弱な……』
ウィンディーはそう言いつつも少しだけ満足げに笑うと、両手に風の刃を構えてノワイルへと向いた。
『まあ良い。カネミツは貴様を連れて来るように言っていたが、先に準備運動でもさせてもらおうじゃないか』
『グッ!!!』
「ホーリーライトッ!」
『ウォォォッ!!』
カナタの無事を確信したエレナは、まさに水を得た魚のごとく暗黒竜ノワイルを圧倒!
さらにセシリィも、猛スピードで地上を目指すスノウの背中に必死で掴まりながらホーリーライトを何度も放ち、牽制に一役買っていた。
一方、剣士であるシディアは空の上では何も手伝えることがないので、しょんぼりと寂しげではあるのだが。
『ヴェアアアアーーッ!!!』
『エレメンタルシールド!』
スノウを狙った近接攻撃も全て防壁に弾き返され、その間にも地上へと着実に近づいてゆく。
『うっし、もうちょいで着くよっ!』
『はいっ!』
地上へ降り立てばもっと強力な魔法を放てるし、地上で待っているカナタと共闘できれば絶対にノワイルを倒せる!
だが――エレナがそう思った矢先、ノワイルの目線が一瞬だけ明後日の方向へと向いた。
『……!!』
一瞬ぞくりと嫌な予感がした直後、エレナ達の真横を禍々しい魔力を帯びた炎弾がすり抜けていった。
ノワイルの両腕から放たれたそれは、ぐんぐんと加速しながら地上へ向かってゆく……。
「いけないっ!!」
シディアが焦りの表情で振り返ると、炎弾の軌道線上には地上の光――ヤズマトの都があった。
ここからかなりの距離があるとはいえ、あれが人々の暮らしているエリアで爆発すれば多大な被害が出るだろう。
『こっのぉ……アイシクル――くっ!?』
炎弾を撃墜すべくエレナが急いで詠唱するものの、ノワイルはその隙を狙って再び距離を詰めながら近接攻撃を繰り返し放つ!
暗黒竜ノワイルの戦闘スタイルは奇襲と弱点への集中攻撃に徹底しており、先の一撃も『人里を狙えば油断するだろう』程度のモノだったのだが、想定以上に動揺するエレナ達を見て、笑いがこみ上げてくる。
『ゲゴハハハッ!!』
「うぅ……」
下品に笑うノワイルに対し、もう間に合わないと絶望に力なくうなだれるシディア。
そして、激しく燃えさかる炎弾は願いむなしく都へ襲来し、家々を焼き尽くす!!
……と、皆が思っていたが。
ボウンッ!!
突如炎弾が音を上げて爆発四散した。
だが、実際に爆発したのは都よりもずっと手前の上空だったうえ、爆発というよりも強風に煽られたロウソクの炎のように、かき消されたようにも見えた。
『グ、グゥ……?』
この状況はさすがのノワイルも想定外だったのか、呆気にとられた様子で呆然と宙を眺めるばかり。
無論エレナ達も同様に戸惑っているのだが、一体なにが起こったのかと思考を巡らせようとしたその時――
『詰めが甘いぞ水の小娘ッ!!!』
空に凜々しい女性の声が響き、エレナが驚きに目を見開いた。
しかし驚くのは無理もない。
純白の羽衣をまとった銀髪の女が翼も使わず空を飛んできたうえ、いきなり文句を言ってきたのだから……。
ノワイル共々固まっていた一同だったが、やっとのことでエレナが口を開いた。
『あの、どちら様でしょう……?』
助けてくれたということは、彼女は味方なのだろうか?
恐る恐る問いかけるエレナを見て、銀髪の女――風の精霊ウィンディーは鼻でフンと笑った。
『我が名は風の精霊ウィンディー。お前がセレナだな!』
『いえ、エレナですけど』
『…………』
『…………』
疾風のごとく颯爽と現れたウィンディーだったが、まさかの開口一番でやらかしてしまい、無言のまま固まってしまった。
それと同時にエレナの中で『どうやらドジっ子らしい』という印象も固まってしまったのだが、ウィンディーは誤魔化すようにコホンと咳払い。
『エレナですけど』
『二度も言うなっ! というか、そんなことはどうでも良い! ……我はカナタとか言う小僧とカネミツの願いを聞き入れ、お前達を迎えに来たのだ。さっさと貴様の主のもとへ戻るぞ』
『っっっ!!!』
ウィンディーの言葉にエレナは絶句し、目元に大粒の涙を溜めてわんわんと泣き出してしまった。
『どっ、どうして泣くかっ!!?』
『だってえ、だってえええっ!!』
これまでカナタが生きていると信じて必死に戦っていたエレナではあるが、あくまでステータス取得スキルによって落下地点にカナタの名前を捉えた直後、巨大な爆炎が上がったのを見ただけ。
内心はずっと不安な気持ちで押し潰されそうになっていたところに、ウィンディーが吉報を伝えたのだから、一気に押し寄せた感情の波に耐えきれず泣き出してしまったわけである。
『まったく、精霊のくせになんと軟弱な……』
ウィンディーはそう言いつつも少しだけ満足げに笑うと、両手に風の刃を構えてノワイルへと向いた。
『まあ良い。カネミツは貴様を連れて来るように言っていたが、先に準備運動でもさせてもらおうじゃないか』
0
あなたにおすすめの小説
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる