おひとよしシーフ(Lv99)による過去改変記

Imaha486

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第十二章 偉大なる魔王オーカ様

184-フルルの気づき

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「…………はい?」

 再び現実へと意識が戻った俺の口から出た第一声はそれ。
 いや、えーっと……なんというか、なんだろな?
 頭の中がこんがらがって考えがまとまらない中、初めて別の未来・・・・を見たシャロンは満足そうにフフンと鼻で笑った。

「私、初めて自分で自分を褒めてやりたいと思ったわ!」

「うえ~ん、おねえぢゃあああん~~!」

 自画自賛しながら胸を張るシャロンとは対照的に、自分達の崇拝していた神があまりにもポンコツだという事実を知ったコロンは涙目に。
 ま、まあ……アレを見せられたら……ねぇ。
 その一方で、我が妹サツキはオーカのところに突撃していた。

「オーカちゃんオーカちゃんオーカちゃん!!」

『おわっ! いきなりなんじゃっ!?』

 目を白黒させているオーカの手を握ったサツキは、まるで子をあやす母親のように小さな頭を撫でた。

「もうオーカちゃんは独りぼっちじゃないからね。みんなみんな友達だよ」

『ええい意味がわからんわっ! ……おのれ神め、なにが魔王は脅威ではないじゃ、なにが期待していた~じゃ!! 我を愚弄するとは、絶対に許さんッ!!』

「ウチが死んだ世界だと、魔王も孤独で寂しかったんやなあ。……お嬢ちゃん、ウチに対しても遠慮せんでええんやで?」

『そこの小娘もうるさいわッ!!』

 シエルにまで同情の眼差しを向けられて怒り心頭。
 そして――

「孤独に涙する運命だった魔王は、新たな世界で友や家臣にも恵まれ、本当の幸せを手に入れた……うーん、感動の展開です~」

『ぬおわっ!?』

 唐突に聞き覚えのある声が聞こえたかと思いきや、客間の入り口からプリシア姫と子ドラゴンのピートが物陰からこちらを見つめていた。

『あはははー、ゴメンねー。さっきのやつ、ボク達も見ちゃったよー』

 ……この姫様とドラゴンったら、いつも盗み聞きしすぎでは?
 皆が唖然としている中、プリシア姫は慈悲深い顔でオーカに話しかけた。

「我が親友サツキちゃんの友ならば、敵国の王とて例外ではありません! 私もあなたの友となりえましょう!!」

『ホントこの国の連中は一体どうなっとるん!?!?!?』

 チビッ子達がギャアギャアと騒ぐせいで、ちっとも考えがまとまらないっ!
 そんなこんなで俺が頭を抱えていると、エレナが心配そうな顔で近づいてきた。

『カナタさん、大丈夫ですか……?』

「あ、うん。だけど……思ったほどショックは無いかな」

 これはエレナを心配させないための詭弁ではなく、本当の言葉だ。
 そもそも、俺がカネミツから勇者パーティを追い出された理由が「コンプライアンス的に色々とマズい」だったけれど、よくよく考えれば不自然過ぎるわけで。
 それよりも、二年前の世界へ戻って早々に再会したカネミツに対し、初対面でいきなり「おとといきやがれ」とか言っちゃったのを今さら思い出してしまい、こちらの方がどうしたものやら。
 次に会うときにどんな顔すりゃいいんだ……はぁ。

「でもまあ、あんなヘッポコな神様からエレナを奪い取れたって考えれば、結果オーライなのかなーって……」

 女神がカネミツ達におかしな要求をしたせいで、一文無しで闇の世界へと放り出され、俺は危うく餓死寸前にまで追い込まれることとなった。
 だけどその後はエレナに出会えたうえ、彼女を危機的状況から救うこともできた。
 それに、二年前に戻ってゼロからやり直せた現状こそが、女神の言う【世界を救う可能性】だったとすれば、悪いことばかりじゃない。
 ……ところが、俺の楽観的な言葉とは相反して、エレナの表情は優れない。

『ですけど……私、あの女神ひと知らないです』

「え……?」

『私にモンスターの監視を命じたのは、もっと髭面の男のひとでした』

「えええっ!?」

 エレナの爆弾発言に、コロンまでも驚きに目を見開く。

「そ、それじゃつまり、女神フローライトとは別に、自分を神と名乗ってる奴がいるってことか!!」

『そうなりますね……』

 やがて訪れるであろう【最後の日】への対抗策も見つからぬまま、謎ばかり増えてしまう現状に、皆も困惑するばかり。
 しかしそんな中、ひとりだけ無表情のまま窓の外をじっと眺めている人物が……いや、妖精がいた。

『もしかして……もしかするかも』

「ん???」

 不思議なことを呟くフルルを見て首を傾げていると、無表情ながら何かに気づいた様子でふよふよと近づいてきた。

『君は精霊と共に時を戻った……神への信心を失った魔女は悪魔を崇拝した。洞窟の案内人は性格が変貌し……勇者は全く異なる道を歩んだ』

「確かにな」

『もしかすると君は……二年前に戻っていないかも』

「えっ!」

 ここにきて更に謎が増えるのか!?
 俺が訝しげな顔をしているのに気づいたのか、フルルは続けて考えを口にした。

『君ではなく……世界そのもの・・・・・・が二年前に戻ったと考える』

「同じじゃね???」

 だが、率直な問いに対してフルルは首を横に振る。

『これは僕の仮説だけど……君の起こした想定外の行動により世界の均整が崩れ……強制的な巻き戻しが発生。世界の全てが二年前に戻ろうとした……でも失敗した』

「俺の能力がそのままなのは、想定外ってこと?」

『神の命令をを無視して……水の精霊エレナが君と同伴してるのも……変』

「それは、この力を手に入れたからじゃないかなぁ」


 ――全てを奪う者。


 右手に宿した力はエレナだけでなく、精霊イフリートや死の洞窟に仕掛けられた呪いすら強奪してきた。
 ところがフルルは無表情ながら困惑した様子で、俺の右手にそっと触れた。

『そんな神の権限すら凌駕する力が……どうして聖なる泉にあった?』

「!」

『そこに行けば……何かが見つかる気がする』
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