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第十二章 偉大なる魔王オーカ様
185-サツキ・ルート分岐
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【聖王歴129年 青の月17日 同日夜】
<聖王都プラテナ城 ゲストルーム>
「第一回チキチキ多種多様な種族入り交じってのパジャマパーティーーーーっ!!」
『何言ってるのさ……』
ハイテンションなサツキを見て、ユピテルは脱力しながらぼやいた。
「だって、このチョー広い部屋に我ら仲良しグループ全員集合だよ! 口うるさい大人達も居ないんだよ!!」
『おい! その意味わからんグループに、まさか我も入っておるのか!?』
「当然ッ!」
あまりの即答っぷりに、闇の世界の王たる魔王オーカも唖然。
この大部屋にはサツキとユピテルの他、シエル、オーカ、双子妖精ハルルとフルル、そして王女プリシアと子ドラゴンのピート……と、冒頭の挨拶のとおり多種多様な種族が勢揃い。
本来、他国の高官や王族など身分の高い来賓のために用意された部屋のはずなのだが、今日に限っては完全に子供達の遊び場になっていた。
「そういや、オトナ共はアレらしいで」
シエルはジョッキを口に運ぶような仕草でわざとらしく反り返る。
まあ、当人は飲酒経験など一度も無いのだけども。
「あーやだやだ、大人は何かとすぐお酒に頼っちゃうから情けないよね~」
『うーむ……』
サツキの言葉を聞いてオーカの頭を過ったのは、酒瓶を抱きしめながら城の廊下で雑魚寝していた魔王四天王セツナの姿。
……ああはなるまいと改めて心に誓った。
と、小娘達がそんな会話をしている最中、子ドラゴンのピートが『しつもーん』と声を上げた。
『こういうのって普通、女だけでやるもんじゃないの? ボクとユピテルは場違いだと思うんだけど』
ピートの言葉を聞いてユピテルもウンウンと同意するものの、その問いに対する答えは別方向から飛んできた。
『君らはノーカンっすよ』
『むしろ……積極的に乙女心を勉強すべき……カナタとエレナは反面教師』
妖精に乙女心を勉強とか言われてもなぁ……と内心ツッコミそうになりつつも、ここから逃げたところでどうせロクなことにならないと察したふたりは、黙ってその場に座った。
「さて、明日からお兄ちゃん達はエレナさんと出逢った【聖なる泉】に向かうっぽいんだけどさ。あたし達がどうするのか、それが問題だと思うんだよね」
シャロンの後輩キャシーの能力によって、かつてカナタが勇者パーティのメンバーとして冒険した世界での未来を視ることができた。
そして、フルルの『何かが見つかる気がする』という発言をきっかけに、明日から調査のために聖なる泉へと探索に向かうことになった。
果たして、そこでどんな真実が待ち受けているのか?
それを知るのは神のみ……いや、神すらも知り得ぬ未来だろう。
……だが、サツキが言っているのは無論そういう堅苦しい話ではない。
「お兄ちゃんとエレナさんが互いに想いを伝え合ってから、お兄ちゃんのヘタレ度が大幅に悪化した気がするんだよね~」
『釣った魚に……餌をあげ続ける……おひとよし』
フルルが身も蓋もないコトを言うものの、これに関しては皆も同意である。
「なので、あたしから提言! 常闇の大地は、お兄ちゃんとエレナさんだけで向かわせるべきだと思いまーすっ!!」
『はあああ?』
突然おかしなことを言うサツキを見て、オーカは素っ頓狂な声を上げた。
『つまり我にひとりで城に帰れと?』
「ううん、オーカちゃんはあたし達と一緒について来るべしべし!」
『んん? んんんんん~~???』
前々からおかしな言動の多い小娘だと思っていたけれど、今回ばかりは全く理解不能だとばかりにオーカは頭を抱える。
「サツキちゃん、もう少し具体的に話しません……?」
困り果てたオーカを救うべくプリシア姫が助け船を出すと、サツキは少しだけ考えてから、再び口を開いた。
「明日の朝早くにシャロンちゃんが魔法学園に帰るらしいから、あたし達全員でついて行こうかなって。あ、お兄ちゃんとエレナさんは連れていかないけどね」
サツキが全員と言いながら両手を広げる様子に、今度はプリシアが首を傾げる。
「……もしかして、私もですか?」
「当然ッ!!」
「えええ……」
まさかの、助け船を出したはずのプリシアまで巻き込まれてしまった。
するとサツキは、勝手に兄の鞄から一冊の紙束を取り出して日記の一文を指差した。
そこに書かれていたのは、魔法使いシャロンがカナタを脅迫した後、深夜の魔法学校に侵入し最強魔法【ゴッドフレア】を盗み出すまでの一部始終。
「お兄ちゃんの日記だとかなりヤバい方法で魔法学園に忍び込んでるんだけど、プリシアちゃんが協力してくれれば正攻法で行けそうだしさ」
「正攻法って……まさか、私の権限でゴッドフレアの魔導書をよこせって言う気ですか!?」
「モチのロン!!」
「え、えええ~~~~」
いつも無理難題ばかりをふっかけてくるサツキから最大級の一撃を要求されてしまい、プリシアは頭を抱えてしまった。
『……お前、何を企んでいる』
「お兄ちゃんとエレナさんが世界を危機から救う方法を探す間、あたし達はその逆を行けば良いと思うんだよね」
『逆……?』
訝しげに眉をひそめるオーカに対し、サツキはニヤリと不敵な笑みを浮かべて断言する。
「あたし達で力をあわせて、世界の危機を倒す方法を探してみない?」
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【聖王歴129年 青の月17日 同日夜】
<聖王都プラテナ城 ゲストルーム>
「第一回チキチキ多種多様な種族入り交じってのパジャマパーティーーーーっ!!」
『何言ってるのさ……』
ハイテンションなサツキを見て、ユピテルは脱力しながらぼやいた。
「だって、このチョー広い部屋に我ら仲良しグループ全員集合だよ! 口うるさい大人達も居ないんだよ!!」
『おい! その意味わからんグループに、まさか我も入っておるのか!?』
「当然ッ!」
あまりの即答っぷりに、闇の世界の王たる魔王オーカも唖然。
この大部屋にはサツキとユピテルの他、シエル、オーカ、双子妖精ハルルとフルル、そして王女プリシアと子ドラゴンのピート……と、冒頭の挨拶のとおり多種多様な種族が勢揃い。
本来、他国の高官や王族など身分の高い来賓のために用意された部屋のはずなのだが、今日に限っては完全に子供達の遊び場になっていた。
「そういや、オトナ共はアレらしいで」
シエルはジョッキを口に運ぶような仕草でわざとらしく反り返る。
まあ、当人は飲酒経験など一度も無いのだけども。
「あーやだやだ、大人は何かとすぐお酒に頼っちゃうから情けないよね~」
『うーむ……』
サツキの言葉を聞いてオーカの頭を過ったのは、酒瓶を抱きしめながら城の廊下で雑魚寝していた魔王四天王セツナの姿。
……ああはなるまいと改めて心に誓った。
と、小娘達がそんな会話をしている最中、子ドラゴンのピートが『しつもーん』と声を上げた。
『こういうのって普通、女だけでやるもんじゃないの? ボクとユピテルは場違いだと思うんだけど』
ピートの言葉を聞いてユピテルもウンウンと同意するものの、その問いに対する答えは別方向から飛んできた。
『君らはノーカンっすよ』
『むしろ……積極的に乙女心を勉強すべき……カナタとエレナは反面教師』
妖精に乙女心を勉強とか言われてもなぁ……と内心ツッコミそうになりつつも、ここから逃げたところでどうせロクなことにならないと察したふたりは、黙ってその場に座った。
「さて、明日からお兄ちゃん達はエレナさんと出逢った【聖なる泉】に向かうっぽいんだけどさ。あたし達がどうするのか、それが問題だと思うんだよね」
シャロンの後輩キャシーの能力によって、かつてカナタが勇者パーティのメンバーとして冒険した世界での未来を視ることができた。
そして、フルルの『何かが見つかる気がする』という発言をきっかけに、明日から調査のために聖なる泉へと探索に向かうことになった。
果たして、そこでどんな真実が待ち受けているのか?
それを知るのは神のみ……いや、神すらも知り得ぬ未来だろう。
……だが、サツキが言っているのは無論そういう堅苦しい話ではない。
「お兄ちゃんとエレナさんが互いに想いを伝え合ってから、お兄ちゃんのヘタレ度が大幅に悪化した気がするんだよね~」
『釣った魚に……餌をあげ続ける……おひとよし』
フルルが身も蓋もないコトを言うものの、これに関しては皆も同意である。
「なので、あたしから提言! 常闇の大地は、お兄ちゃんとエレナさんだけで向かわせるべきだと思いまーすっ!!」
『はあああ?』
突然おかしなことを言うサツキを見て、オーカは素っ頓狂な声を上げた。
『つまり我にひとりで城に帰れと?』
「ううん、オーカちゃんはあたし達と一緒について来るべしべし!」
『んん? んんんんん~~???』
前々からおかしな言動の多い小娘だと思っていたけれど、今回ばかりは全く理解不能だとばかりにオーカは頭を抱える。
「サツキちゃん、もう少し具体的に話しません……?」
困り果てたオーカを救うべくプリシア姫が助け船を出すと、サツキは少しだけ考えてから、再び口を開いた。
「明日の朝早くにシャロンちゃんが魔法学園に帰るらしいから、あたし達全員でついて行こうかなって。あ、お兄ちゃんとエレナさんは連れていかないけどね」
サツキが全員と言いながら両手を広げる様子に、今度はプリシアが首を傾げる。
「……もしかして、私もですか?」
「当然ッ!!」
「えええ……」
まさかの、助け船を出したはずのプリシアまで巻き込まれてしまった。
するとサツキは、勝手に兄の鞄から一冊の紙束を取り出して日記の一文を指差した。
そこに書かれていたのは、魔法使いシャロンがカナタを脅迫した後、深夜の魔法学校に侵入し最強魔法【ゴッドフレア】を盗み出すまでの一部始終。
「お兄ちゃんの日記だとかなりヤバい方法で魔法学園に忍び込んでるんだけど、プリシアちゃんが協力してくれれば正攻法で行けそうだしさ」
「正攻法って……まさか、私の権限でゴッドフレアの魔導書をよこせって言う気ですか!?」
「モチのロン!!」
「え、えええ~~~~」
いつも無理難題ばかりをふっかけてくるサツキから最大級の一撃を要求されてしまい、プリシアは頭を抱えてしまった。
『……お前、何を企んでいる』
「お兄ちゃんとエレナさんが世界を危機から救う方法を探す間、あたし達はその逆を行けば良いと思うんだよね」
『逆……?』
訝しげに眉をひそめるオーカに対し、サツキはニヤリと不敵な笑みを浮かべて断言する。
「あたし達で力をあわせて、世界の危機を倒す方法を探してみない?」
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