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~はじまりはじまり~
秋の夜長
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午後はまた基本的な仕事の流れを池谷に教えるミツキ。
気づくと定時の18時前になっていた。
外は夕陽に包まれており、9月中旬だというのに残暑のせいか蒸し暑そうだった。
ミツキ「じゃあ今日はもう時間だから、お疲れ様でした。また明日も頑張ろうね!」
ミツキは終始笑顔で初日の池谷を労った。
池谷「はい、ありがとうございます。明日も宜しくお願い致します。お先に失礼致します」
池谷が帰った後、翌日の準備をしてからミツキも帰宅することにした。
書類をまとめ、外がこの30分程度で真っ暗に染まった。
ふと昼の事が気になった。
ミツキ「そういえば…あの時言ってたのって地雷だったのかな…嫌われてないといいけど…」
書類を手に一瞬固まっていたミツキを課長が声をかけてきた。
部長「なんだお前、まだ帰ってないのか。最近残業うるせぇから早く帰れ帰れ」
部長は疲れた顔をしながらコーヒー片手に話しかけてきた。
ミツキ「あ、はい。ところで部長、池谷さんって真面目そうですよね」
部長「ん、そーだな。元々外資系の保険会社の営業として働いてたみたいだな」
ミツキは驚いた。外資系の保険営業といえばキツイイメージがある。完全実力主義の世界だ。
ミツキ「すごいっすね…また随分と畑違いの業種に来ましたね」
部長「あぁ、本当はうちで営業として入社してほしかったくらいだよ。なんせ彼女はその会社でトップ2だったみたいだ」
またまたミツキは驚いた。運やたまたまじゃトップの方に入るなんて事は無理だ。完全に実力だろう。
ミツキ「それまた…すっごいっすね!」
部長「まぁあんまり言うと個人情報だからこれ以上はな。内緒だぞ。ほらさっさと帰れ」
ミツキ「はい!お先失礼します!」
ミツキは暗い帰り道をスタスタと歩く。
電車に乗り30分程度で最寄りの駅についた。
最寄り駅は駅前にコンビニくらいしかない場所だった。
ミツキはいつもこのコンビニで朝食のパンを買って帰るのが日課だった。
街灯が少なく薄暗い道路の先、ひと際輝くコンビニがある。
ピンポーンピンポーン!
自動ドアが開き、聞きなれたベル音と共に「いらっしゃいませーー!」という店員さんの声が聞こえる。
パンコーナーでチョコパンを手にし、レジに並んだ。
帰宅時間という事もあり、レジが並んでいる。
5人も並んでるとは。独り暮らしのリーマンの憩いの場みたいになっているな。
ミツキはそんなことを思いつつレジの方に目をやった。
そこには明るく店員さんにお辞儀をして会計を終える池谷の姿があった。
ミツキ「え…?なんで」
池谷はそのまま闇夜の外に消えていった。
ミツキは動揺した。
一つはまさか同じ駅に住んでいたという点。
もう一つは昼間とのキャラの違い。
昼間はおばちゃん相手でもとても無感情な対応だったのに。
ミツキは幻覚でも見たかと思った。
男の声「あの…レジ進んでますよ」
背後の男の人に声を掛けられた。
ミツキ「あ…すみません」
会計を終え、いつも通りの道を歩いて行った。
ひとまず深く考えず、見なかった事にしよう。
そう心に決め、秋の匂いがする夜道を歩いた。
誰もいないアパートの部屋。ミツキは自分の城に帰宅した。
気づくと定時の18時前になっていた。
外は夕陽に包まれており、9月中旬だというのに残暑のせいか蒸し暑そうだった。
ミツキ「じゃあ今日はもう時間だから、お疲れ様でした。また明日も頑張ろうね!」
ミツキは終始笑顔で初日の池谷を労った。
池谷「はい、ありがとうございます。明日も宜しくお願い致します。お先に失礼致します」
池谷が帰った後、翌日の準備をしてからミツキも帰宅することにした。
書類をまとめ、外がこの30分程度で真っ暗に染まった。
ふと昼の事が気になった。
ミツキ「そういえば…あの時言ってたのって地雷だったのかな…嫌われてないといいけど…」
書類を手に一瞬固まっていたミツキを課長が声をかけてきた。
部長「なんだお前、まだ帰ってないのか。最近残業うるせぇから早く帰れ帰れ」
部長は疲れた顔をしながらコーヒー片手に話しかけてきた。
ミツキ「あ、はい。ところで部長、池谷さんって真面目そうですよね」
部長「ん、そーだな。元々外資系の保険会社の営業として働いてたみたいだな」
ミツキは驚いた。外資系の保険営業といえばキツイイメージがある。完全実力主義の世界だ。
ミツキ「すごいっすね…また随分と畑違いの業種に来ましたね」
部長「あぁ、本当はうちで営業として入社してほしかったくらいだよ。なんせ彼女はその会社でトップ2だったみたいだ」
またまたミツキは驚いた。運やたまたまじゃトップの方に入るなんて事は無理だ。完全に実力だろう。
ミツキ「それまた…すっごいっすね!」
部長「まぁあんまり言うと個人情報だからこれ以上はな。内緒だぞ。ほらさっさと帰れ」
ミツキ「はい!お先失礼します!」
ミツキは暗い帰り道をスタスタと歩く。
電車に乗り30分程度で最寄りの駅についた。
最寄り駅は駅前にコンビニくらいしかない場所だった。
ミツキはいつもこのコンビニで朝食のパンを買って帰るのが日課だった。
街灯が少なく薄暗い道路の先、ひと際輝くコンビニがある。
ピンポーンピンポーン!
自動ドアが開き、聞きなれたベル音と共に「いらっしゃいませーー!」という店員さんの声が聞こえる。
パンコーナーでチョコパンを手にし、レジに並んだ。
帰宅時間という事もあり、レジが並んでいる。
5人も並んでるとは。独り暮らしのリーマンの憩いの場みたいになっているな。
ミツキはそんなことを思いつつレジの方に目をやった。
そこには明るく店員さんにお辞儀をして会計を終える池谷の姿があった。
ミツキ「え…?なんで」
池谷はそのまま闇夜の外に消えていった。
ミツキは動揺した。
一つはまさか同じ駅に住んでいたという点。
もう一つは昼間とのキャラの違い。
昼間はおばちゃん相手でもとても無感情な対応だったのに。
ミツキは幻覚でも見たかと思った。
男の声「あの…レジ進んでますよ」
背後の男の人に声を掛けられた。
ミツキ「あ…すみません」
会計を終え、いつも通りの道を歩いて行った。
ひとまず深く考えず、見なかった事にしよう。
そう心に決め、秋の匂いがする夜道を歩いた。
誰もいないアパートの部屋。ミツキは自分の城に帰宅した。
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