【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

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俺の幼馴染で婚約者が可愛すぎて辛い4

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幼馴染で婚約者

中学生になった俺は、一見完璧でいて、実は酷く不完全なこの関係性に、かなり焦らされていた。

誰よりも近くにいるからこそ、分かる。
千歳はまだ恋を知らない。
俺に恋なんてしていない。
まだ俺を「男」として意識すらしていない。

俺たちの関係に、唯一にして絶対的に欠落しているもの─
それは千歳の、俺への気持ち。

だから、髪の毛一本触れるわけにはいかない。
一度でも触れてしまえば、俺の浅ましい欲望で千歳を汚してしまいそうで。

毎晩夢を見るんだ。
嫌がる千歳を無理やり押さえつけて、ベッドに縛って。
服を剥ぎ取り、真っ白い体の隅から隅まで舐め尽くし、俺の滾った欲望で体を貫く。
泣いて赦しを乞うても聞き入れず、犯し続ける。
何度も、何度も。
朝が来るまで。

そして夢の中で夜明けを迎えると同時に、決まって不快に湿った下着の感触で目を覚ます。「ああ、夢で良かった」と安堵する以上に「なんだ、夢か」と落胆しながら。
千歳のことが、誰よりも、何よりも大切な筈なのに。

最初こそ酷い自己嫌悪に陥ったけれど、どうせ夢だと今や開き直っている。

そんな俺の葛藤になんて全く気づかず、今日も千歳は俺の隣で蓮の花のように清らかに笑っている。

今の時点で俺の気持ちを伝えたって無駄だ。
ただでさえアンバランスな関係が、完全に壊れてしまう。

近すぎる距離が、もどかしい。

それでも、側に居続けなければならない。
誰にも、何にも奪われないように。

この頃、最近俺たちが婚約していることを公表したのは、完全に周囲への牽制だった。

俺達の関係を、ただの幼馴染と思っているクラスメイト達が、性に目覚めた途端、『蓮見と風呂に入ったことあるのか』とか、「蓮見のおっぱいって何カップ?」とか聞いてきやがる。

夢であんなことをしておきながら、自分のことは棚に上げ、他のヤツらが妄想の中であってもその手で千歳を汚すのが許せなくて。

「…風呂なんて何度も一緒に入った。胸は、…B」

一緒に風呂に入ってたのは幼稚園までの話だし、千胸の胸は、一日三度はチェックしているボディラインから推定すると、今日現在Cカップ。
でも、お前らなんぞに教えてやる義理はない。

「すっげーな、椎名!何でそこまで知ってるんだよ!?」

かかった。

よからぬことを聞いてくる奴ら皆殺しにしたい衝動を押さえ、話に乗ったのはこの一言を引き出すため。


「だって、俺、千歳と婚約してるから」


「…こんにゃく?」

「こ・ん・や・く。親同士が決めたことだけど、俺たち、大人になったら結婚するんだ」

「けっ!けっこん…!!?」

千歳は俺の、俺だけのものだということを最も効率的かつ強制的に理解させる。
これでしばらくこいつらの妄想内であっても、千歳に触れるのは俺になる。
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