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社長と初デート 2
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「どうって…何もないよ」
本当の事を言うわけにも行かず、大根サラダの残りを箸で集めながら言葉を濁す。
「社長が葵を総務部から秘書課に連れて行く時のセリフ、完全にプロポーズのセリフってことになって噂になってるよ?」
「え…?何それ」
秘書課の私にはそんな噂は全く聞こえてきていない。
そもそも唯人はあの日からめちゃくちゃ忙しくて、私たちはただの社長と秘書の関係のままだ。
もちろん、カラダの関係もあの一度きり。
「さっきからご機嫌で今すぐにでも嫁げますオーラ出しといて?今日は結婚の報告じゃないの?ねぇ、でっかいダイヤの付いた指輪はどこ!?」
「誤解だよ…私、こんな風に仲良しの友達を家に招待したりするの初めてだからウキウキしてただけだよ」
「葵…ういやつ!!」
ガバッと美和に抱きつかれた。
テーブルの上に目をやると、ワインのボトルがもうすぐ空きそうだ。
「でもまさか『社長のオトコ』が『社長の息子』だったとはね~」
「うん。私も本当に驚いた。初日に橘社長がゆ…天澤課長のこと『唯人~』とか呼び出すから完全に騙されちゃったよ」
「今や『元社長のオトコ』は葵との噂があっても社内の独身男性人気ランキングナンバーワンだもんね」
そうなのか。
秘書課はほとんど他の課と交流がないからそんなことになってるなんて知らなかった。
「ねぇ、あんなにイイ男とずーっと二人きりで居て、本っ当に何もないの?」
「…何もないってば!」
「うわっ!怪し~!何よ?今の間?」
美和の目が光り、追求の手が伸びようとした時、インターフォンが鳴った。
父が帰って来たのだろうか?
密かに『助かった』とほっとしつつ、父ならインターフォンを鳴らす必要なんてないことに気付き、念のためモニターを確認する。
そして、そこに映る人物を認識して飛び上がった。
美和に気づかれないよう、慌ててモニターをオフにする。
「ご、ご、ご、ご、ごめん!ちょっと適当に飲んでて!」
玄関に向かって猛ダッシュ。
サンダルを足に引っ掛け、ドアノブに手を掛けたところでそれまでの勢いを消して、そっと隙間を開けて覗き見た。
「葵…?良かった。無事で」
安堵の表情を浮かべた唯人がそこに立っていた。
「…社長、何でここに?今日P社との会食でしたよね?」
開始時時刻が遅く、相手が橘社長時代から得意先ということで、遅くなりそうだから私は同席しなくて良いと言われたはず。
そのおかげで今日は美和を招くことができたのだ。
ちなみに、社長と秘書との関係が板についてきてからは、呼び方を「社長」に戻している。
「何回も電話したんだけど。出ないから心配になって」
そろそろ11時になろうかという時間なのに、唯人はスーツ姿だった。
ただし、少し髪が乱れていて、微かにアルコールの香りがする。
もしかして会食を打ち切ってここに来たのだろうか?
美和とのおしゃべりに夢中になっていて、着信があったことに気づかなかっただけなのに。
なんだかとても申し訳ない気持ちになった。
本当の事を言うわけにも行かず、大根サラダの残りを箸で集めながら言葉を濁す。
「社長が葵を総務部から秘書課に連れて行く時のセリフ、完全にプロポーズのセリフってことになって噂になってるよ?」
「え…?何それ」
秘書課の私にはそんな噂は全く聞こえてきていない。
そもそも唯人はあの日からめちゃくちゃ忙しくて、私たちはただの社長と秘書の関係のままだ。
もちろん、カラダの関係もあの一度きり。
「さっきからご機嫌で今すぐにでも嫁げますオーラ出しといて?今日は結婚の報告じゃないの?ねぇ、でっかいダイヤの付いた指輪はどこ!?」
「誤解だよ…私、こんな風に仲良しの友達を家に招待したりするの初めてだからウキウキしてただけだよ」
「葵…ういやつ!!」
ガバッと美和に抱きつかれた。
テーブルの上に目をやると、ワインのボトルがもうすぐ空きそうだ。
「でもまさか『社長のオトコ』が『社長の息子』だったとはね~」
「うん。私も本当に驚いた。初日に橘社長がゆ…天澤課長のこと『唯人~』とか呼び出すから完全に騙されちゃったよ」
「今や『元社長のオトコ』は葵との噂があっても社内の独身男性人気ランキングナンバーワンだもんね」
そうなのか。
秘書課はほとんど他の課と交流がないからそんなことになってるなんて知らなかった。
「ねぇ、あんなにイイ男とずーっと二人きりで居て、本っ当に何もないの?」
「…何もないってば!」
「うわっ!怪し~!何よ?今の間?」
美和の目が光り、追求の手が伸びようとした時、インターフォンが鳴った。
父が帰って来たのだろうか?
密かに『助かった』とほっとしつつ、父ならインターフォンを鳴らす必要なんてないことに気付き、念のためモニターを確認する。
そして、そこに映る人物を認識して飛び上がった。
美和に気づかれないよう、慌ててモニターをオフにする。
「ご、ご、ご、ご、ごめん!ちょっと適当に飲んでて!」
玄関に向かって猛ダッシュ。
サンダルを足に引っ掛け、ドアノブに手を掛けたところでそれまでの勢いを消して、そっと隙間を開けて覗き見た。
「葵…?良かった。無事で」
安堵の表情を浮かべた唯人がそこに立っていた。
「…社長、何でここに?今日P社との会食でしたよね?」
開始時時刻が遅く、相手が橘社長時代から得意先ということで、遅くなりそうだから私は同席しなくて良いと言われたはず。
そのおかげで今日は美和を招くことができたのだ。
ちなみに、社長と秘書との関係が板についてきてからは、呼び方を「社長」に戻している。
「何回も電話したんだけど。出ないから心配になって」
そろそろ11時になろうかという時間なのに、唯人はスーツ姿だった。
ただし、少し髪が乱れていて、微かにアルコールの香りがする。
もしかして会食を打ち切ってここに来たのだろうか?
美和とのおしゃべりに夢中になっていて、着信があったことに気づかなかっただけなのに。
なんだかとても申し訳ない気持ちになった。
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