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溶解
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「ちょっと!離しなさいよ!!」
「は?あんたこそ離せよ。静花、俺のだし」
「私の静花を『これ』呼ばわりするんじゃないわよ!ったく…これだからヤンキーは」
突如頭上で始まった小競り合いに、頭が全くついていかない。
「…え?二人、付き合ってるんじゃ…」
「「誰がこんなヤツと!!!」」
本当に?と疑いたくなるくらい、見事に息ピッタリなんですけど─
でも、すぐに再開された小競り合いを目の当たりにしたら、全身から力が抜け、その場にへたりこんでしまった。
「良かっ…た…」
もし、もし本当にそうだったら、二人を祝福しなければならないと、心のどこかで思っていた。
「ごめんね、ちょっと荒療治で。でもこうでもしないと、静花、究極の受け身だから永遠に事態が変わらないと思って。それに、預け先の方も色々と限界みたいだったし、ね?」
瑞希がアイコンタクトを送ると、東海林くんが複雑そうな顔で大きく、深く頷いた。
「は?ちょっと待て。静花の預け先ってまさか…!」
「そ。東海林くんのところでしたー☆」
それを聞いた途端、高嶺くんは瑞希を突き飛ばし、二人から隠すように私の体を抱きしめた。
「東海林のところとか聞いてないし!!無事は保証するって言ったよな!?」
「ご覧のとおり、五体満足でしょ?」
「そういう問題じゃないだろう!預けるなら普通同性の所だろうが!」
「そんなこと言われたって。静花、私以外友達らしい友達なんていないし…今のところ、何もしてないのよね、東海林くん?」
本当は、ちょっと押し倒されたし、そういうコトになりそうになったけど。
「はい」
と、いつもどおりの澄ました顔で答えてくれた東海林くんに胸を撫で下ろす。
ところがその直後、高嶺くんが東海林くんの地雷を思い切り踏み抜いた。
「一週間もひとつ屋根の下に女といて、手ぇ出さないとか、童貞でもない限りあり得ないだろう」
高嶺くんの足元で、勢いよく爆炎が噴き上がる。
どす黒い煙の向こうで、東海林くんが口の端を引きつらせているのが見えた。
「…そうですね。正直、ちょっと押し倒して脇腹触っちゃいましたからね」
ああ、言っちゃった。
お返しと言わんばかりに、今度は東海林くんが高嶺くんの地雷を踏み抜いた。
「あと、エプロン姿の静花さんとか、お風呂上がりの静花さんとか、静花さんの寝顔とか、寝起きの静花さんとか、無防備すぎて正直ものすっっっごいムラつきましたよ。けど、誰かさんみたいに無理やりとか最低だと思うんで」
ホップ・ステップ・ジャンプとリズミカルに地雷を踏まれてぐうの音も出ない高嶺くんに、瑞希が気付いた。
「随分棘のある言い方ね?…ってまさか…『誰かさん』って高嶺のことじゃないわよね?」
「そのまさかですよ。この男、いつもいきなり突っ込んでたらしいですよ。しかも最初から」
「は?あんたこそ離せよ。静花、俺のだし」
「私の静花を『これ』呼ばわりするんじゃないわよ!ったく…これだからヤンキーは」
突如頭上で始まった小競り合いに、頭が全くついていかない。
「…え?二人、付き合ってるんじゃ…」
「「誰がこんなヤツと!!!」」
本当に?と疑いたくなるくらい、見事に息ピッタリなんですけど─
でも、すぐに再開された小競り合いを目の当たりにしたら、全身から力が抜け、その場にへたりこんでしまった。
「良かっ…た…」
もし、もし本当にそうだったら、二人を祝福しなければならないと、心のどこかで思っていた。
「ごめんね、ちょっと荒療治で。でもこうでもしないと、静花、究極の受け身だから永遠に事態が変わらないと思って。それに、預け先の方も色々と限界みたいだったし、ね?」
瑞希がアイコンタクトを送ると、東海林くんが複雑そうな顔で大きく、深く頷いた。
「は?ちょっと待て。静花の預け先ってまさか…!」
「そ。東海林くんのところでしたー☆」
それを聞いた途端、高嶺くんは瑞希を突き飛ばし、二人から隠すように私の体を抱きしめた。
「東海林のところとか聞いてないし!!無事は保証するって言ったよな!?」
「ご覧のとおり、五体満足でしょ?」
「そういう問題じゃないだろう!預けるなら普通同性の所だろうが!」
「そんなこと言われたって。静花、私以外友達らしい友達なんていないし…今のところ、何もしてないのよね、東海林くん?」
本当は、ちょっと押し倒されたし、そういうコトになりそうになったけど。
「はい」
と、いつもどおりの澄ました顔で答えてくれた東海林くんに胸を撫で下ろす。
ところがその直後、高嶺くんが東海林くんの地雷を思い切り踏み抜いた。
「一週間もひとつ屋根の下に女といて、手ぇ出さないとか、童貞でもない限りあり得ないだろう」
高嶺くんの足元で、勢いよく爆炎が噴き上がる。
どす黒い煙の向こうで、東海林くんが口の端を引きつらせているのが見えた。
「…そうですね。正直、ちょっと押し倒して脇腹触っちゃいましたからね」
ああ、言っちゃった。
お返しと言わんばかりに、今度は東海林くんが高嶺くんの地雷を踏み抜いた。
「あと、エプロン姿の静花さんとか、お風呂上がりの静花さんとか、静花さんの寝顔とか、寝起きの静花さんとか、無防備すぎて正直ものすっっっごいムラつきましたよ。けど、誰かさんみたいに無理やりとか最低だと思うんで」
ホップ・ステップ・ジャンプとリズミカルに地雷を踏まれてぐうの音も出ない高嶺くんに、瑞希が気付いた。
「随分棘のある言い方ね?…ってまさか…『誰かさん』って高嶺のことじゃないわよね?」
「そのまさかですよ。この男、いつもいきなり突っ込んでたらしいですよ。しかも最初から」
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