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番外編
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あまりに直球過ぎて、思わず社長室に逃げ込んでしまった。
…静花、変に思ったかな。
でもね。
私が真緒に惹かれたところで無駄なんだよ。
真緒が好きなのは、静花なんだから。
あの夜にも嫌というほど思い知らされている。
私じゃ逆立ちしたって静花に敵わなかった。
当たり前だ。
一度も言ったことはないけれど、最初に会ったときから、私は静花に完敗だった。
私たちの出会いは、高二の秋に静花が転校してきたときのこと。
地味でダサくて暗くて、とてもクラスに打ち解けられるような子ではなかったから、私から話しかけて友達になってあげた。
表向きはそういうことになっている。
けれど─
本当は、当時、派手な外見と、勝ち気でワガママな性格のせいで、男子からは敬遠され、女子からは嫌われていて、クラスで浮いていたのは私の方だった。
静花が何も知らないのをいいことに、上から目線で「友達になってあげる」と言った私に、静花は目を輝かせて何度も頷き、「ありがとう」と言った。
静花の隣は怖いくらい心地よくて、すぐに一緒にいるのが当たり前になった。
そしてある日、軽いお節介心から静花の外見を変えてあげたら、自分でもびっくりする程の仕上がりになった。
自分に外見プロデュースの才能があると見出せたのも、静花のお陰だったりする。
静花に勧められて、渋々他の人にも試したら、ぼっちだったのが嘘みたいに高校を卒業するまでの間に、男女、学年を問わず友達も増えた。
Love Birdsを立ち上げる時も、静花は苦労して掴んだはずの内定を、嫌な顔一つせずに蹴って当たり前のように付いてきてくれた。
そうやって、いつまでも静花の優しさと謙虚さに胡座をかいて、大きな顔をしてきた。
ずっと静花を苦しめていることに気づかずに。
だから、バチが当たったんだ。
久々に恋を自覚した途端、失恋が確定するなんて。
もうとっくに分かっていたことだ。
私みたいな女は、誰にも選ばれない。
これまでも、これからも、誰かの特別になんてなれっこない。
でも、真緒の好きな人が静花だなんて。
神様もえげつない罰を与えるものだ。
静花のことだけは、嫌いになりたくない。
もう恋は諦めたのだから、私から親友まで奪わないで欲しい。
そう言えば、あの夜から誰ともシていない。
静花があんまり幸せそうだから、寂しくてこんなこと考えてしまうんだ。
寂しければ、これまでのように、適当な相手と寝て紛らわせばいいだけのこと。
スマホの画面をスワイプさせて、今日の今日でも付き合ってくれそうな男に片っ端から連絡をとった。
…静花、変に思ったかな。
でもね。
私が真緒に惹かれたところで無駄なんだよ。
真緒が好きなのは、静花なんだから。
あの夜にも嫌というほど思い知らされている。
私じゃ逆立ちしたって静花に敵わなかった。
当たり前だ。
一度も言ったことはないけれど、最初に会ったときから、私は静花に完敗だった。
私たちの出会いは、高二の秋に静花が転校してきたときのこと。
地味でダサくて暗くて、とてもクラスに打ち解けられるような子ではなかったから、私から話しかけて友達になってあげた。
表向きはそういうことになっている。
けれど─
本当は、当時、派手な外見と、勝ち気でワガママな性格のせいで、男子からは敬遠され、女子からは嫌われていて、クラスで浮いていたのは私の方だった。
静花が何も知らないのをいいことに、上から目線で「友達になってあげる」と言った私に、静花は目を輝かせて何度も頷き、「ありがとう」と言った。
静花の隣は怖いくらい心地よくて、すぐに一緒にいるのが当たり前になった。
そしてある日、軽いお節介心から静花の外見を変えてあげたら、自分でもびっくりする程の仕上がりになった。
自分に外見プロデュースの才能があると見出せたのも、静花のお陰だったりする。
静花に勧められて、渋々他の人にも試したら、ぼっちだったのが嘘みたいに高校を卒業するまでの間に、男女、学年を問わず友達も増えた。
Love Birdsを立ち上げる時も、静花は苦労して掴んだはずの内定を、嫌な顔一つせずに蹴って当たり前のように付いてきてくれた。
そうやって、いつまでも静花の優しさと謙虚さに胡座をかいて、大きな顔をしてきた。
ずっと静花を苦しめていることに気づかずに。
だから、バチが当たったんだ。
久々に恋を自覚した途端、失恋が確定するなんて。
もうとっくに分かっていたことだ。
私みたいな女は、誰にも選ばれない。
これまでも、これからも、誰かの特別になんてなれっこない。
でも、真緒の好きな人が静花だなんて。
神様もえげつない罰を与えるものだ。
静花のことだけは、嫌いになりたくない。
もう恋は諦めたのだから、私から親友まで奪わないで欲しい。
そう言えば、あの夜から誰ともシていない。
静花があんまり幸せそうだから、寂しくてこんなこと考えてしまうんだ。
寂しければ、これまでのように、適当な相手と寝て紛らわせばいいだけのこと。
スマホの画面をスワイプさせて、今日の今日でも付き合ってくれそうな男に片っ端から連絡をとった。
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