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波乱の同居生活3
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「あーっ!!」
『早めにお願い』と頼まれていたのと、広くて綺麗なバスルームに浮かれていたせいで、着替えを持っていないことに気づいて叫んだのは、頭からシャワーのお湯を浴びた後だった。
とりあえず、大急ぎで全身を洗う。
おそらく私のために準備してくれたと思われる、サロン専用の高そうなシャンプーや、コスメ売り場で眺めるしかできなかったブランドのメイク落としの使い心地なんて、全く確かめる余裕なんてない程の猛スピードで。
身体を拭き終えたら、ここから大きな声で羽立くんに頼んで、何か持ってきてもらおう。
そう考えながら、脱衣所で頭を拭いているときだった。
「奏音さん、着替えー」
羽立くんが言いながら、ドアを開けた。
「ぅ、わああーーっ!!」
色気のない悲鳴を上げ、即座にバスタオルで身体を隠す私とは対象的に、羽立くんは全く動じずに手に持っていたものを差し出してきた。
「すみません。入った直後だったから、まだ出てこないだろうと思って。奏音さん、着替え持って来てないでしょう?ー
あまりの冷静さに、自分の反応がおかしいのではないかと思えてくる。
いや、普通。
私の反応は、至って普通!!
至極真っ当!!!
これは単に羽立くんが、私の体に興味がないから。
…分かってるけど、早く出て行け!!
「は、羽立くんが『早めに』って言ったから、秒で済ませたんです!!」
「秒って…いくらなんでも早すぎ…」
羞恥に耐えきれず俯いた途端、赤い雫が床にポタリと落ちるのが見えた。
先週終わったばかりなのに…あまりのショックに、アレが始まった!?
本当だったら、恥ずかしいを通り越して軽く死ねる!!
いやいやいや!
落ち着け私!!
ピカピカの白い床に落ちている血液らしきものは、私のじゃなくて、羽立くんの足元にー
…羽立くんの!!?
バッと顔を上げると、その整った顔には凡そ似つかわしくない、鼻孔から伸びる一筋の紅い線。
「羽立くん!はなっ、鼻血!!」
咄嗟に、タオルで羽立くんの顔を押さえた。
羽立くんの美しい顔に鼻血なんてあっちゃいけない。
テレビだったら放送事故間違いなし。
「大丈夫?どこかで鼻ぶつけたりした??」
いっそ私のアレの血の方がまだマシだったかもしれない。
羽立くんの鼻の付け根を必死で抑えていたらー
「奏音さんって…やっぱり女ですよね」
相も変わらず冷静な口調で、羽立くんが呟いた。
この状況で何ワケ分からないこと言ってるのよ!? と、思ったところで私もちょっと冷静に自分を顧みる。
あれ?
私、羽立くんの顔を押さえているこのタオル、どこから取ったっけ…?
「ぅわーーっ!!」
本日二度目の絶叫。
それでもー
自分の裸を隠していたタオルがなくなっていることに気づいても、羽立くんの顔からタオルを離すなんてできない。
尊さのレベルが違う。
理屈じゃない。
私(の裸)<<<<<<<<羽立くん(の顔)
でも、恥ずかしい。
穴があったら、落とし穴でもいいから入りたい。
空いている方の手で胸を隠し、身を縮めるようにしながら羽立くんの止血を続けていると、不意に羽立くんの腕が伸びてきた。
『早めにお願い』と頼まれていたのと、広くて綺麗なバスルームに浮かれていたせいで、着替えを持っていないことに気づいて叫んだのは、頭からシャワーのお湯を浴びた後だった。
とりあえず、大急ぎで全身を洗う。
おそらく私のために準備してくれたと思われる、サロン専用の高そうなシャンプーや、コスメ売り場で眺めるしかできなかったブランドのメイク落としの使い心地なんて、全く確かめる余裕なんてない程の猛スピードで。
身体を拭き終えたら、ここから大きな声で羽立くんに頼んで、何か持ってきてもらおう。
そう考えながら、脱衣所で頭を拭いているときだった。
「奏音さん、着替えー」
羽立くんが言いながら、ドアを開けた。
「ぅ、わああーーっ!!」
色気のない悲鳴を上げ、即座にバスタオルで身体を隠す私とは対象的に、羽立くんは全く動じずに手に持っていたものを差し出してきた。
「すみません。入った直後だったから、まだ出てこないだろうと思って。奏音さん、着替え持って来てないでしょう?ー
あまりの冷静さに、自分の反応がおかしいのではないかと思えてくる。
いや、普通。
私の反応は、至って普通!!
至極真っ当!!!
これは単に羽立くんが、私の体に興味がないから。
…分かってるけど、早く出て行け!!
「は、羽立くんが『早めに』って言ったから、秒で済ませたんです!!」
「秒って…いくらなんでも早すぎ…」
羞恥に耐えきれず俯いた途端、赤い雫が床にポタリと落ちるのが見えた。
先週終わったばかりなのに…あまりのショックに、アレが始まった!?
本当だったら、恥ずかしいを通り越して軽く死ねる!!
いやいやいや!
落ち着け私!!
ピカピカの白い床に落ちている血液らしきものは、私のじゃなくて、羽立くんの足元にー
…羽立くんの!!?
バッと顔を上げると、その整った顔には凡そ似つかわしくない、鼻孔から伸びる一筋の紅い線。
「羽立くん!はなっ、鼻血!!」
咄嗟に、タオルで羽立くんの顔を押さえた。
羽立くんの美しい顔に鼻血なんてあっちゃいけない。
テレビだったら放送事故間違いなし。
「大丈夫?どこかで鼻ぶつけたりした??」
いっそ私のアレの血の方がまだマシだったかもしれない。
羽立くんの鼻の付け根を必死で抑えていたらー
「奏音さんって…やっぱり女ですよね」
相も変わらず冷静な口調で、羽立くんが呟いた。
この状況で何ワケ分からないこと言ってるのよ!? と、思ったところで私もちょっと冷静に自分を顧みる。
あれ?
私、羽立くんの顔を押さえているこのタオル、どこから取ったっけ…?
「ぅわーーっ!!」
本日二度目の絶叫。
それでもー
自分の裸を隠していたタオルがなくなっていることに気づいても、羽立くんの顔からタオルを離すなんてできない。
尊さのレベルが違う。
理屈じゃない。
私(の裸)<<<<<<<<羽立くん(の顔)
でも、恥ずかしい。
穴があったら、落とし穴でもいいから入りたい。
空いている方の手で胸を隠し、身を縮めるようにしながら羽立くんの止血を続けていると、不意に羽立くんの腕が伸びてきた。
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