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2話 みんなの前でボタンが弾けちゃったよ
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私がいた噴水から歩いてすぐのところに冒険者ギルドはあった。
建物の中には強面の鎧を来た男性が何人もいて、入るのが怖かった。
慣れた様子で扉を潜るルナの後をこわごわとついて行く。
ギルドには男性の人数の方が多いが、女性も3分の1ほどいる。
男性は重そうな鎧やローブに身を包んで露出がないのに対し、ほとんどの女性は布の面積よりも肌色の面積の方が多い。
女性が露出の多い服を着るのはこの世界か国の文化なのだろうか。
「リヒトてめぇ! 俺の女を取りやがって!」
部屋の中央から男の怒鳴り声が聞こえた。
見ると、身長2mは越えるだろう大男が怒鳴っている。
オールバックの赤い髪、右目に縦に1本傷があり、いかにも堅気じゃなさそうな恐ろしい顔をしている。
それに対し、怒鳴られている男は髪色は私と同じ黒。
前髪が少し長めなので、顔が良く見えない。
多分身長180センチくらいはあるんだろうけど、細身であるためか大男に比べたら小さく見える。
体格差は歴然。
だけど彼は大男に対して全く恐怖を感じていない風でとても冷静だ。
「僕は何もしていない。彼女が勝手に言い寄って来ただけだ。ただ単に魅力がないからフラれたんだろ」
その言葉に大男は顔を真っ赤にして、額に筋を立てる。
「てんめぇ! 今日こそはその綺麗な顔面をぐちゃぐちゃにしてやる!!」
「やれるものならやってみろ。お前程度、僕にかすり傷1つつけられないだろうがな」
その言葉で大男の怒りが沸点に達したのか、雄叫びを上げてその場にある机を青年に投げつける。
だが彼は大したことないように少ない動きでひらりと余裕でかわす。
「あーあ、またやってるよ」
呆れたようにルナが言う。
「またって、いつもギルドではこんな恐ろしいことが起こっているの?」
「そうなんだよね。ほんと男って喧嘩っ早くてやになっちゃう。それにリヒトもリヒトよ。あんなこと言ったらグラドが怒るのも無理ないんだから」
ルナは肩を竦め、嫌なものを見たように眉間に皺を寄せた。
「リヒトさんとグラドさんって、あの喧嘩している2人のこと?」
「そう。リヒトはね、ユナと同じニホンから来たんだよ」
「10年間帰る方法を探したけど見つからなかったって言ってた人?」
「そうそう。で、グラドがあの脳筋の大男。すぐ頭に血が上って喧嘩するようなバカなんだよね。危ないからユナは絶対近づかない方がいいよ」
「そうだね……」
見た目からして怖いので、元々近づくつもりは全くない。
しかも関わっただけで殺されそうだから恐ろしい。
「あの2人はほっといて行こう。しばらくすればリヒトがグラドを気絶させて終わるんだから」
見慣れているのか、大して気にした風もなくルナは先へ進む。
ルナって同じくらいの歳かと思ったけど、本当はすごく修羅場慣れしているんじゃないだろうか。
それともこの世界ではそれが当たり前なのだろうか。
「危ない!」
そんなことを思っていると、悲鳴のような声が聞こえた。
振り向くとすぐ目の前に机が迫っていたので思わず目を閉じる。
身体に衝撃を感じて身体が吹き飛ばされる。
誰かの悲鳴が聞こえた。
机が私にぶつかったのかと思ったけど、どこも痛くない。
「大丈夫か?」
聞かれたので目を開けると、目の前に綺麗な顔の青年がいた。
黒い前髪の間から覗く、二重に縁どられた綺麗な黒い瞳。
夜闇のようで、見つめていると吸い込まれそうな気がした。
彼が飛んできた机から守ってくれたのだろうか。
「はい、大丈夫です」
すいませんと続けようとして、胸に違和感を覚えた。
胸元を見ると、私に覆いかぶさるような態勢の青年の手が、私の胸を掴んでいた。
「あ、あの……」
「ん?」
視線を追って彼も私の胸元を見る。
そこでやっと気づいたのか、彼は顔を真っ赤にした。
「す、すまない! 決してわざとじゃ!」
慌てて手を引っ込めようとするが、手が制服のシャツの間に入り込んでいて上手く抜けない。
テンパっているのかシャツから手を外そうとすればするほど胸を揉むような感じになる。
胸が大きいせいもあるんだろうけど、彼が手を動かすとそれにあわせて胸が揺れる。
そしてブチっと小さくボタンの糸が切れる音が断続的に聞こえる。
「や、やめてください……。このままじゃボタンが……」
私の必死の訴えも虚しく、糸の耐久力が切れたボタンは盛大に弾き飛ぶ。
彼の手が自由になった代償に私の胸は制服のシャツから出てしまい、当然のことながら元の胸から5倍も大きくなっているのでブラジャーからもすでに出ていた。
結果、シャツから溢れた大きな胸は、乳輪も含めて大衆の目に触れることになる。
こちらに気づいていないことを願ったけど、あんな騒ぎの中で誰も見ていないというのは不可能だ。
当たり前だけど男性も含めて全員が私を注視していた。
とくに胸を。
私はとっさに胸を隠した。
こういうとき、気が強い女性だったら悲鳴をあげて怒ったりするのだろうか。
だけど私は声を出すことができず、恥ずかしいやら情けないやらで涙がぽろぽろと溢れて来た。
「本当にすまない。手が上手くとれなくて、それで……」
青年は申し訳なさそうにオロオロとしている。
これは不運な事故だ。
だから彼は悪くないとわかっている。
状況を悪くしないためにすぐに泣き止んで気にしないでと言いたいんだけど、上手く感情をコントロールできない。
ふいにルナが青年に近づき、彼の頬に平手打ちをした。
静まり返った室内に乾いた音が響く。
「あんた性格悪いとは思ってたけど、ここまで最低だとは思わなかった!」
ルナが鋭い目つきで彼を睨み、自分のローブを私にかけてくれる。
「ユナ、大丈夫よ。ちょっと奥で休もう」
私は返事をすることができず、代わりに1つ頷く。
立ち上がってルナに背中を押されるまま部屋の奥に進んだ。
私のためにルナは彼にビンタをしてくれたんだろうけど、彼には悪気はなかったはず。
助けてくれたのに私が泣いたせいでとばっちりを受けた彼に罪悪感が湧いた。
建物の中には強面の鎧を来た男性が何人もいて、入るのが怖かった。
慣れた様子で扉を潜るルナの後をこわごわとついて行く。
ギルドには男性の人数の方が多いが、女性も3分の1ほどいる。
男性は重そうな鎧やローブに身を包んで露出がないのに対し、ほとんどの女性は布の面積よりも肌色の面積の方が多い。
女性が露出の多い服を着るのはこの世界か国の文化なのだろうか。
「リヒトてめぇ! 俺の女を取りやがって!」
部屋の中央から男の怒鳴り声が聞こえた。
見ると、身長2mは越えるだろう大男が怒鳴っている。
オールバックの赤い髪、右目に縦に1本傷があり、いかにも堅気じゃなさそうな恐ろしい顔をしている。
それに対し、怒鳴られている男は髪色は私と同じ黒。
前髪が少し長めなので、顔が良く見えない。
多分身長180センチくらいはあるんだろうけど、細身であるためか大男に比べたら小さく見える。
体格差は歴然。
だけど彼は大男に対して全く恐怖を感じていない風でとても冷静だ。
「僕は何もしていない。彼女が勝手に言い寄って来ただけだ。ただ単に魅力がないからフラれたんだろ」
その言葉に大男は顔を真っ赤にして、額に筋を立てる。
「てんめぇ! 今日こそはその綺麗な顔面をぐちゃぐちゃにしてやる!!」
「やれるものならやってみろ。お前程度、僕にかすり傷1つつけられないだろうがな」
その言葉で大男の怒りが沸点に達したのか、雄叫びを上げてその場にある机を青年に投げつける。
だが彼は大したことないように少ない動きでひらりと余裕でかわす。
「あーあ、またやってるよ」
呆れたようにルナが言う。
「またって、いつもギルドではこんな恐ろしいことが起こっているの?」
「そうなんだよね。ほんと男って喧嘩っ早くてやになっちゃう。それにリヒトもリヒトよ。あんなこと言ったらグラドが怒るのも無理ないんだから」
ルナは肩を竦め、嫌なものを見たように眉間に皺を寄せた。
「リヒトさんとグラドさんって、あの喧嘩している2人のこと?」
「そう。リヒトはね、ユナと同じニホンから来たんだよ」
「10年間帰る方法を探したけど見つからなかったって言ってた人?」
「そうそう。で、グラドがあの脳筋の大男。すぐ頭に血が上って喧嘩するようなバカなんだよね。危ないからユナは絶対近づかない方がいいよ」
「そうだね……」
見た目からして怖いので、元々近づくつもりは全くない。
しかも関わっただけで殺されそうだから恐ろしい。
「あの2人はほっといて行こう。しばらくすればリヒトがグラドを気絶させて終わるんだから」
見慣れているのか、大して気にした風もなくルナは先へ進む。
ルナって同じくらいの歳かと思ったけど、本当はすごく修羅場慣れしているんじゃないだろうか。
それともこの世界ではそれが当たり前なのだろうか。
「危ない!」
そんなことを思っていると、悲鳴のような声が聞こえた。
振り向くとすぐ目の前に机が迫っていたので思わず目を閉じる。
身体に衝撃を感じて身体が吹き飛ばされる。
誰かの悲鳴が聞こえた。
机が私にぶつかったのかと思ったけど、どこも痛くない。
「大丈夫か?」
聞かれたので目を開けると、目の前に綺麗な顔の青年がいた。
黒い前髪の間から覗く、二重に縁どられた綺麗な黒い瞳。
夜闇のようで、見つめていると吸い込まれそうな気がした。
彼が飛んできた机から守ってくれたのだろうか。
「はい、大丈夫です」
すいませんと続けようとして、胸に違和感を覚えた。
胸元を見ると、私に覆いかぶさるような態勢の青年の手が、私の胸を掴んでいた。
「あ、あの……」
「ん?」
視線を追って彼も私の胸元を見る。
そこでやっと気づいたのか、彼は顔を真っ赤にした。
「す、すまない! 決してわざとじゃ!」
慌てて手を引っ込めようとするが、手が制服のシャツの間に入り込んでいて上手く抜けない。
テンパっているのかシャツから手を外そうとすればするほど胸を揉むような感じになる。
胸が大きいせいもあるんだろうけど、彼が手を動かすとそれにあわせて胸が揺れる。
そしてブチっと小さくボタンの糸が切れる音が断続的に聞こえる。
「や、やめてください……。このままじゃボタンが……」
私の必死の訴えも虚しく、糸の耐久力が切れたボタンは盛大に弾き飛ぶ。
彼の手が自由になった代償に私の胸は制服のシャツから出てしまい、当然のことながら元の胸から5倍も大きくなっているのでブラジャーからもすでに出ていた。
結果、シャツから溢れた大きな胸は、乳輪も含めて大衆の目に触れることになる。
こちらに気づいていないことを願ったけど、あんな騒ぎの中で誰も見ていないというのは不可能だ。
当たり前だけど男性も含めて全員が私を注視していた。
とくに胸を。
私はとっさに胸を隠した。
こういうとき、気が強い女性だったら悲鳴をあげて怒ったりするのだろうか。
だけど私は声を出すことができず、恥ずかしいやら情けないやらで涙がぽろぽろと溢れて来た。
「本当にすまない。手が上手くとれなくて、それで……」
青年は申し訳なさそうにオロオロとしている。
これは不運な事故だ。
だから彼は悪くないとわかっている。
状況を悪くしないためにすぐに泣き止んで気にしないでと言いたいんだけど、上手く感情をコントロールできない。
ふいにルナが青年に近づき、彼の頬に平手打ちをした。
静まり返った室内に乾いた音が響く。
「あんた性格悪いとは思ってたけど、ここまで最低だとは思わなかった!」
ルナが鋭い目つきで彼を睨み、自分のローブを私にかけてくれる。
「ユナ、大丈夫よ。ちょっと奥で休もう」
私は返事をすることができず、代わりに1つ頷く。
立ち上がってルナに背中を押されるまま部屋の奥に進んだ。
私のためにルナは彼にビンタをしてくれたんだろうけど、彼には悪気はなかったはず。
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