惑星だった僕が異世界転生して人として生きるときに語ること

来麦さよのすけ

文字の大きさ
27 / 52
2

第27話 寝室(4)

しおりを挟む
「おおーっ、こんなところに! なんとイケナイが! ムクムクと育ってしまっているではないですか!」
 エミーさんのうれしそうな声。

「魔緑樹が……育つ?」
 リーシアさんの問いに、

「ほらほらリーシア様。そちらからも手をのばして?」

「ん? うん、そっちの方に、ですか……? ……………………ぁ」
 僕は! 僕自身を! 左右両側から! しっかり握られてしまった!

「アスト殿、これはどうして!? こんなに熱くっ。しかも固い!? これでは昨晩の状態と同じに……。はっ!? もしやまたも具合が悪くなったのではありませんか!? まさか悪化して、ふたたび生命の危機に!?」
 リーシアさんの困惑と勘違いが極限に達してしまった……!

「う~ん。こんなに悪化してしまっては、早急な対処が必要になりそうですねぇ」
 とエミーさんの楽しそうな声。

「何か! 方法が! あるの!? ですか!?」
「そのセリフ、昨晩も聞いた気がするんですがねぇ……」

「何を言って……。ほら、アスト殿がこんなに苦しそうな顔をして、息も荒くて、浅くて、速くて……。一刻も早く!」
「あ~……。そりゃあ、まあ……そうでしょうとも、うん。ほらほら、それそれぇ~? もっとモンモン、悶絶しちゃってもいいんですよ~?」

 エミーさんの手のスピードが加速していく。

 う……っ、うわあぁぁぁぁっ、こ、腰が勝手に動く……ッ!

「はっ!? アスト殿がまるで悪霊にとりつかれたかのようにのたうちまわって!? これはもうしかたありません! 〈除霊〉を加味した高レベル治癒術を……!」

「あ~、そういうのいいですから。必要ないですから。はい、じゃあこれから、このビクンビクンしてる魔緑樹をおっ立てますよ。は~い起立……じゃなかった、屹立で~す」

 エミーさんに根本を握られ、僕の僕自身がしっかり立てられてしまった!

 三人でもぞもぞしている間に、いつのまにか掛け布団がめくれてしまっていた。
 ちらっと視線を動かすだけで、僕の左右両側には一糸まとわぬ美少女が二人ぴったりくっついて、僕の体の急所はがっちり握られていて……。
 二人の熱い体温が、くっついた肌を通して、握られた手のひらを通して、どんどんこちらに伝わってくる。

「う~ん。もうこれは魔緑樹というよりは、と呼称したほうが適切かもしれませんね」
 エミーさんが「うまいこと言ってやった!」みたいなニュアンスで言ってるけど、僕にはもう何がなんだかよくわかってない……!

 一応惑星時代にン十億年を生き、生命が生まれ、人に進化してから、ずっと人々の営みを見てきた僕は、知識だけは豊富にもっている。だから今何をされているのかはわかる。

 けれど体験するのははじめてだし——昨晩も似たようなことがあったっぽいけど、そのときは意識がなかったし——自分の体の奥から、マグマのようなものが、ドクンドクンと脈打ち、それがどんどんせり上がってくる状況にとまどっていたし、混乱もしていた。

 人間の体って思うようにならないものだ。傷つけられれば痛いし、怪我がひどいと全然動けない。苦しいときもあるし、切ない感じになるときもある。今は……苦しい? 
 うーん……違うな。もっと甘いような、気持ちいいような、我慢したいような苦しさ? 
 そういうよくわからない、はじめての感じが体中に巻き起こって、荒れ狂っている。
 そしてもうすぐ何かが、大きな何かが起ころうとしていた。

「はい、それじゃ、リーシア様、最後の仕上げをお願いしますね?」
「し、仕上げとは!?」

「いえ、私も実際フィニッシュってどういうのがいいのかちゃんと知らないんですけどね?」
「ど、どどど、どうすればっ」

「たぶんとりあえずその魔緑樹の幹をしっかり握って」
「こ、こうですか?(おそるおそる)」

「アストさん、握られて痛く……ないですか?」
「え、痛い?」
 とリーシアさんが手を放しかけたけど、

「い、痛くはないです……」
 という僕の答えに、またしっかりと握りしめてきちゃった……。う、うわぁぁ……。

 痛くはない——痛くはないんだけど、腰の奥が、もうどうにもたまらないほどに、たまらなく……、た、たまらない……くぅぅっ。

「よかった……。じゃあリーシア様、そのまま上下にやっちゃってください!」
「上下に!? 何を!?」

「シコシコです!」
「し、しこしこ!?」

「そう! 歯ごたえのあるアルデンテな麺類のように! シコシコと!」

 う、ぅっ!? うわあぁぁぁぁぁァァァァッ!?
 そして僕の魔緑樹の先っぽから、うどん鉄砲のような噴出がいきおいよく起こって——

「——ひゃ!? きゃあぁぁぁぁぁっ、また白くて濁ってネバネバしたのが! またこんなにたくさん! しかもこんなところまで! 飛んでくるなんて!」

 リーシアさんの悲鳴があがっているけど、こっちはもう目の前が真っ白になって、頭の中も真っ白になってて、僕から出ているもので汚してしまっている彼女を気づかう余裕もない。

 けれどもそのあとすぐに、びっくりするくらい満足した気分が体全体に広がっていった。

 ——すごい。
 ものすごい満足感と解放感だ。
 人間の体って、こんなに変化するものなんだ。
 そして急激な眠気が来た。後頭部、枕の下に引きずり落とされるように、僕は眠りに落ちていく。

「ごめんなさいね、アスト……さん……」

 寝落ち寸前の僕の耳元で、エミーさんの声が聞こえていた……ような気がする。彼女の熱っぽい吐息がささやいていた……ような気がする。

「ちょっとだけ、……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...