惑星だった僕が異世界転生して人として生きるときに語ること

来麦さよのすけ

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第47話 爪痕

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 翌日。

「うぉーい、そこもってこーい」
「ほいさ」
「ありゃ、トンカチ壊れた……そっちに同じのあるかい?」
「あるよ。ほいよっ」
「さんきゅ」

 トンテンカン、トントンコンコン。
 村のあちこちで物音がしていた。
 崩れたり、壊れたり、穴があいたり、被害にあった家の屋根や壁を修理している。陥没した道を埋め、そのあたりに散乱した戸板、おけたる、洗濯カゴとか物干し棒とか、散らばった生活用品を集めたり整理したりで、みんな忙しい。

 そう、。忙しそうに動き回り、立ち居振る舞っている。
 まるで立ち止まってしまうと、何かを思い出しそうになって、つらくなるみたいに。思い出すのを恐れるかのように、みんな忙しく体を動かしていた。

(何か手伝いたい……)
 と僕も思ったんだけど、この足じゃなあ……。動かない足をさする。ずいぶんともどかしい。
 町並みが少しずつ修復されていく。また生活ができるような状態に回復していく。まったく元通りにはならないけれど。その様子を僕はベンチに腰掛けて、ぼんやり眺めていた。


   ◇


 昨日の情景を思い出す。

 エミーさんがあの刃物男を倒してまもなく、門の方向からリーシアさんがあわてた様子でやってくるのが見えた。
 外で対峙したパーティを退けて門まで戻り、村の奥へと入っていくと、あきらかに伏兵がいた痕跡をみとめ、血の気が引いたらしい。

 そして現場に到着してみると、敵はすでに倒され、エミーさんは負傷した村の人たちの治療にあたっている。
 それを見てきょとんとなるリーシアさん。エミーさんの実力をよく知っている彼女からすると、エミーさん単独で撃退できたことがまず奇跡で、あまりにもできすぎな結果にやや違和感を感じたっぽい。

 けれどひとまずそれはおいといて、リーシアさんも治療の手伝いに取りかかったら、エミーさんの治癒能力が上がっていることに気づいて二度びっくり。こういうことは、やっぱりすぐわかるらしい。

 アシュリンちゃんについては、急激な魔力上昇と魔力消費の結果、重篤な魔素中毒の症状が出ていたのをエミーさんが応急的に処置。様子を見にきたリーシアさんがこっそり多重治癒魔法をかけると、急性期的な症状はほぼ消え去った。あとは安静にしていれば自然に体力回復するだろうということだ。

 結局リーシアさんとエミーさんの二人は、薬師クィン先生と連携しつつ負傷者の救護や治療、それに村長さんたちの現状把握や被害状況の確認の手伝いにも奔走ほんそうし、すごく忙しそうだった。


   ◇


 やがて村の被害の全体像が見えてきた。

 死亡者は門番のラーシュさん、見張り用の物見台にいたというレンツさん、不幸にも敵の攻撃が直撃したアマンダさんという人。計三名。
 怪我人は十数名。極端に衰弱したアシュリンちゃんがいちばん重篤じゅうとくで、ほかの人たちは怪我の程度の違いはあれど、命に別状はない。

 ルバローやつらと呼ばれていた襲撃者たちのことについて村の人たちが話すのを聞いていると、それとなくわかってきたこともあった。

 しばらく前から各地で現れるようになった神出鬼没の襲撃者。彼らは突然あらわれ、収奪を行い、街に壊滅的な被害をもたらす。ただ、街の衛兵や義勇兵らの戦力が整っていれば対抗できるようで、戦況は一進一退。襲撃の傾向としては、比較的大きな街をターゲットにしていること。今回のような小さな村への侵攻は「まず聞いたことがない。今回はどうして……」と嘆きの声も聞こえた。

 また、再襲撃がある場合、なぜか一定のスパンがあること。それから——ルバローたちはとみなされていること。これは明らかに戦闘で死亡したはずなのに、まったくの同一人物が再び目撃されている事例が多々あるためだ。そのためにそうとう気味悪がられている。そしてもう一つ。ルバローに殺害された一般の人は、死体が残らず結晶化すること。

 これらの話を聞いて僕は考える。

 それってゲームじゃないか?
 ルバローたちの行動パターン——神出鬼没であることは、なんらかの転送魔法を使っていると考えれば説明がつく。襲撃に決まったパターンがあること、相手を倒すとまるでアイテムドロップのような現象が起こること、死亡した場合はなんらかの蘇生措置があること、これらもいかにもゲーム的だ。

 僕がいるこの世界は、ゲームの世界なのだろうか?
 いや……でも……と思う。女神さまたちが僕を送りだしてくれたのは、現実世界だったはず……。
 そんなことをつらつらと考えたりした。
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