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第一章
続かない会話
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また一月後、王子より指定された日付にお城へやってくる。
私は笑みを浮かべながらも内心とても疲れていた。
彼に会うために、今日しなければいけない書類整理を昨日片づけ、朝早くから起こされ念入りに湯あみ。
その後は両親に王子についての質問攻めからの朝食、その後ドレスへと着替えさせられる。
マーティン王子に会うためだけに、そんな手間も時間も労力もかかる作業をしているのだ。
正直なところ、なぜこうも何度も会わなければいけないのかしら。
誰が見てもお互い政略結婚だとわかっているのだから、必要ないと思うのだけれど……。
今日も目をあわせない彼の前へ腰かけると、私は笑みを張り付ける。
空は雲一つない晴天だが、私たちの周りには重い空気が漂い始めた。
心地よいそよ風が草木を揺らしていく中、あまりの静けさに虫の声が耳にとどく。
はぁ……これは一体なんなの、何の拷問なの?
こちらを見ようともしない、話す気もない、そんな相手と会う必要性があるの?
こんな苦痛を味わってまで続けなければいけない意味はなんなの?
様々な疑問が脳裏を過る中、不機嫌そうな王子の顔を伺いながら、只時間だけが過ぎていく。
居た堪れない、そう心で呟くと、私はどうするべきかと頭を悩ませた。
このまま黙っていれば、また会話もなく終わってしまう気がするわ。
さすがにそれは……はぁ……。
こちらに顔を向けない王子は、話してくれる気配すらない。
とりあえず逢瀬に来たのだから、前回のように終わらせるわけにもいかない。
ならやはり私が何か話さないと……なにか……どうしましょう。
天気の話はダメだったわ、花もよくわからない結果になってしまったし……。
そうだわ、趣味、あらでも王子の趣味がわからないわね……。
「えーと、そうですわ。あのマーティン様、私天文学に興味がありまして、星はお好きでしょうか?」
そう問いかけてみると、彼はハッと顔を上げ、口を開けたままに固まった。
今日初めて琥珀色の瞳に私の姿が映し出される。
何かを話そうとしているのだろうか、ボソボソと微かに声が耳にとどいた。
聞きとろうと顔を近づけてみると、彼は飛び退き、椅子から立ち上がる。
ガチャンッと椅子が倒れ、私は慌てて身を引くと、窺うように視線を上げた。
すると王子はなぜか臨戦態勢をとるかのように、腕を上げファイティングポーズを見せる。
「あっ、いや……天文学か。別に好きじゃない。……体を動かしている方が楽しいからな」
「そ……そうですか……。体を動かすというと、武術や剣術をされるのでしょうか?」
何とか話を続けようと、問いかけてみると、彼は一瞬頬を赤くしたかと思うと、プイッと顔を背けながら頷いた。
うーん、この態度……難しいわね……。
それに剣術、武術についてはさっぱりわからず、これ以上話を広げられない。
ニコニコと笑みを張り続けるが、内心気持ちはドンドン下がっていく。
わかっていたけれど、本当に会話を続ける気がないのよね。
一体どうすればいいのかしら……あぁ、面倒だわ。
そうして誰の得にもならない逢瀬が終わると、深く息を吐き出しながら屋敷へと帰って行った。
心配を掛けぬよう笑みを整え中へ入ると、ケルヴィンが待っている。
両親、そして妹はどうやら出かけているらしい。
そのことにほっと胸を撫で下ろす。
妹はともかく、両親が居ればどうだったのかまた色々と聞いてくるわ…。
収穫何て何もない、無意味な逢瀬。
話すことなんて、本当に何もないのよね。
私はそのままニッコリと笑みを張り付けると、二人が戻る前にそそくさと部屋へと戻って行った。
私は笑みを浮かべながらも内心とても疲れていた。
彼に会うために、今日しなければいけない書類整理を昨日片づけ、朝早くから起こされ念入りに湯あみ。
その後は両親に王子についての質問攻めからの朝食、その後ドレスへと着替えさせられる。
マーティン王子に会うためだけに、そんな手間も時間も労力もかかる作業をしているのだ。
正直なところ、なぜこうも何度も会わなければいけないのかしら。
誰が見てもお互い政略結婚だとわかっているのだから、必要ないと思うのだけれど……。
今日も目をあわせない彼の前へ腰かけると、私は笑みを張り付ける。
空は雲一つない晴天だが、私たちの周りには重い空気が漂い始めた。
心地よいそよ風が草木を揺らしていく中、あまりの静けさに虫の声が耳にとどく。
はぁ……これは一体なんなの、何の拷問なの?
こちらを見ようともしない、話す気もない、そんな相手と会う必要性があるの?
こんな苦痛を味わってまで続けなければいけない意味はなんなの?
様々な疑問が脳裏を過る中、不機嫌そうな王子の顔を伺いながら、只時間だけが過ぎていく。
居た堪れない、そう心で呟くと、私はどうするべきかと頭を悩ませた。
このまま黙っていれば、また会話もなく終わってしまう気がするわ。
さすがにそれは……はぁ……。
こちらに顔を向けない王子は、話してくれる気配すらない。
とりあえず逢瀬に来たのだから、前回のように終わらせるわけにもいかない。
ならやはり私が何か話さないと……なにか……どうしましょう。
天気の話はダメだったわ、花もよくわからない結果になってしまったし……。
そうだわ、趣味、あらでも王子の趣味がわからないわね……。
「えーと、そうですわ。あのマーティン様、私天文学に興味がありまして、星はお好きでしょうか?」
そう問いかけてみると、彼はハッと顔を上げ、口を開けたままに固まった。
今日初めて琥珀色の瞳に私の姿が映し出される。
何かを話そうとしているのだろうか、ボソボソと微かに声が耳にとどいた。
聞きとろうと顔を近づけてみると、彼は飛び退き、椅子から立ち上がる。
ガチャンッと椅子が倒れ、私は慌てて身を引くと、窺うように視線を上げた。
すると王子はなぜか臨戦態勢をとるかのように、腕を上げファイティングポーズを見せる。
「あっ、いや……天文学か。別に好きじゃない。……体を動かしている方が楽しいからな」
「そ……そうですか……。体を動かすというと、武術や剣術をされるのでしょうか?」
何とか話を続けようと、問いかけてみると、彼は一瞬頬を赤くしたかと思うと、プイッと顔を背けながら頷いた。
うーん、この態度……難しいわね……。
それに剣術、武術についてはさっぱりわからず、これ以上話を広げられない。
ニコニコと笑みを張り続けるが、内心気持ちはドンドン下がっていく。
わかっていたけれど、本当に会話を続ける気がないのよね。
一体どうすればいいのかしら……あぁ、面倒だわ。
そうして誰の得にもならない逢瀬が終わると、深く息を吐き出しながら屋敷へと帰って行った。
心配を掛けぬよう笑みを整え中へ入ると、ケルヴィンが待っている。
両親、そして妹はどうやら出かけているらしい。
そのことにほっと胸を撫で下ろす。
妹はともかく、両親が居ればどうだったのかまた色々と聞いてくるわ…。
収穫何て何もない、無意味な逢瀬。
話すことなんて、本当に何もないのよね。
私はそのままニッコリと笑みを張り付けると、二人が戻る前にそそくさと部屋へと戻って行った。
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