ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))

あみにあ

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第二章

閑話;ケルヴィンの策略3 (ケルヴィン視点)

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この時はまだ彼女に興味があっただけだったんだ。
知りたい、その気持ちだけで僕はここまでやってきた。
その気持ちを素直に彼女へ伝え、彼女が微笑んでくれて、最高に幸せだった。
彼女と視線の先を追い、共に行動し、会話し、そして彼女の事を知れば知るほどにさらに興味がわいた。

彼女は僕と同じ、素の笑顔を誰にも見せていない。
家でも城でもいつも同じ笑顔。
もちろん僕に対してもだ。
作り笑い、だけど僕とは何かが違う、他の令嬢や令息の上辺だけの表情とも違う。
次第に彼女の心の中を見てみたい、そう思い始めると彼女に夢中になっていった。

そのためにはまず、彼女の信頼を得なければならないだろう。
基本彼女は何でも一人で出てきてしまい、頼ることを知らない。
だがそれはとても辛い事だ、僕にも同じ経験がある。
人より出来れば出来るほど、他人に頼ることも弱音を吐くことも出来なくなる。
だからこそ僕は、そんな彼女のサポート役として動くよう心掛けた。

もちろん彼女のことは調べつくしてある。
身長、体重、スリーサイズ、趣味、好きな食べ物、嫌いな食べ物、仕草や癖。
ちょっと調べすぎたかな、でも彼女の事なら何でも知りたいんだ。
どんなことに興味を持ち、どんなことを嫌うのか、性格の分析まで完璧だ。
城で行っている書類整理を全て把握し、彼女が目を通す書類や資料は見やすいように分類。
必要な情報、興味を持ちそうなネタを独自に予測し、調査し全て頭へインプットしておく。

僕が傍に居ない間は、コッソリ彼女の同行を把握する。
城で王子に会うときは、城までついて行ってじっと待っているんだ。
王子とどんな話をしているのか、とても気になるが、さすがに入り込むのは無理だ。
だけど戻ってくる彼女はいつもどこか疲れた表情を見せる。
その姿に楽しんではいないのだろうと思っていた。

疲れている彼女ために研究しつくしたお茶を淹れて、心を落ち着かせる。
優しくて、さりげなく、彼女の疲れを癒していると、愚痴まで零してくれるようになった。
僕の想像通り、王子とはうまくいっていないようだ。
僕も王子とは面識がある、その印象とはかけ離れた王子。
幼さもあるのだろうが、お嬢様が王子を気に入っていない事実に、嬉しいと思う自分がいた。

王妃教育をしている間も、庭へ出てお嬢様が見える位置で掃除をしている。
只遠くから見ているだけでも、幸せな気分になる。
目に入れても痛くないほど可愛いとは、このことなんだろうか。

そうやって彼女と過ごしていくと、次第に彼女の笑みの違いに気が付いた。
本心ではない笑みの中にも、小さな違いがあるんだ。
美味しい物を食べた時の笑み、嬉しいと感じた時の笑み、楽しいと感じた時の笑み。
悲しいと感じた笑み、面倒だと思っている笑み、困っている笑み。
表面上の笑みとは違う、本当に些細な違いだけれども、それに気が付いた時はとって嬉しかった。
もっと見たい、もっと、もっと――――。

だけど彼女は王子の婚約者だ。
いくら彼女が苦手だと思っていても、婚約者である事実は変わらない。
あまり近づきすぎると、王子の反感をかってしまうだろう。
それに彼女の両親も黙ってはいない。
けれど僕とは違う男が、彼女の傍にいるそう考えると、なぜか胸に黒い靄が渦巻くようになった。

嫌だと、傍に居るのは僕だけでいい、そんな強い感情。
だが王子相手に僕はどうする事も出来ない。
僕は彼女の執事で、それ以上でもそれ以下でもない。
恋人、婚約、そんなことが出来る立場ではない。
それをわかった上で、執事に立候補したんだ。

それでも彼女を欲する欲望は抑えきれない。
そんな時にあることを思いついた。
そうだ、……彼女の中で僕を一番すればいいんじゃないか?
僕なしでは生きていけないよう依存させれば、ずっと傍に居られるんじゃないかと。
そうなれば例え王子と結婚しても、一番は僕で居られるだろう。

その日から彼女をよく観察することにした。
求めている物、行動のパターン、思考回路を理解し、先に行動へ移す。
四六時中彼女の姿を追い求める。
彼女の中で僕が一番になるように、けれど悟られず、甘やかし心の隙間に入り込む。
慎重に慎重に……彼女にとって必要不可欠で、完璧な執事になれるように。

計画は順調に進んでいるが、一つだけ問題があった。
それは彼女の妹であるシンシア。
情報によればシンシアは、姉に嫌悪し、嫌がらせをしていると聞いていたが……どうも違うようだ。
実際にシンシアを見てわかったことが、彼女はお嬢様を嫌っていない。
寧ろ好きの裏返し……いや醜い嫉妬、不満そんな感情を姉にぶつけている。
とりあえず僕が彼女の傍に居続けるためには、シンシアをどうにかしなければならないことは間違いない。
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