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第二章
閑話;ケルヴィンの策略4 (ケルヴィン視点)
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僕が執事になってすぐは大変だった。
最初から敵意むき出しに、シンシアは僕を見ていたからね。
そんな小娘が姉に隠れ、僕に嫌がらせをしてくるんだ。
まぁ、幼稚すぎて相手にする気も起きなかったけれど。
お嬢様にもばれないよう気を付けながら、妹をあしらい、自分の目的に専念する。
彼女がお嬢様に欲しいとねだる前に、少しでも僕の必要性を彼女へ示す必要があったから。
今日も王妃教育が始まり、僕は庭へ出ると、窓の向こう側に映るお嬢様の姿を見つめていた。
そんな時、後ろから足音が響くと、煩い声が耳にとどく。
「ちょっとあなた、またこんなところからお姉様を見ているの!やめなさいよ!」
掃除の手を止め声に振り返ると、そこには眉を吊り上げたシンシアの姿。
「あなたにとやかく言われる筋合いはございません」
そうスパッと会話を終わらせると、僕はまたお嬢様へと顔を向ける。
今日もお美しい……見ているだけで幸せになる。
今日は確か語学の授業でしたね、真剣に考える姿も絵になる。
出来れば写し絵に収めてしまいたい……。
「ちょっと、何なのその顔!あなたの視界にお姉様が映ると、穢れてしまうわ!この腹黒執事!お姉様の前と態度が違いすぎる!お母様に言いつけるわよ!」
「どうぞどうぞ、信じて頂けるのでしたら」
シンシアのたわごとを軽くあしらうと、僕は振り向く事もしない。
「あぁもう、なんでこんな執事がこの家に……。お姉様の傍にいるなんて許さないんだから!」
シンシアはそう叫ぶと、僕の肩を掴み無理矢理に引き寄せ視線を合わさせる。
「絶対にお姉様から引き剥がしてやるわ」
「出来るものならどうぞ」
挑発してくるその態度に、僕は小さく笑みを浮かべると、肩に触れる手を軽く振り払った。
あの一件から暫く、シンシアが僕の前にパタリと現れなくなった。
彼女の考えていることはわかる、急がないと……。
そう思い今まで以上にお嬢様を甘やかし、優しくしていくと、時折ではあるが、僕の前で自然な笑みを見せ、愚痴まで零すようになった。
最初に比べれば大分進歩した。
ここまでくれば、少し安心できる。
次に僕がしなければいけないのは、シンシアの弱みを握る事だ。
お嬢様の性格を考えれば、いくら僕を必要だと思っていても、面倒事を嫌う彼女の性格を考えれば、手放そうとするかもしれないからね。
何かないかと探していたあの日、僕はいい弱みを握ったんだ。
その日お嬢様は王子に会いに城へ行っていた。
静かな屋敷の中で、突然大きな音が響く。
ガチャンッ
そっと窓の外へ目を向けると、庭に沿った廊下に散らばった陶器の破片。
どうやら飾っていた花瓶が割れた音だったようだ。
あそこにあった花瓶はこの家の家宝。
先祖代々受け継がれてきた大切な物だと、最初に聞いた覚えがある。
大変だと、その場に向かおうとした刹那、青ざめた表情のシンシアが目に映った。
その傍にはお嬢様から奪った木刀が転がっている。
シンシアはその木刀を拾い上げ、庭の奥へ投げ込むと、パチパチと頬を叩き平然を装った。
大きな音に慌てて現れるメイド、執事、そして彼女の両親。
するとシンシアは慌てた様子で庭を指さすと、猫が花瓶を落とし、逃げていったとそう言い放った。
先ほど投げられた木刀がカサカサと音を立て落ちていく。
その音に猫だと思ったのか、執事やメイド達は慌てた様子で庭の奥へと入って行った。
そんな行動を一部始終確認した。
その場で取り繕った嘘だが、まぁあの優しい両親はシンシアを疑わないだろう。
家宝は元に戻らず、猫のせいとなり、庭には猫防止の高い高い壁が設置された。
いいネタを拾った、そう思った数週間後、シンシアは僕を欲しいとねだりにきた。
大切にされている僕への嫉妬心が丸見えだ。
けれどお嬢様はその感情に気が付いていない。
言葉を詰まらせるお嬢様の姿に、僕は慌てて割り込むと、シンシアへ近づき家宝の件を耳打ちした。
すると慌てた様子で逃げて行ったんだ。
いや、あれは面白かった。
だけどまたいつ邪魔しにくるかわからない。
そのためにこういったネタ増やしておく必要がある。
それから情報を集め、煩わしいシンシアを牽制しながら、僕は毎日お嬢様の傍に居た。
彼女の両親からの信頼も完璧。
彼女が王妃教育をしている最中、彼女の父や母の仕事のサポートもしているからね。
シンシアが僕に対して何か告げ口したとしても、根回しは十分。
これならシンシアが強引にお嬢様の執事を外したとしても、僕がお嬢様の傍に居たいと伝えれば聞いてもらえるだろう。
後はもっともっと、僕なしではいられないぐらいに彼女を依存させたい。
そんな思いが胸の中に渦巻いていく。
彼女にとって一番だけでは足りなくなり、もっと、もっと欲しいと――――。
最初から敵意むき出しに、シンシアは僕を見ていたからね。
そんな小娘が姉に隠れ、僕に嫌がらせをしてくるんだ。
まぁ、幼稚すぎて相手にする気も起きなかったけれど。
お嬢様にもばれないよう気を付けながら、妹をあしらい、自分の目的に専念する。
彼女がお嬢様に欲しいとねだる前に、少しでも僕の必要性を彼女へ示す必要があったから。
今日も王妃教育が始まり、僕は庭へ出ると、窓の向こう側に映るお嬢様の姿を見つめていた。
そんな時、後ろから足音が響くと、煩い声が耳にとどく。
「ちょっとあなた、またこんなところからお姉様を見ているの!やめなさいよ!」
掃除の手を止め声に振り返ると、そこには眉を吊り上げたシンシアの姿。
「あなたにとやかく言われる筋合いはございません」
そうスパッと会話を終わらせると、僕はまたお嬢様へと顔を向ける。
今日もお美しい……見ているだけで幸せになる。
今日は確か語学の授業でしたね、真剣に考える姿も絵になる。
出来れば写し絵に収めてしまいたい……。
「ちょっと、何なのその顔!あなたの視界にお姉様が映ると、穢れてしまうわ!この腹黒執事!お姉様の前と態度が違いすぎる!お母様に言いつけるわよ!」
「どうぞどうぞ、信じて頂けるのでしたら」
シンシアのたわごとを軽くあしらうと、僕は振り向く事もしない。
「あぁもう、なんでこんな執事がこの家に……。お姉様の傍にいるなんて許さないんだから!」
シンシアはそう叫ぶと、僕の肩を掴み無理矢理に引き寄せ視線を合わさせる。
「絶対にお姉様から引き剥がしてやるわ」
「出来るものならどうぞ」
挑発してくるその態度に、僕は小さく笑みを浮かべると、肩に触れる手を軽く振り払った。
あの一件から暫く、シンシアが僕の前にパタリと現れなくなった。
彼女の考えていることはわかる、急がないと……。
そう思い今まで以上にお嬢様を甘やかし、優しくしていくと、時折ではあるが、僕の前で自然な笑みを見せ、愚痴まで零すようになった。
最初に比べれば大分進歩した。
ここまでくれば、少し安心できる。
次に僕がしなければいけないのは、シンシアの弱みを握る事だ。
お嬢様の性格を考えれば、いくら僕を必要だと思っていても、面倒事を嫌う彼女の性格を考えれば、手放そうとするかもしれないからね。
何かないかと探していたあの日、僕はいい弱みを握ったんだ。
その日お嬢様は王子に会いに城へ行っていた。
静かな屋敷の中で、突然大きな音が響く。
ガチャンッ
そっと窓の外へ目を向けると、庭に沿った廊下に散らばった陶器の破片。
どうやら飾っていた花瓶が割れた音だったようだ。
あそこにあった花瓶はこの家の家宝。
先祖代々受け継がれてきた大切な物だと、最初に聞いた覚えがある。
大変だと、その場に向かおうとした刹那、青ざめた表情のシンシアが目に映った。
その傍にはお嬢様から奪った木刀が転がっている。
シンシアはその木刀を拾い上げ、庭の奥へ投げ込むと、パチパチと頬を叩き平然を装った。
大きな音に慌てて現れるメイド、執事、そして彼女の両親。
するとシンシアは慌てた様子で庭を指さすと、猫が花瓶を落とし、逃げていったとそう言い放った。
先ほど投げられた木刀がカサカサと音を立て落ちていく。
その音に猫だと思ったのか、執事やメイド達は慌てた様子で庭の奥へと入って行った。
そんな行動を一部始終確認した。
その場で取り繕った嘘だが、まぁあの優しい両親はシンシアを疑わないだろう。
家宝は元に戻らず、猫のせいとなり、庭には猫防止の高い高い壁が設置された。
いいネタを拾った、そう思った数週間後、シンシアは僕を欲しいとねだりにきた。
大切にされている僕への嫉妬心が丸見えだ。
けれどお嬢様はその感情に気が付いていない。
言葉を詰まらせるお嬢様の姿に、僕は慌てて割り込むと、シンシアへ近づき家宝の件を耳打ちした。
すると慌てた様子で逃げて行ったんだ。
いや、あれは面白かった。
だけどまたいつ邪魔しにくるかわからない。
そのためにこういったネタ増やしておく必要がある。
それから情報を集め、煩わしいシンシアを牽制しながら、僕は毎日お嬢様の傍に居た。
彼女の両親からの信頼も完璧。
彼女が王妃教育をしている最中、彼女の父や母の仕事のサポートもしているからね。
シンシアが僕に対して何か告げ口したとしても、根回しは十分。
これならシンシアが強引にお嬢様の執事を外したとしても、僕がお嬢様の傍に居たいと伝えれば聞いてもらえるだろう。
後はもっともっと、僕なしではいられないぐらいに彼女を依存させたい。
そんな思いが胸の中に渦巻いていく。
彼女にとって一番だけでは足りなくなり、もっと、もっと欲しいと――――。
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