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第三章
閑話:王子の悩み8 (マーティン視点)
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チャーリーはどこにいるんだ?
先ほどの授業、令息は校庭で騎士見習いたちと合同練習、剣術の指導を受けていた。
令嬢たちは教室で手芸。
そしてチャイムが鳴り、すぐに教室へ戻ってきたのが……。
俺は教室内を改めて眺めてみるが、彼女の姿はどこにもない。
視界にいないと、ソワソワと落ち着かない。
だってあいつは容姿端麗で、性格もよくて、家柄も申し分ない。
よく……令息達が噂をしているのも知っている。
俺の婚約者でなかったら、今頃彼らから猛烈なアプローチを受けているだろう。
だからこそ不安は消えない。
俺のいない場で、変な男に絡まれるかもしれないと。
彼女が優しい笑みで令息と話している姿を想像すると、眉間に皺がよっていく。
廊下に出て辺りを見渡していると、令嬢たちが群がる中央から、手を振るカイザックの姿が目に映る。
チッ、面倒な奴に見つかったな。
俺は見て見ぬふりで通り過ぎるが、カイザックは令嬢たちの輪を抜け出し追いかけてきた。
「王子、王子~無視はひどいじゃないですか。またストーカー、モゴモゴッッ」
とんでもない言葉に俺は慌てて振り返ると、後ろにいたカイザックの口をふさぐ。
「アイク、人聞きの悪いことを言うな。俺はストーカーじゃねぇ」
そう強く言い聞かせると、カイザックはコクコクと頷き俺の手を外した。
「はいはい、わかりました~。でもシャーロット嬢を探しているんでしょう?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるカイザックを睨みつけると、俺は答えずに歩き始める。
そんな俺の様子に、カイザックは肩を震わせ笑い始めると、面白そうに俺の後をついてきたのだった。
校庭へ出てみると、そこにはまだ練習する令息や騎士見習いの姿。
真剣な打ち合いではなく、じゃれあうように剣をあわせている。
校庭から少し離れた場所には、柵が設置され、その周辺に令嬢たちが集まり、剣を打ち合う彼らの姿を見ながら、キャッキャッと楽し気に話をしている。
ふとそんな令嬢たちの傍を通ると、気になる単語に俺は歩くスピードを緩めた。
「ねぇねぇ、あそこにいるのはナヴィーン様ではなくて?ほら、見て、あのナヴィーン様が笑っておられるわ!」
「キャァー、貴重ですわ!目に焼き付けておかなければ……ッッ」
ナヴィーン、その名に立ち止まると、俺の後ろに張り付いていたカイザックも足を止め、校庭へ顔をむける。
「へぇ~。ナヴィーンっていうと、あのナヴィーンですかね?剣の相手をしてもらったことがあるけれど、笑った姿なんて見たことがない。氷の令息と言われてる彼が笑っているなんて、ははっ、本当なのかな?」
茶化すような物言いに、俺は後ろを振り返る。
カイザックは興味津々の様子で、校庭を囲む柵に近づいて行くと、額に手を当て辺りを見渡しはじめた。
「あら、手を差し出したわ。あれ、木の陰に御令嬢の姿が……、もしかしてシャーロット様ではなくて?」
「本当ですわ!あぁ、とっても絵になりますわね~」
シャーロットだと!?
婚約者の名に、カイザックを押しのけ慌てて柵へ近づくと、令嬢たちの視線の先を追っていく。
すると彼女たちの言葉通り、校庭の隅に佇む二人の姿。
ナヴィーンとシャーロットが楽しそうに笑いあっていた。
まるで逢瀬をしているのかのようなその光景に、唖然とする。
どうして二人であんな場所に?
俺に隠れて……いやいやいや、俺は王子だぞ?
ナヴィーンに恋人はいないはず、それどころか色恋の噂すら聞いたことがない。
そんな男がなぜ……ッッ
二人から目を逸らすことも出来ず、楽しそうな様子に狼狽していた。
いや、そんなことどうでもいい。
あんなに楽しそうに、何の話をしているんだ?
俺の、俺の……婚約者に近づくな。
彼女の笑顔を見るのは俺だけ、俺だけのものなんだ。
俺は居ても立っても居られなり、勢いをつけ柵を飛び越えると、そのまま走り始めた。
「ちょっ、王子!?どこへ行くつもりですか?」
カイザックも続くように柵を飛び越えると、俺の腕を取った。
引き留めるようにグィっと腕を引っ張られると、俺は思いっきりに手を振り払い睨みつける。
「アイク、離せ。ナヴィーンが俺のシャーロットにッッ」
「俺の……まぁ間違ってはないですけど。いやいや、でもナヴィーンですよ。あいつって女に興味がないって有名だし、心配しすぎな気がするんだけど。まぁ日ごろ笑わないあいつが笑ってるのはちょい気になるけど……。とりあえずシャーロット様すごいなぁ……」
「そんな能天気なこと言ってる場合じゃねぇ。行ってくる」
「おいおい、マジで!?あの雰囲気に突撃するの?」
「当たり前だろう、あいつの婚約者は俺だ!」
そうはっきり言葉にすると、カイザックは何とも言えない複雑な表情を浮かべている。
何かを言おうとしているが、俺はカイザックの言葉を聞く前に走り始めると、二人の元へと向かって行った。
先ほどの授業、令息は校庭で騎士見習いたちと合同練習、剣術の指導を受けていた。
令嬢たちは教室で手芸。
そしてチャイムが鳴り、すぐに教室へ戻ってきたのが……。
俺は教室内を改めて眺めてみるが、彼女の姿はどこにもない。
視界にいないと、ソワソワと落ち着かない。
だってあいつは容姿端麗で、性格もよくて、家柄も申し分ない。
よく……令息達が噂をしているのも知っている。
俺の婚約者でなかったら、今頃彼らから猛烈なアプローチを受けているだろう。
だからこそ不安は消えない。
俺のいない場で、変な男に絡まれるかもしれないと。
彼女が優しい笑みで令息と話している姿を想像すると、眉間に皺がよっていく。
廊下に出て辺りを見渡していると、令嬢たちが群がる中央から、手を振るカイザックの姿が目に映る。
チッ、面倒な奴に見つかったな。
俺は見て見ぬふりで通り過ぎるが、カイザックは令嬢たちの輪を抜け出し追いかけてきた。
「王子、王子~無視はひどいじゃないですか。またストーカー、モゴモゴッッ」
とんでもない言葉に俺は慌てて振り返ると、後ろにいたカイザックの口をふさぐ。
「アイク、人聞きの悪いことを言うな。俺はストーカーじゃねぇ」
そう強く言い聞かせると、カイザックはコクコクと頷き俺の手を外した。
「はいはい、わかりました~。でもシャーロット嬢を探しているんでしょう?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるカイザックを睨みつけると、俺は答えずに歩き始める。
そんな俺の様子に、カイザックは肩を震わせ笑い始めると、面白そうに俺の後をついてきたのだった。
校庭へ出てみると、そこにはまだ練習する令息や騎士見習いの姿。
真剣な打ち合いではなく、じゃれあうように剣をあわせている。
校庭から少し離れた場所には、柵が設置され、その周辺に令嬢たちが集まり、剣を打ち合う彼らの姿を見ながら、キャッキャッと楽し気に話をしている。
ふとそんな令嬢たちの傍を通ると、気になる単語に俺は歩くスピードを緩めた。
「ねぇねぇ、あそこにいるのはナヴィーン様ではなくて?ほら、見て、あのナヴィーン様が笑っておられるわ!」
「キャァー、貴重ですわ!目に焼き付けておかなければ……ッッ」
ナヴィーン、その名に立ち止まると、俺の後ろに張り付いていたカイザックも足を止め、校庭へ顔をむける。
「へぇ~。ナヴィーンっていうと、あのナヴィーンですかね?剣の相手をしてもらったことがあるけれど、笑った姿なんて見たことがない。氷の令息と言われてる彼が笑っているなんて、ははっ、本当なのかな?」
茶化すような物言いに、俺は後ろを振り返る。
カイザックは興味津々の様子で、校庭を囲む柵に近づいて行くと、額に手を当て辺りを見渡しはじめた。
「あら、手を差し出したわ。あれ、木の陰に御令嬢の姿が……、もしかしてシャーロット様ではなくて?」
「本当ですわ!あぁ、とっても絵になりますわね~」
シャーロットだと!?
婚約者の名に、カイザックを押しのけ慌てて柵へ近づくと、令嬢たちの視線の先を追っていく。
すると彼女たちの言葉通り、校庭の隅に佇む二人の姿。
ナヴィーンとシャーロットが楽しそうに笑いあっていた。
まるで逢瀬をしているのかのようなその光景に、唖然とする。
どうして二人であんな場所に?
俺に隠れて……いやいやいや、俺は王子だぞ?
ナヴィーンに恋人はいないはず、それどころか色恋の噂すら聞いたことがない。
そんな男がなぜ……ッッ
二人から目を逸らすことも出来ず、楽しそうな様子に狼狽していた。
いや、そんなことどうでもいい。
あんなに楽しそうに、何の話をしているんだ?
俺の、俺の……婚約者に近づくな。
彼女の笑顔を見るのは俺だけ、俺だけのものなんだ。
俺は居ても立っても居られなり、勢いをつけ柵を飛び越えると、そのまま走り始めた。
「ちょっ、王子!?どこへ行くつもりですか?」
カイザックも続くように柵を飛び越えると、俺の腕を取った。
引き留めるようにグィっと腕を引っ張られると、俺は思いっきりに手を振り払い睨みつける。
「アイク、離せ。ナヴィーンが俺のシャーロットにッッ」
「俺の……まぁ間違ってはないですけど。いやいや、でもナヴィーンですよ。あいつって女に興味がないって有名だし、心配しすぎな気がするんだけど。まぁ日ごろ笑わないあいつが笑ってるのはちょい気になるけど……。とりあえずシャーロット様すごいなぁ……」
「そんな能天気なこと言ってる場合じゃねぇ。行ってくる」
「おいおい、マジで!?あの雰囲気に突撃するの?」
「当たり前だろう、あいつの婚約者は俺だ!」
そうはっきり言葉にすると、カイザックは何とも言えない複雑な表情を浮かべている。
何かを言おうとしているが、俺はカイザックの言葉を聞く前に走り始めると、二人の元へと向かって行った。
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