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第三章
幸せな未来へ
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熱い熱が込み上げ、柔らかいその感触に私は目を開けると、表現しがたい想いが込み上げてくる。
胸の奥からホワッとした温かい気持ちに、頬が火照り頭が真っ白に染まっていく。
なに、今、何が起こったの?
「そんな表情を初めてみましたよ」
彼の言葉にハッと我に返ると、反射的に顔を両手で覆った。
振動がバクバクと激しく波打ち、止まる気配がない。
なんなのこれ、動悸が悪化しているわ……ッッ。
口づけをされて……嫌ではない、むしろ……もしかしてこの気持ちが……?
「ふふっ、よかった。どうやら正解のようですね」
「へぇっ、えぇッ、いえ、あの……これが、私はケルをッ、……ッッ」
「可愛らしい、あぁ今すぐにでもおした……いやいや、落ち着け、落ち着きましょう。……ふぅ……はぁ……。お嬢様の照れたお顔を初めてみました。それを私がさせたのだと思うと、最高に嬉しいですね」
ケルヴィンは何かに耐えながらそう囁くと、今までに見たことない満面の笑みを浮かべた。
そして私の体を優しく包み込み、ギュッと強く抱きしめる。
「まさか……本当にこんな日が来るなんて……。最初はどんな形でもいい、傍に居たいその想いだけだった。だから執事という立場を選んだ。だけどあなたを知れば知るほどに、隠れていた想いが溢れ出したんです。そしてあなたが欲しいと、そう強く願った。お嬢様の為だと言いながら……本当は自分のため、偽の婚約破棄を利用した。……ここで王子に婚約破棄をされれば、手に入れるきっかけになる、そう思ってしまった」
彼の胸元へ顔を寄せると、鼓動がはっきりと耳にとどく。
それは私と同じ、大きく激しく高鳴っていた。
「ケル……その……」
ケルヴィンは徐に胸ポケットへ手を入れると、一枚の紙を取り出した。
それは丁寧に折りたたまれた分厚い紙。
「本当は……ここへ来てすぐ申し出るつもりだったんですよ。ですがいざ変わっていくお嬢様の姿を前にすると言い出せなかった。お嬢様の気持ちを知りたいと思う反面、知りたくないと思ってしまった。私はお嬢様よりも年上ですが……実のところ余裕なんて全然ないのですよ」
ケルヴィンは恥ずかし気にはにかむと、紙を広げてみせる。
そこには誓約書との文字が刻まれていた。
彼の家の紋章が描かれ、右下には了承の意を込めた、彼のサインが書かれている。
文中へ目を向けてみると、それは婚約の誓約書だった。
「これって……ッッ!?」
「サインしてくれますか?結婚はこちらへサインをもらった後、執事から公爵家へ戻る必要がございます。ですのでもう少し待ってくださいね」
そっと顔を上げると、彼と視線が絡む。
彼と婚約……それに結婚!?
正直もう誰とも婚約や結婚なんて考えていなかった。
王子に婚約破棄をされた不良品を欲しがる令息なんていないと。
だから……私はここで生きていくそう思っていたわ。
「あの、ちょっと待って!?ケルは私のことを……?」
「えぇ、私はお嬢様、いえシャーロット様を愛しております。王子やシンシア様よりずっと深く。初めてあなたに出会ったあの日、どうしてもまた会いたくて、話をしたくて方法を必死に探しました。その結果が執事になることだった。最初にお話ししたでしょう、あなたの傍に居たいと……。王子の婚約者であるあなたの傍に居るためには、これしか方法がなかったのです」
彼の告白に、嬉しい気持ちが胸を埋め尽くす。
そこでようやくはっきりした。
私はずっとケルヴィンに恋をしていた、出会ったあの日からずっと―――――。
心にかかっていた靄が晴れ、熱い気持ちだけが残る。
ケルヴィンはどこからかペンを取り出し、差し出した。
私はそっとペンを取ると、ギュッと固く握りしめる。
ペン先を紙へ近づけていく、ふと手が止まった。
婚約すれば……ケルヴィンが言った通り結婚することになるわ。
それは即ち、キスもハグも……その先も……ッッ。
いまこうやって彼に触れられるだけで心臓が止まりそうなの程ドキドキしているのに……耐えられるのかしら?
「どうしました、お嬢様、何か……心配事でも?」
「いえ、……その……ッッ、今こうしてあなたに抱きしめられただけで、胸が壊れそうなほどドキドキして苦しくて……。このまま婚約して……結婚なんてしたら、壊れちゃうかもしれないわ」
困った表情を浮かべ顔を上げると、彼は何かに耐える様に顔をそむけた。
「お嬢様……ッッ、またそうやってとんでもない事を……ッッ、破壊力が凄い……、あぁ、私がどれだけ我慢していると思っているのですか?うぅ……はぁ……このまま……いや、ダメだ、ダメだ……」
彼はボソボソと呟くと、必死に呼吸を整えている。
「スー……ハー……。お嬢様、大丈夫です。ゆっくり慣らしていきましょう。とりあえずサインをして下さいますか?」
優しいその笑みにまた大きく胸が高鳴ると、私は震える手で自分の名前を書いていく。
そうして誓約書に二人の名前が揃うと、紙を握りしめたまま、ギュッと私の体を強く抱きしめた。
「あぁ、夢のようだ。必ず大事にします、これからもずっと一緒にいましょう」
彼の言葉に胸が熱くなると、自然と頬が緩んでいく。
恥ずかしい、嬉しい、そんな思いを感じる中、私は応えるように腕に力を入れると、彼の体にしがみついた。
開け放たれた窓から吹き込む風が、先ほどよりも冷たく感じる。
カーテンが祝福するように大きくたなびくと、私たちを照らすように太陽の光が差し込んだ。
イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
美しい挿絵を頂き、ありがとうございました!
――――――――――――――――――――――――――
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。
本編はここで完結となります。
皆様いかがでしたでしょうか?
恋愛要素は薄めでしたかね……?
また今回の主人公は他の作品と違った感じにしてみました。
色々と不安はありましたが、完結できてよかったです!
ご意見ご感想とございましたら、いつでもご連絡下さい(*‘∀‘)
追伸
最後に、ここより閑話:大好きなお姉様を数話お楽しみ頂き、完結と致します。
胸の奥からホワッとした温かい気持ちに、頬が火照り頭が真っ白に染まっていく。
なに、今、何が起こったの?
「そんな表情を初めてみましたよ」
彼の言葉にハッと我に返ると、反射的に顔を両手で覆った。
振動がバクバクと激しく波打ち、止まる気配がない。
なんなのこれ、動悸が悪化しているわ……ッッ。
口づけをされて……嫌ではない、むしろ……もしかしてこの気持ちが……?
「ふふっ、よかった。どうやら正解のようですね」
「へぇっ、えぇッ、いえ、あの……これが、私はケルをッ、……ッッ」
「可愛らしい、あぁ今すぐにでもおした……いやいや、落ち着け、落ち着きましょう。……ふぅ……はぁ……。お嬢様の照れたお顔を初めてみました。それを私がさせたのだと思うと、最高に嬉しいですね」
ケルヴィンは何かに耐えながらそう囁くと、今までに見たことない満面の笑みを浮かべた。
そして私の体を優しく包み込み、ギュッと強く抱きしめる。
「まさか……本当にこんな日が来るなんて……。最初はどんな形でもいい、傍に居たいその想いだけだった。だから執事という立場を選んだ。だけどあなたを知れば知るほどに、隠れていた想いが溢れ出したんです。そしてあなたが欲しいと、そう強く願った。お嬢様の為だと言いながら……本当は自分のため、偽の婚約破棄を利用した。……ここで王子に婚約破棄をされれば、手に入れるきっかけになる、そう思ってしまった」
彼の胸元へ顔を寄せると、鼓動がはっきりと耳にとどく。
それは私と同じ、大きく激しく高鳴っていた。
「ケル……その……」
ケルヴィンは徐に胸ポケットへ手を入れると、一枚の紙を取り出した。
それは丁寧に折りたたまれた分厚い紙。
「本当は……ここへ来てすぐ申し出るつもりだったんですよ。ですがいざ変わっていくお嬢様の姿を前にすると言い出せなかった。お嬢様の気持ちを知りたいと思う反面、知りたくないと思ってしまった。私はお嬢様よりも年上ですが……実のところ余裕なんて全然ないのですよ」
ケルヴィンは恥ずかし気にはにかむと、紙を広げてみせる。
そこには誓約書との文字が刻まれていた。
彼の家の紋章が描かれ、右下には了承の意を込めた、彼のサインが書かれている。
文中へ目を向けてみると、それは婚約の誓約書だった。
「これって……ッッ!?」
「サインしてくれますか?結婚はこちらへサインをもらった後、執事から公爵家へ戻る必要がございます。ですのでもう少し待ってくださいね」
そっと顔を上げると、彼と視線が絡む。
彼と婚約……それに結婚!?
正直もう誰とも婚約や結婚なんて考えていなかった。
王子に婚約破棄をされた不良品を欲しがる令息なんていないと。
だから……私はここで生きていくそう思っていたわ。
「あの、ちょっと待って!?ケルは私のことを……?」
「えぇ、私はお嬢様、いえシャーロット様を愛しております。王子やシンシア様よりずっと深く。初めてあなたに出会ったあの日、どうしてもまた会いたくて、話をしたくて方法を必死に探しました。その結果が執事になることだった。最初にお話ししたでしょう、あなたの傍に居たいと……。王子の婚約者であるあなたの傍に居るためには、これしか方法がなかったのです」
彼の告白に、嬉しい気持ちが胸を埋め尽くす。
そこでようやくはっきりした。
私はずっとケルヴィンに恋をしていた、出会ったあの日からずっと―――――。
心にかかっていた靄が晴れ、熱い気持ちだけが残る。
ケルヴィンはどこからかペンを取り出し、差し出した。
私はそっとペンを取ると、ギュッと固く握りしめる。
ペン先を紙へ近づけていく、ふと手が止まった。
婚約すれば……ケルヴィンが言った通り結婚することになるわ。
それは即ち、キスもハグも……その先も……ッッ。
いまこうやって彼に触れられるだけで心臓が止まりそうなの程ドキドキしているのに……耐えられるのかしら?
「どうしました、お嬢様、何か……心配事でも?」
「いえ、……その……ッッ、今こうしてあなたに抱きしめられただけで、胸が壊れそうなほどドキドキして苦しくて……。このまま婚約して……結婚なんてしたら、壊れちゃうかもしれないわ」
困った表情を浮かべ顔を上げると、彼は何かに耐える様に顔をそむけた。
「お嬢様……ッッ、またそうやってとんでもない事を……ッッ、破壊力が凄い……、あぁ、私がどれだけ我慢していると思っているのですか?うぅ……はぁ……このまま……いや、ダメだ、ダメだ……」
彼はボソボソと呟くと、必死に呼吸を整えている。
「スー……ハー……。お嬢様、大丈夫です。ゆっくり慣らしていきましょう。とりあえずサインをして下さいますか?」
優しいその笑みにまた大きく胸が高鳴ると、私は震える手で自分の名前を書いていく。
そうして誓約書に二人の名前が揃うと、紙を握りしめたまま、ギュッと私の体を強く抱きしめた。
「あぁ、夢のようだ。必ず大事にします、これからもずっと一緒にいましょう」
彼の言葉に胸が熱くなると、自然と頬が緩んでいく。
恥ずかしい、嬉しい、そんな思いを感じる中、私は応えるように腕に力を入れると、彼の体にしがみついた。
開け放たれた窓から吹き込む風が、先ほどよりも冷たく感じる。
カーテンが祝福するように大きくたなびくと、私たちを照らすように太陽の光が差し込んだ。
イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
美しい挿絵を頂き、ありがとうございました!
――――――――――――――――――――――――――
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。
本編はここで完結となります。
皆様いかがでしたでしょうか?
恋愛要素は薄めでしたかね……?
また今回の主人公は他の作品と違った感じにしてみました。
色々と不安はありましたが、完結できてよかったです!
ご意見ご感想とございましたら、いつでもご連絡下さい(*‘∀‘)
追伸
最後に、ここより閑話:大好きなお姉様を数話お楽しみ頂き、完結と致します。
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