ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))

あみにあ

文字の大きさ
82 / 86
おまけ

新たな一面

しおりを挟む
*********************************
大変お待たせしました!
リクエストを頂きました、彼らのその後のストーリーです(*´Д`)
全5話 甘く仕上がっておりますので、楽しんで頂ければ嬉しいです(´ー`)
ご意見ご感想等ございましたらお気軽に(^_-)-☆
*********************************


色々とあったけれど無事に王子との婚約破棄が成立し、そしてケルと婚約することが出来た。
両親は当初婚約破棄には猛反対だったのだが、ケルが婚約者になるとわかるとあっさり認めてくれた。
どれだけ彼が信用されているのかよくわかる。

生活は以前と変わらず、御婆様と御爺様のお屋敷でケルと二人で暮らしている。
王都へ戻るとの話も上がったが、王子やシンシアの事を考えると今すぐに戻らない方がいいと判断したのだ。
もちろん結婚すれば王都へ戻ることになるけれど……。
ケルの仕事もあるし、私も社交界での役割で忙しくなるわ。
だからこそ二人だけのこの生活を十分に楽しみたい。

朝日が辺りを照らし始めるころ、私は庭へ出るとせっせと土いじりを始める。
最初はなかなか上手くいかなかったけれど、最近ようやくガーデンらしくなってきた。
額に流れる汗をふき取ると、後ろから足音が聞こえた。

「お嬢様朝食の準備が出来ましたよ」

ケルがタオルを持ってやってくると、顔についた土を拭う。

「ぅぅん、おはようケル。ねぇもう執事じゃないでしょ。何度も言うけれど私の世話はいいのよ」

「そうですが、純粋にお嬢様のお世話をするのが好きなのですよ」

ケルは私の手を引くと、テラスへといざなって行く。
そのまま私を椅子へ腰かけさせると、ナプキンを用意し慣れた手つきでポットを持ち上げ紅茶を注いだ。

婚約者となったはずだけれど、基本的に何も変わっていない。
身の回りの世話は必要ないと言っても、今のように流されてしまう。
なるべく自分でできる事はやっているつもりだけれど……。

紅茶が注がれる音に視線を上げると、見慣れた燕尾服だが洗礼された彼の姿に胸が高鳴る。
ぼうっと彼に見惚れていると、ケルと視線が絡んだ。

「どうかされましたか?」

ニコッと笑みを浮かべるケルに、私は慌てて目を逸らせる。
好きだと自覚してからというもの、新しい発見ばかり。
感情というものがこれほどコントロールできないものだとは思っていなかった。
目が合うだけで何とも言えない恥ずかしいようなそんな気持ちが込み上げる。
こんなことで本当に彼と結婚できるのかしら……?

朝食を済ませまた庭へ出ると、叢からガサガサと音が聞こえた。
何かしら?と近づいてみると、ケルがすかさず止めに入る。

「お嬢様、お待ちください。むやみやたらに近づかないように」

ケルの声に振り返った刹那、叢から何かが飛び出した。
驚き後ずさると、胸のあたりに小さな衝撃が走る。
何かと目を向けると、そこには白い子犬がしがみついていた。

可愛いッッ。
思わず抱きしめると、子犬は驚いた様子でこちらを見上げた。
クリクリと丸く大きな瞳。
ふわふわの白い毛に耳がピクピクと動いている。

「お嬢様ッッ」

「ケル大丈夫よ、子犬だわ。ほら可愛いでしょ?」

私は子犬を抱き上げ見せると、彼は少し後ずさった。
珍しいその様に私は首を傾げる。

「ケル、どうしたの?」

「いえ……犬は苦手でして……」

驚き目を丸くすると、子犬をみつめる。
ケルにも苦手なものがあるのね、意外だわ。
ギュッと子犬を抱きしめると、嬉しそうに尻尾が揺れる。
顔を近づけると、ペロッと唇を舐めた。

「おっ、お嬢様!?」

大きな声を出したケルに、子犬は小さく体を跳ねさせると、く~んと鳴いた。

「ケルダメよ。この子がびっくりしているわ」

子犬の頭を撫で宥めていると、ケルはじりじりと後ずさりながら難しい顔で子犬を見つめている。
その様に何を思ったのか……子犬はバッと私の腕から飛び降りると、ケルへ向かって走った。

「あらっ?」

「ちょっッッ、うわッ」

子犬はケルの胸に飛びつくと、そのまま尻もちをついた。
尻尾をぶんぶん振りながらケルの顔を舐める子犬。
あたあたと狼狽するケルの姿に笑いが込み上げる。
こんな彼を初めて見たわ、可愛い。
こんなに笑ったのは始めたかもしれない。
新しい発見、新鮮な彼の姿に今まで以上に近くなった気がした。
しおりを挟む
感想 148

あなたにおすすめの小説

推しであるヤンデレ当て馬令息さまを救うつもりで執事と相談していますが、なぜか私が幸せになっています。

石河 翠
恋愛
伯爵令嬢ミランダは、前世日本人だった転生者。彼女は階段から落ちたことで、自分がかつてドはまりしていたWeb小説の世界に転生したことに気がついた。 そこで彼女は、前世の推しである侯爵令息エドワードの幸せのために動くことを決意する。好きな相手に振られ、ヤンデレ闇落ちする姿を見たくなかったのだ。 そんなミランダを支えるのは、スパダリな執事グウィン。暴走しがちなミランダを制御しながら行動してくれる頼れるイケメンだ。 ある日ミランダは推しが本命を射止めたことを知る。推しが幸せになれたのなら、自分の将来はどうなってもいいと言わんばかりの態度のミランダはグウィンに問い詰められ……。 いつも全力、一生懸命なヒロインと、密かに彼女を囲い込むヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:31360863)をお借りしております。

一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。

甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。 だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。 それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。 後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース… 身体から始まる恋愛模様◎ ※タイトル一部変更しました。

処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる 生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。 しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。 同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。 「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」 しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。 「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」 これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。

5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる

西野歌夏
恋愛
 ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー  私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。

幸せを知らない令嬢は、やたらと甘い神様に溺愛される

ちゃっぷ
恋愛
家族から産まれたことも生きていることも全否定され、少しは役に立てと言われて政略結婚する予定だった婚約者すらも妹に奪われた男爵令嬢/アルサイーダ・ムシバ。 さらにお前は産まれてこなかったことにすると、家を追い出される。 行き場を失ってたまに訪れていた教会に来た令嬢は、そこで「産まれてきてごめんなさい」と懺悔する。 すると光り輝く美しい神/イラホンが現れて「何も謝ることはない。俺が君を幸せにするから、俺の妻になってくれ」と言われる。 さらに神は令嬢を強く抱きしめ、病めるときも健やかなるときも永遠に愛することを誓うと、おでこにキス。 突然のことに赤面する令嬢をよそに、やたらと甘い神様の溺愛が始まる――。

【完結】0日婚の白魔女皇后は呪いの冷酷帝に寵愛される

さわらにたの
恋愛
「冷酷帝」エンジュに皇后として望まれ、政略結婚として輿入れした白魔術師キーラ。 初夜にて「俺は呪われている。本当は皇后などいらん、解呪のためだけにお前を呼んだ」と明かされて解呪に挑むことに……から次第にあれやこれやで結局ハピエンラブラブになるお話です ほんのりと前作「魔力なしの転生少女は天才魔術師様に求婚される」と同じ世界線、時間軸です

【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係

ayame@コミカライズ決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________

ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん
恋愛
   アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。  何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。  何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。  「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…

処理中です...