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よりにもよって……
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実をいうと前世の記憶を思い出したの数日前。
この学園への入学が決まった日の翌日だった。
膨大な記憶が一気に駆け巡る中、学園の名、そして自分の名前、街の名前、国の名前全てが一致した。
あまりのことに最初は受け入れられなくて、部屋へ引きこもったわ。
平民が貴族と同じ学園へ通える名誉あることなのに……まさかこんなことになるなんて。
入学を辞退することも考えたけれど、飛び上がって喜ぶ両親を目の前にすると、何も言い出せなかった。
私も記憶を思い出すまでは喜んでいたしね……。
しょうがないと、腹をくくってここまで来たけれど……あぁ鬱……。
私はまた深いため息をつくと、重い足を引きずりながら門を潜ったのだった。
大雑把なゲームの記憶は思い出したけれど、細かい設定やストーリーははっきりと思い出せていない。
コロコロと変わる主人公の性格はもちろん、どんなふうに彼らを攻略していくのか、内容が薄っぺらすぎて記憶にない。
イベントやフラグになりそうなものは全力で避けたいのだけれど、思い出せない現状意図的に回避することは難しそうだ。
とりあえず私にできる事は、攻略対象者と関わらないこと。
関わらなければ、こんな心配する必要もなくなる。
そう意気込んでいたんだけれど……。
案内状に従いやってきた教室に、人だかりができ、ざわざわと騒がしい。
どうしたのだろうと、群衆の隙間から覗き込むと、その中心には端正な顔立ちにブロンドの髪、赤い瞳をした青年の姿。
その姿に私は思わず固まった。
嘘でしょ……よりにもよって王子と同じクラスなの……?
出鼻をくじかれ狼狽しながらも彼をまじまじ眺めると、パーツパーツが美しく見目は百点満点。
貴族たちと談笑し笑みを浮かべる姿は、一人だけ輝いている。
その隣には薄っすらと記憶にある、お目付け役の姿。
お目付け役も中性的で綺麗な顔立ちをしているが、残念ながら攻略対象者ではない。
女好きの王子を嗜めるまともな青年。
はぁ……王子じゃなくて彼を攻略対象にすればまだましだったんじゃないかな……。
しかし生で見ると顔だけはいい。
いやいや、ダメダメ、騙されるな……たとえ顔が良くても、女好きの男なんて嫌だ。
一度落ち着こうと大きく息を吸い込んだ刹那、澄んだ紅眼と視線が絡む。
私は慌てて目を逸らせ逃げようとするが、彼は立ち上がりこちらへやってくると、私の腕を掴んだ。
「初めまして、見ない顔だな。もしかして平民から進級してきた子?すげぇ可愛いじゃん。俺はジェシー、宜しく」
ジェシー……そういえばそんな名前だった。
爽やかな笑顔と軽い口調に私は頬をピクピクと痙攣させると、無理やりに笑みを作り挨拶を返したのだった。
関わらないと決意した初登校早々、王子に絡まれドッと疲れた一日になってしまった。
最悪、入学早々に会うなんて……。
しかもよりにもよって同じクラス。
王子とは一番関わりたくなかったのに~~~~~~!
これからどうしよう……とりあえずこれ以上関わらないようにしないと。
そう思う私の気持ちとは裏腹に、王子は私を見つけるとこちらへやってくる。
笑みを浮かべそれとなく突き放すのだが、全く伝わらない。
私の態度など知った事ではないようすで、貴重な休み時間を潰されてしまう。
一方的に話す王子に最初は丁寧に返していたが、図太さと鈍感さ、あまりのしつこさにとうとう耐え切れなくなった。
「あぁもう、いい加減にしてください!迷惑なんです!遊び相手を探しているのなら、他を当たってください!」
王子の手を振り払い感情任せに叫ぶ。
肩で息をしながら、紅眼と視線が絡むとハッと我に返った。
こんなやつだが王族で王子様で、あぁ……やってしまった……。
口元を押さえどうしたものかと目を泳がせていると、なぜか彼は瞳をキラキラと輝かせた。
「遊び相手か、あはは、お前面白いな」
なっ、なんなのこいつ!?
驚き目を丸くしていると、彼は何が面白いのか肩を揺らして笑い始める。
その姿は乙女ゲームのスチルのように美しく、私は不覚にも見惚れてしまった。
この学園への入学が決まった日の翌日だった。
膨大な記憶が一気に駆け巡る中、学園の名、そして自分の名前、街の名前、国の名前全てが一致した。
あまりのことに最初は受け入れられなくて、部屋へ引きこもったわ。
平民が貴族と同じ学園へ通える名誉あることなのに……まさかこんなことになるなんて。
入学を辞退することも考えたけれど、飛び上がって喜ぶ両親を目の前にすると、何も言い出せなかった。
私も記憶を思い出すまでは喜んでいたしね……。
しょうがないと、腹をくくってここまで来たけれど……あぁ鬱……。
私はまた深いため息をつくと、重い足を引きずりながら門を潜ったのだった。
大雑把なゲームの記憶は思い出したけれど、細かい設定やストーリーははっきりと思い出せていない。
コロコロと変わる主人公の性格はもちろん、どんなふうに彼らを攻略していくのか、内容が薄っぺらすぎて記憶にない。
イベントやフラグになりそうなものは全力で避けたいのだけれど、思い出せない現状意図的に回避することは難しそうだ。
とりあえず私にできる事は、攻略対象者と関わらないこと。
関わらなければ、こんな心配する必要もなくなる。
そう意気込んでいたんだけれど……。
案内状に従いやってきた教室に、人だかりができ、ざわざわと騒がしい。
どうしたのだろうと、群衆の隙間から覗き込むと、その中心には端正な顔立ちにブロンドの髪、赤い瞳をした青年の姿。
その姿に私は思わず固まった。
嘘でしょ……よりにもよって王子と同じクラスなの……?
出鼻をくじかれ狼狽しながらも彼をまじまじ眺めると、パーツパーツが美しく見目は百点満点。
貴族たちと談笑し笑みを浮かべる姿は、一人だけ輝いている。
その隣には薄っすらと記憶にある、お目付け役の姿。
お目付け役も中性的で綺麗な顔立ちをしているが、残念ながら攻略対象者ではない。
女好きの王子を嗜めるまともな青年。
はぁ……王子じゃなくて彼を攻略対象にすればまだましだったんじゃないかな……。
しかし生で見ると顔だけはいい。
いやいや、ダメダメ、騙されるな……たとえ顔が良くても、女好きの男なんて嫌だ。
一度落ち着こうと大きく息を吸い込んだ刹那、澄んだ紅眼と視線が絡む。
私は慌てて目を逸らせ逃げようとするが、彼は立ち上がりこちらへやってくると、私の腕を掴んだ。
「初めまして、見ない顔だな。もしかして平民から進級してきた子?すげぇ可愛いじゃん。俺はジェシー、宜しく」
ジェシー……そういえばそんな名前だった。
爽やかな笑顔と軽い口調に私は頬をピクピクと痙攣させると、無理やりに笑みを作り挨拶を返したのだった。
関わらないと決意した初登校早々、王子に絡まれドッと疲れた一日になってしまった。
最悪、入学早々に会うなんて……。
しかもよりにもよって同じクラス。
王子とは一番関わりたくなかったのに~~~~~~!
これからどうしよう……とりあえずこれ以上関わらないようにしないと。
そう思う私の気持ちとは裏腹に、王子は私を見つけるとこちらへやってくる。
笑みを浮かべそれとなく突き放すのだが、全く伝わらない。
私の態度など知った事ではないようすで、貴重な休み時間を潰されてしまう。
一方的に話す王子に最初は丁寧に返していたが、図太さと鈍感さ、あまりのしつこさにとうとう耐え切れなくなった。
「あぁもう、いい加減にしてください!迷惑なんです!遊び相手を探しているのなら、他を当たってください!」
王子の手を振り払い感情任せに叫ぶ。
肩で息をしながら、紅眼と視線が絡むとハッと我に返った。
こんなやつだが王族で王子様で、あぁ……やってしまった……。
口元を押さえどうしたものかと目を泳がせていると、なぜか彼は瞳をキラキラと輝かせた。
「遊び相手か、あはは、お前面白いな」
なっ、なんなのこいつ!?
驚き目を丸くしていると、彼は何が面白いのか肩を揺らして笑い始める。
その姿は乙女ゲームのスチルのように美しく、私は不覚にも見惚れてしまった。
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