婚約破棄の茶番に巻き込まれました。

あみにあ

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勘弁して……

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そんな一件があってから、王子のストーカー行為に拍車がかかった。
平民が王子に生意気な口をきいたことで、何か罰則があるかと思ったけれど、それはないようだ。
なんでもこの学園は爵位や階位に関わらず皆平等とのこと。
そういうことは貴族が中心とする社会で守られないと考えていたけれど、この学園は真面目な生徒ばかりのようで助かった。
もしくは私がゲームの主人公だからかもしれない。
とりあえず貴族のやっかみがないことにほっと胸をなでおろしたのだが、一番の問題は解決しなかった。

あからさまに迷惑そうにしても、全く効果はない。
はっきりきっぱり拒絶しても、聞いていない様子。
それにどうやってか知らないけれど、彼は私の行動を把握していてどこに行っても現れる。
あぁなんでこんなことに……。
王子から逃げることばかり考えていると、いつのまにか王子ルートに入ってしまったのか……他の攻略対象者と関わることなく時間が過ぎて行った。

学園に慣れてくると、王子の相手をすることにも慣れた。
貴族からの妬みも罰則もないのであれば、丁寧に返す必要も相手をする必要もない。
礼儀さえ守っていれば、周りの貴族は気にもかけないからね。

それにしてもこれだけはっきり態度と言葉で示しても、追いかけてくる王子。
この王子を諦めさせるすべはあるのだろうか。
ルートに入ってしまったとしても、王子との婚約は御免被りたい。
それにゲームとは違い平民の私が王子の婚約者なんてありえない。
王子に婚約者がいる現状、現実的に考えて愛人になるのか。
そんなの絶対いやだ。

授業が終わった放課後、一人校門に向かっていると、どこからともなく王子が現れる。
一緒に帰ろう、と誘ってくる彼を一瞥し進むと、慌てた様子で追いかけてきた。

「おーぃ、待てって」

「……本当にしつこいですね。はぁ……ジェシー王子には婚約者がおられますよね?私みたいな平民にかまかけていていいんですか?ダメでしょう」

諭す様に静かに告げると、彼はきょとんとした表情で瞬きを繰り返す。

「うん?ステイシーか。あいつなら大丈夫だ。それより今度の休みに城へ来ないか?案内するぜ」

「行きません、結構です」

それよりもってなんなのよ。
婚約者の事を蔑ろにしすぎでしょう……やっぱりこの王子最低……。
見た目だけはいいのに……。
チラッと彼へ視線を向けると、鼻筋が通っている横顔は本当に美しい。
さすが神絵師様。

「残念、つれないなぁ。まぁそこが可愛いんだけどな」

そうニカッと笑う姿に、胸がドクンッと高鳴った。
私は慌てて視線を前へ戻すと、これは不整脈だと言い聞かせたのだった。

ゲームではなく本物の王子と関わってわかったのだが、彼は見境なしに女性を追いかける最低な男ではなかった。
婚約者のことを軽視しているが、他の令嬢を口説いている様子はない。
もちろん追いかけている姿も。
現実の彼はゲームの彼よりも幾分ましのようだ。
まぁでも自己中心的な中身は一切変わっていないみたいだけれどね。

だけど婚約者がいるにも関わらず、節操なしに私へ声をかける姿は見過ごせない。
そういえば……王子と婚約者が一緒にいる姿を見たことがない。
仲が悪いのかな、うーん、そういえばゲームで婚約者は登場してきたかな?
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