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熨斗を付けてお返しします!
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肩で息をしながら彼女を見つめると、大きな瞳に私のが姿映り込む。
「でももう婚約破棄をしてしまいましたし、後は……」
しぶとく王子を押し付けようとする彼女の言葉を遮ると、私は力いっぱいに叫んだ。
「自己中心的で思い込みが激しくて、婚約者がいるのに他の女に現を抜かす男なんてお断りです!絶対に嫌!!!」
「返す言葉もないわね。でもあぁみえて彼にもいいところがあるのよ。そうね……うーん、明るいところとかかしら?」
「それでしたらステイシー様が責任をもってお世話してください」
「それはちょっと……。彼って人の話を聞かない上に、思い付きで行動してしまいますし……。ですからあなたに差し上げますわ。他の貴族たちは私の家名に恐れ王子に手を出すことはなかった。まぁ彼に魅力がないせいかもしれませんが……。だけどあなたは、そんな王子の相手をしてあげるばかりか、根気よく付き合う慈悲深さ、感動しましたわ。これはきっと神が与えてくれたチャンスだと思いましたの」
なっ、なんてことなの!?
現れたって、こっちは好きで仲良くした覚えはない。
寧ろ迷惑だと何度も……ッッ、あぁもう、ありえないありえないありえない!
怒りがピークに達すると、握った拳がプルプルと震え始める。
「私は非常に迷惑していたんです!!!熨斗をつけてお返しします!」
「あらあら、困ったわね……」
ステイシーは顎に手を当て首を傾げると、後ろからバタバタを足音が響く。
振り返ると、ジェイー王子とハンクの姿。
「王子、ステイシー様は私を助けてくれたんです。だから婚約破棄する理由はありません!」
ぴしゃりとそう言い切ると、王子は驚き目を丸くしながら私たちを交互に見つめる。
「そんな……私が助けたかどうかはともかく、私のような面白味のない女よりも、フレッシュな彼女の方がジェシーにお似合いですわよ」
「いえいえ、そんな!平民の私なんかが王子と釣り合うなんてありえません。御貴族様のマナーや仕来りもわかっていない私では、王子の負担になるだけですわ。その点ステイシー様は容姿端麗で品行方正、学業においてもトップクラス。見目麗しいお姿は女の私ですら見惚れてしまいますわ。それに加えて平民の私なんかに手を差し伸べてくれる優しい御心。御貴族様の鏡のような方ですわ。そんなかたこそ王子にふさわしいと思います」
「まぁ!?礼儀や作法などは私が全て教育しますわ。もちろん王妃教育も含めて。だから安心なさって。あなたならすぐに習得できるでしょう。先日の試験では貴族に並んでトップ5に名を連ねていたじゃない。それに優しさならあなたに叶わないわ。彼の相手が出来るのだもの」
ステイシーと王子の押し付け合いをしていると、見かねたハンクが私たちの間へ入った。
「お戯れはそれぐらいに。それ以上続けると、王子が立ち直れなくなってしまいます」
その言葉に顔を向けると、王子はどんよりとした空気を纏い体育座りでいじけていた。
「奪い合いならともかく押し付け合いだと……。うぅ……俺は王子だぞ……」
ボソッと呟いた何とも情けない姿に、呆れてものも言えない。
今までさんざん真っ向から否定してきたはずだけれど?
顔や地位がいくら魅力的でも一時の感情だけで行動する王子を誰が追いかけるのだろうか。
いじけた王子を見下ろす中、ハンクは小さな息を吐きだすと、ステイシーへ顔を向けた。
「ステイシー様、なぜこんな茶番を?こんなことで婚約破棄は出来ないと分かっておられるでしょう?バカ王……いえ、失礼しました。ジェシー王子のくだらない思いつきに付き合うなんて、どういう心境の変化ですか?」
「おいおいッッ……ハンクまでひでぇ……」
ハンクの言葉に彼女へ顔を向けると、ステイシーはバツの悪そうな様子で両手を上げた。
「そう怒らないでハンク」
「戯れにしてはやりすぎですよ。公の場であんな発言をなさるだなんて、あなたらしくない。王やあなたのお父上の耳に入ったらどうするおつもりなのですか?」
冷たい彼の言葉に、彼女はシュンっと眉を下げると、そっと視線を逸らせた。
「でももう婚約破棄をしてしまいましたし、後は……」
しぶとく王子を押し付けようとする彼女の言葉を遮ると、私は力いっぱいに叫んだ。
「自己中心的で思い込みが激しくて、婚約者がいるのに他の女に現を抜かす男なんてお断りです!絶対に嫌!!!」
「返す言葉もないわね。でもあぁみえて彼にもいいところがあるのよ。そうね……うーん、明るいところとかかしら?」
「それでしたらステイシー様が責任をもってお世話してください」
「それはちょっと……。彼って人の話を聞かない上に、思い付きで行動してしまいますし……。ですからあなたに差し上げますわ。他の貴族たちは私の家名に恐れ王子に手を出すことはなかった。まぁ彼に魅力がないせいかもしれませんが……。だけどあなたは、そんな王子の相手をしてあげるばかりか、根気よく付き合う慈悲深さ、感動しましたわ。これはきっと神が与えてくれたチャンスだと思いましたの」
なっ、なんてことなの!?
現れたって、こっちは好きで仲良くした覚えはない。
寧ろ迷惑だと何度も……ッッ、あぁもう、ありえないありえないありえない!
怒りがピークに達すると、握った拳がプルプルと震え始める。
「私は非常に迷惑していたんです!!!熨斗をつけてお返しします!」
「あらあら、困ったわね……」
ステイシーは顎に手を当て首を傾げると、後ろからバタバタを足音が響く。
振り返ると、ジェイー王子とハンクの姿。
「王子、ステイシー様は私を助けてくれたんです。だから婚約破棄する理由はありません!」
ぴしゃりとそう言い切ると、王子は驚き目を丸くしながら私たちを交互に見つめる。
「そんな……私が助けたかどうかはともかく、私のような面白味のない女よりも、フレッシュな彼女の方がジェシーにお似合いですわよ」
「いえいえ、そんな!平民の私なんかが王子と釣り合うなんてありえません。御貴族様のマナーや仕来りもわかっていない私では、王子の負担になるだけですわ。その点ステイシー様は容姿端麗で品行方正、学業においてもトップクラス。見目麗しいお姿は女の私ですら見惚れてしまいますわ。それに加えて平民の私なんかに手を差し伸べてくれる優しい御心。御貴族様の鏡のような方ですわ。そんなかたこそ王子にふさわしいと思います」
「まぁ!?礼儀や作法などは私が全て教育しますわ。もちろん王妃教育も含めて。だから安心なさって。あなたならすぐに習得できるでしょう。先日の試験では貴族に並んでトップ5に名を連ねていたじゃない。それに優しさならあなたに叶わないわ。彼の相手が出来るのだもの」
ステイシーと王子の押し付け合いをしていると、見かねたハンクが私たちの間へ入った。
「お戯れはそれぐらいに。それ以上続けると、王子が立ち直れなくなってしまいます」
その言葉に顔を向けると、王子はどんよりとした空気を纏い体育座りでいじけていた。
「奪い合いならともかく押し付け合いだと……。うぅ……俺は王子だぞ……」
ボソッと呟いた何とも情けない姿に、呆れてものも言えない。
今までさんざん真っ向から否定してきたはずだけれど?
顔や地位がいくら魅力的でも一時の感情だけで行動する王子を誰が追いかけるのだろうか。
いじけた王子を見下ろす中、ハンクは小さな息を吐きだすと、ステイシーへ顔を向けた。
「ステイシー様、なぜこんな茶番を?こんなことで婚約破棄は出来ないと分かっておられるでしょう?バカ王……いえ、失礼しました。ジェシー王子のくだらない思いつきに付き合うなんて、どういう心境の変化ですか?」
「おいおいッッ……ハンクまでひでぇ……」
ハンクの言葉に彼女へ顔を向けると、ステイシーはバツの悪そうな様子で両手を上げた。
「そう怒らないでハンク」
「戯れにしてはやりすぎですよ。公の場であんな発言をなさるだなんて、あなたらしくない。王やあなたのお父上の耳に入ったらどうするおつもりなのですか?」
冷たい彼の言葉に、彼女はシュンっと眉を下げると、そっと視線を逸らせた。
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