4 / 17
新任教師
3
しおりを挟む
自己紹介は、特に大きなトラブルなく終了した。
声の大きい子、小さい子をはじめ、それなりに個性が見える。
ひとくちに「普通の小学生」といっても、大人と同じくそれぞれ違う人間で、みんな違って当たり前だ。
続いた2時間目、3時間目も特に変わったことはなく終了し、新学期初日は半日で終了。
大体の事務作業も終え、定時近くを指している時計を横目に伶はフッと息を吐いた。
そんなタイミングを見計らったかのように、同期の女性教師、花田舞が、斜め向かいの自席から立ち上がり近寄ってきた。
同期ということもあり、歓迎会で少し伶とも盛り上がって喋った間柄の彼女は、人懐こそうな笑顔を浮かべて話し掛ける。
「お疲れさま!どう?初めての受け持ちクラス」
ちなみに舞は3年生の担任である。
「やっぱり緊張するかな。でもね、一人一人のために頑張らなきゃ」
伶が答えると、
「そんな緊張するかな?ん~私は、大学の時のバイトで塾講師した時とあまり変わらんかも」
お気楽な返事が返ってくる。
「舞は人前慣れてるし人見知りしないから羨ましいよ」
苦笑を浮かべ、でもそれをすぐに真顔に戻す伶。
「でもね、私は絶対、誰か救うの。そのために教師になったの」
「それずっと言ってるもんね。応援してるし一緒に頑張ろう。でも…」
あまり変な方向に行ったりしないようにね…そう続けた舞の声は、頭のなかで自己紹介を振り返り、早速いろんなイメージトレーニングを始めた伶の耳には届かなかった。
声の大きい子、小さい子をはじめ、それなりに個性が見える。
ひとくちに「普通の小学生」といっても、大人と同じくそれぞれ違う人間で、みんな違って当たり前だ。
続いた2時間目、3時間目も特に変わったことはなく終了し、新学期初日は半日で終了。
大体の事務作業も終え、定時近くを指している時計を横目に伶はフッと息を吐いた。
そんなタイミングを見計らったかのように、同期の女性教師、花田舞が、斜め向かいの自席から立ち上がり近寄ってきた。
同期ということもあり、歓迎会で少し伶とも盛り上がって喋った間柄の彼女は、人懐こそうな笑顔を浮かべて話し掛ける。
「お疲れさま!どう?初めての受け持ちクラス」
ちなみに舞は3年生の担任である。
「やっぱり緊張するかな。でもね、一人一人のために頑張らなきゃ」
伶が答えると、
「そんな緊張するかな?ん~私は、大学の時のバイトで塾講師した時とあまり変わらんかも」
お気楽な返事が返ってくる。
「舞は人前慣れてるし人見知りしないから羨ましいよ」
苦笑を浮かべ、でもそれをすぐに真顔に戻す伶。
「でもね、私は絶対、誰か救うの。そのために教師になったの」
「それずっと言ってるもんね。応援してるし一緒に頑張ろう。でも…」
あまり変な方向に行ったりしないようにね…そう続けた舞の声は、頭のなかで自己紹介を振り返り、早速いろんなイメージトレーニングを始めた伶の耳には届かなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる