10月の向日葵

不登校疑惑

2

…いや、どうしよう。…
児童が下校した後の職員室で、怜は煮詰まっていた。悩んで手が止まり、事務作業もなかなかはかどらない。

この場合、何が正解なのかはわからない。
いや勿論、思いつく手段はある。
その1、何もせずにもう少し様子を見る。
単純に風邪をこじらせただけかもしれないのだ。それはそれで心配ではあるが、それなら、そっとしておいたほうが良いということもあろう。
その2、お見舞いとして自宅を訪問する。
何かしら分かることはあるかもしれない。今時、体調不良で休んだだけで担任が来るだなんて煙たがられないかは不安だが。
その3、家に電話をする。
まずは最初に出るであろう保護者に大樹の病状を訪ねて、うまいこと聞き出せないだろうか。…自分にそんな、巧みな話術があるか不安だ。
その4、雅人に心当たりをきく。
だが万一、雅人とのトラブルが原因だったら。

ぐるぐると悩んだ末、伶が採用したのは②だった。